欧州関連

MBDA、HIMARSやM270で使用可能な巡航ミサイルJFS-Mを発表

MBDAはベルリン航空ショーでHIMARSやM270で使用可能な合同火力支援ミサイル(JOINT FIRE SUPPORT MISSILE/JFS-M)を発表した。

参考:JOINT FIRE SUPPORT MISSILE (JFS-M)

精密ストライクミサイルに競合するMBDAの合同火力支援ミサイル、MLRSは火力投射範囲の拡張に便利なプラットホーム

MBDAが発表したJFS-Mはドイツ陸軍向けに開発された間接攻撃のオプションで、米国製の多連装ロケットシステム(HIMARSやM270)が使用するランチャーで運用が可能な巡航ミサイルだ。

MBDAの説明よるとJFS-Mはアクティブシーカーとパッシブシーカーの両方を搭載することができ交戦範囲は1km~300km以上、ランチャーに最大2発搭載することもできるが従来のロケット弾と混載することも可能で、HIMARなら最大2発、M270なら最大4発搭載することができるらしい。

つまりHIMARSやM270で使用可能な地対地ミサイル「ATACMS」や、現在開発を進めている精密ストライクミサイル(PrSM)と競合するシステムで、戦場認識力の拡張に伴う火力投射範囲の拡張に対応した兵器だ。

近代的な防空システムが接近拒否を実現する戦場を航空作戦でどうにか出来るのは敵防空網制圧 (SEAD)を実行できる米空軍ぐらいで、これさえもA2/AD戦略に多額の投資を行ってきた中国相手に通用するのか怪しく、センサーとシューターの分離=損耗が容認できるセンサー役と接近拒否の外側から目標に到達可能な攻撃手段の組み合わせが今後の戦いで主流になる可能性が高く、イスラエルのRAFAELもユーロサトリ2022で第6世代に相当するSPIKE NLOSを発表している。

新しいSPIKEは地上発射でも32km先(空中発射なら50km先)の目標を攻撃可能で、発射後の目標指示や飛行制御を戦場の他の部隊にシームレスに引き継げる能力を生かしてセンサーとシューターの分離を実現しており、火力の長射程化は今後のトレンドになるのではないかと管理人は思っている。

関連記事:中国をミサイルで包囲する米陸軍の計画、同盟国の協力が得られない
関連記事:エジプト、ブラジルから対地用の巡航ミサイル「AV-TM300」を調達か

 

※アイキャッチ画像の出典:MBDA

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コメント

    • ナイトアウル
    • 2022年 6月 28日

     陸上発射で30キロ以上の遠距離攻撃能力はこれから熱いとは思うが、まる。射程が延びても敵を見つけられないとか誘導妨害されてそもそも当たらないとかあるので、そこはどのようになっていくかな?妨害に強いUAVやINS +画像認識AI弾頭とか当たり前になってくるか。

    1
    • ido
    • 2022年 6月 28日

    ウクライナ侵攻のことから未だ榴弾砲などが一番ということが分かりましたから射手を伸ばしたMLRSが多くいるんですかね。

    4
    • 2022年 6月 28日

    EU製の兵器は有事の際に供給されるか分からんからもう買おうって気にはならんね
    特にドイツが絡んでる兵器は

    8
    • 伝説のハムスター☆☆☆
    • 2022年 6月 28日

    仮想敵国と経済的に密接な国は武器の供給が不安定で、供与や輸出してくれたとしても武器の納入で停戦を促させられる可能性がある
    中立を掲げるスイスは論外、融和的で利害関係の少ないフランスやドイツも好ましくないってウクライナが教えてくれたから良さそうな兵器でも欧州から導入が出来ないのが辛い

    7
    • WSO
    • 2022年 6月 28日

    ドイツガー言ってる人は自衛隊の陸海空うさでんの全ての装備が国産化率100%じゃないと安眠できそうにないな。それともアメリカは大丈夫と妄信しているのだろうか?

