ウクライナ侵攻で発生した人的損失に関する交戦国発表とNATO加盟国が言及した数値との差は広がり続けており、ウクライナ軍の発表が正しいなら間もなくロシア軍の戦死者数は14万人に到達する。
参考:How many people have died in Ukraine?
ウクライナ軍発表が事実ならロシア軍は既に崩壊していても不思議ではない
ウクライナ国防省はロシア軍兵士の戦死者を毎日発表しているが、自軍の戦死者についてはゼレンスキー大統領が昨年3月に「約1,300人」と、昨年4月に「2,500人~3,000人」と、ザルジュニー総司令官が昨年8月に「約9,000人」と明かし、ポドリャク大統領府顧問が昨年12月に「約10ヶ月間の戦いでウクライナ軍は10,000人~13,000人の兵士を失ったが負傷者の方が遥かに多い」と言及したのが最後だ。
ウクライナ発表 | ロシア発表 | |
ウクライナ軍の人的損失 | 10,000人~13,000人が戦死 | 110,000人以上が死傷 |
ロシア軍の人的損失 | 139,770人が戦死 | 5,937人が戦死 |
※上記の数字は意味の異なる戦死者と死傷者が混在しているので比較する際には注意が必要 |
一方のロシア国防省は自軍の人的損失について昨年3月2日に「戦死者498人/負傷者1,597人」と、25日に「戦死者1,351人/負傷者3,825人」と、ショイグ国防相が部分的動員が発表された昨年9月に「特別軍事作戦の期間中にロシア軍は5,937人の兵士が戦死したが、ウクライナ軍は11万人以上(戦死者61,207人+負傷者49,368人)の兵士を失った」と言及、さらに今年2月に「ウクライナ軍は1月だけで6,500人の兵士を失った」と述べている。
特筆すべきはウクライナ国防省が発表している数字が「死傷者」ではなく「戦死者」である点で、一般的な戦場のルールに当てはめるとロシア軍の死傷者数は「40万人以上」になり、これが事実ならロシア軍は既に崩壊していても不思議ではなく、米メディアは「キーウが発表する犠牲者数は誇張していると非難されることがある」と報じている。
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参考記事:498 российских военных погибли при проведении операции на Украине
参考記事:Some 1,351 Russian troops killed since start of special operation in Ukraine
参考記事:Сколько солдат и техники потеряла армия Украины в январе
特筆すべきはクリストファーセン陸軍大将の言及にウクライナ側が表立って抗議しなかったこと
両軍の人的被害についてEU・NATO加盟国の立場ある人物の言及をまとめると、欧州委員会のフォンデアライエン委員長が昨年11月に「ウクライナでは2万人以上の民間人と10万人の兵士が死亡した」と言及して注目を集めたが、立場ある人物が公の場でウクライナの人的損害に言及すると直ぐに抗議もしくは正しくないと主張するのが常で、この時もウクライナ軍参謀本部は「言及された数字を確認することは出来ない、我が軍の損失は軍事機密であり情報公開の制限に該当する」と抗議し、欧州委員会のウェブサイトで公開されていた当該発言に関するテキストと動画は削除された。
しかし米軍のミリー統合参謀本部議長が「ロシア軍の死傷者数は10万人を大幅に上回る、双方にかなりの死傷者が出ている」と言及してウクライナ軍にも相当な人的損失があると示唆、ノルウェー軍の最高司令官を務めるエイリック・クリストファーセン陸軍大将も「ロシア軍の死傷者数は18万人(ウクライナ軍発表の139,770人は戦死者数で負傷者との比率が1対1でも死傷者数は28万人になる計算)に近づきつつあり、ウクライナ軍の死傷者数も恐らく10万人以上だ。さらにウクライナ側には民間人に約3万人の死傷者がいる」とより具体的な数値を口にして注目を集めている。
特筆すべきは両者の発言についてウクライナが抗議も否定もしなかった点で、この日を境にウクライナ側は「両軍の人的損失に10倍近い差がついている」という定番の主張をしなくなった。
関連記事:欧州委員会のフォンデアライエン委員長、ウクライナ軍の戦死者数を漏らす?
