欧州関連

スイスのF-35A導入、反対派が国民投票の実施に必要な署名集めに成功

スイス政府はF-35A導入を決定したが反F-35イニシアチブは「F-35A導入の是非を問う国民投票の実施」に必要な署名を集めることに成功、ロッキード・マーティンとの契約締結が先か、国民投票実施への手続き完了が先かという話になってきた。

参考:Initiative against F-35A fighter jets gathers enough support
参考:Government wants to buy fighter jets without public vote
参考:Swiss fighter jet document reveals secret French tax offer

もはやロッキード・マーティンとの契約締結が先か、国民投票実施への手続き完了が先かという話になってきた

スイス政府は昨年6月にF/A-18C/Dの後継機にF-35Aを選択したと発表、しかしスイス社会民主党、緑の党、市民団体の軍隊なきスイスを目指す会は直ぐに「反F-35イニシアチブ」を結成、F-35A導入の是非を問う国民投票に持ち込むため10万人分の署名集めを開始、この動きにアムヘルト国防相は「国民投票が実施され反F-35イニシアチブが可決されるような事態になればスイスは戦闘機を失うことになる」と語り危機感を募らせていた。

出典:Lockheed Martin

現地メディアも「政府がF-35Aを選択すると知っていれば昨年9月の国民投票で50.1%の賛成は得られなかった」と報じており、このままF-35A導入の是非を問う国民投票に持ち込まれると政府の決定はグリペンの時と同じ様に白紙化される可能性もあり、これを阻止するには国民投票が実施される前までにロッキード・マーティンと契約を結んでしまう以外に対抗手段がない。

ただ政府は「反F-35イニシアチブの結果を見てから契約を進める」と述べていたため、国民投票に持ち込むため10万人分の署名を「期日内に集めきることができるのか?」に注目が集まっていたが、反F-35イニシアチブは期日内に10万人分の署名を集めることに成功してしまった。

出典:GSoA

反F-35イニシアチブは現在、連邦当局に集め署名を提出して国民投票の実施に向けた手続きを着々と進めており、これに慌てた政府は「ロシア軍によるウクライナ侵攻」や「他国の軍備増強」を理由に国民投票の実施を待たず契約を締結すると言い出したため、スイス社会民主党や緑の党は「民主主義制度の観点から政府の方針は衝撃的だ」と批判している。

問題はロッキード・マーティンとの契約を完了させるためには議会が原案通り軍のF-35A調達要求を承認、調達資金が含まれる2023年度予算を可決する必要があり、それまでに反F-35イニシアチブが進める手続き(何時完了するのは不明)が整えば政府はF-35A導入の是非を問う国民投票は実施しなければならず、もはやロッキード・マーティンとの契約締結が先か、国民投票実施への手続き完了が先かという話になってきた。

出典:Public domain

さらに興味深いのは昨年6月の政府決定を覆すためフランスが「ラファール導入に切り替えるなら35億フラン相当の資金を援助する」とスイスに話を持ちかけていた点で、どうやらフランスは労働者への課税でスイス側が35億フラン程度有利になるよう2ヶ国間協定を調整すると申し出たらしい。

つまりF-35A導入を破棄してラファール導入に乗り換えるインセンティブをスイスに提供したという意味だが、現地メディアは「F-35A導入の方針をスイス政府は変更しなかった」と報じている。

因みにロッキード・マーティンがスイス政府に提出した契約内容の有効期限は2023年3月末なので、予算成立が難航して期日を過ぎてもF-35A導入は暗礁に乗り上げしてまう。

関連記事:スイスのF-35A導入が正念場、国民投票の実施14ヶ月前までに契約を結べは政府の勝ち
関連記事:スイスが契約内容を公開、F-35Aとパトリオットに投資する約1兆円の半分をオフセットで相殺
関連記事:スイス政府は次期戦闘機にF-35Aを選択、但しグリペン導入を撃墜した国民投票の実施が濃厚

 

