欧州関連

インドネシアはKAANのITAR Free型を導入、国産エンジンは2032年までに完成

Turkish Aerospace Industriesはトルコのディフェンスメディアに対して「KAAN向けの国産エンジン=TF35000を2032年までに完成させることが目標だ」「インドネシアは米国の国際武器取引規制の縛りがあるF110搭載型ではなくITAR Free型の完成を待っている」と明かした。

参考:Turkey Fighter Prototype’s First Flight Delayed Toward Summer
参考:KAAN İçin Güncel Takvim Açıklandı: İlk Uçuş, Seri Üretim ve Yerli Motor

ITAR FreeのKAANが完成すれば米国の規制を嫌う国からの関心が高まるだろう

Turkish Aerospace Industries(TAI)は2025年5月、AviationWeekの取材に「トルコの安全保障に対する脅威評価に基づき、空軍はF-35であろうとタイフーンであろうと一定レベルの能力と即応性を維持しなければならないが、50年~100年後まで独立を維持するには自前の防衛装備品をもつ必要がある」「国産エンジンを開発することで米国の国際武器取引規制=ITARからKAANを出来るだけ除外することが重要だ」「同時にトルコはITAR Freeによってプラットホーム輸出における自由裁量権を獲得できる」と力説した。

トルコにとって本格的な戦闘機開発は初めて、しかも第5世代機とエンジンを同時並行で開発するため潜在的な開発リスクは非常に高く、競合するF-35Aと同等もしくは匹敵する能力を実現できるかも現段階では怪しいが、トルコは地域大国から大国になることを目指しているため「KAANの能力が仮にF-35Aの80%に留まったとしても武器システムの主権確保の方が重要」と主張しており、どうやらKAANは米国の国際武器取引規制=ITARの縛りがあるF110搭載型と、KAANの構成要素からエンジンを含む米国製技術を完全に排除したITAR Free型を作ることを目指している。

KAANのプロトタイプはF110を搭載して2024年2月に初飛行したものの、この機体=P0は元々「格納庫でのロールアウト用に製造されたデモンストレーションプラットホーム」を飛行可能なように改造したもので、飛行テストを行う本物のプロトタイプ=P1、P2、P3を製造中、これよりも高度な能力を備えたプロトタイプ=P4、P5、P6の製造も計画されており、トルコのディフェンスメディア=SavunmaSanayiSTは23日「KAANのプロトタイプ=P1が6月までには初飛行を行う」と報じた。

出典:Savunma Sanayii Dergilik

TAIはSavunmaSanayiSTの取材に対して「KAANのプロトタイプ=P1が6月までに初飛行を行うと自信をもって言える」「P2は今年末までに、P3は2027年初頭までに飛行テストへ加わる」「F110を搭載したKAANの量産機=Block10の納入時期は2028年から2029年に延期されるかもしれない」「KAAN向けの国産エンジン=TF35000はTAIとTRMotorが共同で開発している」「TF35000を2032年までに完成させることが目標だ」「TF35000を搭載したKAANは第6世代機の能力を獲得することが期待されている」と明かし、TF35000の準備が整うまでBlock10を20機~40機製造する計画らしい。

そしてTAIはKAAN初の海外顧客=インドネシアとの契約についても「この契約の価値は150億ドル相当だ」「インドネシアはITARの縛りがあるF110搭載型ではなく『TF35000を搭載するITAR Free型』の完成を待つ意向だ」と明かし、ITAR FreeのKAANが完成すれば米国の規制を嫌う国からの関心が高まるだろう。

因みに「TF35000を搭載したKAANは第6世代機の能力を獲得する」という言及は、恐らく「第6世代機で実現する真のシステム・オブ・システムズ、CCA制御、センサーの前方展開、見通し通信で制御するシステム単位のローカルネットワーク、収集する膨大なデータの分析、統合、活用能力といった技術の基盤=電力供給能力」のことを指している可能性が高く、米空軍長官もGCAP関係者も「第6世代戦闘機にとって本当に重要な能力はシステム・オブ・システムズを統括する能力=クォーターバックとしての役割だ」と述べている。

