GCAP開発を請け負うレオナルドの最高経営責任者は「英伊日が開発を進めるGCAPへのドイツ参加の可能性を歓迎する」「パートナーが増えることでより多くの能力と資金的支援がもたらされる」と歓迎したが、同時に「新たなパートナーの加入は2035年の配備時期に影響を及ぼす」と警告した。
参考:Germany welcome in GCAP, but new Leonardo boss warns about timing
参考:After FCAS demise, Germany’s options include ordering more F-35 warplanes
中止したフランスとの有人戦闘機開発に代わるドイツの選択肢は非常に流動的だ
フランス、ドイツ、スペインは将来戦闘航空システム(Future Combat Air System=FCAS)の共同開発を進めているものの、ダッソーがワークシェア配分の3ヶ国合意を無視した主導権を要求し、ドイツのメルツ首相が「このままではFCAS計画を続けられない」と、インドラのデ・ロス・モソス最高経営責任者も「我々とスペイン国防省はFCASに対する立場について完全に一致している」「計画に33%出資するのであれば33%の利益を受け取らなければならない」と述べ、フランス側にFCASのワークシェア比率を守れと要求した。

出典:AIRBUS
この問題は当初2025年末までに政治的解決策を見つける予定だったが、フランスとドイツの溝が埋まらず協議が難航し、両国はFCASの主要構成要素だった有人戦闘機=NGFを共同開発するかどうかで意見が分かれ、ダッソーは共通のNGFを、エアバスはフランスとドイツで別々のNGFを開発することを主張していたが、最終的に欧州の第6世代戦闘機開発は空中分解してしまう。
フランスのLa Tribuneは8日「奇跡は起こらなかった」「複数の情報筋によるとドイツのメルツ首相は6月10日に開幕するILA Berlin 2026でFCAS計画の終了を発表する見込みだ」と、ドイツのTagesspiegelも「仏独共同戦闘機計画は失敗に終わった」「ドイツ政府筋によるとメルツ首相とマクロン大統領はダッソーとエアバスによる戦闘機の共同開発に関して合意に至ることは不可能であるとの結論に至った」と報じる。

出典:Dassault Aviation
ドイツのディフェンスメディア=hartpunktも「ドイツとフランスはFCASの有人戦闘機を共同開発しない」「FCASの有人戦闘機部分以外の要素(クラウド・ネットワークや無人戦闘機など)は引き続き共同開発する予定だ」と報じ、ドイツのtagesschauも「ドイツはタイフーンの後継機計画に関してプランBを必要としている」「戦闘機開発の新たなパートナーを探す上で英国は候補から外れている可能性が高い」「英国は既に日本やイタリアとGCAPに取り組んでいるためだ」「新型戦闘機開発の新たなパートナー候補の一つとしてサーブを擁するスウェーデンが挙げられる」と報じた。
ドイツのピストリウス国防相も記者団に「我々は新たなパートナーを探している。それがどのようなプロジェクトなのか、あるいは誰の主導で行われるのかについて憶測を述べるつもりはない」と述べたが、9日にチェコのヤロミール・ズナ国防相と会談した際、中止したフランスとの有人戦闘機開発に代わる選択肢として「F-35Aの追加発注」「既存の第6世代戦闘機開発計画(GCAPのこと)への参加」「エアバスや他のパートナー企業と協力してドイツ主導の独自プログラムの開始」に言及。

出典:GlobalCombatAir
GCAP開発を請け負う伊レオナルドのロレンツォ・マリアーニ最高経営責任者はDefense Newsから「ドイツはGCAP計画に参加できると思うか」と尋ねられ「ドイツのGCAP計画への参加は政府が評価して決定すべき事柄ではあるが、GCAPに参加するパートナーが増えることで、より多くの能力と資金的支援がもたらされる可能性がある」「ただし、これが開発スケジュールやマイルストーンに影響を及ぼす可能性があることには注意を払う必要があり、適切なバランスを見出さなければならないことを我々は念頭におかなければならない」と回答した。
エアバスを中心とする独企業8社(オートフルーク、ディール・ディフェンス、ヘンゾルト、リープヘル、MBDA、MTUエアロ・エンジンズ、ローデ・シュワルツ)はFCASの有人戦闘機に代わる欧州製戦闘機開発のためILA Berlin 2026で「Team Gen 6」と名付けられた枠組みを立ち上げる予定で、Reutersも10日「エアバスは次世代戦闘機の推進に向けてスウェーデンのサーブとの提携の可能性を検討している」と報じており、中止したフランスとの有人戦闘機開発に代わる選択肢は非常に流動的だ。

