スイスのF/A-18C/Dの後継機選定は今月中にも最終結果が発表される可能性が高いと報じられており、現地で最も勝者に近いと噂されているのは第5世代戦闘機のF-35Aやスイス国内での最終組立を容認したユーロファイターではなくフランスが提案してるラファールらしい。
参考:Dassault Rafale in good position to win Switzerland tender?
参考:Le Rafale est de plus en plus le favori à Berne
仮に現地の主張通りフランス勝利になれば今年だけでラファールの受注は100機に到達する
スイスの国民は昨年9月に実施された国民投票で政府が進めている約65億ドル/約6,750億円の次期戦闘機調達プログラムを承認、これを受けて政府はF/A-18C/Dの後継機として提案されているF-35A、F/A-18E/F、タイフーン、ラファールの中(グリペンE/Fは2023年引き渡し開始の条件を満たせなかった除外)から1機種を選び2022年までに契約を結ぶ予定なのだが、どうやら6月中に後継機選定の勝者が発表されると現地では噂されており最も勝者に近いのはラファールらしい。
因みにスイス政府は次期戦闘機の選定に参加する企業に受注金額の80%に相当するオフセット提案を要求=つまりスイスの次期戦闘機受注を狙う企業はスイス防衛産業に対して直接投資20%+間接投資40%、冶金・機械、電子・電気工学、光学、時計、自動車、化学、航空・宇宙、IT、ソフトウェア分野の民間企業や大学などの研究機関に20%の投資を行い総額54億ドル/約5,600億円をスイス国内に投資する必要がある。
これに対応するためロッキード・マーティはF-35プログラムに出資していないスイスにF-35のキャノピー製造と修理及びオーバーホールを担当する施設(欧州分担当)を設置してスイス人雇用をすることを提案、さらにスイスが導入するF-35Aを維持するための作業(機体とエンジンの整備の一部)をスイス国内で行えるようにすると言っており、追加費用を負担すればスイスが導入するF-35の一部を国内で組み立てることも可能でライフルサイクルコストの観点から見るとプログラムコストの節約に繋がるらしい。
エアバスは他国に一度も認めて来なかったスイス企業によるタイフーンの最終組立を提案しており「スイスのオフセット条件を十分に満たすことが出来る」と主張、さらに国土が狭く戦闘機の騒音に悩むスイスに対して周辺のタイフーン導入国が訓練を受け入れると提案「スイスはタイフーンを導入すれば戦闘機の騒音を国外に輸出できる」と語っている。
F/A-18E/Fを提案しているボーイングやラファールを提案しているダッソーもスイスが要求する条件を満たすオフセットを提案していると思われるが、その内容については伏せられているのでよく分かってない。
この状況下で現地メディアはラファール優勢を主張しているのだがコレには幾つか根拠がある。
1つ目は次期戦闘機選定に直接関係はないがスイス軍は新しい空中監視システムとしてフランスからタレス製のSkyview導入を決定しており、ラファールと空中監視システム間のシームレスな情報共有で他機種よりも有利だという点、2つ目は少なくないスイスの政治家が米国製戦闘機の導入に反対(スイスはデータの主権に厳格でブラックボックスの多い米国製はスイスの主権を犯すと考えている)している点、3つ目はスイス議会で安全保障の議論の際に政府側がラファールを例に出してきた点、4つ目はラファールだけでなくタイフーンにも関係するのだが何かと揉めることが多いEUとスイスの関係に欧州製戦闘機の導入が役立つ点が挙げてラファール優勢を主張しているのだ。
果たして本当にスイス政府はラファール導入に傾いているのかは不明だが、仮に現地の主張通りフランス勝利になれば今年だけでラファールの受注は100機(スイス40機/ギリシャ18機/エジプト30機/クロアチア12機)に到達して大ブレークを果たしたと言っても過言ではない。
逆にロッキード・マーティはスイスを落とすと欧州で連敗(ギリシャとスイス)したと映るため今後の輸出に少なからず影響を及ぼすだろう。
関連記事:スイスの次期戦闘機候補、エアバスがタイフーン現地組立を認めて優位に?
