欧州関連

生まれ変わるギリシャ空軍、F-16V導入に続いてF-35プログラムへの参加を希望

ギリシャはF-16やミラージュ2000のアップグレードが完了すれば、F-35プログラムに参加することを希望していると訪米中のミソタキス首相が発言した。

参考:Greece Wants To Join F-35 Jet Program – Prime Minister

非常に強力な空軍として生まれ変わろうとしているギリシャ空軍

ギリシャのミソタキス首相は7日、ホワイトハウスでトランプ大統領と会談し、ギリシャはF-35導入に「大変興味を持っている」と述べた。

昨年末、ギリシャは空軍が保有する84機のF-16C/Dを最新のV仕様相当へアップグレードするための契約をロッキード・マーティンと交わしたばかりだが、このアップグレード作業は2024年までに完了する予定で、その後、F-35プログラムに参加することを希望しているとミソタキス首相が発言した。

補足:ギリシャは空軍が保有する12機のミラージュ2000-5MK.2をアップグレードする契約も同時期に契約を交わしている。

出典:Public Domain ギリシャ空軍のミラージュ2000EG

現在、ギリシャ空軍はF-16C/Dを154機、ミラージュ2000を42機(EG×26、BG×4、-5MK.2×12)、F-4E(PI2000)を34機運用しており、F-35Aで更新されるのは恐らくF-4Eだろう。

ギリシャ空軍が運用中のF-4Eは、ドイツが保有しているF-4Fに対して行ったアップグレード(戦闘効率改善(ICE)プログラム)に類似した「Peace Icarus 2000」規格にアップグレードされているが、機体や性能の老朽化が進んでいる。

因みに「Peace Icarus 2000」規格とは、F/A-18A/Bが搭載していた「AN/APG-65」レーダーにAIM-120を運用できる能力を付与した「AN/APG-65(GY)」に換装し、搭載電子機器を新型のものにアップグレードするというもので、AN/APG-66を搭載した日本のF-4EJ改よりもアビオニクス関連の性能は高い。

補足:AN/APG-65は8つの目標を同時追尾することができた。

出典:Radoslaw Maciejewski / stock.adobe.com

ギリシャはF-16やミラージュ2000のアップグレードに約18億ドル(約2,000億円)もの費用を投資することが確定しており、さらにF-35Aの導入を検討するなど航空戦力の強化を急いでいるのには理由がある。

積極的に軍備を拡張している隣国トルコとの間には「キプロス島問題」があり、最近、トルコはキプロス島付近の海底資源発掘を進めているため両国の境界線付近は極度の緊張状態が続き、トルコによる侵犯行為は日常化したといってもよく、いつ軍事衝突が起こっても不思議ではない。

恐らくギリシャとトルコの関係は、日本と韓国の関係よりも数倍は険悪で、一触即発の状態にあると言っても良くいいだろう。

もし、全ての計画が順調に進めば、ギリシャ空軍は非常に強力な空軍として生まれ変わることになる。

計画が順調に進めばの話だが・・・

 

※アイキャッチ画像の出典:Public Domain F-35

韓国防衛産業界はパニック? 米国、韓国の戦闘機「KFX」へ搭載兵器「供給拒否」を通知前のページ

実用レベルのレーザー兵器が遂に実用化! イスラエル、レーザーベースの迎撃システム発表次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    英国防委員長、中国とロシアの脅威に対応するにはGDP比2.0%程度の国防予算では足りない

    英下院の国防委員会で委員長を務めるトビアス・エルウッド氏は「将来の脅威…

  2. 欧州関連

    NATO未入手のロシア製戦車? 反政府組織が捕獲した「T-90A」を巡って争奪戦勃発

    旧ソ連/ロシアが製造した主力戦車の中で西側諸国が唯一、入手機会する無か…

  3. 欧州関連

    ウクライナ、自走式迫撃砲「M120Rak」の調達でポーランドと合意

    ワルシャワを訪問したゼレンスキー大統領は5日、ポーランドから装甲兵員輸…

  4. 欧州関連

    英国、海軍にはクイーン・エリザベス級空母を2隻運用するだけの能力がない

    英国の会計検査院(NAO)が公表した報告書の中で、60億ポンド以上の費…

  5. 欧州関連

    ポーランドとドイツが戦車を巡って喧嘩、戦車争奪戦の正直者はどっち?

    ウクライナに戦車を提供するという目的で一致するポーランドとドイツは「ギ…

  6. 欧州関連

    フランス政府は440億ユーロの国防予算を要求、空母2隻体制にも言及

    フランスのルコルニュ国防相は2023年度の国防予算として440億ユーロ…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 1月 09日

    ドイツ空軍よりも強そう(小並)

    • 匿名
    • 2020年 1月 09日

    財政大丈夫なのかな?

    • 匿名
    • 2020年 1月 09日

    ギリシャの財政ってほぼ破綻状態では?
    でもって、カネを貸してるのはドイツ。
    なんか、ムリゲーな気がする(ドイツの軍需産業が怒る)

    • 匿名
    • 2020年 1月 09日

    無い袖は振れませんがな…
    大方、アメリカとトルコの仲違いにつけ込んで、アメリカから援助を引き出す肚でしょうけど。そう上手くいくとは思えませんね。

    • 匿名
    • 2020年 1月 09日

    ギリシャはS300運用国ですよね?トルコを例にするなら
    F-35とロシア製SAMを同じ環境に置く事は許されないのでは?

      • 匿名
      • 2020年 1月 11日

      ん?
      ギリシャのS-300は、キプロスが購入する筈だったがトルコが購入に文句を言って来た為、キャンセルしたものをギリシャが購入した経緯がある。
      当然、イスラエルやNATOの訓練に使用されている。もちろん、アメリカにも現物が渡っている筈。
      ただバージョンアップは、受けられない状態である。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  2. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  3. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  4. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  5. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
PAGE TOP