イタリアは陸軍近代化の一環として新型戦車と新型歩兵戦闘車の調達に計230億ユーロ=約4.2兆円を投資する予定で、28日に新型歩兵戦闘車=Lynx4輌が引き渡された。新型戦車=Pantherのプロトタイプは2029年末から2030年初頭の間に引き渡される予定だ。
参考:Italy gets first Lynx fighting vehicles, due to reshape the army
Leopard 2A8やK2にとって新たなライバルの誕生は大変興味深いものがある
ロシアのウクライナ侵攻を受けて「伝統的な地上戦力」に対する再評価に注目が集まり、イタリアでも現実的な脅威の登場を受けて「陸上戦力の更新」が本格化、ラウティ国防次官は「Arieteは200輌中50輌しか運用状態にない」「NATOの義務を果たすには250輌以上の戦車が必要」「2024年から戦車取得のための予算計上が始まる」と、計画に詳しい関係者も「Leopard2A8が133輌必要」と明かし、メローニ政権もLeopard2A8の取得費用を盛り込んだ予算を提出。

出典:KNDS
LeonardoとKNDSも戦略的提携に署名したと2023年12月に発表、この協定は「イタリアが希望している欧州戦車計画(Main Ground Combat Systemのこと)への参加」「発注が確実視されているLeopard2A8のワークシェア」に関するもので、Leonardoのロレンツォ・マリアーニ氏は「KNDSと交わした協定に基づいて大幅なイタリア化が行われるLeopard2(Leonardo製の電子光学センサー、通信装置、指揮統制システム、砲身搭載)は我々の要求を満たした」と述べていたものの、KNDS側が技術移転を一切認めなかった2024年6月「協定が破談した」と発表。
そのためRheinmetallはLeonardoと接触して2024年7月「主力戦車と歩兵戦闘車輌の開発・製造に関する合弁会社設立で合意した」と、Leonardoのロベルト・チンゴラーニ最高経営責任者も「Rheinmetallとの合弁会社は9月までに設立され、国防省と合弁会社の正式な契約は年末までに締結される見込み」「Lynxは2年~3年以内に、Pantherも3年以内に納入される予定」「イタリアとドイツのワークシェア比率は60対40で、イタリアの60%の内50%をLeonardoが、残りの10%をRheinmetallが所有する伊企業が行う」と発表。

出典:Leonardo
両者が設立した合弁企業=Leonardo Rheinmetall Military Vehicles(LRMV)は2025年2月「Pantherベースの新型戦車は2027年に納品が始まる」「新型戦車の総発注数は132輌で、さらに架橋型、回収型、工兵型の派生バージョンも140輌の発注が見込まれる」「生産のピークは2031年で171輌の戦車と派生バージョンが生産される予定」「Lynxベースの新型歩兵戦闘車は5つの派生型に分かれて16の任務を遂行する」「新型歩兵戦闘車の総発注数は計1,050輌だ」と説明し、2つのプログラムに対する投資額は230億ユーロ=4.2兆円を見込んでいる。
LRMVは2025年11月「イタリア軍からLynxに関する最初の契約を獲得した」「これはイタリア軍にLynxを21輌供給する契約で、最初の5輌にはRheinmetall製の砲塔システムが、残り16輌にはLeonardo製の砲塔システムが搭載され、Leonardo製の新型30mm機関砲、C4Iシステム、電気光学センサー、レーダー、無線機が採用される」と発表。
“Lo scenario internazionale impone una Difesa in costante evoluzione, in grado di garantire la sicurezza del Paese e la tutela degli interessi nazionali. Ciò richiede un modello moderno, flessibile e credibile, fondato su elevati livelli di prontezza operativa, personale… pic.twitter.com/kaRx4CZr0w
— Ministero Difesa (@MinisteroDifesa) January 27, 2026
🔴#LDO_PR Today, at the Italian Army (@Esercito) Multifuncional Experimentation Center (Ce.Poli.Spe) in Montelibretti, the Leonardo Rheinmetall Military Vehicles (#LRMV) Joint Venture delivered to the Armed Forces the first four #Lynx infantry fighting vehicles. This first… pic.twitter.com/HlJfdYqHA9
— Leonardo (@Leonardo_live) January 27, 2026
🇮🇹 #ItalianArmy’s #A2CS #programme kicks off – first four new infantry fighting vehicles delivered by #LRMV Joint Venture https://t.co/ygQ6Jbh3br @Leonardo_live pic.twitter.com/44UEz8OqGz
— Rheinmetall (@RheinmetallAG) January 27, 2026
Defense Newsは28日「イタリア軍が最初の4輌を受け取った」「Rheinmetall製の砲塔システムを搭載する最後のLynxもまもなく引き渡される」「2026年10月から2027年初頭までにLeonardo製の砲塔システム=Hitfistの派生型砲塔を搭載したLynxが引き渡される」「最初の5輌の砲塔も交換される予定だ」「この構成の車輌をさらに30輌購入する契約が今年前半に締結される」「5つの派生型のプロトタイプは2028年までに引き渡される予定だ」「Pantherのプロトタイプは2029年末から2030年初頭の間に引き渡される予定だ」と報じた。
特に興味深いのはLeonardoとRheinmetallが設立したLRMVで製造されるPantherとLynxは「Security Action for Europe(欧州再軍備計画の一環として)の融資資格を満たしている点」で、LRMVは「SAFE融資を申請している国々はその資金を使用してPantherとLynxを購入できる」と説明しているが、第一弾融資の納入期限は2030年12月末に設定されているため、LRMVがSAFE融資の恩恵を取り込めるかどうかは検討されている第二弾融資が実現するかどうかに左右されるはずだ。

