Breaking Defenseは10日「もしFCASが崩壊すればドイツやスペインの選択肢は限られている」「対等なパートナーとしてGCAP参加を模索するには遅すぎる」「ドイツは完成品のGCAP購入か現地生産ぐらいしか選択肢がない」「スペインはKAAN開発に合流するかもしれない」と報じた。
参考:With a European next-gen fighter program in doubt, what would an FCAS collapse look like?
兎に角、FCASの将来はフランスの政治的体制が落ち着きを取り戻すことにかかっている
独ディフェンスメディアのhartpunktは9月「ドイツ国防省はFCASの将来に関する解決策が年末までに見つかるだろうと述べているが、相変わらずDassaultのトラピエ氏は『我々の要求が叶わないならフランスは独自に次世代戦闘機を開発するかもしれない』と脅迫している」「これにキリスト教民主同盟のフォルカー・マイヤー・レイ連邦議員は『もうフランスの傲慢な立場は容認できない』『これはパートナーシップではなく服従を求めている』と反発した」と報じた。

出典:Sébastien Lecornu
ドイツは新首相に任命されたルコルニュ国防相について「交渉テーブルに着くようDassaultに命じられる唯一の人物」と見ていたが、ルコルニュ内閣の閣僚はバイル前内閣からの再任者が多く、各政治勢力からの支持が得られなかったためルコルニュ首相は6日に辞任を発表、これをマクロン大統領も受け入れたが再びルコルニュ氏を首相に指名し、もはやフランスはドイツとFCASに関して協議できる政治的状況ではなく、ドイツ国防省も「予定されていた3ヶ国会合の日程が延期された」と明かしている。
Breaking Defenseも「ドイツ国防省は3ヶ国会合の延期理由を明かさなかったがフランスでは政治的混乱が続いている」「アナリストらはFCASプログラム自体が存続できるのか、もしプログラムが崩壊すれば何が起こるのかを懸念している」と報じ、その内容を端的に言うと「まだFCASは完全に終焉していないものの、フランスとドイツが対立している本当の理由はプログラムが前進するか、両国が完全に決裂するまで分からない」「フランスには第6世代機を単独開発する能力があっても資金がない」「そのためドイツと決裂すれば解決を中東に求めるかもしれない」「逆にドイツやスペインの選択肢は限られている」というものだ。
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— Edgewing (@EdgewingLtd) September 19, 2025
“ドイツが第6世代機を単独開発するのは困難で、英伊日が進めている競合プログラム=GCAPに受け入れられる可能性も低い。GCAPは2035年というタイムリミットに基づいて動いているため、新たな国を対等なパートナーとして受け、枠組みやワークシェアの再交渉に時間をかけている余裕はないだろう。そのためドイツはフランスと決裂し、GCAPへの正式加盟も認められない場合、2035年までに完成するGCAPを購入するしかなくなる”
“ドイツが相当量のGCAPを購入するのであれば現地生産が認められるかもしれないし、正式加盟ではなくオブザーバーとしてプログラムに参加すれば如何なる決定にも関与できないが、英伊日との協力から何らかの利益を得ることもできるだろう。もっと悲惨なのはフランスとドイツが決裂した場合のスペインで、サンチェス政権はF-35を購入するつもりはなくFCASの調達に重点を置くと述べたばかりだ。ドイツと同様にスペインもGCAP参加を模索するには遅すぎる。そのためFCASが終焉すればスペインはKAAN開発に合流するかもしれない”

出典:Turkish Aerospace Industries
FCASは事態を打開するためには一刻も早く政治的協議を行う必要があるのに、フランスの政治的混乱の影響でそれさえも出来ない状況が続いており、その間にDassaultとAirbusの対立(特にトラピエ氏の攻撃的な発言)がヒートアップしてFCASを取り巻く環境や感情が悪化していけば取り返しがつかない状況に発展するかもしれない。
兎に角、FCASの将来はフランスの政治的体制が落ち着きを取り戻すことにかかっており、Breaking Defenseも「協議が行われれば何らかの政治的解決が生まれるかもしれない」と指摘している。
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※アイキャッチ画像の出典:SCH Hamilcaro / Ministère des Armées





















>完成品のGCAP購入か現地生産
『GCAP』の部分を『FCAS』に置き換えたら、問題は解決しそう。
ドイツが、(無駄に高い)プライドを捨てることが出来たら、との条件付きなのでしょうが。
それ共同開発の意味なくない?