※アイキャッチ画像の出典:Lockheed Martin スイスで評価テストを受けるF-35A

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コメント

    • くらうん
    • 2022年 7月 09日

    >市民団体の軍隊なきスイス

    どこにでもいるもんだなと改めて思う。

    78
      • 匿名
      • 2022年 7月 09日

      国防vs国亡

      41
      • バクー油田
      • 2022年 7月 10日

      「(自国の)平和」という状態を実現する方法についてのアプローチ方法は
      ・仮想敵国と対話・交流して信用関係、協調関係を作る
      ・仮想敵国が自国に侵攻するという判断をさせないレベルの軍備を揃える
      という2つの方向があり、一般的に前者がリベラル、後者が保守という事になりまして、
      一方が正解というわけではなく、外部環境、内部環境の状況によって適切な方向性が違うので
      国家運営というのは、この両者を環境の変化に合わせて使い分けていく事が仕事になります。
      「軍隊なきスイス」というのは上記のそもそもの目的である自国の平和を維持するという目的から外れて、
      「世界市民という観点」から発生した思考であり、自国の環境を無視して概念上の理想状態を実現させようとしてるものであり、国家の平和を継続するマネジメント活動を破壊する事です。
      国連の中でそういう取り組みを「安全保障にかかわる関係各国全てが集まって協調的に進めていく」という話であれば分かりますが、
      国という枠組みがあり、その国という枠組みの中での姿勢について国とは違う枠組みの話を国という枠組みに適用しようとしている集団なので、これを国家運営の意思決定の場に公式に持ち込もうとしてるのであれば
      これは底意に自国の安全保障政策を失敗させる事を目的とした、他国による攻撃行為として摘発対象にしても良い活動かと思います。
      「世界市民」という考え方、思想・表現の自由は保障しつつ、それを実現するには国連の場で進めていく話で、自国だけで実施してはならない。自国が一方的に実施する事は幾ら「平和」を唱えようと「平和に対する罪」となる、という国民的合意を各国が行う必要があると思いますんね。
      西側でも共産党の結党やナチス的な活動を禁止してる国があるように、これも法的な制約をつけても良いと思います。

      19
        • ななし
        • 2022年 7月 10日

        「リベラル」って本当は「自由主義」なんだよね。
        無政府主義者や共産主義者が使うと違和感覚ゆw。

        28
          • k.ziro
          • 2022年 7月 11日

          リベリアという国がどういう理由で建国されてどうなったか調べると面白いですよ。

          あとスイスという国を考えるとマルチロールステレス機はあまり必要ではないかもしれない、
          テジャスみたいな軽戦闘機の方が向いてそうな印象もあります。

    • 全てF-35B
    • 2022年 7月 09日

    この期に及んで未だそんなに反対するとは。
    F-35もデータ抜かれ放題だから、危惧するのも分からんでもないが。
    日本ではこういう国防について、大した議論が起きないな。
    もっとも安倍さんが亡くなってしまったから、もう駄目かもしれないが。

    21
    • 名無し2
    • 2022年 7月 09日

    フランスのしょーもないプライドのために旧式機を売りつけられるスイスと増税されるフランスの労働者たち本当にかわいそう

    14
      • ミリ猫
      • 2022年 7月 10日

      えっと、、、
      そういう意味じゃなくて、フランスで働くスイス人労働者は母国がEUに加盟してないから所得税が余計にかかるのを
      おまけしてあげるよ、って言う意味だと思います。
      労働組合最強でストライキ命のフランスの労働者が、他国への武器セールスのための増税を
      受け入れる可能性は逆立ちしてもありえない(きっぱり)!

      25
        • 名無し2
        • 2022年 7月 10日

        スイスへの課税の免除=フランスへの負担増なので間違ってないです

        7
    • 浅見真規
    • 2022年 7月 10日

    純粋に軍事的に考察すると、スイスの場合、F-35AよりF-35BかF-16の方が良いと思う。
    F-35Bなら滑走路破壊作戦に強い。国内各所に小規模な滑走路の離着陸エリアを確保すれば、ステルス性とあいまって、どこから攻めて来るか相手は予測できず有利に戦える。小国なので作戦半径の短いF-35Bでも困らない。
    また、スイス南部の山岳地帯なら価格の安いF-16でも山陰に隠れて急襲できる。高額なステルス機より数倍安くて数倍の機数を購入できる。

    今まではスイスの周囲に攻めてくるような国は無かったが、今後は、ウクライナが陥落し、ハンガリーが寝返り、オーストリアが抜かれるという可能性も排除できないので、ロシア空軍と渡り合うには数のF-16かゲリラ的戦法のできるF-35Bが望ましい。もちろん、万が一、ロシアがオーストリアまで占領して迫ってきても、永世中立の看板による外交力や金融・医薬の影響力等により戦争回避できる余地はあるが、攻めると結構面倒だと思わせるのも戦争回避に重要だろう。

