ドイツはM113PzMrsの後継にPatria6×6とNEMO砲塔を組み合わせを選択して注目を集めたが、Patriaは9日「迫撃砲を搭載するハンガリー陸軍のLynxにNEMO砲塔が選ばれた」と発表、Janesも16日「ハンガリーは迫撃砲搭載のLynx向けに最低でも24基のNEMO砲塔を調達する」と報じた。
参考:Patria ja Rheinmetall ovat sopineet strategisesta kumppanuudesta Unkarin ZRINIY-ohjelmaan liittyen
参考:Strategic partnership between Patria and Rheinmetall for the Hungarian ZRINYI programme
参考:Hungarian Lynx armoured mortar vehicle to be equipped with NEMO
火力支援車両に求められる要件も国よって異なるため何が正解は分からないが、この分野のシステムは選択肢が非常に豊富だ
120mm迫撃砲を車体後部に搭載した装甲車や高機動車は「手軽で安価な火力支援車両」として広く普及しているが、スウェーデンとポーランドは砲塔式の火力支援システムを採用した自走式迫撃砲を配備しており、スウェーデン陸軍は120mm迫撃砲を2門搭載したCV90Mjölnerを、ポーランド陸軍は自動装填装置が組み込まれたM120Rakを採用し、特にM120Rakはウクライナで実戦を経験しているものの「自走式迫撃砲が非常に有効だった」という評価は聞こえて来ない。
それでもシュート・アンド・スクート能力が優れる自走砲の評価が高いことを考えると、停車から初弾発射まで30秒、最後の射撃から15秒で移動できるM120Rakは従来式のものより生存性が高いと思われ、台湾もM120Rakに関心を示し、オランダ陸軍も歩兵大隊向けにCV90MkIIIをMjölnerに改造することを決定、米陸軍もPatria製のNEMO砲塔を搭載したAMPV(M1064とM1129の後継候補)をテスト中で、このNEMO砲塔は高度に自動化された射撃管制システムによって「移動しながらの攻撃」に対応しているのが特徴だ。
ドイツもM113PzMrsの後継にPatria6×6とNEMO砲塔を組み合わせを選択して注目を集めたが、Patriaは9日「迫撃砲を搭載するハンガリー陸軍のLynxにNEMO砲塔が選ばれた」と発表、Janesも16日「ハンガリーは迫撃砲搭載のLynx向けに最低でも24基のNEMO砲塔を調達する」と報じ、正式採用国が5ヶ国(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、スウェーデン、ドイツ、ハンガリー)に増えた。
チェコ陸軍もPandur8×8と組み合わせる砲塔式120mm迫撃砲を、スペイン陸軍もPiranhaVとASCODに搭載する120mm迫撃砲を探しており、さらにPatriaとRheinmetallは英陸軍のニーズを想定してBoxerとNEMO砲塔の組み合わせを提案しているため、今後もNEMO砲塔を採用してくる国が増えるかもしれない。
因みにフランスと韓国は従来の搭載方式を維持したまま半自動装填装置が組み込まれた120mm迫撃砲を採用し、ベルギーもフランス陸軍が採用したGriffon MEPACを発注している。
火力支援車両に求められる要件も国よって異なるため何が正解は分からないが、この分野のシステムは選択肢が非常に豊富だ。
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※アイキャッチ画像の出典:Patria
間接照準と直接照準による射撃に対応、行間射撃能力有りなら戦車の120mm滑空砲より汎用性が高くて使い易そう。砲弾に誘導装置と成形炸薬を搭載すればトップアタックも可能だし、近年の戦車の役割が歩兵の火力支援であることを考慮すれば被害半径の大きい120mm迫撃砲は120mm滑空砲の代替にピッタリだ。小型艇若しくは水陸両用車に搭載できそうだし水陸両用部隊の主要火力としても役に立つ。
行進射が出来るのは面白いが、装輪式でも命中精度高いのだろうか?
まあ砲塔だけだから、車体側の制御をどうにかすれば曲射、行進射何でもござれ、装輪、装軌何方にも対応の120mmの化け物になりそう。
素人の質問ですみません。
一般的に前装式の迫撃砲は、前から弾を入れやすいように滑空砲だったと記憶していますが。
この手の後装式の迫撃砲も、滑空砲なんでしょうか?