共同開発の話をしておいて無しにしたフランスから買うよりは、いざこざのないGCAPの方がまだ受け入れられるかと。
共同開発の立場を捨てる事が出来る訳だよね >GCAPへのアプローチ
なら、それをFCASに対してすれば良いだけだろうと。
共同開発をあきらめるとしても、喧嘩別れした相手から買うのと因縁の無い相手から買うのでは政治的にも安定の面でも圧倒的に後者しかないでしょ。
そこはプライドを捨て、共同開発も諦めて、一から条件闘争をFCASに対して行って欲しいです。
ドイツが立場を弁えて、最後まで大人しくしているとは思えないので、
ドイツはGCAPに関わらないで貰いたい。
共同開発の体で金だけ払って権利くれないのと、元から部外者として開発費用の負担なしで完成物の購入やライセンス生産するのとでは大きな隔たりがあるのでは
ドイツのメンツを考えたらその通りかも知れませんが、
GCAPの陣営とってはそんなの関係無いので、なるべくFCAS陣営内で事を収めて欲しいです。
共同開発を諦めて一度関係をリセットして、当然それまで掛かった費用も清算して、
その上で改めてFCAS陣営内で条件闘争してね、と。
正直「共同開発のメリット」とか「ドイツ/欧州の盟主の面子」とかよけーかつ実力不相応なことにこだわり過ぎてるのがFCASがまともに進まないかなり大きな一因なんですよね。
ドイツにしてみりゃ「もめた相手のフランスより英伊の方がフラットに話せる」かもしれませんが、そのドタバタの一部始終を隣で見てるどころか、最初から予想して距離をとってたイギリスからみりゃ純然たる完成品顧客ならともかく規格部品以外のワークシェアを求めるなら「なんで自分のとこの計画ひっかきまわしてぶっ壊しといて余所にしれっと絡んで来てんの?」ってなもんでしょう。
個人的にはフランス政局の混乱がダッソーに何をもたらすのか?が疑問です。
フランス政府が機能不全になれば計画は何も進まなくなるのか、ダッソーの自主開発路線を抑えることが出来なくなるのか。ドイツにとっては結果は同じですが。
例えばラインメタルやレオナルドはそれぞれ親分を無視して勝手に振る舞っているイメージがありますが、フランスの各社は何処か政府に右倣えなところがあるんじゃないかなと。
なんでドイツよりスペインの方が悲惨なのか分からない
今更リスクのあるKAANに入れる訳もなくドイツと同様GCAPかFCASを購入すればいいだけでは?
開発に関わろうとすること自体が分不相応でだけの話だし
旧タイフーン陣営が入ることで旧タイフーン技術を全部使えるってメリットは一応あるけどね。
KANNいけよとしかおもわんな・・・。
タイフーン陣営が揃い、タイフーン技術にアクセスフリーになると、2035年のリミットを無視して蠢く輩が出てくる『かも』しれないので、
触らぬ神に祟りなしの類で、ドイツ・スペインはGCAP陣営外のままで居て欲しいです。
実際に買える西側第五世代機がF-35しかない現状がいかにつまらないかという観点からはKAANやKF-21の発展型には頑張ってほしいところ。
F-35の配備が決定済みのドイツ空軍と違って、スペインはアップグレードしてるとは言えF-18Cとタイフーンしかいない上にF-35の配備も決まってないからだと思います
ドイツはスペインより予算も政治力もあるので、それらを活用すれば多少はポジションを改善出来るからですね。
予算もなく、政治力も乏しく、NATOを追い出される可能性もあるスペインと比べれば、ドイツの状況はまだ選択肢があります。
>ドイツと同様GCAPかFCASを購入すればいいだけでは?
購入だけで済ましたくないから悲惨なのでしょう。
購入だけで済ましたら、ようやく出来つつあるスペインの航空機産業が消滅する事になりかねません。
一方、ドイツはトルコに提供出来る技術があるので、共同開発/生産に参加出来る可能性はあると思います。
GCAP参画はF-47と天秤にかければ部品製造に入れてもらうくらいはできるんじゃないの
>>フランスの政治的体制が落ち着きを取り戻すこと
それが短期的に可能なら組閣14時間で辞任なんてことにはならないわけで…(;・∀・)
というかマクロンが立候補できない2027年大統領選に向けて混迷を深めていくのでは?