    6
      • MAB
      • 2022年 7月 10日

      ロシアがウクライナを完膚なきまでに蹂躙→ハンガリーがロシアに軍事通行権付与→オーストリアを踏みつぶしてスイス国境まで迫りくる構図想像したら何か笑ってしまった
      頑張り過ぎだろ…

      29
        • STIH
        • 2022年 7月 10日

        HOIかな?
        ドイツ側から侵攻するならともかく、アルプスどまんなかのオーストリアを踏み越えるのは、いくらオーストリアが中立国とはいえなかなか壮絶な戦争になりそう。

        2
      • ユーリ
      • 2022年 7月 10日

      第4と第5世代戦闘機はそこまで金額差が無く戦闘能力差が極端に大きいので
      F-16のほうが良い事態はまずありえないと思う

      航空優勢が確実に取れる前提で少しでも安い戦闘爆撃機を求める状況はあるかもしれないが
      アメリカでも中国の勢力増大を考えるとすべて第5世代以降にしたほうが良さそう

      3
        • 浅見真規
        • 2022年 7月 10日

        >第4と第5世代戦闘機はそこまで金額差が無く戦闘能力差が極端に大きいので
        >F-16のほうが良い事態はまずありえないと思う

        価格は3倍程度の差があると思われる。
        性能は第4世代機のF-15と第5世代機のF-22の模擬空戦での成績では圧倒的な差が出たが、実はそのF-15のレーダーは旧式で探知距離が短く、また、F-22にAIM-120 AMRAAMでロックオンされたら撃墜判定されていた事が圧倒的戦績の差の原因だと思う。
        現時点ではロシアはわずかしか保有していないがSu-35やSu-57ではF-15に対する探知距離が250km超で、レーダー探知距離はRCSの4乗根に比例するので、RCSがF-15の1万分の1の高性能ステルス機でも25km超で探知できる。問題はAIM-120 AMRAAMの射程が100km超だとしてもロケット燃料噴射での距離は20km程度で、それ以上はヘナチョコ弾で高機動機のSu-35やSu-57では機動回避可能だと考えられる。そのためF-35はSu-35やSu-57に負けるかもしれない。
        おまけにF-35が対地攻撃でウェポンベイを開けばステルスでなくなるし、昼間に低空から対地攻撃すれば赤外線追尾式の歩兵携帯用地対空ミサイルで撃墜される可能性もある。
        更に、F-35はステルス性能向上のため機体が平面的でスイスの高山上空での乱気流で失速するリスクが高いかもしれない。

        3
          • ユーリ
          • 2022年 7月 10日

          このスイスの選考条件ではF-35が最も安かったとする記事が出ているし、

          スイスがF-35A戦闘機の調達を表明「最も性能が高く圧倒的に安い」リンク

          風邪じゃなくて風に弱そうはいくらなんでもひどいでしょ

          4
          • dai
          • 2022年 7月 11日

          >それ以上はヘナチョコ弾で高機動機のSu-35やSu-57では機動回避可能

          射程ギリギリなら兎も角、なんだか機動の意味をエスコンか何かのゲームで勘違いしていませんか…。
          高機動機ってガンダムくらいでしか聞いたことがない言葉です。

          >F-35はステルス性能向上のため機体が平面的でスイスの高山上空での乱気流で失速するリスクが高いかも

          機体がボコボコしていた方が良いということでしょうか?これもよく分かりません…。
          翼面荷重のことを言いたいのでしょうか。

          7
            • 浅見真規
            • 2022年 7月 11日

            >射程ギリギリなら兎も角

            榴弾砲の射程と違って、AIM-120 AMRAAMの射程が100km超の射程は鈍足で動きの鈍い早期警戒機や(燃料満載の)空中給油機や(貨物満載の)輸送機に対する射程と解するべきです。ミサイルの燃料が切れても惰性で相当程度飛ぶからです。ところが高機動の戦闘機が回避の旋回を一回すると燃料切れもしくは燃料切れかけのAIM-120 AMRAAMは急激に減速して次の回避旋回機動には対応できなくなるのです。尚、私はゲームをしませんが、優秀なゲームの場合、シミュレーションとして実際の状況に近いものもあるかもしれません。

