ウクライナ戦況

リトアニアメディア、ウクライナにTB2を送るため購入資金を寄付で調達

リトアニアメディアはウクライナに「バイラクタルTB2」を送るための資金500万ユーロを寄付で調達、リトアニア国防省は「来週からTB2調達の手続きを開始する」と明かしている。

参考:В Литве собрали 5 миллионов евро на “Байрактар” для Украины
参考:Lithuanians raise $4.7 million to buy drone for Ukraine

TB2の機体のみなら500万ドル以下で機体を取得できる可能性が高い

リトアニアメディアは25日、ロシアの不当な暴力と戦うウクライナに連帯を示すためトルコ製UCAV「バイラクタルTB2」の購入資金500万ユーロを集めるキャンペーンを開始、多くのリトアニア人がウクライナを助けるためお金を出し合った結果84時間で目標額を到達した。

このキャンペーンは事前にリトアニア国防省、トルコ国防省、TB2を製造するBAYKARから「集めた資金でTB2購入が可能だ」という同意を取り付けているとリトアニアメディアは説明しており、リトアニア国防省はロイターの取材に対して「来週からTB2調達の手続きを開始する」と明かしている。

トルコのBAYKARが開発したTB2の調達コストは関連費用を含めたとしても530万ドル(モロッコ契約から算出した数字)程度で、ウクライナのようにTB2の運用環境が整っている国が追加購入するなら500万ドル以下で機体を取得できる可能性が高く、リトアニアメディアが集めた500万ユーロをドルに換算すると約470万ドル/約5.9億円なのでウクライナにTB2の機体だけを送るつもりなのだろう。

出典:U.S. Army Europe photo by Spc. Joshua Leonard

因みにリトアニアはウクライナにM113を20輌、軍用トラックを10輌、地雷除去作業用SUVを10輌、スティンガー、対戦車兵器、重迫撃砲、小銃、機関銃、手榴弾、弾薬、暗視装置、ドローン、カウンタードローンシステム、レーダー、ヘルメット、防弾ベストなどを提供済みで、金額に換算するとウクライナへの支援は総額1億ユーロに達しているらしい。

関連記事:5/23更新|各国がウクライナに提供している武器や装備のリスト
関連記事:用兵の巧みさが際立つウクライナ軍、バイラクタルTB2が活躍できる訳
関連記事:海上戦闘におけるTB2の威力は想像以上、UCAVは戦争を再定義する存在

 

※アイキャッチ画像の出典:President.gov.ua / CC BY 4.0

お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。

ブラジル陸軍の次期戦闘偵察車にイタリア、カナダ、中国が挑戦か前のページ

ウクライナ軍がヘルソン州で反撃、航空戦力も投入してロシア軍と交戦中次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    ウクライナで防空アプリが登場、ロシア軍の攻撃を防ぐ戦いに市民も参加

    ウクライナではロシア軍の巡航ミサイルや無人航空機の位置を軍に通報できる…

  2. ウクライナ戦況

    ロシア軍機はさらに燃える、シルスキー総司令官が非対称な対応に言及

    シルスキー総司令官も侵攻2周年を迎えた24日「我々はロシアの占領者に対…

  3. ウクライナ戦況

    侵攻587日目、戦場に目立った動きはなくウクライナ支援は変化の兆し

    ウクライナ軍とロシア軍の戦いは約2週間ほど「決定的な動き」が観測されて…

  4. ウクライナ戦況

    ゼレンスキー大統領が北方領土を日本領と発表、国際社会にも同様の決定を要求

    ウクライナ最高議会の決定を受けてゼレンスキー大統領は7日、ロシアによる…

  5. ウクライナ戦況

    アウディーイウカの戦い、ロシア軍がステポヴェ方向と街の南側で前進

    アウディーイウカ方面で新たに登場した視覚的証拠は「ロシア軍がステポヴェ…

  6. ウクライナ戦況

    米国が韓国製MANPADSを購入、これをチェコ経由でウクライナに提供?

    チェコのiDNES.cz誌は29日、米国が韓国から携帯式防空ミサイルシ…

コメント

    • ななし
    • 2022年 5月 29日

    現代の献納機だな
    機体に寄付した人たちの名前が書かれたりするのだろうか?

    24
    • 2022年 5月 29日

    軍事支援は継続が大事、そろそろTB2は数が少なくなってきていると思うので
    時宜を得た支援だと思います。協力国が慣れて関心を失うのが一番怖い。

    26
    • や、やめろー
    • 2022年 5月 29日

    ロシア軍は悪夢だな。しかしグラウドファンティングとは考えたな。

    8
    • ばいらくたる
    • 2022年 5月 29日

    バイラクタルに関しては、ウクライナでの現地生産の契約も結んだと記事にありましたが、戦時下で今は不可能なんでしょうか?
    それとも、ウクライナが得意な地下施設で生産を始めているとか?

      • ミリオタの猫(ロシア軍、架空戦記張りの大逆転をやるのか?)
      • 2022年 5月 29日

      契約を結んだと言っても生産体制やインフラが整っていない可能性が有りますし、何よりロシア軍の空爆やミサイル攻撃でハルキウの戦車工場等の各種工場もやられている現状では、戦時生産は不可能と見るべきでしょう。
      こうなると、台湾有事の我が国の場合も国産兵器の生産が中国からの攻撃下でも継続出来るのか不安が生じます。

      17
        •    
        • 2022年 5月 29日

        台湾有事で日本攻撃なんて如何に馬鹿げてるか今回の件で分からないのか

          • ポン
          • 2022年 5月 29日

          ?