モノに依ります。
自衛隊のMO-120RTは、ライフルが切られています。
私もそんなに詳しくないので他の後装式の迫撃砲についてはわかりませんが、少なくともNEMOおよび元となったパトリア製2連装砲塔式120mm自動迫撃砲システム「AMOS」は滑腔砲ですね。
話が横道に逸れますが、迫撃砲の多くが滑腔砲なのは、砲弾の装填の容易さ以外に以下のような理由が考えられます。
迫撃砲は低い砲口初速と曲射弾道であることから、ライフリングによって砲弾を旋転させることで得られる弾道安定の効果が低くなるからです。
滑腔砲で砲弾の弾道を安定させるのは、砲弾に取り付けられた安定翼によりますが、この方式は横風の影響を受け易いため命中精度がやや低下します。
砲口初速が低いと射程は犠牲になるものの、その分各部の必要強度が低くて済みますし、全体を小型かつ軽量にできます。
低い命中精度や短い射程といった短所もあるが、軽量で大きな破壊力をもち、速射性が高く、安価で生産性に優れるなど、迫撃砲は多くの長所を有しているわけです。
NEMOやAMOSのように砲をシステム化して自動装填装置や射撃管制装置を高度化しさらに誘導砲弾などを導入すれば命中精度や射程は向上するでしょうが、かわりに軽量安価という長所が失われます。
まあ結局は運用する側が何を求めるかによって性能とコストのトレードオフといういつもの話になるんですけどね。
長々とすみませんでした、より詳しい方いらっしゃいましたらフォローしていただけると助かりますm(_ _)m
そもそも一般的とは何を基準にするのかはあるんですが、戦闘を多数経験している国が採用しているベストセラーのフランス製120mm迫撃砲 RTはライフル砲です。NEMO用砲身は滑腔砲で後装用に発射薬は専用の物が必要なはず。
迫撃砲でもライフル有無の両方があるということで。
本題のNEMOのは、滑空砲ということですね。
皆様、ありがとうございました。
40mm擲弾から発射できるドローンがあるようなので
120mm迫撃砲から発射できるドローンは開発されていないのだろうか?
されていたはず。
NEMOのスペックを見て思ったんですけど、今アメリカ陸軍はAMPVにNEMOを載せる試験をやってますけど、
こいつが完成してモノになったら、M10ブッカーって立場危うくないですか?
M10ブッカーの105mmM35砲は直射砲で戦車砲ですし、役割は16式戦闘車と同じく歩兵の直協です。配属先も前線の戦闘部隊であり、迫撃砲がいるような後方戦闘支援部隊ではありません。
動画によると直接照準にも対応しているようだし、ドローン運用が一般化した戦場では隠蔽と射程に優れた重迫撃砲の方が使い勝手が良さそう。ただ自動装填装置や射撃管制システムを搭載したNEMOはそれなりに高額だろうから、M10に置き換わるのはコスト次第でしょう。
NEMOなんてブッカーが計画された時点で存在しているのに今更立場が危うくなると言うなら計画がおかしく途中で何故修正しなかったでしかないと思いますが。
M10は歩兵が通常直面する障害を直接射撃して無力化する為に開発されているのでNEMOがそれに値するか。120mm迫撃砲弾は105mmライフル砲の1/4位の速度で射線は山なりでしょう、そして速度が遅いと言う事は相手の反撃の可能性とか、相対速度とかの計算も複雑な物になり横風等の外部要因の影響を受ける時間の増加に繋がり移動時等の命中率にも関わってきます。
ちなみに元戦車乗員の人が120mm迫撃砲弾と似た速度は3倍位ある105mmHEPに対する評価は山なり弾道で空気抵抗も大きく速度も遅いから命中率に劣るとされています。速度が速くフラットな弾道と速度が遅く山なりな弾道どちらが狙った所にピンポイントで当てやすいかは自明です。迫撃砲の直射はあくまでそう出来ると言うだけで既存の戦車砲と同等の能力を提供する訳ではありません。
