欧州関連

アイルランドが装甲車両の更新に大規模投資を予定、仏製自走砲にも関心

アイルランドの国防費は他の欧州諸国と比べて異常なほど低く(GDP比0.2%)問題視されることも多いのだが、仏La Tribuneは21日「アイルランドが装甲車両を刷新するためKNDS Franceに大規模な発注を行う見通しだ」と報じ、装甲車両だけでなく装輪式自走砲のカエサルにも関心を示しているらしい。

参考:L’Irlande devrait prochainement acheter des centaines de blindés à KNDS France

ロシアと国境を接する国の投資と比べれば、アイルランドの大規模な投資はどうしても小さなものと映ってしまう

アイルランドは軍事的中立を採用しているためNATOに加盟しておらず、国防費も他の欧州諸国と比べて異常なほど低く(GDP比0.2%=約13.5億ユーロ)、アイルランドと人口が近いノルウェー(GDP比3.3%=約155億ユーロ)と比べると10倍以上の開きがあり、NATO加盟国が合意した総額5.0%(国防支出3.5%+軍事インフラとしても活用できる分野への投資1.5%)にも追従するつもりもないが、ウクライナ情勢などの安全保障環境の変化を受けて国防費の増額に取り組んでいる。

出典:Irish Defence Forces

2026年度は過去最高額となる約14.9億ユーロ(前年比11%増)を国防費に割り当てる予定で、フランスのLa Tribuneは21日「我々の防衛産業にとってアイルランドは小規模な顧客に過ぎなかったが、老朽化した装甲車両を刷新するためKNDS Franceに大規模な発注を行う見通しだ。これは大きな驚きだ。アイルランドが過去10年間(2015年〜2024年)に発注した仏製システムの累計発注額は5,310万ユーロに過ぎない。しかし、激変する国際情勢の中で、その力学が根本から変わろうとしている」と報じた。

La Tribuneの説明によれば1990年代から2000年代にかけて導入したピラーニャIIIとRGアウトライダーは老朽化して維持費が高騰し保守が困難になっているため、アイルランドは2030年までにピラーニャIIIとRGアウトライダーの更新を計画中で、KNDS Franceの装甲偵察戦闘車ジャグア、軽装甲多目的車両セルヴァル、多用途装甲車グリフォン、装輪式自走砲カエサルに関心を示しているらしい。

La Tribuneは「カトリーヌ・ボトラン国防相のアイルランド訪問(3月末~4月上旬)に合わせてKNDS Franceへの発注が正式発表されるかもしれない」「分割発注方式になる契約の総額は10億ユーロを超える」「アイルランドはEUのSAFE融資を活用して新しい装甲車両を取得する可能性がある」「ただし、SAFE融資を活用するため5月31日までに契約を締結し、2030年末までに装甲車両の納入を完了させなければならない」「さらにアイルランドは不興を買っている米国製の代わりとして他の仏製装備(タレス製のレーダーやソナーなど)にも関心を示している」と指摘している。

La Tribuneの報道が事実ならピラーニャIIIをジャグアとグリフォンで、RGアウトライダーをセルヴァルで更新し、牽引式のL118/L119(105mm榴弾砲)をカエサルに置き換えるという意味で、アイルランドにとって非常に大きな投資となるだろう。

ちなみにアイルランド(約540万人)よりも人口が少ないリトアニア(約280万人)は国防費に約8,700億円、ラトビア(約188万人)は約3,900億円、エストニア(約137万人)は約3,600億円を支出しており、ロシアと国境を接する国の投資と比べれば、アイルランドの大規模な投資はどうしても小さなものと映ってしまう。

関連記事:国防力強化を訴えるアイルランド国防軍、67年ぶりとなる戦闘機導入を提案
関連記事:戦闘機を廃止したアイルランド、ロシアの脅威に対抗するため戦闘機導入を検討

 

※アイキャッチ画像の出典:KNDS France

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コメント

  • コメント (12)