            1
            • 浅見真規
            • 2022年 7月 11日

            >射程ギリギリなら兎も角、

            最近まで一般向けには隠していたようだが、燃料噴射が弱くなると、ミサイルの位置がわかれば、3D闘牛士機動とバレルロールで回避可能。

            リンク
            >アムラーム」の推進力であるロケットの燃焼時間は10秒程度であり、
            >マッハ5まで加速したあとは速度エネルギーを消費しながら滑空。
            >ミサイルは減速するほど誘導性能も落ちていくため、
            >実際に100kmも飛翔すると、ほとんど命中は期待できなくなります。

            尚、上記urlの記事で紹介されている「ノーエスケープゾーン(逃げられない範囲)」だが、これもミサイルの位置がわかれば、ミサイルに推力偏向機能(スラスタ)が無ければバレルロールに持ち込めば回避可能。ただ、至近距離で撃たれたら体勢的に回避動作できないので推力偏向機能(スラスタ)無しでも逃げれ無い。
            ミサイルの位置は後方レーダー(真偽不明だがSu-35やSu-57のテールコーンに装備可能とする説あり)か、僚機か地上のレーダーとのデータ・リンク等で知りうる。
            ともかく、AIM-120 AMRAAMの射程が100km超というのは昔の議会対策の宣伝文句で、Tu-16とかB-52のような大型爆撃機が爆弾満載状態とか、大型レーダー搭載している早期警戒機とか、燃料満載の空中給油機とか、物資満載の輸送機等の動きの鈍い航空機に対する射程にすぎない。(まあ、嘘じゃないから詐欺で無いと言い逃れできるかもしれないが、実質的には誇大広告)
            ところが、燃料噴射時間の長いミサイル開発で予算獲得の必要から「ノーエスケープゾーン(逃げられない範囲)」という概念を公開してきたが、これも上述のように怪しい。

              • dai
              • 2022年 7月 12日

              仰っていることもリンクの内容も全部知っていますし、多分ここのブログに来る人は皆さん知っていますよ。
              だから射程ギリギリなら兎も角と言いましたので、私の言ったことに賛成という意味でしたら感謝いたします。

              ノーエスケープゾーンについては、そもそもミーティアは全く異なるタイプのエンジンですし、そこが売りですからね。今のAMRAAMでは実際難しい。F-35にも早く統合されれば良いですね。

              ただ、
              >F-35はステルス性能向上のため機体が平面的でスイスの高山上空での乱気流で失速.するリスクが高いかも
              >バレルロールに持ち込めば回避可能。

              この2つは一体どこからこのような説が出てきましたか…?
              1つ目は翼面荷重と勘違いですか?
              2つ目ですが、バレルロールってアクロ機でも良いので実際見たことありますか?あんな遅い角速度に何の意味が?なぜビーム機動ではなくバレルロール?
              まだ直線的に逃げ切るMiG-31戦法のほうが分かりますが。
              ああ、最後に一つ。現役のミサイルの実際の射程なんて機密なんで、あまり数値を語っても意味ないですね(笑)お互い止めておきましょう。

              2
                • 浅見真規
                • 2022年 7月 13日

                >なぜビーム機動ではなくバレルロール?

                ミサイルはバレルロールの円運動が苦手なのです。
                空対空ミサイルは巡航している戦闘機の数倍の速さで飛びますが、等速円運動の遠心力は速さの2乗に比例するので、仮に戦闘機がマッハ1で8G旋回で円運動すると、マッハ3のミサイルが同じ半径で等速円運動するには3の2乗すなわち8Gの9倍の72Gの向心力が必要ですが、それは無理なので、ミサイルが円運動すると半径が大きくなります。問題は、戦闘機のすぐ後を追尾してくれるか否かです。追尾してくれば(推力偏向装置が無ければ)バレルロールで回避できます。尚、ミサイルに推力偏向装置がある場合も72G旋回は無理ですが、ミサイルの先端が円の中心を向き、従来の飛行コースに横向きになって一時的に大幅に減速し、中心方向に急加速するので命中します。
                尚、ビーム機動はミサイルの先読みのプログラム次第で回避の可否が決まるので不確実です。また、AIM-120 AMRAAM ミサイルのマッハ4は燃料噴射時の最高速なので、燃料切れになると、俊足のミグ25やミグ31では逆転して逃げる方法で回避できる場合もありますが、最高速がマッハ2未満のF-35では無理です。

