通常動力型潜水艦に対する需要はかつてないほどの規模まで膨れ上がり、2025年5月時点で潜在的な輸出需要は計11ヶ国40隻に到達、最も新しい潜水艦調達計画は22日にギリシャ海軍が発表し、4隻の新型潜水艦に水中発射型UAVの運用能力を要求している。
参考:Hellenic Navy Outlines Requirements for Next-Generation Submarine Program
潜水艦への水中発射型UAVの統合は今後主流になる可能性が高く、陸上だけでなく海上の低空域もドローンだらけになるかもしれない
2023年8月に「通常動力型潜水艦に対する海外市場の需要は非常に旺盛で、少なくとも8ヶ国=オランダ、ポーランド、ルーマニア、エジプト、インド、フィリピン、カナダ、アルゼンチンで潜水艦の調達が進めており、この30隻以上にもなる需要を巡ってフランス、ドイツ、スペイン、スウェーデン、韓国が売り込みを行っている」と報じたが、2025年5月までにオランダはバラクーダ級を選択、インドはドイツとマザゴン・ドック造船所のコンソーシアムを選択する可能性が高く、インドネシアはスコルペヌ型潜水艦を選択した。

出典:Naval Group
まだ決断を下していないポーランド(3隻)、ルーマニア(2隻)、エジプト(4隻)、フィリピン(2隻)、カナダ(12隻)、アルゼンチン(3隻)の状況は様々だが、新たにモロッコが2隻、ペルーが4隻、マレーシアが2隻、シンガポールが2隻、ギリシャが4隻の調達を検討しているため、通常動力型潜水艦の潜在的な輸出需要はオランダ、インド、インドネシアを抜いても40隻に到達し、この分野の潜水艦を持っている国は激しく売り込みを行っている。
最も新しい潜水艦調達計画は英国で開催されたSurface Fleet Technologyで発表され、ギリシャ海軍は22日「老朽化が進む209型潜水艦の後継として4隻の新型潜水艦を国内建造する」「必須要件はAIP機関の搭載、高度な自動化機能、特殊部隊の収用スペース、魚雷、対艦ミサイル、対地ミサイル、ハードキルとソフトキルで構成された対魚雷防衛システム、対空ミサイルと水中発射式無人航空機の運用能力」「リチウムイオン電池の採用も重視している」と明かし、検討している設計候補はNaval Groupのスコルペヌ型とバラクーダ級、TKMSの218型と209NG型、SaabのA26などを上げた。
この計画は各造船企業からの情報提供を受けて詳細な技術要件を策定している最中で、計画への予算承認を経て提案依頼書(RFP)が発行されるため、正式な入札開始は2026年以降になると思われるが、これに応じる造船所はギリシャでの現地建造を支援しなければならない。
ギリシャ海軍が要求している潜水艦の推進機関はAIPとリチウムイオン電池の組み合わせになる可能性が高く、水中発射式の対空ミサイルはフランスのA3SM、ドイツのIDASを想定していると思われ、水中発射式無人航空機は既に米国とイスラエルが実用化済み、中国も試射に成功、インドが開発に取り掛かっており、米海軍は攻撃型原潜にSwitchblade300ベースの水中発射型UAV=Blackwingを導入中だ。

出典:AeroVironment
ギリシャ海軍はどこから水中発射型UAVを入手するつもりは知らないが、潜水艦への水中発射型UAVの統合は今後主流になる可能性が高く、陸上だけでなく海上の低空域もドローンだらけになるかもしれない。
因みにシンガポールはインヴィンシブル級潜水艦=218型SGを2隻追加発注したと発表、これによりシンガポール海軍の潜水艦戦力は4隻から6隻に増加する。
関連記事:通常動力型潜水艦に対する需要は30隻以上、仏独韓が積極的に売り込み
関連記事:通常動力型潜水艦に対する空前の需要、オランダがバラクーダ級契約に署名
関連記事:フランス、オランダ海軍に続きインドネシア海軍からも潜水艦を受注
関連記事:インドの潜水艦調達を巡る戦い、スペインが脱落したためドイツ勝利か
関連記事:モロッコの潜水艦調達、状況次第でロシア製潜水艦が選択肢になる可能性
関連記事:中国もUAVの水中発射テストを実施、潜水艦からのUAV運用を示唆
関連記事:イスラエル、潜航中の潜水艦から発射可能なUAV「Ninox103UW」を披露
関連記事:米海軍が導入中の潜水艦から発射可能なUAV、インドも自国軍向けに開発を発表
関連記事:潜水艦と無人機の連携、米海軍が原潜で使用する水中発射型UAVを120機導入
関連記事:シンガポール海軍の新戦力、トマホーク搭載可能なインヴィンシブル級潜水艦
※アイキャッチ画像の出典:Saab AB A26型潜水艦
「ハードキルとソフトキルで構成された対魚雷防衛システム」
音響デコイは、ハードなんだろうかソフトなんだろうか。そして、それ以外の防衛手段って現状あるのかな。
ハードキルは対魚雷用魚雷(ATT)で、ソフトキルが音響デコイじゃないかな。
どうなのでしょう。
敵の潜水艦(あるいはセンサー)が間近にいたら。
潜水艦から何かしら射出をしたら、その段階で探知されてアウトでは?
また、射出したUAVからデータを受け取るためにアンテナ(ブイ)を
出す必要があると思うのだけれど、見つかるのでは?。
あとは、それこそ敵UAVに対戦魚雷を撃ち込まれるのでは?。
などと想像します。
そんなこと言ってたら潜望鏡だって出せませんよ、全ては使い方次第です
水平線ギリギリの小型ドローンを探知するのは難易度が高いですし
一瞬顔を出して撮影を済ませたら着水させてしまい、データを受信次第アンテナも引っ込めてしまえば、被探知の可能性は非常に低いでしょう
魚雷発射管から、射出するのでしょうかね?
潜水艦搭載兵器の中で、魚雷・巡航ミサイルが、どの程度消費されているのかも重要なのでしょう。
価格面と効率性、代替性(空軍による攻撃・イージス艦から発射)を考えれば、水中発射型UAV搭載は理に適っているのかもしれませんね。
ギリシャ🇬🇷はお金があって羨ましい♪
日本にも融資して欲しいです。
ギリシャ君、必須要件を盛り込み過ぎや
特殊部隊の収用スペースやら対空ミサイルやらドローンやら
僕の考えた最強の潜水艦みたいだー
米海軍「せや!任務ごとにモジュールを換装するようにすればお得じゃん!」
最近の首相の我が国の財政はギリシャよりも悪いという発言で知名度が上がったギリシャですが、ギリシャ危機の後始末もようやく終わり軍拡に手を出せるくらいに財政が健全化されたみたいで何よりです。
ぜひ我が国にも財政再建の奥義を教えていただきたいですな。
債務圧縮、資金流入による高成長、税金上げて年金絞った、インフレっていう簡単な話
なお日本の場合は1、2は土台期待できないし、3は高齢化がギリシャより進んでるから困難、4は言わずもがな
そもそも税負担の大きさもいわゆる社会のお荷物(高齢者、病人、障害者の福祉費増)が原因だし、これらの人は票田になってるから解決不能
課題解決のハードルになってるのは実は人権なんやな喜劇やな
公務員率が異常だったらしいが、どうやって解決したんやろなぁ