欧州関連

MBDA、低コスト巡航ミサイルや戦車砲発射型ミサイルをDSEIで披露

MBDAは9日「DSEIでディープストライク向けOne Way EffectorのCROSSBOWを披露する」と発表し、これは実質的に自爆型無人機もしくは低コスト巡航ミサイルに分類されるシステムで、戦車の生存性と戦闘効率を向上させる戦車砲発射型ミサイルも披露される。

参考:MBDA launch CROSSBOW™ the ONE WAY EFFECTOR HEAVY at DSEI
参考:MBDA to show tank gun-launched missile, cheap cruise missile at DSEI
参考:DSEI 2025: MBDA introduces NLOS Akeron 120 MBT missile

ウクライナ戦争の教訓に基づいて開発したAkeron-MBT120は戦車の生存性と戦闘効率を向上させる

MBDAは5月のパリ航空ショーで「低コストで長距離飛行が可能な高強度戦争向けOne Way Effector(弾頭40kg、ジェットエンジン駆動、最大到達範囲500km)」を発表、これは「一方通行」もしくは「使い捨て」の兵器システムを意味し、MBDAも「ウクライナでの経験に基づいた消耗戦戦略で大量使用による敵防空能力の飽和を目的にしている」と説明している。

出典:MBDA

つまりOne Way Effectorは「無視できない着弾時の破壊力を備えた使い捨ての囮無人機」で「敵防空能力を飽和させるソリューション」と呼ばれることもあるが、MBDAは9日「DSEIでディープストライク向けOne Way EffectorのCROSSBOWを披露する」と発表し、これは「敵防空能力を飽和させるソリューション」ではなく「目標破壊を目的にしたソリューション」で、実質的には自爆型無人機もしくは低コスト巡航ミサイルに分類されるシステムだ。

CROSSBOWは全長5.3m、翼幅3m、ジェットエンジン駆動、最大到達範囲800km、モジュール式ペイロード300kg、ナビゲーションにも衛星航法、慣性航法、自律的な画像ベース航法を採用し、既存の軍用及び商用向けサブシステムを活用することで「低コスト」と「量産性」を両立しており、MBDAは「2025年第4四半期に実証実験を開始する」「早ければ2026年第2四半期からの大規模生産が可能」「CROSSBOWのコストの顧客が要求する構成に左右される」と述べている。

因みにMBDAは「ウクライナ戦争において両陣営の戦車は高性能砲弾を盲射する即興攻撃を行っている」「この教訓に基づいて120mm戦車砲弾の仕様に準拠(全長1m未満/重量約20kg)する対戦車ミサイル=Akeron-MBT120を開発した」「Akeron-MBT120は特別な改造なしで車内の弾薬庫に収納することができる」「Akeron-MBT120はデータリンク内蔵ケースに収められレオパルト2やチャレンジャー3で弾薬を認識できるようにする」とも言及し、DSEIでCROSSBOW、Akeron-MBT120、Spear滑空バージョン(Spearのジェットエンジンと燃料を運動エネルギー貫通弾に変更した低コスト対地攻撃兵器)を披露するらしい。

関連記事:注目が高まる安価なドローン迎撃専用ミサイル、SAABもNimbrixを発表
関連記事:パリ航空ショーが開幕、初日から人気の高い無人機関連の発表が相次ぐ

 

※アイキャッチ画像の出典:MBDA

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コメント

  • コメント (20)

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    • SB
    • 2025年 9月 10日

    こういう低価格の長距離兵器って何で今まで需要無かったんだろうね
    囮目的ならADM-160みたいなデコイがあったし、敵の防空網を飽和させるって意味ならSEAD機(F-18EとかF-35A)にGBU-53とAARGM-ER乗せて、小型爆弾で飽和させながら本命の対レーダーミサイル叩き込むって構想は普通にあった

    想像だけどイスラエルvsイランみたいに一度航空機で実質制空権確保してしまえば、ドローンだの低価格の誘導兵器よりも遥かに安いJDAMを航空機からバラ撒けるって想定だったから単純に需要が無かったんかな
    あとは単純に予算と企業の薄利小売しても旨味がない問題

    11
      • イーロンマスク
      • 2025年 9月 10日

      安い終末誘導装置ができなかったんだと思う

      11
      • ののの
      • 2025年 9月 10日

      「互いに防空網を突破できない泥沼の長期戦を何年も続けて、先に弾切れした方が負けみたいな経済的合理性のない戦争をおっぱじめる国がいるわけがない」と思われていたからでは
      現実には居た訳ですが