出典:KNDS Deutschland
ちなみにドイツの動向に注目が集まるのは「国防投資のため無限に資金を調達できると評される債務対GDP比率の低さ」と「タイフーン後継機ニーズの多さ=推定150機前後」で、ドイツは非常に厳しい財政規律を緩和するため憲法改正(GDP比1.0%を超える国防支出を債務制限外として扱う例外規定)を行い、債務対GDP比率が60%前半台なので事実上「トリプルA格付けのドイツ国債で市場から資金を無制限に調達できる(他国には真似が出来ない資金調達能力という意味で本当に無限ではない)」と言われており、ドイツは2026年から2041年までの防衛装備品調達だけで4,002億ユーロ=約74兆円を投じる予定だ。
2025年に議会が承認した調達契約の総額は830億ユーロ=約15.1兆円に達したが、それでも本気になったドイツが予定している防衛装備品調達の1/4以下に過ぎず、仮に4,002億ユーロ全額を即時借入(実際には16年間に分散するため現実的ではない)しても債務対GDP比率は80%にも届かないため、まだまだ防衛装備品調達に資金を投じる余裕はあるものの「返済能力をどう維持するか」「防衛装備品調達への巨額な投資が生産性向上や経済成長に結びつくかどうか」も追求しなければならない。

出典:Bundeswehr/Patrik Bransmoeller
特に巨額の資金投資を必要とする有人戦闘機開発などはドイツ産業界や雇用に寄与することが求められるため、ドイツの立場では「資金があっても完成したGCAPを購入するだけ」という選択肢の可能性は限りなくゼロに近く、GCAPに参加する場合は出資比率に応じたワークシェアを確保できるかどうかが焦点になり、それが駄目ならドイツ主導の独自プログラムを立ち上げるだろう。
関連記事:独企業8社、欧州製戦闘機の開発に向けて新たな枠組みを6月10日に発表
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※アイキャッチ画像の出典:GlobalCombatAir





















