欧州関連

ポーランド分のレオパルト2A4が3月末までに到着、但しスペアパーツ供給に深刻な問題

ポーランドのドゥダ大統領は「3月末までに14輌のレオパルト2A4がウクライナに到着する」と明かしたが、レオパルト2のスペアパーツ入手に「深刻な問題を抱えている」と付け加えた。

参考:Modern weapons are key to ensuring Ukraine’s defense, Polish president says
参考:Britain ‘warming up’ weapon output to help Ukraine, says defence minister

参考:Ministry of Defence told to pay £1.4 billion for faulty Ajax tanks

この状況を理解するのは難しいが「これが現実だ(ポーランドだけではなく他国も同じらしい)」とドゥダ大統領は述べている

NATO加盟国は「ドイツはレオパルト2のウクライナ移転を承認すべきだ」と迫り、少なくない加盟国が提供に関する合意が形成されれば「レオパルト2を提供してもよい」と主張もしくは示唆、米国がエイブラムスの提供に応じたためドイツも自国製戦車の提供や移転を容認、レオパルト2のウクライナ提供に賛同する10ヶ国を集めて連合体を組織して「4月頃までに40輌編成の戦車大隊を2個引き渡す」と発表していた。

出典:Ministerstwo Obrony Narodowej レオパルト2A4のエンジン整備を学ぶウクライナ人兵士

この戦車大隊の中身はドイツ主導のA6戦車大隊とポーランド主導のA4戦車大隊で、ポーランドのドゥダ大統領はCNNの取材に対して「ポーランド分の提供準備が整った。現在実施しているウクライナ人への訓練と合わせて1ヶ月以内に戦場へ向かう」と明かしたため、3月末までにポーランド提供分の14輌のがウクライナに到着するという意味だ。

但し、ドゥダ大統領はレオパルト2のスペアパーツ入手に「深刻な問題を抱えている」と付け加えており、この状況を理解するのは難しいが「これが現実だ(ポーランドだけではなく他国も同じらしい)」と述べている。

出典:Ministry of Defence UK

因みに英国のウォレス国防相は「春までに約束したチャレンジャー2がウクライナに到着するだろう。但し、約束した以上のチャレンジャー2を追加提供するには自国の安全保障を犠牲にする必要がある」と明かし、予算問題と合わせて「英国がこれ以上戦車の提供するのは難しい」と示唆した。

ウォレス国防相は安全保障分野に110億ポンドもの追加予算を要求して財務省と対立(特にAjaxプログラムへ14億ポンドを支払う問題が槍玉に上がっている)しており、ウクライナ支援のための予算確保にも支障がでているらしい。

関連記事:欧米がウクライナに約束した戦車提供、少数過ぎて作戦部隊に組み込むのが困難
関連記事:戦車のウクライナ提供が遅れる理由、保有する戦車の状況を把握していなかった
関連記事:ドイツ国防相、約束通りレオパルト2をウクライナに提供するのは難しい

 

※アイキャッチ画像の出典:Ministerstwo Obrony Narodowej レオパルト2A4の扱い方を学ぶウクライナ人兵士

チェコがウクライナ支援の内容を国民に公開、軍事支援の合計額は約4,700億円前のページ

作り物の熱狂、プーチン参加のウクライナ侵攻イベントに20万人以上が参加次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    ドローン戦争、アルメニア軍苦境はアゼルバイジャン軍のUAVが原因?

