ギリシャのデンディアス国防相は昨年「もうFPVドローンを操作できない兵士は戦場で役に立たない」と述べ、ギリシャ陸軍も兵器廠を転換して独自のドローン生産能力(年1000機)を確立していたが、9月3日「小型ドローンを年5,000機生産している。12月に開設される第309工場が稼働すれば年1万5,000機のドローンを生産できるようになる」と明かした。
参考:Greece will soon produce 15,000 military drones a year, Dendias says
ギリシャが敵対しているトルコのドローン生産能力は桁違いなので、年1万5,000機のドローン生産能力で十分なのかどうかは不明だ
米陸軍はウクライナ戦争から「FPVドローンのような小型の攻撃ドローンは歩兵の交戦距離をmからkmに拡張する」「小型ドローンは基本的に使い捨てで中国製に依存しない独自の産業基盤が必要になる」「ドローン戦争は変化に対応する適応力が勝負なのでドローン調達に従来モデルは通用しない」「標準化された単一仕様機を延々と生産するやり方は論外だ」「前線から届くフィードバックを24時間以内に実装するのが目標になる」「そのためにはドローンを前線に近い場所で生産し調整する能力が重要になる」といった教訓を学び、2025年秋にSkyFoundry(スカイファウンドリー)構想を始動させた。

出典:U.S. Army photo by Sgt. Joskanny Lua
当時のドリスコル陸軍長官は「ウクライナとロシアのドローン生産量は年400万機前後」「中国はその2倍以上のドローンを生産できる」「米陸軍の年間調達量は約5万機に過ぎない」「今後2年~3年以内に最低でも100万機のドローンを購入する」「今後1年~2年で戦争に必要なドローンを生産できる十分なサプライチェーンが稼働できると期待している」「議員がテキサス州に年100万機のドローン製造施設を建設する法案を提出したが生産拠点は分散させることが重要だ」「ドローンは戦争の未来であり我々はドローンに対する攻撃と防御の両方に投資する必要がある」と言及。
陸軍もスカイファウンドリー構想について「この構想は米ドローン産業を刺激し、米製造業を支援し、レアアースへのアクセスを向上させ、低コストの部品を生産し、最終的に陸軍の緊急ニーズに応えるドローン供給を実現させる」「この取り組みから誰もが恩恵を受け、産業は健全化し、国はより安全になり、陸軍は今後2年~3年で数百万機のドローン生産・調達に必要なシステムを手に入れる」と説明し、この取り組みで重要なのは「100万機のドローン購入」ではなく「数百万機の生産基盤を構築する」という点だ。

出典:Photo by Kendall Swank
陸軍はスカイファウンドリー構想の下で戦闘車両のスペアパーツ、砲弾、補給品などを製造していた兵器廠や補給廠をドローン生産拠点に転換し、ブルーグラス陸軍補給廠がドローン技術の研究・開発を主導し、ロックアイランド兵器廠が積層造形技術を用いたドローンのフレームやプロペラの生産、トビーハンナ陸軍補給廠が配線ハーネス、電子部品、ブラシレスモーターの生産、アニストン陸軍兵器廠がドローン用モーターのステータ(固定子)組立、レッドリバー陸軍補給廠が最終組み立てやテストに加えてバッテリーの製造を担当している。
この分散化されたドローン生産ネットワークはデジタルリポジトリを通じてデータ、デジタル設計、ソフトウェアの更新を共有できるよう設計され、ここに旅団戦闘団内のドローン製造能力も統合され、ひとまず中国製部品に依存しない自前の生産基盤(月1万機規模=年12万機規模)確立が、ここに民間企業の生産基盤も合流させて「年数百万機のドローン生産・調達に必要な生産基盤」を2年~3年以内に実現させるが目標だ。

出典:U.S. Army photo by Spc. Josefina Garcia
トビーハンナ陸軍補給廠では今年6月にブラシレスモーターの組立ライン(年50万基)が操業を開始し、稼働中の回路基板の組立ラインも2027会計年度末までに年100万枚まで組立ラインが拡張され、アニストン陸軍兵器廠のドローン用モーターのステータ組立ラインも2027年8月までに稼働を開始する予定で、ドローンの供給と部隊からのフィードバックもウクライナ軍方式を取り入れて「現場の部隊が直接購入できる」「商用技術を素早く取り込む柔軟性」「フィードバックを即座に反映できる環境」を重視したマーケットプレイスを2026年に開設している。
ギリシャでも同様の取り組みが報告されており、2025年9月末に提出された軍事改革法案=Agenda 2030の中で「ドローン、対ドローンシステム、FPV機能といった先進技術を兵士の訓練に統合することが最優先事項で兵役モデルを刷新する」と明かし、デンディアス国防相も「改革の柱は兵士に先進技術の専門知識を身に着けさせることだ」「もうFPVドローンを操作できない兵士は戦場で役に立たない」と述べ、新兵の基礎訓練14週間の内4週間をドローン操縦に、さらに即応性の高い部隊は12週間の集中訓練を受けるらしい。