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    • う
    • 2026年 2月 22日

    歴史的に見ればアイルランドの敵はロシアでは無く英国なのでロシアの帝国主義政策に無関心なのは当たり前の話ですな

    24
      • たむごん
      • 2026年 2月 23日

      まさに仰る通りです。
      (100年以上前から)イギリスからの独立を目的に、IRAが暴れまわったりしてましたからね。

      バルト三国などがロシア帝国~ソ連~ロシアを見るように、アイルランドがイギリスを見ているという歴史も違和感ないなと。
      ブレグジットで、アイルランド~北アイルランド(英国)の国境どうするのかという点、また紛争に発展しないのか懸念する話しもありましたね。

      2
    • 名無し
    • 2026年 2月 22日

    お、アイルランドもついに、肥料詰めたプロパンガスボンベを、カエサルで検問所に撃ち込む時代になったか。

    3
    • ライジング
    • 2026年 2月 23日

    アイルランドの安全保障環境はハッキリ言って恵まれてる。
    注意すべきはサイバー攻撃と長距離ミサイルくらいか?
    少なくとも極東の島国みたいに核を保有した3つの独裁国家が目と鼻の先に存在する訳でも無くミサイルやサイバー攻撃だけじゃ無く軍用機やら軍艦が日常的に領海や領空付近を徘徊しては圧力掛けて来る事は無いんだからハッキリ言って羨ましいよね。

    3
    • たむごん
    • 2026年 2月 23日

    アイルランドは、ロシアの脅威と言われても、遠すぎて理解されないでしょうね。
    アイルランド(海洋国家+米英が制海権)・バルト三国(大陸国家+ロシアが隣国)これを比較してみると大変だなあと…

    地政学的に、島国(海洋国家)のメリットは守りやすく国防費が小さい事ですし、アリバイ作りに海軍増強どうしょうかね?
    アイルランドさん、海軍増強のために、もがみ型改いかがでしょうか(!)

    8
      • ファッツ
      • 2026年 2月 27日

      さくら型哨戒艇か其れの武装強化型(RAMとメラーラの76mm砲でも積んで)の方が現実的じゃない?

    • ブルーピーコック
    • 2026年 2月 23日

    そんなあ。アイルランドは一人当たり名目GDPが38位の日本や73位の中国と違って世界2位の超大国なのに!そんな国防費でいいんですか!?

    まあそんな与太話はともかく、アイルランドはNATOに入る入らないは別として、仄めかすくらいはした方が良いとは思う。Redditを見る限りは米英が何とかするみたいな意見ばかりで凄く呑気だけど。立地的にGIUKギャップの目の前で、ロシアからの潜水艦が現れる場所だし。

    8
      • 他人事では無い
      • 2026年 2月 23日

      世界中の金持ちを集めただけで、税収増加したわけではないからね。
      国民生活は、下がる一方。

      1
    • YF
    • 2026年 2月 23日

    本来国防費はその国の政治、経済、地政学的位置によって決められるもので、安全が確保出来るなら出来るだけ抑えたい支出ですからね。
    NATOという枠組みだからこそ、それぞれの国の状況無視して加盟国一律5%なんて事ができるわけで。
    アイルランドの陸上兵器の大幅更新は英国としては、あまり気分の良いものじゃないかもしれないですね。

    7
    • pow
    • 2026年 2月 23日

    去年の配信記事で、アイルランドに欧州向けの改訂海底ケーブルが75%を占めているだけにロシアとNATOが開戦したら真っ先に狙われるとか、北極海への進出拠点であるムルマンスク基地からアイスランドと英国沖経由でアイルランドへとか海洋関連の対応力の低さを警鐘する記事がありました。
    2021年に激しいランサムウエア攻撃を受け、その辺りから拙い状況を自覚してロシアのウクライナ侵攻による国際情勢の変化を受け 、又EUからの働きかけもあり17億ユーロ規模の防衛分野別国家開発計画(2026–2030)で国防関係への投資を行うそうで。
    国連の平和維持軍へは積極的に参加はしていましたし、やる気にならざる得ないと自覚したようですね。

    4
    • 足柄
    • 2026年 2月 23日

    九州の陸自の編成を身の丈に合ったレベルでコピペで足りるの羨ましい
    装輪主体の即機連で十分に対応できるし
    近衛として首都近郊に戦車と自走砲あれば良し
    SAMやSSMなんか配置したらブリが嫌がりそう

    3
    • 他人事では無い
    • 2026年 2月 23日

    ピラーニャ3ってそんなにヘタるものなのか?
    実戦で使ったわけでも無いのな。

    4

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