米国の「Aviation Week & Space Technology」誌は、日本が独自開発しようとしている次期戦闘機「F-3」について、英国が主導する第6世代戦闘機「テンペスト」開発に「部分参加」する可能性が残されていると報じている。
参考:Japan Could Pick And Choose Components From Tempest
テンペスト開発に参加すれば日本独自のエンジンやアビオニクスを搭載できる?
日本は2020年度に着手する予定の次期戦闘機「F-3」開発で主導権を握りたいと考えているが、本音では戦闘機の開発経験が少ないため国際的な協力を望んでいる。
しかし、新たに防衛大臣に就任した河野防衛相は日米間の「相互運用性」を強調し、英国よりも米国との協力が優先させることを強調した。
日本が最も望んでいるのは米国との共同開発だが、米国側は具体的な提案をしておらず、仮に米国の防衛産業(ロッキード・マーティンやボーイング、ノースロップ・グラマン)と共同開発しても技術的に得られるものは無く、米国企業にとっては、日本の独自戦闘機開発を手助けすることは自分たちの利益を減らすことに繋がるだけなので積極的に日本を助けることはないとAviation Weekは指摘している。

引用:BAE Systems テンペスト
日本に残された選択肢は、英国が主導する第6世代戦闘機「テンペスト」プログラムか、ドイツとフランスが主導する第6世代戦闘機「FCAS」プログラムしかないが、テンペストは2035年前後、FCASは2040年前後の運用開始を目標に開発されるため、2030年前後の運用開始予定で開発が進められる日本の次期戦闘機「F-3」に最も開発スピードが近いのはテンペストということになる。
しかも、英国が主導する第6世代戦闘機「テンペスト」プログラムには「FCAS」に無い特徴があり、テンペストは開発参加国が独自性を盛り込むための概念が取り入れられている。
もっと具体的に言えば、日本は「テンペスト」プログラムに参加し、そこで得られた技術や機体に日本独自のエンジンやアビオニクス、搭載兵器を統合することで日本独自の戦闘機に仕上げることが可能で、開発費用も節約することができると言っている。
要するに、オープンなアーキテクチャを採用した第6世代戦闘機「テンペスト」プログラムに参加すれば、開発される機体に日本独自のアレンジを施すことが可能で、元々、テンペストはそのような概念を取り入れたプログラムだと言う意味だ。
テンペストプログラムに参加する英国の防衛企業BAEシステムズも、日本がテンペストプログラムを利用して独自の戦闘機を開発する利点を強調している。
Aviation Weekの言っていることには一理あるが、全てを鵜呑みにしてもいいかと言えば、そうではない。

出典: JohnNewton8 / CC BY-SA 4.0 パリ航空ショーで発表されたダッソーFCASのモックアップ
まず英国が主導する第6世代戦闘機「テンペスト」プログラムは2025年まで本格的な開発に取り掛かる予定はなく、2020年から開発に着手しようとしている次期戦闘機「F-3」とは開発スタートのズレがあり、さらに欧州では2つの第6世代戦闘機プログラムを統合しようと考えている勢力の動きもあるので、テンペストにしてもFCASにしても計画が流動的すぎてリスクが高い。
更に、複数の国が参加する共同開発に参加すれば、要求性能の調整で時間を取られのは目に見えており、これも計画がスケジュール通り進めるための障害なり、遅延したスケジュールはコストの増加を招くというのは、これまでの共同開発で幾度となく見られた光景だ。
既に、ドイツとフランスが主導する第6世代戦闘機「FCAS」プログラムでは参加国の対立が見え始め、英国主導の「テンペスト」も同じ問題がいつ起きても不思議ではなく、日本がもしテンペストに参加すれば2030年前後の運用開始は、高い確率で後ろへズレ込むことになるはずだ。
しかし、日本単独開発がベストかといえば、これはこれで問題がある。
日本の弱点は技術ではなく、運用者が将来の戦場を見越して必要な性能を先取りできるかに掛かっており、ここがズレれば後から機能や性能を盛り込み直すことになり、コストも時間も大幅に超過することになる点だ。
その点で言えば、戦闘機の開発経験が少ないという部分を国際協力で補うという発想は正しい選択だ。
ここで言う「戦闘機の開発経験」とは、単純な開発過程だけでなく、開発した機体が実戦に参加し、実際の戦場で得られた教訓やデーターを次の開発に活かすという所まで含まれており、日本は「実戦経験」という部分だけは、どうしても手に入らない部分なので仕方がないとしか言いようがない。
結局、どちらの道を選んでもメリットとデメリットが存在し、コストさえ無視できるのなら日本の独自開発に米国のボーイングやノースロップ・グラマンを参加させる方式がベストだろう。
※アイキャッチ画像の出典:Swadim / CC BY-SA 4.0 第6世代戦闘機「テンペスト」のモックアップ
いつものパターンだと、すったもんだした挙げ句に
