ギリシャ海軍は国内建造による新型潜水艦4隻の調達を2025年5月に発表し、韓国は潜水艦のギリシャ建造を含む大規模な防衛協力パッケージを提案していたが、Naval Groupも「2025年末に発行された情報提供依頼を受けてギリシャ海軍にリチウムイオン電池方式のバラクーダ級を提案した」と明かした。
参考:Naval Group Offers Blacksword Barracuda to Greece
Naval Groupは政治的に有利でも条件面でTKMS、Saab、Hanwha Ocean、Fincantieriとの激しい競争に勝ち抜かなければならない
ギリシャ海軍は英国で開催されたSurface Fleet Technologyで「老朽化が進む209型潜水艦の後継として4隻の新型潜水艦を国内建造する」「必須要件はAIP機関の搭載、高度な自動化機能、特殊部隊の収容スペース、魚雷、対艦ミサイル、対地ミサイル、ハードキルとソフトキルで構成された対魚雷防衛システム、対空ミサイルと水中発射式無人航空機の運用能力」「リチウムイオン電池の採用も重視している」と明かし、検討している設計候補にスコルペヌ型、バラクーダ級、218型、209NG型、A26などを上げ、ギリシャメディア=Πρώτο Θέμαは2025年8月「韓国が大規模な防衛協力パッケージを提案した」と報じた。

出典:Hanwha Aerospace Europe
“Hanwha Oceanの提案には新型潜水艦の建造と214型潜水艦のアップグレードが含まれており、ギリシャ当局は韓国の潜水艦技術を高く評価し、ギリシャ国内での潜水艦建造に関する条件、214型潜水艦のアップグレードに関する詳細、潜水艦建造とアップグレードにギリシャ企業が最低25%以上関与する要件に沿った提案を要求した。韓国航空宇宙産業は有人・無人システムの共同生産を提案し、これは有人戦闘機と無人戦闘機を組み合わせたものでKF-21向けに開発されているものだ”
“3つ目の提案はギリシャ陸軍が日常的に使用し老朽化している戦術車両の更新で、韓国は戦術車両の共同生産を提案している。ギリシャ当局は「韓国の提案が長期的な装備品調達計画と一致している」と評価し、潜在的な合意を模索するためよりハイレベルの協議を要請している。ギリシャに対する韓国の取り組みは今後数年間で8,000億ユーロの資金が投じられる欧州再軍備計画で足場を築くためのものだ”

出典:KAI
Naval Newsも4日「Naval Groupが2025年末に発行された情報提供依頼(RFI)を受けてギリシャ海軍にリチウムイオン電池方式のバラクーダ級(ブラックソード・バラクーダ)を提案した」「ブラックソード・バラクーダ(約3,300トン)の連続航行日数は最大70日間、1回のフル充電で最大15日間の連続潜航が可能で、最高速度は約20ノット、最大航続距離は15,000海里、乗員は約35名、特殊部隊員5名~6名と追加人員のための居住設備を備え、弾薬庫には最大30発の兵器(F21重魚雷、エグゾセSM40、JSM-SL、MdCN/NCM、機雷、UUVなど)を搭載できる」と報じた。
Naval Groupの提案の中核を成すのは「ギリシャ産業界の関与」で、FDIフリゲート建造計画へのギリシャ産業界参画を通じて構築した産業ネットワークを活用すると同時に、潜水艦プログラム向けにスカラマンガス造船所(ギリシャでの最終組み立てを担当)やメトレン(船体の一部を建造)とも提携し、ブラックソード・バラクーダをギリシャ国内で建造及び保守できる体制を整え、長期的なギリシャ産業によるエコシステム構築を目指しているらしい。

出典:Υπουργείο Εθνικής Άμυνας
ブラックソード・バラクーダの引き渡し時期は契約締結後5年~6年以内と見積もっているが、4隻全てをギリシャ国内で建造するのか、1番艦をフランスで建造して2番艦以降をギリシャ国内で建造するのか、リチウムイオン電池のみの構成を選択するのか、AIP機関とリチウムイオン電池を組み合わせた構成にするのかでも納期は変動し、特にAIP機関を採用すると複雑な補給施設を建設する必要があるため潜水艦の保守要件が難しくなる。
ちなみに、Naval Groupはギリシャ海軍の潜水艦受注について「TKMS、Saab、Hanwha Ocean、Fincantieriと競合する可能性が高く激しい受注競争になる」と述べており、ドイツ製潜水艦を運用しているギリシャ海軍がフランス製潜水艦に移行するための課題についても「これは技術的なものではなく訓練と適応に関わる課題だ(潜水艦を運用している現場の人間に受け入れられるかどうか)」と指摘した。