ドイツはどんな戦闘機を所望してるんだろう
GCAPは「航続距離長め」「武器搭載量多し」な結構な大型機、になる見込みっぽいですが
「そんなに大きくない、中型クラスの機体がいいです」なんて言い出したら、絶対荒れる
FCASにおいては「無人機との協調を最重要視した比較的小型の管制機的な性格が強い機体」を主張していたと言われているので現在のGCAPの方針とは、合わないと思います。
正直、ドイツは小型機を求め続ける限り組める相手はスウェーデンしか存在しえないかと思います。
そうですよね
元コメントみたいな荒れるしかない要求を出して、GCAPも滅茶苦茶になりそうなら、「Team Gen 6」をスタートさせて、自分たちの好きな戦闘機を開発した方が、ずっと時間もお金も、外交も穏やかに進みますし
ワークシェアもドイツが主導できますし、ドイツからしたら「Team Gen 6」が一番に思えます
ここまで来ると、イギリスOUT、ドイツINして、必要な作業をイギリス企業へ発注する方が、開発早いんじゃないかと思ってしまうけど、ニーズが違うんだよな
個人的には、発電能力やエッジコンピューティング能力に劣る小型有人機をいまさら作りたがるドイツの発想は、いまいち分からない
日独伊三国同盟だけはやめて… T T
タコ食うもの同士で組みたいですね。
ジャガイモはノーサンキューで。
おっしゃる通り、発電能力にしてもCCAとの連携能力にしても、大型機のほうがメリット大きいと思いますが、小型を求める理由は何なんでしょうか?
F-35があれだけ苦しんでいるのを見て、小型にこだわる理由がわかりません。艦載機やVTOL機が必要な訳でも無いですし…
将来的な改良マージン取っておくにも大きい事はいいことだと思いますが
ドイツは主導的次期戦闘機開発する場合はジェットエンジンをどうするかですね。
歴史的経緯を見ればドイツ製戦闘機用ジェットエンジンの開発は悲願とも思われますので、そこに固執するのであればGCAPへの参加の可能性は薄いと思います。
逆に開発に自信がない、不必要と考えているならばGCAPに参加せざる得ないですよね。
エンジンだけアメリカ製は今の時世的に無いですから。
どのような結果になるかは判りませんが。
”SAAB” 社の自主性は残った方が将来の欧州軍需産業にとって良いのでは?。
ドイツ資本(とは限らない)に一方的に荒らされるのは良くないのでは?。
少し前の”コックムス” 社の前例もあるし。
SAAB社に第五以降世代機の知見がどのくらいあるか判らないけれど。
そろそろ「2035年のI配備祭祀」って目標は無理って認めて、対策を練った方が良さそうな状況ですね。
2035年の機体には、AAMの発射だけ使える機能限定バージョンにするか(さすがにハードウェアまで間に合わないなら、スケジュールを完全に見直すべき)、F-2の寿命延長(スクランブルの随伴機を無人化して飛行時間を節約)とか。
うわ、ひどいtypo…。
2035年のI配備祭祀」→2035年の配備開始」
未だに試作機すらないのに2035年配備なんて信じる奴は誰もいないでしょう。個人的には2040年も怪しいと思ってます。
そりゃ当初の予定ですら2030年にロールアウトなので…
CCAも中距離空対空誘導弾も2035年目途に開発中なんで。現時点で日本は2035年を諦めてないと思いますよ。
次善策としてF-35改を日米で進めるべきかな
これはGCAP関係無しにいずれ必要になるから
やっておいて損はしないと思う
F-35は15mの小型機体にいっぱい、いっぱい詰め込み過ぎて拡張性が殆ど無いから、改修もなかなか難しいんですよね。Block4の目処も遠いですし、実はアメリカの初期の方の機体は2040年代後半にはF-2とかと同じ材質の問題で引退が始まるのでそれも考えないといけないですし。
例のあの国以外にアメリカがそんな事許してくれますかね…
Block4>F-35改
まだ手隙のNG社にいってYF-23Jの方が可能性ありそう
去年の今ぐらい、「F-55」と言う謎戦闘機が話題になってましたな
ドイツはフランスと次世代ネットワークについては開発を続けるので、フランスも少し噛んでくる可能性もあるし、最も輸出に五月蠅い国。
さらに、機体・構造システム、アビオニクス、エンジン全てに権利を主張してくると思う。
大金出させて権利を認めないわけにもいかないし、非常に厄介な相手。
なまじ金と開発力があるから、カナダやインドより厄介な相手。
まあドイツがGCAPに合流することは多分ないので、そんな心配しすぎる事もないとは思いますけどね(イギリスのグダグダは心配しないといけないけど)
以前からドイツ本国側の報道を見るにsaab濃厚っぽいので
基本的には「サーブと共同開発」という話はGCAP参加のためのレバレッジだと思いますが
なにせドイツくんは意地っ張りですから、本当にそっちに邁進…それどころか単独開発に邁進するかもしれませんね。
茨の道だとは思いますが…。
ところで、フランスもスウェーデンに共同開発を打診する可能性も高く、
もしそうなればスウェーデンとしては、フランスとドイツの双方と電子戦装置などで部分的に協力をするというのが最もおいしいのではないでしょうか。
GCAP陣営としては、ドイツの単独開発ないしはスウェーデンとの共同開発という案が、どこまで本気で言っているのかをじっくりと確かめる場面ではないかと思います。
素直にユーロファイターかF-35Aを買っとけ。
どっちでも儲かるからね。
ジャガイモよりパスタが頼りになりそうな時代が来ようとは思わなんだ
いつ完成・実戦配備できますかね?
参加国が増えれば、また調整に時間がかかるかもしれないですし…
正直言ってGCAPシステムとかどうでもいい派なんで
早く確定モックアップを見せてくれと思ってる
現状のモッサリダサデルタなのか無尾翼か
韓土と変わらないSTDなF-22の亜種に戻るのか23の様な機動力とステルスに振るのか
いっそP-1を陸攻化して空対艦ミサイルの戦闘機での運用は諦める?
戦闘機はCCAとの連携で戦場ネットワークの作成と対空戦闘に特化させれば、後は対艦ミサイルの射程を延ばせばなんとか、
ドイツ「主導的役割が条件」 次世代戦闘機の共同開発中止で(共同通信)この条件でGCAPに参加は無理なので、門前払いされる。
そうですね。
これ、事実上の「ドイツはGCAPに参画しない宣言」ではないでしょうか?
カエレ>配備時期に影響
手詰まり感半端ないなぁ
完成するイメージがわかない
>「英国は既に日本やイタリアとGCAPに取り組んでいるためだ」
建前ぽく聞こえる。
本音は、予算組めない奴とは怖くて組めない、とかじゃないかな?
心に大きな棚を設ける質だろうし。
”Germany welcome in GCAP, but new Leonardo boss warns about timing”は、Defence News記者のタイトル詐欺の類のように思います。ロレンツォ・マリアーニCEOは、ドイツが加入できるかという質問に、ストレートにYesと答えていません。回答から、むしろ加入に慎重姿勢と読み解くのが自然かと。
GCAPの進捗は表立って出てきませんが、企業側がドイツの合流に慎重な(ガラガラポンを望んでいない)点を鑑みると、企業視点では2035年のマイルストーンに、ギリギリ間に合う目算があるのではないでしょうか。