メローニ首相は「6月のNATO首脳会談で2.0%達成を宣言する」とホワイトハウスで約束したものの、独創的な会計処理=財務警察や沿岸警備隊の予算やディアルユースに関連する民間への投資を国防支出に再分類するトリックがEUやNATOの審査をパスするか危ぶまれている。
参考:Italy harbors doubts about hitting 2 percent NATO target
米国製システムの購入を増やすことで圧力を軽減できる=追加支出額をGDP2.0%未満の最小限に抑えられる
ベルギーの連立政権下では11日「寛大だった難民政策の厳格」「手厚い失業給付金の制限」「国防予算の増額」を含むイースター協定が成立、これによりNATO加盟国間で合意された国防投資=GDP2.0%を年内に達成するため40億ユーロの追加投資を行う予定(今後5年間の追加投資額は200億ユーロ以上)で、そのための財源は凍結されたロシア資産から徴収する法人税、ベルフィウス上場の特別配当、国債発行もしくはEU融資だが、NATOに請求できる項目、政府の安全な通信手段、宇宙分野、軍人年金、港湾、道路、橋といったインフラへの投資も会計基準を変更して国防支出に組み込むらしい。

出典:The White House
イタリアもNATO加盟国が合意した2.0%の支出水準に達しておらず、メローニ首相は「6月のNATO首脳会談で2.0%達成を宣言する」とホワイトハウスで約束したものの、本当にイタリアが2.0%を達成できるのかは疑問視されており、その理由は「2.0%達成に必要な資金調達の財源が不明」という点に加えて「財務警察や沿岸警備隊の予算やディアルユースに関連する民間への投資を国防支出に再分類する独創的な会計処理」にあり、この会計処理のトリックがEUやNATOの審査をパスするか危ぶまれている。
Politicoの取材に応じた予算審議に詳しいイタリア当局者は「6月の首脳会談でトランプ政権とEUの双方から国防支出増額を求める政治的圧力に直面するだろう。現時点でイタリアの主張(独創的な会計処理)は妥当なものだが、このような動きについてEUやNATOが異議を唱える可能性が高く、現在の会計基準は今年後半までに見直されるだろう。そうなれば2.0%達成のための新たな財源を見つける必要があり、他の予算を削らざるをえなくなる」と指摘。

出典:U.S. Air Force photo by Joshua J. Seybert
同時に「イタリアの独創的な会計処理はEUやNATOの法的精査に耐えられるよう緻密に設計されている」とも指摘し、国防支出増額を求める政治的圧力を軽減する方法=追加支出を最小限に抑える方法として「米国製システムの購入など『米国人が好む方法』の支出を増やすこと」を挙げて「GDP2.0%という数字は単なる基準に過ぎない」と付け加えた。
要するに「国防支出増額を求める最大の政治的圧力はトランプ政権で、その目的には加盟国が追加支出する資金を米防衛産業に引っ張ることが含まれているため、米国製システムの購入を増やすことで圧力を軽減できる=追加支出額をGDP2.0%未満の最小限に抑えられる」という意味で非常に強かな計算だが、これが上手くいくかどうかは蓋を開けてみるまで分からない。
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※アイキャッチ画像の出典:Photo by Dane Wiedmann
ジュゼッペガリバルディをインドネシアに売って、F-35Bを追加で買おう。
インドネシアはガルバルディを買うより、同クラスで今風にした軽空母(将来は無人機空母)にした方が、長い目で見てお得に思えるんですよね
40年も使った軽空母を再就役させても、そんなに長く使えないんじゃないかと
手本にして、自国で建造したいらしい。
ヴィクラントっていう空母がもうあるんだから、今さら骨董品の空母を手本にする必要はないんじゃないかな
ヴィクラント?
インドと勘違いしていませんか?
ボケですね。
突っ込まないと失礼だから
「それはインド海軍ですがな!インドネシアちゃいまんねん」
それはインド
流石イタリア!複式簿記の発明国としての面目躍如といったところですな!