出典:Nikos Dendias
さらにアハルネスにある陸軍第306通信基地工場のドローン製造施設を視察した際「この工場は軍用の通信機器や電子機器の製造と保守に重点を置いていたが、ここ数ヶ月間でドローン製造拠点に転換された」「この製造拠点は偵察用の従来型ドローンや攻撃用のFPVドローンを含め年1,000機以上の生産能力を持っている」「ここで生産されたドローンはトラキアとエーゲ海での作戦ニーズを満たすためASDENと第4軍団に配備される予定だ」「第306通信基地工場の生産能力も必要に応じて強化され施設の拡張もできる」と述べていた。
デンディアス国防相は2026年6月「小型ドローンの生産能力を年4,000機から約1万機に引き上げ、大型ドローンも年600機生産する」と述べていたが、9月3日にクサンティ近郊にある第316無人航空機工場を視察した際「ギリシャは2023年末時点においてヘロン2機とジャンボ(安価な玩具を販売するチェーン店)レベルのドローン252機しか保有していなかったが、現在は第306通信基地工場と合わせて小型ドローンを年5,000機生産している。12月に開設される第309工場が稼働すれば年1万5,000機のドローンを生産できるようになる」と明かした。
Είχα τη χαρά να επισκεφθώ στην #Ξάνθη το 316 ΣΠΤΧ το οποίο παράγει Μη Επανδρωμένα Αεροχήματα.
Το 316 ΣΠΤΧ μαζί με το 306 Εργοστάσιο Βάσης στην Αττική, έχει δώσει ήδη τη δυνατότητα στις ελληνικές Ένοπλες Δυνάμεις να παράγουν ετησίως περίπου 5.000 drones για τις ανάγκες τους.
Να… pic.twitter.com/fxX7Th1K4Y
— Nikos Dendias (@NikosDendias) September 3, 2026
ギリシャのドローン生産能力が「市場調達した部品を組み立てるレベル」なのか「中国製部品を排除したドローンの生産能力」なのかは不明だが、ギリシャが対立しているトルコのドローン生産能力は桁違いなので、年1万5,000機のドローン生産能力(ギリシャ軍独自の生産能力)で十分なのかどうかは不明だ。
トルコのドローン企業=Skydagger Drones(スカイダガー・ドローンズ)はバイカルの支援を受けて2024年に設立され、3.5インチ~15インチまでのFPVドローン=SKYDAGGER RTFの生産に特化し「2026年末までに月1万機の生産能力を確立する」と述べていたが、既に14カ国へFPVドローンを3万機輸出することに成功、バイカルのハルク・バイラクタル氏も今年1月「スカイダガーが年間12万機のドローン生産能力を達成した」と発表して注目を集めていた。
One day at #EFES2026 #Skydagger 📍 pic.twitter.com/f3XTvtWzPB
— SKYDAGGER (@SkydaggerDrones) May 16, 2026
SKYDAGGER RTFを構成する主要部品(機体、バッテリー、モーター、飛行制御コンピューター、ビデオ通信システム、光ファイバー、弾頭など)の80%以上は自社開発かトルコ国内で調達されたもので、2026年末までに主要部品の国産化比率を100%に引き上げ、潜在的な紛争におけるサプライチェーンの脆弱性を排除してトルコ軍の作戦継続能力を担保する予定で、今年3月に迎撃ドローン=HUNTER(ハンター)も発表して勢いに乗っている。
日本国内のドローン生産は年間1,000機前後(2024年実績)で、政府は研究開発や設備投資に必要な費用の最大50%を助成して2030年までに8万機の生産体制(民生用中心)を整備する予定だが、これと同じ規模の生産体制をスカイダガーは1年半で達成したことになり、しかも海外輸出で持続可能な事業にできているのが羨ましい点だ。
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※アイキャッチ画像の出典:Nikos Dendias





















>ギリシャのドローン生産能力が「市場調達した部品を組み立てるレベル」なのか
>「中国製部品を排除したドローンの生産能力」なのかは不明だが、
ギリシャが中国製品排除する必要ある?
実際は無理だろうが、通信関係部品だけでも排除しないと情報がダダ漏れになるから。
特定の車両だけAPSやRWSでドローンに対抗しても、ソフトスキンのタンクローリーやトラックの様な兵站輸送車両がドローンに襲撃されれば、どの道、短時間で重装甲車両もその部隊も壊滅する
結果、ドローンはドローンをぶつけるのが効率的に見える
これが、軍艦や航空機相手なら尚更に脅威かつ深刻
日本は生産体制の整備が遅いんでなく、経産省の2030年の国内ドローン需要が14万台だからそれに合わせてるだけだったりする
つまり防衛省が大量調達決定しないと、市場側も整備しようにも整備できない
機体は艦内で3Dプリンターで作る段階にきているので、モーターや半導体、カメラをどうするか。
軍用だけでは商売にならないので、規制緩和を含めて国産を支援していかないと。
高性能のものを求めるとカメラは、日本か韓国製のものしか選択肢は無いと思うんですよね。
年産数百万台って戦時中はともかく、平時は持て余しそうに思えるんだけど、どうなんだろう。
輸出するにしても数多過ぎないかな。
日本で航続距離10km前後のドローン大量生産しても、そこまで使い道ないと思うんで
大陸に届くタイプのドローンを、できれば年間数万基は作りたいよね。
まあ、モスクワに1000機/日飛ばすとか言ってるウクライナと比べてたら、全然足りないけれども。