欧州機はアメリカへの当て馬で、国産技術はお慰め程度に取り入れたら御の字の日米共同開発ないしアメリカ産戦闘機まるっと購入ってなるんだろうな
どっちみち、独自開発は技術と予算的に無理だろうからどこかには相乗りしないといけないけど痛し痒し
(「国際協力」を視野に)我が国主導の開発…だっけ、要するに国産で行くと決めて
共同開発の可能性がなくなって1年経つF-3の開発状況への無知と、
非白人にステ戦など国産できるはずがないという傲慢と、
お金のないテンペストちゃんを助けてくださいという懇願がないまぜになって
こういう居丈高な乞食(ニダ)みたいな記事が出てきちゃったんだろう
実際BAEの電子戦装置が手に入るのであればテンペスト開発に部分参加するというのは検討してみる価値はある。
日本は電子戦装置の開発が苦手と言うわけではないが、そもそも将来戦闘機に搭載する電子戦装置の要素技術の開発にまだ本格的には乗り出していないというのが正しいので、実績のあるBAEの技術が安く確実に手に入る上に実戦経験まで英国側が積んでくれると言うなら悪くない話に思える。
ただそんなに都合の良い話があるかというと…
将来戦闘機の本格的な開発が始まるのは来年以降ではあるがFCAS・テンペストと比べると開発が一番順調に進んでいるのは日本なので、日本側が不利な条件でテンペスト開発に参加する必要は全くないが検討してみる価値は間違いなくある。
あとソース元はトルコのTF-Xと韓国のKF-Xを日本の状況と比較してるあたり、海外ではそういう認識なんだなってのはよく分かったよ。
なら実戦経験積めば良いだけ。
基本的には金だけ出させて口を出させない立ち回りが必要。
今までの日本がお人好しすぎるだけ。
英国の実戦経験や先を見据えた戦場についてどの程度の知見を持っているのか。この点、米国が一番なような気がするが自国の商品買ってくれという流れになりがち。後は独仏のFCASだがこれは空中分解があり得る。論外じゃなかろうか。結局、自国開発になるのかどうか。
欧州は、米国に比べると大した先端技術がないし、
欧州の共同開発も、ユーロファイター、A400M、艦載防空システム等、皆各国の方針の違いで途中で物別でバラバラになったり、費用だけ掛かったりと上手く行ったこともなく‥‥。
止めた方がよいかと思う。
米国も次世代機開発はすぐ始められそうにないから、独自で国産しかないと思いますけどね。
試作機を早く作成して初飛行させるべき。本気であることを認識させないと状況は動かない。そもそもアメさんの圧力で政治的に開発不可かどうかも現時点では未知数。結果アメさんがガッツリと参加したり国産機自体がダメになっても、少なくない何かを交渉獲得できるハズ。現状でテンペスト計画に参加してもアメさんの機嫌損ねた上に条件面でも損するだけ。
実際にステルス戦闘機を開発・運用した実績があるのはアメリカだけだよね
ロシアと中国は実戦配備がこれからで本物のステルス戦闘機か未確認
試作機どころかコンセプトすらまとまってないんだよなぁ
てか、アメリカの圧力が無くても一線級の機体ができるかどうかはリスク高いと思うぞ
個々の分野では有望な部分もあるが、全体としては微妙というのが後のF-2になるF-Xに対する評価だったそうだけど、今も大して変わらんでしょ
レーダーとか素材系はまだ行けそうだけど、X-2をみてもDSIも装備してないし低RCS化技術でまず遅れをとっていると見るべきだし
エンジンも例えばF135を最先端と見るなら十数年遅れだし
そして何よりその辺りの最先端技術を統合した機体を作ったことがないってのが超ハイリスク
理解できるけど、やらなきゃ永遠に2流で追いつけない。完成された機体が世界最高峰である必要もなく、必要を満たせば良いだけだけ。核心は軍事的隷属状態の是正だと思われます。
仰る通り。必ず1番の性能を目指す必要はなく、日本は本気で開発する気があると内外に示すこと、まずは作り上げて後続へ流れを作ること。
DSIを装備したJ20やF35より、F22やYF23の方がRCSが著しく小さい様に、DSIの有無だけでRCSの大小は判断出来ません。
日本がDSI導入の姿勢を見せないのは、速度との兼ね合いではないでしょうか。
ちなみにATD-Xの実物大RCS試験模型のRCSは、「中型の鳥より小さく昆虫より大きい」と報道された事から判断すると、0.001~0.01㎡辺りになると思います。
0.025~0.1㎡辺りと言われてるF117や、それと同レベルと評されるJ20に比べると、一桁程小さそうです。
ダイバータ式かDSI方式にするかについては、平成20年頃から色々検討され、結果超音速域での安定性を優先してダイバータ付のもので進めることにし、平成26年度の「ステルスインテークダクトの研究試作」へと続いたようです。
ステルス性に関しては、トレードオフしても問題ないレベルの話で、大きな影響はないとのことです。
なお「トレードオフしても問題ないレベル」が、日本以外でも実現出来るか否かは、わかりません。
XF9-1がF135より遅れてる部分って、推力とかタービン入口温度でしょうか?