EUはともかくNATOが会計基準に口を出すのは、ホントお役所だなあ。
まあつまりは、ロシアとの戦いに本腰を入れてまで備えるつもりはないって事で
あくまでもトランプ政権の間やり過ごす為だけの構想だね
次期政権も程度の差はあれど引き継ぐと思うけどね。
そりゃ南欧だから、地理的に関係がそこまで無いし。
ロシアがリビアの難民を爆弾にしてるけど、元を辿れば仏伊が資源求めて介入したのが始まっただから、自業自得だし。
GDP2.0%ならGDP出す計算式の数字に手を入れたら解決!
という方法だと思ってたのに
なぜ今年中にやりますって条件つけたん?
段階つけて数年以内に2%まで上げます言うて、3%にあげるかどうかをディールにかけたらいいと思うんだけども。
NATO加盟国は2014年に10年以内に国防費対GDP比2%にすることを合意してるんです。更に、2023年3月に「最低2%」とすることで合意しています。
それを踏まえた上で、トランプ政権は今年2月にNATO加盟国に対し「6月のNATO首脳会議までに全加盟国が達成する」ことを要求しています。ちなみに加盟32カ国中、3月時点で目標を達成しているのは23カ国とされています。
4月のトランプ・メローニ会談でメローニ首相は「年内の2%達成」を約束しました。イタリア政府にとっては、2%の壁が取りあえずの、しかし克服すべき喫緊の課題なんですね。
無い袖は振れないけれど、アトランティックの後継機種は必要なだけにP-8でも買っておくのがいいのかも
話の流れですと、他のNATO諸国と算定方式が違っていたのかな?。
仮にそうならば、特におかしなことではないのかな。
そうすると、国防費を少なめに申告していたと言うことになるのですが、
イタリア国内向けには都合が良かったのかな?。ひょっとすると日本も・・?。
今回算定方式を他国と揃えたのは、NATO全体として、動きがあるのかな?。
上で言っておられる方もいますが、3%目標を掲げるとか?。
仮に3%になったとして、ウクライナ武器援助を計算に組み入れたりするのかな?。
沿岸警備隊の敷地を掃除する費用も国防費として計上するという、お前それ費目めちゃくちゃやろという話だそうで
なんでもかんでも「国防費」のラベルを付けて積み増せばGDP2%達成!
なんだこれ
なるほど、です。
日本の場合は鉄道、自動車道、空と海の港など交通の維持建設費用を国防予算として計上し直せばかなりの金額になりますね。
ついでに公的勘定にしているか民間勘定にしているかだけで提供している機能は交通の維持ということで、公的と民間の支出を合算してGDP比として計算しちゃう。
JR系なんてもともと国鉄なんですし、その路線には軍事理由のものもありましたから。
詳しくあたっていませんが、交通事業者の支出額も国防費に繰り込めばGDP比5パーセントを日本はすでに達成していそう。それが正しいのかはともかく。
日本も防衛用道路に防衛用ダム、防衛用男女共同参画に防衛用こども家庭予算でGDP5%目指そう
防衛用土木機械、防衛用テント、防衛用野戦病院、防衛用医大も欲しいな。
防衛医大のキャリアパスはクソなので、卒後20年は医局人事に従う(だいたい普通の曹自衛官並み)代わりに年季明けにはふつうの医者として生きていけるような医大を作るのはアリでしょうかねえ。
僻地の自治体病院もどんどん防衛医大附属病院にしちまえ。
やはり鉛筆を舐める世界ですね。
NATO各国で、地政学的な環境があまりにも違いますから、イタリアは切迫感のない環境なわけです。
イタリアは他の欧州主要国に比して低調な経済状況が長く続いたということがあって財政的に余裕が無いという側面はあると思います。
現在の実質GDPはようやくグローバル金融危機前の水準に戻った状態で、110%以上に回復・成長している独仏西葡等周辺国と比べ低位に留まっています。国防支出の大幅増は可能な限り避けたい意向があるのでは。
まさに仰る通りです。
ポーランドのように、自国が地政学的に切実でなければ、予算を増やしにくいでしょうね。