          23
          • ミリオタの猫(ロシア軍、架空戦記張りの大逆転をやるのか?)
          • 2022年 5月 29日

          台湾有事の行方や日本の対応次第では、中国が日本を攻撃する可能性は有ると考えて対策を打つのは必要だと思いますけどね。

          27
          • や、やめろー
          • 2022年 5月 29日

          今回の件で台湾の話出ました?政府の行動次第では日本も攻撃される恐れがあるですが

          14
        • 戦略眼
        • 2022年 5月 29日

        在日の基地を米軍が使いますので、米軍が動けば自動参戦と同様になります。
        日本の産業も当然利用しますので、考える迄もなく攻撃対象です。
        因みに米軍は日本が攻撃されても、自動参戦ではありません。
        偏務的防衛義務です。

        5
          • 匿名11号
          • 2022年 5月 29日

          「結果的に参戦につながる」というのは「動けば自動参戦」とは違うのでは?

          そうだというなら、「日本の攻撃に巻き込まれる在日米軍は交戦が避けられない」から「自動参戦」になるのでは。

          1
      •       
      • 2022年 5月 29日

      キーウ郊外の工場だから可能であろ
      たまにミサイル飛んでくるかも知れんが

      • ばいらくたる
      • 2022年 5月 29日

      しかし、現地生産の契約をしたという事は、ウクライナ領内でも生産が可能だと判断出来る訳で。
      以前、トルコの輸出規制でバイラクタルの部品が枯渇するといった記事も有りました。核心部品の多くを欧米に頼っているのなら、それらをウクライナに支援すれば生産も不可能ではないのでは?
      兵器や軍事物資も欧米から持ち込めているなら難しい事ではない気もします。
      それに、旧ソビエトの都市には必ず巨大なシェルターが設置されているとニュースでも見ました。
      どこかの都市で地下工場を稼働させれば、長期戦に向けた大量生産も有り得るのではないかと…

      1
        • ミリオタの猫(ロシアは地獄に落ちるかどうかを考え中)
        • 2022年 5月 29日

        現地生産の契約をしたのと、戦時下でも生産が出来るかどうかは別の問題ですよと先の書き込みで書いたのですが、残念ながらご理解頂けなかった様です。

        まず、バイラクタルTB2のウクライナにおける現地生産を行う為にトルコと合弁会社を設立すると言う話が2021年に発表されていますが、これはその後具体的な話が流れて来ておらず、恐らく準備中の段階でロシアの侵攻を受けた為に中断している可能性が高いと思われます。
        更に、現在ウクライナはロシア軍による空爆とミサイル攻撃で工場が稼働出来るかどうかが怪しく、更に地下のシェルターはどこまで使えるのかが不明で、そもそもシェルターが工場に転用可能かどうかすら不明です。
        そして、ウクライナ国産の地対艦ミサイル・ネプチューンが露巡洋艦モスクワ撃沈以降姿を見せていない点を考慮すると、恐らくウクライナ国内で本格的な兵器生産をするのは困難であると考えざるを得ません。
        そうなれば、国産兵器製造用の資材よりも兵器や軍需物資を欧米から直接入手した方が良い訳です。

        3
    • 通りすがりのななし犬
    • 2022年 5月 29日

    人口270万人ほどの国なのに、136億円以上をウクライナのために拠出しているのか。他人事ではないからだろうね。ロシアに対する不信感と恐怖がひしひしと伝わるように思う。

    26
    • お名前欄太郎
    • 2022年 5月 29日

    >>500万ユーロをドルに換算すると約470万ドル
    重箱の隅をつつくような発言で申し訳ないですが、換算間違えてません?ユーロのがドルより高かったような、、、

      • ブルーピーコック
      • 2022年 5月 29日

      約470万ドルで合ってますよ。円換算ではそうですけど、記事内ではドル↔ユーロですので。

        • バーナーキング
        • 2022年 5月 29日

        どーゆー事でしょう?
        円換算での相場と直接の相場で極端に違いが出るとは思えませんが…。

        (参考)
        米ドル(1 USD) 126.4円
        ユーロ(1 EUR) 135.2円
        ユーロ(1 EUR) 1.07 USD

        3
          • ブルーピーコック
          • 2022年 5月 29日

          ドル円とユーロ円ではユーロ円の方が高いという意味で書いたつもりでしたが、見返してみると雑な返しでした。すいません

  1. ウクライナにドローンを寄付して撃墜した戦闘機の破片で作ったキーホルダーを貰おうというサイトがあった
    本当かどうかわからんけど、もうなんでもありだな

    1
      • NATTO
      • 2022年 5月 29日

      バイラクタル封じの電子妨害がロシア側はやり易い戦場になっているんじゃないかと過去記事を見て思った。

      • kitty
      • 2022年 5月 30日

      戦闘機を撃墜可能なドローンってウクライナ持ってたっけ?

      1
    • ブルーピーコック
    • 2022年 5月 29日

    量産効果で2機送れんもんかね

    • 浅見真規
    • 2022年 5月 30日

    今までウクライナ軍はロシア軍の長射程ロケット・ランチャー(MLRS)に苦しめられてきましたが、バイラクタルTB2が十分にあれば破壊できます。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  2. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  3. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  4. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  5. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
PAGE TOP