極右からも極左からも逃げ回ってる以上中道で合体するしかないのにそれからも逃げてるのが悪い
社会党は大幅な財政拡大や公務員の給与増は諦めるべきだしマクロン大統領も富裕税の復活や休日の削減の封印でお互い歩み寄らないといけないのにそういうことを全くやらないから
FCASが3年以内に不可逆的に崩壊して二度と再開できない状態に陥るのが自明なら、トランプ氏にお願いしてF-47の輸入に関する合意を文書化するって手もあるでしょうね。3年というのはつまりトランプ氏の任期ですが、それを過ぎたら次の大統領は(輸出しないことを前提にアメリカの軍事機密を注ぎ込んで開発された)F-47の輸出を認可しない可能性があるからです。議会も認可しないでしょうが、外交文書化してしまえば簡単には覆せなくなります。とはいえフランスもドイツも域外から輸入するくらいなら赤字&遅延上等で自主開発するような国ですから、トランプ氏が介入した時点で独仏関係が修復される可能性のほうが高いかも?
>外交文書化してしまえば簡単には覆せなくなります
フランスとドイツの取り決めだって外交文章化されてたはずで、それをドイツが自分の都合でちゃぶ台が壊死してる時点で…
ドイツが、「アメリカ相手なら大人しく約束を守るだろう」というのはいささか楽観的すぎるような気が
『ちゃぶ台が壊死』変換ミスなのだろうがこの場合は適切な言い回しに見えて笑ってしまったw
いやドイツがFCAS崩壊後の選択肢としてF-47に唾つけとくって話でしょう。
ケンカするぐらいなら自前で一から作っちゃえばいいじゃんよ
出来るならだけど
フランスのせいにしてるけど、交渉可能になった際にドイツ自身は、何をどう主張するのだろう?
どうせ自分の立場と要望を延々と伝えて、意見を引っ込めたり譲歩したりする気なんてなさそう
結局、決裂するのが落ちな気がする
そういえば関係ないですけど、ドイツが錦の御旗に掲げていた「化石燃料(ガソリン車)全廃」は無しにするらしいですね。
トヨタ(日本車)に勝てないからと、ルールを変えて電気自動車だけにしようとしたら、中国の安売り攻勢の前にズタボロにされて、またルール変えることで対応
クリーンディーゼルとかの時と同じで、オリンピック競技もそうですが、こんな性根では、ドイツ大丈夫かなぁ
一旦『ガソリン車全廃』の方針を取った影響で、ガソリン・エンジンの開発技術者が中国に流出し、
新規ガソリン・エンジンが必要になった際には、中国のエンジン・サプライヤーに頼る必要すら出て来た
と言った旨の記事を見た覚えがあります。
全振りの怖さ、リスクヘッジの必要性を改めて感じました。
発電所排気塔の爆破解体動画がおすすめに来るたび「ドイツかな?」と思ってしまう。
ダッソーが強気なのもラファールが売れててドイツの厳格な輸出規制を外したいとの話もあるし。
あの極振り気質はなんなのでしょう。
公明党が邪魔して武器輸出でもめてF-35から締め出された日本を思い出すな。あれのせいでAAM-4系列も先を見通せなくなってミサイル開発に遅れを取るようになった。
GCAPも危うかったですからね。
防衛・安全保障が国内政治に振り回されるのは勘弁してほしいものです。
(安全保障論を本気で政治的に議論するのは必要なことだけど、GCAPの輸出の件は前後の顛末を見る限り「本気」ではない)
公明党が自民と決別したことだけが最近の日本の政界の明るいニュースですな。
まあ自民党が少数野党化する危険もありますが。
買うのもライセンス生産もいいけど口は出すなよと。
ライセンス生産すんごい軽く許容する意見多いの少し不思議。
米国機みたいに千機単位で売れる訳もないの、英伊以外に欧州の生産ライン増やすのは百害あって一利なしじゃないかなぁ。、
ドイツにライセンス生産なんて絶対認めたくないしノックダウンすら嫌。
サウジ含む中東に大量に輸出する、とかならMRO&U兼ねたFACO的な施設は現地に欲しいだろうけど。