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もしウクライナ軍発表が正しい場合、何も慌てる必要がなくロシア軍の自滅を待てばいいだけ
誰の数字が真実により近いのかは当事者以外に検証できないため「ウクライナ軍発表」が正しかったと仮定すると、ロシア軍は今年に入って1日平均735人(1月1日~2月15日の46日で33,810人)の兵士が戦死しているため、この消耗ペースが維持されればロシア軍は半年で13万人近い兵士を失い、同時に発生する負傷者も加味すれば動員した30万人の大半が戦場から姿を消すかもしれない。
両軍の人的損失に10倍近い差がついているという話も真実なら、同じ期間にウクライナ軍が失う兵士の数は1.3万人程度なので、占領地域におけるロシア軍の戦力密度は半年程度で昨年のハルキウ州レベルまで低下し、占領地域に残されるロシア軍の残存部隊は国際的に認められた本領に撤退を強いられるだろう。
この空論は「ウクライナ軍発表が真実でロシアが追加動員を実行できなかった場合の話」なので、こんな楽観的過ぎる未来は多分やってこない。
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
流石にこの数字を鵜呑みにしてるのは余程の信者ぐらい、バフムトの話もそうだが国内向けのファンタジーなんだから真面目に取り合う必要もないと思う。
この手の話でよく見落とされるのは負傷兵の復帰です。
一般に死者の3倍程度とも言われる負傷兵は、永遠に戦場から退場したわけではなく復帰してきます。
10万の死者が仮に存在したとして「負傷者が30万人いるはずだからロシア軍は40万を失った」とは全くなりません。
それは1日で10万人が戦死した場合にのみ起こりうる話です。
この仮の数字は1年近くかけて積もった数字なので、その間復帰した人員を考慮すれば戦場から失われている兵員数はもっと少なくなります。
それとは別に、この件に対する最も穏当な見解は、ウクライナ軍の発表してる「Liquidated personnel」(=殺害された人員)13万9770人が、戦死者ではなく死傷者であるというものでしょう。
イギリス国防省は、ウクライナが発表している今月の露軍の1日平均死者数824人に言及して、この数字は検証できないが年初来の死傷者増加の傾向はかなり正確だろう、と言ってます。彼らの表現は「Losses」または「casualties」なので死傷者数であると考えていることが伺えます。
重傷者は、復活せずに社会の負担となる。
(全員とは言わないが)圧倒的侵略者から味方を体を張って護り、傷を負った方を「復活しない」「負担」と表現する貴君のセンスには100%同意しかねます。
両軍併せたらこの1年で30万以上の人間が既に死んでてもおかしくないんですね。トルコの大地震10回分と考えると、戦争という人的災害の恐ろしさを痛感します。
しかしほんと、何でこんな戦争始めちゃったんでしょうね。ウクライナに停戦を飲ませられるほどロシアが勝利したとしても、もはやウクライナを地図から消せるほどではなく、モスクワから500km圏内に最も敵対的な国が残り続ける事になります。ウクライナはソ連で最も発展した重工業国で、かつては戦略兵器の製造拠点があった国です。敵にしたときの脅威はイランや北朝鮮と比べてもなお勝るでしょう。まして負ければ余波はロシア国内に逆流してくるでしょう。チェチェンやダゲスタン、ブリヤートなど非スラブの自治共和国では既に不和が聞こえています。100%計画通りに運んだ1通りの最適解以外、他の全てのパターンでは開戦前より状況が悪くなってしまう、そんな分の悪いゲームにロシアは腰まで浸かってしまっているように見えます。
親ロシア政権を、何らかの扇動を受けた民衆が打倒して
親欧米政権に強制変更する革命が
隣の兄弟国(だとロシアは思ってる)のウクライナにまで到達した
2022年に反政府デモが起きたカザフスタンについても、ロシアが軍を派遣して鎮圧して親ロシア政権を守っており、