出典:Koninklijke Marine
ギリシャ海軍に提案したブラックソード・バラクーダはオランダ海軍が採用したものと同じ(細かい仕様は異なる可能性大)で、安全保障分野におけるギリシャとフランスの親密さを考えればNaval Groupは潜水艦受注において有利な立場にあるものの、仮にブラックソード・バラクーダが本命であっても「競争に晒されてない提案」と「競争に晒された提案」が条件面で同じであるはずがないため、Naval Groupは条件面でTKMS、Saab、Hanwha Ocean、Fincantieriとの激しい競争に勝ち抜かなければならない。
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※アイキャッチ画像の出典:Naval Group





















日本の潜水艦輸出を想定するときに、どういった競争条件になるのか興味深いですね。
フランスのバラークダ級、乗組員35名という点、省人化を意識しているのか気になるところです。
エーゲ海も地形が複雑ですが、エーゲ海の出口『地中海中部~地中海西部は水深が深い』ですから、潜水艦は強力だろうなと想像してしまいますね。
求める物が多すぎて、逆にデカいのより小さい艦をそれぞれの用途に特化させて艦隊運用させる方がよさそうに思う
ギリシャの人口や海軍規模で、用途別艦種をそろえるのは難しいんじゃないでしょうか?
特に潜水艦なので適性もハードル高いでしょうし。世界的に見ても兵器のマルチ化多機能化はどこも一緒かと思いますが、個人的には種類が多いほうが楽しいんですが
こうして他所様の新型潜水艦の仕様を見ると、AIPを見限った我が国の見識はどうなんだろうという疑問がふつふつと。
いつのまにか民間で水素エンジン船の実用試験(輝光丸)が始まってます。排気は水な訳ですから理屈上は酸素タンクの併設で主機関とAIP機関の統合が可能な筈です。
総トン数4500t、リチウム電池搭載の電気推進船だそうですよ。
水素はディーゼルの重油に対して、「体積あたりのエネルギー密度」が非常に低い(約1/7以下)なんだそうで、完全代替は難しそうです。
ディーゼル→水素・酸素製造のウェイト分リチウム電池を積んだ方が長時間潜れそうなのか、実験の結果が気になりますね。
そもそも日本の国情に合わせた結果でしかないので他国と単純比較すべきなのかなんですけどね。AIPは低速だが燃料がある限り水中行動出来ると言ってもバッテリーに電力が有れば同じ事だと思うし。AIPは日常的に使用するものではない認識でその場合はデッドウェイト。補給の手間とか色々考慮した上での選択でしょう。
なぜ日本はAIP採用をやめたのか、理由を説明くらいはして欲しいですね。
説明しても軍事オタクしか喜ばないし潜水艦運用のヒントをわざわざ発表する意味が無いですね
日本にとってはなんのメリットも無いでしょう
日本がAIPの採用をやめた理由としては
大容量のリチウムイオン電池が「長時間潜航」と「高速性」の両方をAIP以上に高効率で実現出来た事。それによってメンテナンスの手間の減少、AIPのスペースが減った分居住空間を大きく出来た等のメリットが出来ました。
海外の潜水艦調達でAIPの提案が多いのは運用実績だと思いますね。現状大容量のリチウムイオン電池の潜水艦の運用してる国は日本だけなので、日本が参加しない限りなかなか提案は出てこないですよね。
あくまで私見ですが、この先でディーゼルエレクトリック+リチウムイオン電池が主流なっていくと思いますので、日本が先行してるのだと思います。
まだまだ先でしょうけど全固体電池が使われだすとリチウムイオン電池の一番の懸念である火災問題も解決できるので、AIP搭載艦との差はもっと大きくなりそうですね。
リチウムイオン電池はエネルギー密度の髙さから、損傷すれば爆発的火災が発生するのは確かなんですけど、潜水艦の外殻が破損してバッテリーに被害が及んだときは、火災を気にするレベルの話ではないような気がします。まだ原潜の方がマシ?
正直、何重にも対策をしているので確率は低いと思うんですけど、攻撃を受けての火災もそうなんですが、万が一のショートとかのリスクも減ってくれたらなぁと思います。
自分の寝床に大容量リチウムイオン電池があると思うとドキドしてしまう私は小心者です…
”2025年末に発行された情報提供依頼を受けてギリシャ海軍に
リチウムイオン電池方式のバラクーダ級を提案した”
自国(フランス)製のMESMAは提案しなかったのかな?。
ギリシャで現用中の艦や(仮想敵)トルコの214型はPEM燃料電池AIPだけれど。
MESMAは、水中の航続力で、力足らないものがあるのかな?。
船体が214型(水中1,980t)より大きい(水中約4,000t)分だけリチウム電池
を多めに積んだのかな?、などと想像します。
新型電池が先か給電用のSSQを作るか
どうせUUVで海中艦隊やるんだからSSNQでいいんでないかな
水上艦に接続でエレキな火器を使いまくりもSFっぽい