トルコはKAANを第6世代戦闘機に昇格させるのではなく「第6世代戦闘機にとって本当に重要な能力はエンジンの電力供給能力(と冷却能力)に依存している」と、海外の顧客が「武器システムの主権確保=脱米国規制が如何に重要か」を再認識して「ITAR Freeで設計された武器システムを求めている」と見抜いているのだろう。

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※アイキャッチ画像の出典:Turkish Aerospace Industrie

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コメント

  • コメント (11)

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    • 戦車
    • 2026年 1月 28日

    全部自国で完成できるのならば、イスラム系の国に対して売れるので市場は大きいですからねぇ。

    18
    • 無印
    • 2026年 1月 28日

    エンジンの重要性はアルタイ開発で味わいましたからな
    他は完成しても、エンジンに手間取っていたら何時まで経っても物にはならない

    6
    • 匿名希望係
    • 2026年 1月 28日

    ラファールA相当よね>P0

    • kitty
    • 2026年 1月 28日

    GCAPもこれくらい外連味のあるパブリフィケーションをして欲しいなあ。
    まあまだなんか出せる段階では無いのはわかるけどポンチ絵くらい出せるだろ。

    5
      • バーナーキング
      • 2026年 1月 28日

      今出てるモデルは外形的にはほぼ完成に近いと予想してるので、ポンチ絵出してもあんまりインパクトない可能性が。
      個人的にはXFP30の続報が欲しいところです。

      1
        • kitty
        • 2026年 1月 29日

        去年の9月に燃焼器の試験が成功したとかって後は情報が無いですけど、さすがに5ヶ月で次の情報をというのは厳しいかなあ。

    • ネコ歩き
    • 2026年 1月 28日

    米中露に次ぎ第5世代戦闘機開発が最も進捗しているのが現状KAANですよね。
    供給元として上記3国をできれば選択したくない国にとって有力な選択肢として興味を引くのは当然かと。トルコもそれは十分に自覚していて、トランプ後の米国を念頭に置けば ITAR Free は核心的強みで、アピールする絶好のタイミングです。
    エンジン開発が思惑通りいくのかがカギですかね。

    8
    • いなば
    • 2026年 1月 28日

    果たして、対空ミサイルをかいくぐれるだけのステルスが実現されているのか。あるいは無人機や長距離ミサイルを有効に運用できる統制能力があるのか。その辺は我々には判りませんよね。

    2
      • ネコ歩き
      • 2026年 1月 28日

      >TF35000を搭載したKAANは第6世代機の能力を獲得することが期待されている
      なので記事の意味するところは、「TF35000は第6世代機に必須な大電力供給能力を持つので、KAANは将来的に第6世代機に発展可能」ということかと。

      1
      • バーナーキング
      • 2026年 1月 29日

      「対空ミサイルをかいくぐれるステルス機」は将来的にも実現しないんじゃないかなぁ。
      レーダーの諸式が距離の4乗に支配される以上「終末誘導をかいくぐる」よりそもそも撃たせないか終末誘導させない方がはるかに難易度が低いと思うので。「かいくぐる」の言葉のイメージの問題かもしれないけど。

      2
    • daishi
    • 2026年 1月 28日

    国産エンジン化はこの情勢下では多少の遅延はあっても実現したいでしょうね。。
    「TEI-TF35000」と数字が大きい、と思ったら推力35,000 lbfを目標としたものなんですね。

    数字的にはGE F110-132のやや上、P&W F119のアフターバーナー出力時と同じ、WS-15、AL-51、F-135より下という性能ですが、これを実現できたとなればトルコとしては航空機業界で注目になりそうです。
    一方で西側の相場的なエンジン耐久性、ライフサイクルコストに合致するかは未知数ですから、実際に戦闘機に積んで実績を積むことも重要でしょう。

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