ウクライナとの開戦後は、ロシアの国営メディアが次の非ナチ化候補としてカザフスタンをあげています
シリアについても反政府勢力に対してロシアは軍を派遣してアサド政権を支援している
最近発生しているイランのデモについてもロシアが弾圧方法を助言しているといわれている
扇動された民衆が親ロシア政権を打倒する動きを放置しておけば友好国が減っていくというのもありますが
プーチンが一番恐れているのはこの流れがロシアに到達したら物理的に自分の首が飛ぶことになるからでしょうね
ロシア系住民の保護?ロシアの人命の扱いみてればそんなの建前だって分かる
その地域がロシアに併合されたあとは雑な徴兵で使い捨てにされてて悲惨極まりない
NATO拡大?サンクトペテルブルクのすぐ近くのフィンランドが加盟しても勝手にしろって感じなんだから言うほど気にしてない
だが友好国の政権を打倒して敵国化させる動きだけは絶対に許さないってのが今のロシア
一連の革命に関与してるロシア風にいえばネオナチ、陰謀論者風にいえばディープステートってのは普通に考えれば西側の諜報機関でしょうかね
ロシアの友好国を崩壊してロシアを弱体化させたい
ロシアはそれを全力で防ぐと
ロシアの戦傷者の現地での死亡確率が通常では考えられないほど高い(1対3ではなくて1対1程度)と考えれば、妥当かもしれない。
>「キーウが発表する犠牲者数は誇張していると非難されることがある」
一時盛んに喧伝されてた10:1は流石に誇張としても、西側の論調は損害比率は圧倒的ウクライナ優位で露は自滅して崩壊するってのが定説だと思います。
現にロシアを嘲笑して揶揄するのが正しく、油断するなと言うものには親露派や頭Zと言ってぶっ叩くのが通例です。
あれだけ大本営発表を批判してた人達がウクライナ戦果発表を鵜呑みにして話をしてるのは人の性が見えて面白いですけどね。
鵜呑みにはしてないと思います。
そういう人もいるかもしれないけど、いわゆるノイジーマイノリティー(うるさい少数派)でしょう。
大本営発表といっても、戦争初期のちょっと盛った程度から、終戦間際の大嘘ばかりの時期でだいぶ違いますので。
遠く離れた日本にいる我々としては、限られた情報から、実態がどうなってるか推測するしかないですよ。
記事にもあるミリー統合参謀本部議長が11月にロシア軍死傷者10万人を発表した時にウクライナ軍も同等の死傷者と言っていたので少なくとも年末ぐらいまでは西側もウ・ロともに同程度の損害と見積もっていたと思います。
欧州委員会のフォンデライエン委員長がウ軍死傷者10万発言をしたのも同じ時期ですので恐らく支援国で同じ認識を持っていたはずです。
この2,3ヶ月でキルレートが一気に上がっていてもそこまで大差がついているとは考えにくいです。
フォンデライエン委員長が怒られて発言を撤回したあとは支援国の要人がウ軍の死傷者についてぼかすようになってしまって、現在どうなってるか推測出来る材料が少ないのが残念ですね。
あなたの脳内の定説や通例を披露されるのはご自由ですが、よほどの妄想家でもない限りは宇・露、双方の発表をそのまま鵜呑みにしている人は少数だと思われますよ。客観的に確認できる情報や常識に照らし合わせて双方の死傷者数にそれほど極端な差はないだろうと思っている人が大多数ではないでしょうか。
少々思い込みが強いように感じられるコメントで、人の性が見えるというよりはあなた自身の性が見えるているような気がしなくもありません。某掲示板風に申し上げれば、ほなお人形さん片付けようか、というところですね。
一進一退の攻防を続けているので、一方的にどちらかの損害が大きいと想定するのは無理があると思います。どちらも同じくらいの人的損失があるのではないでしょうか。
数に勝るロシアが攻めてるのに戦線が動かない以上、ロシア側の損耗率が高いのは間違いないとは思いますよ。
10:1だの戦死者40万だのは流石に過ぎると思いますが。
数の上ではずっとウクライナ優位で、ロシアの動員によってトントンか局所的優位を得たという流れでは?