関連記事:スイスの次期戦闘機候補、圧倒的なコストパフォーマンスでF-35Aが優位か
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Alexander Cook AtlanticTrident21に参加中のラファール
騒音を国外に輸出できる←パワーワード
日本の政治家もスイスのようにデータの主権が脅かされない事を念頭に置いて次期主力戦闘機を開発して欲しい
出来て当たり前過ぎて笑うしかない
お国柄運用に制限の多いF-35は向かないだろうな
スマン。馬鹿で申し訳ないんだが、ライフルサイクルって何?
ライフサイクルじゃなくて?
軍事系の専門用語?
多分パクリ対策。
ロッキード・マーティも同様。
グーグルで調べちまったよ
教えてくれてありがとう!!
ライフルサイクルやロッキード・マーティってw わざとやってるだろ?
だからわざとやってるんだってば。
勝手にコピーする奴らがいるから意図的に誤字を書いて相手がコピーしたときにわかるようにしてるの
転載対策だよ
搭載機銃の銃身命数かなんかの事じゃないのかなー(棒)
第5世代機への端境期と世界的な緊張の増加に伴って、4.0世代機に厚化粧したような機体や生半可な4.5世代機、米露の意向に支配される機体では使えないと言うことでしょう。
F-35を導入できないと他に有力な5世代機の当てもなく、今後もラファールの導入は増えるとしか思えない。
5月にラファール導入検討中だった国
インド :110(36機とは別)
フィンランド:64
UAE :63
スイス :40
インドネシア:36
クロアチア :12
↓
6月:クロアチア導入決定
7月:スイス導入決定?
8月:?
あとはエジプトやギリシャもだっけ。近年はトルコと敵対してる国々にバラ撒いてる印象。
当面生産確定しているラファールは、
フランス向け
2022〜2024:F3Rを28機
2027〜2029:ギリシャ供出の代替12機、F4仕様30機
エジプト向け30機
ギリシャ向け新造6機(+6機で12機の可能性有り)
インド向け36機
以上最大148機
更に可能性があるのは
インドネシア向け36機
スイス向け約40機
フィンランド向け56機
以上で最大280機
この他にインドは更に24機程度、エジプトもF4を18〜46機追加の意向あり。
更にバングラディシュが16機の欧州製戦闘機(ラファールorタイフーン)の導入を2021・2022年予算で計画中。
全部実現すると最大366機
このほかUAE、イラクも交渉中らしい。
なおカナダ・ベルギーには応札しない方針らしい。
ラファールはカッコいいからな…(個人の見解です)
それは全く否定するものじゃないですね。
個人的にはラファールはフランカーより女性的で美しい。
(フランカーは所々無骨な感じに見える・・・)
自分も欧州製戦闘機では
グリペン(とグリペンE/F)とラファールが大好きです
なんだかんだでラファールは頼もしい感がある
キャノピーの付け根にある給油管がなければなぁ。
可動式にならんかったんかねぇ。
正面から見た姿が素晴らしい。
吸入口がデザイン的にまとまっているからかな?
フランス軍と自衛隊が仲良くなって、ラファールを日本へ派遣してくれんかな?
スイスの件では、要はオープンアーキテクチャを求めているということですよね。
自国製兵装の追加装備のための改修もできない、自国主導のアップデート計画も立てられないと。
そういう観点ですとこれは日本も要求していいことだと思うんですよ。
ラファールもクローズですけど移転や公開を約束しているのでしょうね。
(韓国みたいな平気で分解したりコピー+販売してしまう国を警戒するのはとても分かります)
デジタルセンチュリー構想が形にならない限りスイスのような国には第5世代以降は売れないのかもしれません。
要求はいいけどさ、本邦は競争導入とは名ばかりの指名導入だからさ。じゃあ売らないよと言われると言い返せないんだよねー
そういうのを忖度って言うんだよw
交渉もしないとか税金泥棒でしかないわw
スイスは2023年引き渡し開始を要求しているけれども、こんなに急に受注が増えて、果たして納期を守れるのか?