出典:16 Dywizja Zmechanizowana
仮にSAFEの第二弾融資が実施されても、Leopard 2A8は既にSAFE融資の条件を満たしており、K2もルーマニア採用を勝ち取れば(ポーランドで生産されるK2PLは採用した場合)SAFE融資の条件を満たす可能性が出てくるため、LRMVで製造されるPantherとLynxが特別有利になるわけではない。
それでもLeopard 2A8やK2にとって新たなライバルの誕生は大変興味深いものがある。
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※アイキャッチ画像の出典:Ministero Difesa





















イタリア製パンターがどんなものか、久々に新型戦車の出現ですね
ヨーロッパに戦車を供給できるのがドイツと韓国だけの状態に、イタリアが割って入れるのか、そこも興味あります
どっちにしろシャーシは、レオ2
なんかそういう意味ではソ連化してきてるな>NATOの兵装
新型戦車の正式名称がどうなるかわかりませんがパンターって名前だけでワクワクしますね。
ラインメタルは色んな戦車計画に首突っ込んでますけど、どれか物になれば良いって考えなのか欧州製戦車は全てラインメタルの統制下に置きたいのかどっちなんでしょうね?
レオ2は車体はKMW社、砲塔はラインメタル社という組み合わせだったけど、車体の副契約企業であるMaK社をラインメタル社が買収したことで、1社で戦車が作れるようになった。
一方で、KMW社は砲塔を作れる企業を傘下にしないとラインメタル社に対抗できないということで、ルクレールを造っているネクスター社の買収に動いた。
様々な政治的な思惑もあるけど、独仏による次世代戦車の共同開発する上でちょうど良かったため、この買収は許可された。
そうするとラインメタル社はドイツ本国の仕事が0になるのが確定したから、あっちこっちでドサ回りしている訳。
ウクライナ情勢についての記事の更新がなくなったのは、主要な情報源だったdeepstateの報告内容が、他の情報源と乖離しすぎてもうネタにできないという判断をされたからでしょうかね?
>deepstateの報告内容が、他の情報源と乖離しすぎてもうネタにできないという判断
本当、こういう定期的に湧きますよね。そう思うなら他の情報源だけ見れればいいじゃないですか?
今までも何回か月単位でウクライナ戦況の更新を止めて他のニュースを強化したんですけど、そろそろ学習してください。
何でウクライナ戦況の更新を少し止めたぐらいで文句を言われるのか意味が分からない。そいうこと言われるとどんどんやる気がなくなります。
申し訳ありませんでした。
不謹慎かつ、配慮に欠けた書き込みでした。
冬季という事もあり、前線の状況にほぼ変化が見られませんからね。
ウクライナ戦争は、まだまだ続きそうですから、気長にのんびりいきましょう。
ここ数十年で起きていないような力ある者の一方的な攻撃で終わらない国家間戦争で、前線で動きが無さそうだからニュースバリューは無いとはないらないでしょう。
クピャンスク近郊の偵察用と攻撃用ドローンとUGVを組み合わせた「ロボットキルゾーン」とか話が本当なら発展すれば実戦でそれなりに使える自動領土防衛システムの構築に成功しつつある事に他ならないし、諸外国の思惑も色々だし露宇双方の長距離攻撃だって冬季に重要なインフラに対して損害だらけですよ。
米製軽量SHORADのV2X Tempestの投入とか今までの戦争だと考えられないような速度で新兵器登場や装備のアップデートがされている。
記事が出なくなって以降も生活環境は悪化し人は死に要衝の陥落もあるんだから個々で起きている事は人によって捉え方は違えど、流石に前線が大きく動かないから更新停止前と差が無いような感じを受ける書き方はどうかと思いますね。
情報ありがとうございます。
御指摘仰る通りで、冬季インフラ攻撃の与える影響も理解できるわけですが…。
管理人様の個人サイト=管理人様お忙しい中でのペース配分もありますから、我々は気長に待つしかないわけですよ。
追記です。
nachteuleさんの仰る、領土防衛システムや兵器についての情報興味深いと思います。
管理人様が、国土防衛などの大きなテーマ・兵器の売買の事例紹介もされているわけでして。
そのコメント欄で、仰るような御情報をお伝えして、皆様に御紹介されれば(自分含めて)勉強の機会になって素晴らしいと思いますよ。
イタリアが、陸軍力を強化していく動きは興味深いですね。
イタリア軍は、海軍が空母を保有したり海軍国のイメージもありましたので、陸海空どのようなバランスで強化していくのか気になるところです。