クレミンナのようにウクライナが攻めて戦線が動かなかった地域もありますし、一概には言えないと思いますよ
さすがにウクライナ軍発表の数字をそのまま受け入れている人は少ないと思います
Osintが確認している兵器の喪失数を比較しても最大で3:1程度の損失比と思われます
人員の喪失と直接比較はできませんが、参考までに
攻勢初期から中期にかけては攻撃側に圧倒的犠牲が出て後期の掃討戦に移行してからは防御側の犠牲が増大し制圧時点ではトータルの損害が同等か防御側の被害総数が上回る。
硫黄島や沖縄でもそれでしたね。
今激戦地のバフムトも現状はウクライナ側の被害が増大しているころでしょう。
撤退を成功させないとロシア側の犠牲を上回る損害を被ることになります。
どちらにせよ、トルコ、シリアの地震が可愛くなるレベルの死傷者だな。
一番恐ろしいのは、自然より人間。
いや一瞬で何万人もの人が亡くなるのもやばいし比べるものじゃないでしょう。
ロシア軍は占領地ウクライナ人やらアフリカ人留学生もロシア軍に投入しているから、戦死者それぐらいでも驚きでない。障害者とかも優先的に前線に投入しているみたいですしね。
死者数20万人いくかとか言われてたからキルレではほぼ2:3くらいなの驚いたな
管理人さんご苦労様です
ウクライナが正しい死傷者数を公表しないことにいらだちを隠せないようですけど
もっと正確にはウクライナの数字を簡単に信じる人たちにでしょうが
馬鹿正直に正確な数を発表しても敵が得をするだけなのでやるわけがないのもご存じの通りです
どうしようも無いことに怒っても仕方が無いですよ
記事を読んでも特に怒ってるようには感じませんでしたが…?
双方ともに正確な数字を発表してないのに、片方にだけ怒るのも変な話です
ウクライナへの征服演説読んだら戦うのも当たり前ですね。
普通に考えて現代の近代化された軍隊同士の衝突でそんな死傷者に差が開くと考える方が不自然だと思う
今のウクライナの戦場は第1次世界大戦に逆戻りしてますからw
どちらの発表も鵜呑みにはできませんが
双方とも大きな人的損害を被っているのは確かでしょうね
特にロシア軍は西側兵器の精密砲撃を受けつつも
歩兵中心の圧倒的な物量で押していく形ですから
ウクライナ軍発表そのままとはいかずとも
かなり人的損害が大きいと思われます
しかもロシア軍はわざわざ兵士を他国の領地に送り出しているわけですから
その負担はウクライナより大きいものです
それでも国力の差がありますからロシアは戦争を継続できるわけですが
ロシアの体力はどれほどのものか、なかなか推し量るのは難しい
少なくとも、国家総動員体制はまだ発動していません
ロシアの消耗は大きいが
消耗によりロシアが戦争継続不可能に陥ることを期待するのは
楽観的すぎるんだろうなと思います
ウクライナ・ロシア共にプロパガンダ合戦なので、もはや正確な数字を求める
のが難しいのでしょう。客観的事実から推測するに、ウクライナは強制徴用が
始まっており、ロシアは部分動員であることです。また人口比率は1:3である
ということですね。どうやってこれでウクライナは勝利するのでしょうか。
そろそろ欧米のドーピングで持ち堪えているウクライナがどこまで持つか?
国益のために日本はどうするべきか?という議論が始まらなければならない
のですが、マスメディアの論調はウクライナ優勢!なので、、、やんぬるかな
ガチガチに警戒してるロシア軍相手にハリコフ反攻の栄光よもう一度!ってのは正直無理だと思う。
戦車を提供されても防衛線を突破出来るようなものではないと思うし。
やっぱ現状のラインでの膠着が続くのかなあと。
っとなると基礎国力で勝るロシアの方が・・・ってのはねえ。
戦場での数字はともかくウクライナの場合膨大な避難民による社会的損失はぶっちゃけ痛いんだよな
14万死んだの事実でも20万増員も事実 避難民は世界一の金持ちと言われるテモシェンコが支援している。長期戦でのロシア疲弊からの停戦だろう。