欧州関連

リトアニアが戦車大隊の創設を決定、Leopard2A8とCV90の導入が濃厚

リトアニアでは陸軍再編に伴い「戦車大隊の創設」が提案されたものの、防空システムのニーズも浮上し「どちらを優先するか」で議論になっていたが、段階的な調達を行うことで戦車と防空システムの同時取得が決まり、これによりリトアニア陸軍初の戦車導入が確定した。

参考:State Defence Council takes key decisions on adding weight to the developed national division and Lithuanian assistance
参考:‘Can’t hinge defence on tanks’ – Lithuanian MoD calls for focus on air defence

調達する戦車はLeopard2A8だと報じられており、ドイツ、ノルウェー、オランダ、チェコも同戦車の調達を予定している

リトアニア陸軍は機械化歩兵旅団と志願兵や予備役に訓練を提供する国防義勇軍(予備旅団)の4個旅団で構成されており、バルデマラス・ルプシス中将は昨年3月「陸軍の編成を旅団から師団に再編する一貫として機械化歩兵大隊の1つを戦車大隊に変更することを政府に提案している」と、当時のアヌシャウスカス国防相も「Leopard2調達に関する意向表明書(LOI)をドイツ国防省に送付する提案を国防評議会に提出した」と明かしていたが、2024年に入ると防空システムのニーズが浮上。

出典:Admiralis-generalis-Aladeen/CC BY-SA 4.0

エストニア国営放送は4月「リトアニアのアヌシャウスカス国防相は予定されている戦車大隊を中隊規模で創設し、浮いた資金でNASAMS(2基)を追加導入したいと提案した。現行の計画でNASAMSを追加導入できるのは10年後になるため、リトアニア国防省は戦車よりも先に防空を強化したい考えだ」と報じ、この案に賛同したランズベルギス外相も「NATO諸国で最も不足しているのは防空装備なので国防省の提案は妥当なものだ。防空への投資は我々とNATOのニーズに合致し、今最も必要とされている。戦車は後回しでいいが防空は今直ぐ必要だ」と主張。

ナウセダ大統領は「旅団から師団への再編(2030年までに完成)を計画変更で遅らせるべきではない」と反対していたものの、リトアニア国防省は22日「師団への再編に向けてLeopard2とCV90の調達を決定した」「リトアニアはLeopard2の調達を段階的に進め、防空システムの早期取得も行う予定だ」と発表、リトアニア国営放送=LRTも「2030年までに中隊分の戦車を取得する」「2個大隊分のCV90を取得するためBAEとの協議を開始する」「ノースロップ・グラマンがリトアニアで製造する30mm弾はVilkasとCV90の使用出来る」「CV90の調達はリトアニアが要求するオフセットへの同意が必要だ」と報じている。

カシュウナス国防相は今回の決定について「NASAMSの追加調達を迅速化することを目的にしている。どのように戦争が推移し、どのように戦い方が変化し、どのようにウクライナで重装備が故障しているか、如何に空の脅威に対処することが重要か、NATO全体の防空能力に大きな空白と不足があるかを知っている以上、私は戦車大隊に防衛の多くを依存できないと考える」と説明しており、戦車大隊の早期編成よりも防空システムの調達を優先してきた格好だが、それでもリトアニア陸軍にとっては初めて戦車導入だ。

因みに調達する戦車はLeopard2A8だと報じられており、ドイツ、ノルウェー、オランダ、チェコも同戦車の調達を予定している。

関連記事:オランダが再導入する戦車大隊、Leopard2A8とUGVで編成される可能性
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※アイキャッチ画像の出典:Photo: SGM Marco Dorow, German Army

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コメント

    • Natto
    • 2024年 10月 26日

    レオパルド2は商品力強いなあ。
    銃だとグロックとかAR18みたいに定番商品を勝ち取ると陸上兵器は長く売れるね。

    14
      • 蘭花
      • 2024年 10月 26日

      ランカー嬢みたいな安定感がありますよね

      4
      • 戦略眼
      • 2024年 10月 26日

      それに引き換え、90式を廃棄処分とは。

      1
        • うまぴょい
        • 2024年 10月 27日

        90式モスボールするための予算をXで見た気がするんだけど、モスボールしないの?

        4
      • イーロンマスク
      • 2024年 10月 26日

      M2重機関銃「せやな」
      コルトガバメント「せやせや」
      BAR「ほんまやで」

      13
    • たむごん
    • 2024年 10月 26日

    リトアニアは、バルト三国のラトビア・エストニアと比較して、ロシア本国と直接国境を接していないため地政学的にマシと言えますからね。

    リトアニアは、ポーランドが隣国で陸上支援も見込めるうえに、スヴァウキ回廊が脆弱と言われていますがロシアとの間にベラルーシを挟んでいるからです。

    スヴァウキ回廊の確保を考えれば、戦車の戦力は心強いですが防空部隊も重要であり、限られた予算で何を強化するのかは非常に悩ましいですね

    9
      •     
      • 2024年 10月 27日

      エストニアの塹壕構築予算100億円とか。真面目に国を守る気があるのか怪しいな。塹壕の意義はドローンがあっても変わらないことが明白だったし。人口が少ないなら尚更のような気がするけど。実際は派手な兵器購入にお金投入。
      航空機は比較的早く来てくれるだから。優先順位はどうなんだ。相手国に近すぎると基地の運用が難しいし。

      1
    • 58式素人
    • 2024年 10月 26日

    レオ2はさておき。
    CV90とM2では、どちらの評判が良いのでしょう。

    4
      • ido
      • 2024年 10月 26日

      CV90は世界各国に採用されている歩兵戦闘車でウクライナでも高評価を貰っています。各種性能を比較しても全体的な性能はM2より上と言えるでしょう。他にもCV90は歩兵戦闘車を元にした装甲戦闘車ファミリーで迫撃砲型や指揮型、救護型、装甲兵員輸送車型があり拡張性があるのも強いですね。パトリア系統と違って歩兵戦闘車が元なので装甲は他のファミリー装甲戦闘車より硬いのも特徴です。個人的にCV90好きなので日本も採用して欲しかった()

      18
        • 戦略眼
        • 2024年 10月 26日

        120mm軽戦車型、40mm対空機関砲型もあるでよ。
        大抵のバリエーションがCV90で揃う。

        1
        • 無印
        • 2024年 10月 27日

        >CV90を日本に採用
        して欲しいですね、ただ24式ファミリーやAMVXP以上に高価な車両になってしまいそうですが

        共通装軌は何時目覚めるんでしょうね…
        噂じゃドローン対処機材開発のお手伝いやってるって聞きますが

    • 60t超え
    • 2024年 10月 26日

    需要に対応するためにドイツ外でのレオパルド2の生産工場建を建設する計画が確かチェコでしたかあった気がしましたが。
    大量に抱えているバックオーダーにラインメタル社どう対応するのか注視したいですね。

    9
    • 簀子橋
    • 2024年 10月 26日

    ドイツ連邦軍は一個旅団をリトアニアに配備する計画を進めています。
    2025年に新編されるドイツ連邦軍第45機甲旅団は第122機械化歩兵大隊、第203戦車大隊、NATOリトアニア多国籍大隊戦闘群により編制されます。
    第45機甲旅団に配備される戦車はレオパルト2A8になる予定です。

    3
    • 傍観者
    • 2024年 10月 26日

    他人の国のことがだが、誰と戦争する気なのかと疑う。翻って我が国はそこまで愚かだとは思っていない。政府・役人が賢明であることを望むのみ。

    3
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