    4
      • ido
      • 2022年 6月 28日

      なぜそうなった?別にドイツ製でもいいと思うが今回のロシアウクライナ侵攻でドイツが下手に立ち回ったせいでドイツの評価が変わってるだけ。

      18
      • 2022年 6月 28日

      少なくともアメリカはウクライナにとんでもない量の支援してますから、ドイツとは比べることもできないかと。

      13
        • WSO
        • 2022年 6月 28日

        日本の国防上のアメリカの協力や関与の話と、アメリカがウクライナ戦争で何をしているかという話は本質的な関連性は何もないですよ

        5
          • a
          • 2022年 6月 28日

          関係無い話してんのお前じゃね?
          ドイツとアメリカの信用性に何の関連性が有るんだよ
          全く別の国だぞ

          4
            • WSO
            • 2022年 6月 28日

            お前呼ばわりは不愉快ですが。いったいなんでそんなに怒ってるんですかね。私のことがそんなに気に入らないんですかね。それともそんなに腹が立つ我慢ならない意見なんですかね。

            梯子を外す可能性があるのはどこの国だろうと本質的には同じだろう、米国製兵器を多く採用している我が国はアメリカに梯子を外された場合は影響甚大だろう、それは常に意識しておくべきじゃねーか?と言っているんだが、まぁ、いいわ。ちなみに、私は「ドイツとアメリカの信用性に何の関連性が有る」とも無いともンなこと一言も言っていない。むろんドイツとアメリカが同じ国だとも思っていない。ドイツはヨーロッパの国だ。米国は北米大陸の国だ。

        • もり
        • 2022年 6月 28日

        このblogすら都合のいい記事以外読んでなさそうなコメ

        4
    • せい
    • 2022年 6月 28日

    宇宙開発でミノフスキー粒子とか見つからんかなぁ。

      • 無印
      • 2022年 6月 28日

      ミノフスキー粒子があっても、交戦距離を長くしようとする流れは変わらないと思う
      ガンダム劇中でも、宇宙から地上を狙い撃つようなMSが出てくるぐらいだし

      2
        • kojima
        • 2022年 6月 28日

        ガンタンクの射程からしてバカげていますからね…

        4
    • 黒丸
    • 2022年 6月 28日

    日本の場合、このような兵器は地上だけでなく洋上の目標も同時に相手にできないと
    有事において使えないと思うんだが
    砲兵の射程を超える距離で自在に海陸の目標を攻撃できる誘導兵器は
    今現在、兵器として存在するのものがあるのでしょうか?

    • 匿名
    • 2022年 6月 28日

    >>日本の場合、このような兵器は地上だけでなく洋上の目標も同時に相手にできないと
    有事において使えないと思うんだが

    全くそうは思いませんけど
    陸自の火砲全否定ですかい

      • 黒丸
      • 2022年 6月 28日

      敵側の火砲や艦砲の射程圏外から利用できる長射程の多目的誘導弾みたいなものがないと
      陸自は対艦ミサイルと対地ミサイルの両方を準備しなければならないし
      ただですら決断の遅い日本の政治家なので、いずれの部隊でも上陸予想地点に展開できるまで
      時間がかかり発射装置が現地に届かない可能性もあると思います。
      非誘導弾だと民間に損害与える可能性あるので、最初の内は使いずらいだろうし
      陸自の火砲を否定するつもりはないが、相手より遅い決断で敵上陸を迎える可能性がある以上
      日本の実情に合ったなんでも目標にできる長射程の誘導兵器が必要かと考えております。

      3
        • 匿名
        • 2022年 6月 29日

        MPMSや中多みたいな対戦車・舟艇じゃなくて敵艦船が目標になるとそもそも弾頭変えないといかんでしょ
        先進対艦・対地弾頭(これらはそれぞれ別物)を対艦ミサイルに載せるのでは?という推測はあったけど

        1
    • 名無し
    • 2022年 6月 29日

    逆になんで今まで無かったのか気になる
    ATACMSで1.7tくらい、トマホークが1.3t、200km飛ぶという12SSMで700kgくらい
    MLRSコンテナに収まれば作れないことはないだろうし
    単に地上発射型巡航ミサイルの必要性が無かっただけかな

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