    アルメニア軍のロシア製防空システム「S-300PS/V」が、アゼルバイ…

  2. 欧州関連

    英空軍、第6世代機「テンペスト」と無人戦闘機導入でパイロット削減

    英空軍は2040年代までに有人戦闘機を操縦するパイロットを段階的に削減…

  3. 欧州関連

    クレミンナを巡る戦い、郊外に広がる森林地帯での戦闘は一進一退

    ウクライナ軍がリマン陥落後から約3ヶ月間も攻め続けているクレミンナ周辺…

  4. 欧州関連

    走行中射撃すら出来ない?時代遅れな戦車「チャレンジャー2」でロシア対抗は不可能

    英国の国防大臣、ペニー・モーダント氏は、英国軍の主要な装甲戦闘車両につ…

  5. 欧州関連

    ウクライナ国境の封鎖は19日目に突入、人道援助、LNG、ガソリンの輸送に支障

    19日目に突入したポーランド運送業者によるウクライナ国境封鎖の影響で国…

  6. 欧州関連

    戦闘機導入の相場、フランスのラファール導入が高額になる理由

    日本が導入するF-35の価格が適切なのか高すぎるのかという記事で、戦闘…

コメント

    • 774rr
    • 2023年 2月 23日

    2A4のパーツ供給無いんか。。。?
    運用国が多く数も多いのにね

    6
      • samo
      • 2023年 2月 23日

      いくつかは分解することになるのでは?
      もしくは稼働状態に戻すのが難しい保管車両をパーツ取り用として提供するとか。

      7
      • 名無し三等兵
      • 2023年 2月 23日

      だからこそ・・・だと思いますが。
      どこの国だってそんなに過剰にスペアパーツのストックなんて
      持ちませんよ、どちらかと言うと慢性不足気味なのが常態化して
      いるでしょうし、となれば元メーカーに供給頼るだろうし
      そのメーカーだって過剰在庫は持ちませんから受注生産でしょう。

      5
    • 兵長
    • 2023年 2月 23日

    在庫処分場所か…
    てかロシアが勝ったら日本どうなんのかな~
    ガス買え無くなるか。

    1
      • 名無しさん
      • 2023年 2月 23日

      ところが既にロシアは勝っても負けても戦後は経済立て直しのために
      資源を売りまくらなくてはならない状況なので
      むしろロシアの資源を安く買いたたける時代が来る事が決定してるというこれが実は予想外な
      だから欧米経済界のウクライナ支援の姿勢がちょっと揺れているのです

      5
        • ポンタ
        • 2023年 2月 23日

        もう販路が切り替わってインドや中国相手が主力になってるから安く買えるという事はない、ガスはお高いままだから諦めろ

        11
          • 名無しさんZ
          • 2023年 2月 23日

          誰が何を諦めるのかのはよく知りませんが
          インドや中国が安く買いたたいて高く迂回輸出する制裁逃れビジネスを
          戦後になってもロシアが自ら損をしたまま正常化させない世界観は想像できませんので申し訳ないです

          5
            • G
            • 2023年 2月 24日

            あと西側の対ロ制裁に参加していないトルコも天然ガスなどロシアからの輸入量が倍増していますし、中東の産油国がロシアから安い資源を買って産地ロンダリングして売ったりしていますね

            4
        • paxai
        • 2023年 2月 24日

        ロシアが稼ぐ為に資源販売量を増やすという事はないんじゃないかなあ。
        原油ならバレル50 採掘コスト20 利益30  日量1000万バレル
        よりも  バレル60  採掘コスト20 利益40 日量800万バレル
        っとまあ後者の方が儲かるからね。
        ロシアは経済立て直しの為にOPECに働きかけて協調減産すると思う。

        4
    • 名無し
    • 2023年 2月 23日

    >深刻な問題を抱えている
    >これが現実

    ウチんちのクルマやるから使いなよ!ヨーロッパで最高のクルマだぜ!と、威勢がいい西洋人が、いざ中古車譲るときに、ここまでネガティブなこと言うときって、
    間違いなく「とてもじゃないが乗るなんて不可能」なコンディションのときだからなあ。。。

    24
    • ぶた
    • 2023年 2月 23日

    そもそも何十年も前の設計の2A4でロシアのT72B3やT90などの比較的新しい戦車に勝てるのでしょうか?
    加えて記事にある通りスペアパーツ不足ということなので万全の状態で戦えず一方的にやられている映像などが出回らないと良いですが…