またしてもフランス空軍機の中古輸出とかリースになったりしないのだろうか?
もしくは、何処かのユーザーへの引き渡しが遅延するのではなかろうか?
なんか10年前までパッとしなかったラファールがここに来て快進撃するなんて驚きだよな
タイフーンも大幅進化するし欧州戦闘機から目が離せないな
>>スイスはタイフーンを導入すれば戦闘機の騒音を国外に輸出できる
意味は分かるけど文字に起こすと笑っちゃう
ラファールと呼ぶがよい
そちらに引っ張られて、名前を間違えがちです。
無知と幸運のなせるわざなんです
大SALE!!
傲岸にして不遜
そういやコイツの前身?のミラージュシリーズもベストセラー機だったな。フランス製の兵器は冷戦時代からアメリカにもロシアにもどっち付かずの立場の国々に売れてるイメージ。
取っ手がとれるし、重ねて収納できる機能性がウケているから売れるんだろうね。
節子それティファールや
需要と供給の関係で見向きもされなかったものが売れるようになる好例やね
というか
>スイス政府は次期戦闘機の選定に参加する企業に受注金額の80%に相当するオフセット提案を要求
てことで仏はラファール売らんかなで大盤振る舞い絶賛セール中?
最近の大規模兵器輸出って、条件は違えども何処もだいたいそんな感じの要求を付ける所がほとんどだよ
武器輸出は貿易というより政治取引だよな
このままエコシステムが広がれば今後の輸出にも期待が持てるな
タイフーンの苦戦っぷりとは対称的だわ
半年前まではここのコメ欄でも
「仏製兵器しか使えないのは不利」
と言われてたのが、ここへ来て
「仏製兵器なのでアメリカの顔色を気にしなくて済む」
とメリットになりつつあるね。
原子力空母に原潜・核ミサイル、戦闘機から対空・対艦・対地ミサイル、電子機器まで兵器体系全体を自国製で揃えた強み。
「おフランスがプライドのためにやせ我慢」みたいに言われてたけど、ラファールの初輸出が決まった時は関係者は男泣きに泣く勢いだったらしい。
ミラージュⅢの時代から赤い西側と言われるほどの部品供給の悪さは解消したのか?
これが尾を引っ張ってF-1以降はF-16に商戦でボロクソに負け続けてたのだが、
ミラージュ2000でもMICAミサイルの使用期限切れ問題で台湾にやらかしてたけど、
後、M88の燃費が出力の割にかなり悪くそれも商戦に影響してた。
>M88の燃費が出力の割にかなり悪くそれも商戦に影響してた
本当に? ラファールの空対空戦闘行動半径は950海里でスパホ(780海里)、タイフーン(750海里)、グリペンE(700海里)、グリペンC(430海里)よりかなり大きいけど。
それに実燃費は「エンジン燃料消費率×機体抵抗」で決るからエンジン燃費だけ取上げてもあまり意味が無い(揚抗比に優れ小型のラファールの空気抵抗が大きいとは考えにくい)。
それを差し置いて、航続力でも機体搭載時の実燃費でもなくエンジン単体燃費で不採用になるかな。商売敵やエンジンオタクの「指摘」ではなく?
EJ200の排気炎は白く(高温)明るいのに対し、M88は赤く(低温)暗いので赤外線放射が少ないが、これは低推力の一因でもあるそうで、低放射と低推力のどっちが原因で結果なのかは分らない。
モテ機到来だな。
タイフーンが思ったより使い難かったからかなあ。
これで9時5時空軍から卒業できるかな?
昨年末から24時間体制になっていたような
「スイス軍は新しい空中監視システムとしてフランスからタレス製のSkyview導入を決定しており、ラファールと空中監視システム間のシームレスな情報共有で他機種よりも有利だという点」
この件は初耳で興味深いですが、オフセット契約等も絡んで先が予見しにくい流れなのでしょうね
F-5EやF-18Cと装備面も米国規格で来ているスイスなだけに続報に期待です。