戦車と直接対峙するつもりは無いとは言えAPFSDSは使えませんしキャニスター弾の設定はありません。
米試験評価機関 DOT&E は今年1月の年次報告書において、従来の自走式前装迫撃砲とは異なり防護された車内から操作するNEMO搭載のAMPVについて、昨年の試験結果を踏まえ高い評価を与えています。
「自走迫撃砲は、現代の機械化部隊における間接射撃兵器の不足の問題を解決するだろう。」と述べ、その必要性を強く訴えているとのことです。
既に装備化が決定している M10ブッカー との関係がどうなるかは、陸軍による今後の検討課題になるんでしょう。
後装式の迫撃砲は装填発射速度が遅いのがなぁ…連装にしてようやく前装式1門並なので、一概に良いとも言えない。
自動式の迫撃砲なら、ドラゴンファイア迫撃砲みたいな前装式のほうが良いぞ。どうせ戦車が曲射をする時代なのだから、直射性能はそこまでなくても構わんだろう。
軽量単純安価って言う迫撃砲のメリットを殺す様な作りなのでトレンドになるかは何とも
走りながら迫撃砲を大量に撃って逃げる、にしても十分な効果が見込めるか疑問ですわな
数揃えるなら普通の自走砲でよくね?ってなりますし
撃って逃げようにも、迫撃砲の射程なんて敵のドローンとの遭遇率高そうだし、結局掩体に籠もってカウンター砲撃とドローンの追撃をやり過ごすことになりそう。自動、高精度、高弾幕の自走迫撃砲と古き良き軽量、安価、小型、単純な牽引迫撃砲でお互いカバーし合うしかないし、逆に言えば自走、牽引砲とで少なくとも弾薬、可能なら砲身まで互換性が欲しい。
16式機動戦闘車の車体に載せたい。
NEMO砲身のステルスっぽいカクカクってそんなに意味あるのかなと思ったら、なんらかの熱対策らしいですね。
どうせ周りに冷却機構つけるならステルスっぽい形が受けそうくらいの気持ち?
歩兵の支援には、重迫の他にも直射砲が必要と思います。
歩兵の携行するものとは別に。昔で言う、歩兵戦車のようなものですね。
重迫は最前線には出ないでしょうし。直射の能力は必ずしも必要ないのでは?。
中古で現存する歩兵戦車相当品を探すと、仏のAMX-13/105でしょうか。
105mm戦車砲弾(HE,APFSDS,HEAT)を、機械装填で1分間で12発を撃てます。
これを一個小隊(4輌)単位で運用すると良いような気がします。
似た物にオーストリアのSK-105がありますが、あの国はロシアに逆らえないようですから。
>M120 Rakはウクライナで実戦を経験しているものの「自走式迫撃砲が非常に有効だった」という評価は聞こえて来ない
HIMARSやドローン、カエサルとかみたいに一つのネタとして扱われないと評価されてないとは思いません。これは自動小銃とかと同じであって当たり前の火力支援ですので必要十分な活躍はしていると思います。
ウクライナ国産の迫撃砲弾の不良率が大きく問題になっていたり2ヶ月ほど前にウクライナの防衛技術フォーラムで牽引式新型速射型120mm迫撃砲の発表や去年の後半に新型自走迫撃砲を受領している。
ドローンが幾ら優れていようが生存性に優れる重迫の需要は増える事はあっても減る事はないでしょう。ロシアだってFPVドローンにやられようが似たような性能を持つ重迫撃砲の新型なり投入している訳ですから、必要な火力として進化したとしても無くなる事はないと思います。
補足すると、ウクライナによる自走迫撃砲に関する評価は間接的には存在していまして、ウクライナが各国から受領した榴弾砲のうち、種類ではより多くある自走式よりも、牽引式の榴弾砲、それもM119のほうが圧倒的に評価が高いのです。自走迫撃砲に関する情報がないのは、憶測するに、自走式も迫撃砲もM119牽引式榴弾砲より評価が低いからであるからかと思われます。
失礼、M119ではなくM777でした。