    6
      • AH-X
      • 2023年 2月 23日

      何十年も前の設計ならT-72も同じでは?T-90もその派生型ですし。

      8
        • 2023年 2月 23日

        話が全然違う
        A4は1980年代初頭からあるもので1990年代の真っ当に防御力について考えられたA5とは違うし新造は存在しない
        一方T-72B3はベースこそ1970年代であるもののB3は2016年のものでしかも新造
        T-90にしても1990年代以降だからA4よりは圧倒的に性能が上よ

        9
          • hoge
          • 2023年 2月 23日

          比較そのものが難しいのでは。 
          FCSやFLIR、主砲の性能はT-72B3の方が遙かに新しい分、上だろうけれども、一方で根本的なところ(コストダウン、軽量化のために後退速度や旋回半径、そもそものエンジンパワーに大きな差がある、砲塔の高さが低いので不仰角が足りない、ペネトレーターの長さに制限のある分離式の砲弾、周囲の警戒能力が劣り、維持整備の負荷が大きい3人乗り etc…)ので、強みを生かせるかどうかかと。
          一般的にFCSとセンサー、砲、砲弾の性能が優れているほうが有利だろうけれども。

          10
      • samo
      • 2023年 2月 23日

      T-72やT-90の分離砲弾じゃ西側3.5世代戦車の複合装甲は、正面からではまず貫通できないし、
      射程は完全に負けてるから、遮蔽物のない平原じゃ一方的にレオパルド2A4側が撃ち込めることになる。
      そもそも、ロシア側はT-72やT-90といった主力である現代戦車の半数を既に失っていて、
      もはや緊急復帰したT-62が主力に移り変わりつつある

      7
        • 2023年 2月 23日

        A4は対APFSDS防御は一切考えてないぞ?
        下手すると陸自の74式ですら正面から抜ける

        5
          • samo
          • 2023年 2月 23日

          根拠がよくわからない。
          T-72やT-90の弾の制限は説明している。
          近接して撃ち合うならまだしも、距離を取った状態で、T-90の砲弾でレオパルド2A4よりも砲弾性能で劣る状況で、レオパルド2A4の装甲を貫通できる距離までどうやって近接するの?

          7
          • nanashi
          • 2023年 2月 23日

          レオパルド2A4って拘束セラミック方式の複合装甲でしたよね
          エイブラムスやチャレンジャーに匹敵するレベルの防御力のはず…

          4
            • 半分の防衛費の国から
            • 2023年 2月 23日

            レオパルド2A4の装甲値は対徹甲弾の正面で車体420mm砲塔560mm対化学弾の正面で車体750mm砲塔1000mmだそうです。

            4
        • TMK
        • 2023年 2月 23日

        >>もはや緊急復帰したT-62が主力に移り変わりつつある

        戦車旅団の主力はT72やT90だよ。
        もうLPRですらT90に置き換えが進んでるのに。

        3
          • samo
          • 2023年 2月 23日

          戦車の半数失ってるって報道でたばかりですが

          9
            • 2023年 2月 23日

            ”動く奴”ね

            モスボールが数千両ある>T-72

      • Natto
      • 2023年 2月 23日

      双方の乗員の技量と上層部の投入のやり方次第でしょう。
      訓練不足で乗せて、地形や色々な条件を考えずにチマチマ投入すれば何を使っても同じ。

      4
    • せい
    • 2023年 2月 23日

    象徴的な意味合いが強いんかなぁ。
    まあウクライナにはロシアを削れるだけ削ってもらって、NATO内で軍備を整える方がいい気もしてきた。
    どうせこれ以上の支援はNATOの枠組みを外れると難しそうだし。

    2
    • 000
    • 2023年 2月 23日

    他人事ちゃうけど平和を戦争までの準備期間と捉えず享受し過ぎたツケが回ってきてるなぁ

    14
    • APFSDS
    • 2023年 2月 23日

    車体は引き渡すので、あとの責任はメーカーのあるドイツにしたい感じだろうかね。

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  2. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  3. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  4. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  5. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
PAGE TOP