                • 浅見真規
                • 2022年 7月 13日

                >だから射程ギリギリなら兎も角と言いましたので、
                >私の言ったことに賛成という意味でしたら感謝いたします。

                変な言い訳しないでください。
                射程ギリギリどころか(推定されてる)射程の数分の1しか噴射しておらず、高機動の戦闘機なら回避可能なのです。
                ちなみに、戦闘機が高G旋回し始めて(ごく一部の試作ミサイル以外は)3秒以上経ってから旋回動作を始めますが、ミサイルの翼は小さいので(推力偏向装置の無い)ミサイルは旋回の初期は低G旋回です。ミサイルの先端が旋回してる戦闘機の方に向かい始めると推力の分力と揚力でGは大きくなりますが、戦闘機の旋回Gを大きく超えると失速して揚力が無くなり推力(の分力)だけになります。そういうわけで、ミサイルが近くに迫って来て急旋回する古くからの闘牛士機動は(ミサイルに推力偏向装置が無ければ)今も有効です。

                • 浅見真規
                • 2022年 7月 13日

                F-35はレーダー波を他所に反射させるため機体の形状に平面的部分があり、ステルス性能を空力特性より優先する形状になっています。
                失速というのは翼の表面を流れていた気流がはがれる現象で平面的形状だと気流が剥離しやすいはずです。
                そのため、平面的形状を採用するステルス機では失速しないようにフライ・バイ・ワイヤのコンピュータ制御で工夫しているらしいとか。しかし、いくらフライ・バイ・ワイヤのコンピュータ制御で対策していても乱気流の多いスイスの高山の上空では不安でしょう。

    • ブルーピーコック
    • 2022年 7月 10日

    スイスに攻めてきそうな国は無いし、地政学的にさほど重要でもないから狙われそうにもないので、高額な兵器に金を使いたくないのは分かる。
    ただ今後、長射程化されたミサイルや、長距離運用可能な無人ステルス爆撃機を保有した敵性国家なんかが現れ、いざ戦闘機が必要になってしまった場合に対応出来なくても、後悔したり現政権を批判したりはせんようにな(上から目線)

    7
    • 折口
    • 2022年 7月 10日

    特に現在の戦争に関して言えばスイスの国家戦略(中立主義)は気に食わないですが、曖昧戦略+軍隊の質的優勢の確保というやり方は日本に通じるところがあります。さらに議会制民主主義や直接民主制を重んじる気風が軍隊から合理的選択の権利を奪っているという点もある種の親しみを感じます。軍当局としては周辺国が装備済みの半世代古い戦闘機を今更持っても質的優勢は確保できず意味がないと考えているんじゃないかなという気がしますし、その考えは理解できます。

    しかしまぁ、ロシアとヨーロッパのどちらにつくかも決められないような、決められない事を美徳にしているような国には内紛と失策は必然ですよね。スイスのヨーロッパ諸国に対する軍事的な独立性なども、NATOやEUの枠組みで欧州が法的に一つになっている現在にあっては伝説や神話の類でしかないですからね。

    10
      • ミリオタの猫(やっぱり、アンツィオ…いや、ロシア軍は強い!)
      • 2022年 7月 10日

      しかも、最近スイスはNATOに接近しつつあるって情報が流れていましたから、余計に内紛と失策の種は増えていたんですよねえ。

      3
      • STIH
      • 2022年 7月 10日

      まあスイスの中立は日本の9条よりも歴史がありますから、それを第一義として他の方針を決めるのはしゃあないところはあるでしょう。当然”その時”が来た時には単独で戦うんでしょう。
      それに軍事的合理性を優先することが本当に正解かって言ったらノーなわけで。戦前日本みたいに軍事的合理性を優先しすぎて失敗してますし、そこは最後は程度論にしかならないでしょう。。
      無論戦闘機を調達できず老朽化して、この間のF15墜落みたいな事故を起こすのは問題ですが。

      6
    • ナニガシ(ラファール信者)
    • 2022年 7月 10日

    ラファールを買うのです。
    どうせどの機種にしても、反対されるなら、鑑賞するだけでも価値のあるラファールを買うのです。
    スイスも随分と侵略されてるな。
    市民団体に。

    10
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