推力比は、XF9-1の値が今のところ不明な筈だから、判断出来ないと思うし。
推力に関しては、XF9-1の推力目標値はAB非作動時11t・AB作動時15t﹙達成済み﹚だけど、
XF9エンジンの将来推力は、AB非作動時13t・AB作動時20tと設定されてる様です。
タービン入口温度は、仰るように一世代分遅れてる感じですね。
DSIってS字ダクトを装備できない機体が苦肉の策で採用してるんってのが判っていない、X-2はあのサイズでS字を使っているからRCSがF-35以下になっている。
実はF35のエンジンが出力が大きいのは単発機だから双発に負けない推力を出すため位バイパス比を大きく設計してあるからでら推力は大きいが高速に弱い、マッハは1.8程度でロシアのTu160にちぎられる性速度能しか出せない。
F135エンジンのタービン入り口温度も2000KだからXF9-1の1800℃に達しない値。
F-35で凄いのは無理やりSTOVL性能を持たせたことだけ、後は気が利きすぎて間が抜けている状態。
DSIがステルス性に直接寄与する部分は、ダイバータの隙間部分を埋めている点だと思います。
DSIの突起部分もレーダー波の反射源ではあるので、程度問題の様ですが。
またSu-57は、ストレート気味のダクトですが、DSIではなくダイバータ付です。
レーダ・ブロッカーと混同されていませんか?
S字ダクトでも、浅い角度ではダクト内でレーダー波の乱反射する回数が減る → RAMに当たる回数が減る → レーダー波の減衰量が小さくなるので、S字ダクトでもレーダ・ブロッカーは必要な様ですが。
ちなみにX2のS字ダクトは「そんなに曲げてない」との事です。
X2で「ダクトの曲がりがキツくてエンジン吸気に問題発生」疑惑に対するダクト屋さんの反論らしいですが。
F135のタービン入口温度も2000Kって、日本版Wikiの誤記ではないでしょうか?
英国版では有効数字三桁扱いで
>Turbine inlet temperature: 3,600 °F (1,980 °C; 2,260 K)
となっています。
有効数字二桁と見なす場合は約2,000℃となります。
いらねぇ~……
アドーアの恨みを忘れちゃいないぞ?
F-Xでユーロファイター提案してきた時もそうだったけど、どうせ参加したら全ての技術情報寄越せっていうんだろうし
どっちかと言えば向こうがXF-9やAESAの技術欲しがってんだろ
F-3計画に参加させてやる事はあってもこっちが頭下げてあっちの開発に絡む必要性なんぞ微塵も無いわ
元々BAEが日本に提案してたのは、①国際共同開発、②日本の国産開発への支援、③タイフーンの改造、④タイフーンの販売、の4案。
①では、BAEサイドの言葉を借りると「主導的な役割を担うパートナー」を求めてた様だけど、今回の記事は少し②側に寄せた感じの①’ ですかね。
③④は日本的には論外なので、BAEからのアプローチは① ①’ ②の3案になるのかな。
F-35の戦闘システムに統合する事を想定しなおかつミーティアがベースのJNAAMは、戦闘システム周りを独立した完全国産にする場合F-3では運用出来ないって事になる
戦闘システムと電子戦装置は米英から協力を仰いだ方がいいと思う
電子戦装置は供与しないか
JNAAMは現状日本向け﹙他国は様子見﹚で、かつ共同開発で元データがあるのだから、あとはAAM4とかのように日本で統合作業するだけかと。
JNAAMの日本での統合を拒否したら﹙日本も他国への使用禁止するでしょうから﹚、使用可能なのが誰も居ない無意味な開発になるのでは?
JNAAMが日本専用という事はさすがにないでしょー、英軍も採用するのでは?
