LeonardoとBaykarは3月「無人機に対する欧州市場のニーズはを取り込むため合弁会社を設立する」と発表、Leonardoは第1四半期の業績報告でも「Baykarと協力して輸出可能な製品を出来るだけ早く欧州市場に投入したい」「パリ航空ショーで幾つかのプロトタイプを公開する」と述べた。
参考:Board of Directors approved the 1Q2025 RESULTS. New orders € 6.9 BLN (+20.6%*), revenues € 4.2 BLN (+14.9%*), EBITA € 211 MIL (+17.9%*,**), FOCF € – 580 MIL (+7.6%*). Guidance 2025 confirmed
参考:Leonardo CEO urges “speed as important as money” as joint ventures progress picks up
LeonardoとBaykarは一刻も早く無人機を欧州市場に投入して有利な立場を確保したい
トルコのBaykarはMALE UAV(中高度・長時間滞空型無人航空機)分野で目覚ましい成長を遂げ、TB2はNATO加盟国を含む34ヶ国、MQ-9に匹敵するAkinciは10ヶ国で採用され、強襲揚陸艦での運用に対応したTB3やKızılelmaの開発も進められているものの、輸出先の大半は中東、アフリカ、中央アジア、東南アジアが中心で、地理的に最も近い欧州諸国の採用は限定的(ポーランド、ルーマニア、クロアチア、アルバニア、ウクライナのみ)だ。

出典:Poland MOD
Baykarは欧州進出を拡大するためPiaggio Aerospaceを買収=EU域内に無人機を製造・販売する拠点を確保し、今年2月には伊政府高官とLeonardoがBaykarを訪問し「無人機分野での提携を協議した」と噂されていたが、LeonardoとBaykarは3月「無人機に対する欧州市場のニーズが高まっている」「今後10年間の無人機需要は1,000億ドルを超える」「この需要を取り込むため両社は50対50の合弁会社を設立する」と発表。
Leonardoのチンゴラーニ最高経営責任者は「今回の提携がEurodroneと衝突することないものの、欧州がEurodroneのみで無人機の競争力を確保できるとも思わない。欧州は多くの時間を無駄にしてしまった」と述べて「イタリア軍がTB3、Akinci、Baykarの徘徊型弾薬や自爆型無人機を購入する可能性」に言及、これを受けてDefense Newsも「イタリアは米国製無人機の忠実な購入者だったが、今回の合意はローマの方針転換を意味し、トランプがロシアに同調し、欧州に完全を課す中で米国製兵器への依存脱却の動きを反映したものだ。安全保障に結びつかないなら高価な米国製兵器を購入する動機は失われるだろう」と指摘。

出典:Baykar
チンゴラーニ氏は第1四半期の業績報告でも「Baykarとの提携が極めて素早く進展している」「既にイタリア国内にはBaykarの生産拠点が3つある」「スピードは資金と同じぐらい重要で、特に無人機分野や成長市場なのに欧州は出遅れている」「この市場の競合他社は製品投入を加速しているため、LeonardoとBaykarも輸出可能な製品を出来るだけ早く欧州市場に投入したい」「6月のパリ航空ショーで正式な合弁会社の契約に署名する」「パリ航空ショーでは幾つかのプロトタイプを公開する予定だ」と述べ、最初に注力するプラットホームにはAkinciの名前が挙がっている。
両者の具体的な協力は「Baykarの無人機プラットホーム」と「Leonardoのセンサーとミッションシステム」の統合で、これをEU域内のイタリアで生産することで欧州市場への進出を容易にする狙いがあり、トランプ政権の不確実性=米国製システムから距離を置く流れが加速すれば、LeonardoとBaykarは欧州の無人機市場で有利な立場を確保できるかもしれない。

出典:Baykar
因みにチンゴラーニ氏は「BaykarのKızılelmaがGCAPのウイングマン候補になるかもしれない」「まだGCAPのウイングマンに対する要求要件が決まっていないためKızılelmaに売り込むアイデアは初期段階だ」と述べたこともあり、LeonardoとBaykarの提携は中々興味深いものがある。
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※アイキャッチ画像の出典:Baykar
トルコ無人機が、トルコ強襲揚陸艦での発着艦に成功しており、イランもタンカー改造空母で無人機運用を示唆していました。
ジェット機を常時運用しないのであれば、飛行甲板の管理もしやすいでしょうし、低コストの無人機母艦が増えてくればどうなるのか少し気になります。
それは船体の構造的剛性によるので低コストVTOL機能無し固定翼無人機の重量と着艦時にどれ位の衝撃があるかで変るのでは?ひゅうがとかでも重量級のCH-47が着艦出来るのは構造的に強い艦首か艦尾で中央は駄目なはず。基本重量級の回転翼なり固定翼を制限無く運用する艦は甲板部分の強度が高くサイズに対してトン数が大きい。いずもとワスプ級とか他の揚陸艦とも比較すればそれは一目瞭然。
安価に作るつもりなら必然的に小型軽量の固定翼機になるし、Shield AI’s V-BATもScanEagle VTOLだって固定翼なので固定翼の選択肢は現状かなり広がっている。監視能力に関してはかなり向上の見込みはあるし、攻撃にしても味方攻撃の誘導や小型兵器を搭載出来るなら自らも攻撃出来るので敵としては厄介な時代になっていると思う。
こんな低スペックでも欧州は買うのか…持ってないよりマシな程度にしか見えませんが
低スペックではないでしょ
戦争初期にアメリカ企業が自慢した段ボールドローンとどちらが有効か
AkinciやKızılelmaのスペックのどこら辺が低いんだろう。
ウクライナ戦初期に話題になった段ボールドローンはオーストラリア製だし…
Kızılelmaはステルス性は限定的なんだろうけど相手がそこまで強くないなら十分な戦力になりそう
ただロシア相手だとANKA-3ぐらいステルス性に振ってる無尾翼機じゃないと厳しい気もしないでもない
Akinciは使い場所さえ選べば便利そう
MQ-9も平時ではよく使われてるぽいし
ドローンも欧州の独自規格でいくんなら、衛星や欧州版スターリンクもやないといけないよな?
米国離れで色々な先行者利益が無くなりそうだけど、トランプは欧州の自己防衛を求めてたし、まあええか
Akinciはトルコ軍を構成した非正規軽騎兵の名であったか…
名は体を表すといった感じで面白いな
欧州の高名な方々というのか、政治力をお持ちの方々が安全保障上の問題から米国製兵器は買えませんという談話を方々へ見受けられますが、欧州の米国製武器への依存を減らしてゆく流れに対する米国の政府筋やら消息筋という所の声を恥ずかしながら日本語のニュースを見つけられませんが、NATO諸国の安全保障にアメリカ側が消極的な態度を示しているので、依存を減らすべくアメリカ製武器の購入削減に至るという行動を急がせたトランプ政権側の功罪ではありますが、この案件についての米政府側の声明なりを聞きたいものですね。
NATO諸国が国防予算を増やさないことに対する不満がアメリカの共和党というのか、支援する保守主義側にあったゆえの今の流れなのですが。