ソースを見た事ないんであれなんですが
共同開発とはいえ、オリジナルのミーティアのデータがまるっと開示されているとは到底考えられないし、原則F-35での運用を可能とするため開発されている事を考えたら米製の戦闘システム制御下が前提の統合作業が進められているわけでしょ
AAM-4のように日本で統合作業ってそんな簡単な話ではないと思うよ
日本専用というか、英国も含めて他国は様子見してるとの事です。
リンク
>このようにJNAAMには利点が多いが、英国等の「ミーテイア」ユーザー国は、当面は現在のシーカーのままで使い、開発の様子を見守る姿勢を崩していない。
>これは、日本は何事によらず開発に慎重で時間を掛け過ぎる傾向があると観られているためだ。
問題はここまで苦労して、予算もかけて、F-2と同程度の90機ぽっちだったら、本当に甲斐が無いという事だ
計画の進捗が遅いのや、米英企業側がそんなに乗り気でないとするなら、
「結局90機程なのだろ」という、意識を持たれているのではないか
日本が主となる開発に近い開発をすると言ってるなら、150機前後は生産してもらいたい
中共空軍の軍拡に合わせて、戦闘機の純増を将来は行うのだろうか?
F-2の3個飛行隊とは別に、航空偵察隊から解放される1個飛行隊の枠が余ってるね。
F-2後継機にその枠が回ってくるかは判らないけど。
航空偵察隊(正確には、偵察航空隊の第501飛行隊)から解放される1個飛行隊の枠>
残念ながら、その枠は既にF-35で決まっているよ(編成当初はF-15Jの予定)。
現状、将来の空自の戦闘機部隊の編成見通しは、既存のF-15J/MSIP仕様が約100機の4個飛行隊分、F-35Aは105機(内1機が既に墜落)の4個飛行隊分、F-35Bが42機の2個飛行隊分で、これにF-3(将来戦闘機)が3個飛行隊分で合計13個飛行隊分の予定。
但し、F-3の製造見込み数約90機の中には松島の第21飛行隊(F-2の訓練部隊)の分が含まれている可能性が高いけど、新田原の第23飛行隊(F-15Jの訓練部隊)の分が含まれていない様だ。
更にF-2調達の際に検討されたブルーインパルスと飛行教導隊(現在の飛行教導群)の所要分が調達出来るのなら、F-3の調達数はもう少し増える可能性がある。
F-35Bの42機が2個飛行隊なら、予備その他が2機ですか。
これだけ極端に少ないのですね。
F-35Bの調達数が2個飛行隊分の42機>
F-35Aの最初の調達数も42機(第301と302飛行隊のF-4EJ改後継分)だったし、いずも型護衛艦に搭載できるF-35Bの数が概ね10機程度である事を考えると、F-35Bの飛行隊は定数自体が他の飛行隊よりも若干少ない(通常の戦闘飛行隊の定数が18機+2機程度の予備機なのに対して、恐らく定数が14~16機+1~2程度の予備機で編成?)かも知れないですね。
22大綱の戦闘機12飛行隊・約260機﹙作戦用航空機約340機﹚に対して、30大綱は戦闘機13飛行隊・約290機﹙作戦用航空機約370機﹚と、戦闘機1飛行隊・約30機を純増予定。
ちなみにF4EJ + F15J/DJ + F2A/Bの合計は、平成22~24年度が361機。
F4EJの2飛行隊+α・63機、Pre-MSIPの3飛行隊+α・99機、合計5飛行隊+α・162機の置き換えが、F35A/Bで6飛行隊+α・147機ですか?
戦闘機の定数と飛行隊を増やすのに、実際の機数は15機減らすと。
予備機その他を35機程減らすのかぁ。
何だか余裕の無い組織になりそう。
もはや欧州の軍事産業は日本の足元にも及ばないな
日本から得られるものはないってAW&STは言うけど、そりゃF-2開発時に、炭素繊維複合材による一体構造主翼の技術を取得したからね。
それもライセンス料とは名ばかりの、タダ同然の値段でね。
炭素繊維複合材だけど、日本は次世代機向けに3次元織物複合材を新規開発しています。
各層をZ糸﹙厚み方向用の糸﹚で縫い合わせ、剥がす力に弱いという炭素繊維複合材の欠点を克服した手法。
研究段階が1994〜2003年、次世代を見据えてF2の開発後半時期に並行で進んでいた感じ。
今回の日本固有技術のひとつです。
三次元織物の炭素繊維ってのは凄いね、強度が大幅に上がる。F-2の教訓から開発したんだろうけど、こういうのは長年研究してるからこそできる技術。
これにエッジ部分に耐熱マグネシウムを使えばマッハ3で飛行できる機体も夢ではない。
美味い話には裏がある・・・とはいえまーたアメリカに搾取&技術盗まれるのは勘弁して欲しい。
英・米どっちの悪党とつるむ方がマシかっていう選択になるしかないのか・・・
なるべく不利益が少ない様にがんばれ日本w