      46
      • nachteule
      • 2025年 9月 10日

       そりゃどこの国も低価格で大量に投射するような戦場なんて考えられなかったのとコンセプトはあったけど理由があって断念したからでしょう。作って一番大きな問題はリアルタイムでのターゲッティングでしょうし仮に作ったとしてどこかの国が大量に配備したりテロリストとかまでに広がったら結構な地獄だと思うけどね。
       あと大量に作ると言う事は管理も伴う訳でその負担なんて大して事無いと考える人なんて居ないでしょう。昔だったら数百がせいぜいだった巡航ミサイルが突如千発単位で管理しろとか場所の確保とか基本的な攻撃に対する防御だったり問題も大きくなってくる。 

       ただ何も無くてもラピッドドラゴンみたいな物が当たり前になってくると、どこかの時点で大量に投射するなら安価な巡航ミサイル作ろうって話にはなっていただろうとは思う。

       ビンラディン暗殺時のトマホーク使用とか飛翔時間の長さで逃した時もあったし、長距離兵器を使うと言う事は国境をいくつもまたぐ可能性すらある訳で単純に許可なんて下りない事だって有るし、別の世界戦で開発されて有ったら合ったで制限だらけで使いづらいとか言われていたかも。露宇戦争みたいな事態があるって危機感が無ければここまで広がる事がないとしか。

       

      7
        • kitty
        • 2025年 9月 10日

        ウクライナ戦争は、もう知っている古い戦争は起こらないという予想を覆したのと、誰も知らなかった新しい戦争の形が両方とも同時に起こったのがなんとも。

        21
      • p-tra
      • 2025年 9月 10日

      根本的には対空兵器を甘く見てた、に尽きるんじゃないすか。
      スタンドオフ攻撃は金かかるから出来れば調達したくないし、
      おっしゃるように制空権取ればいいんだろって甘い想定してた。
      第ナントカ戦闘機とか言って戦闘機同士の空中戦には随分
      投資もしてた訳で、自信も付けてしまった。
      実際は対空兵器が強すぎてまともに運用されると空軍自体が
      戦場から締め出されかねない、今になってその可能性を
      皆が真面目に考え始めたって感じだろう。
      イスラエルだけは実際に制空権取っちゃったけど。

      4
        • nednir
        • 2025年 9月 10日

        いや朝鮮戦争以来ずっと西側諸国は航空優勢取ってましたから……
        それにおおまかに西側でも日本やスウェーデンなんかは、自国の陸軍が動くときには制空権取れてない前提のような
        じゃあ航空優勢取れない前提の東側はというと、戦略兵器と対艦攻撃で手一杯なのでそれどころじゃない

        4
    • kitty
    • 2025年 9月 10日

    戦車がNon Line of Sight ミサイルの発射母機になるのか。
    AESAレーダー付きのAPS装備といい、戦艦の衰退路線に近いものを感じるな。

    3
    • 朴秀
    • 2025年 9月 10日

    主砲から撃つミサイル…旧ソ連が好きな奴ですね

    11
      •  
      • 2025年 9月 10日

      シェリダンの事もたまには思い出してあげてください

      14
        • kitty
        • 2025年 9月 10日

        MGM-51 シレイラのwiki見てたら、88000本も生産したんですね。
        どれだけ使用されたのやら。

        6
      • 黒丸
      • 2025年 9月 10日

      戦車砲から発射する対空ヘリコプターミサイルというのが
      過去には存在したような記憶が

      1
    • HEAT信奉者
    • 2025年 9月 10日

    ついに先進国もイラン(とフーシ派)が運用するコッズ1をコピーする時代か
    でもよく考えたらコッズ1ってkh-55の劣化簡易版だし源流はソ連製か

    2
    • p-tra
    • 2025年 9月 10日

    遠くからミサイルを撃つだけ、それは戦車と言えるのか?
    という疑問は感じるが…現実に即したアイディアだとは思う。
    「戦車」という言葉も、「駆逐艦」みたいにもはや実態を言い表し
    ていない、慣習的に過去の呼称を使い続けているだけの言葉に
    なっていくんだろうな。
    あとGPS+INSのGLSDBがあんだけジャミングに弱いゴミみたいに
    言われたのに、こういう低価格巡航ミサイルはいいんですかね。
    誘導は同じレベルだろうから同じくジャミングに弱いのでは…?
    シャヘドが許されるんだから今更なのか?
    (じゃあGLSDBの何が悪いんだ、射程が短い?)

    1
      • nednir
      • 2025年 9月 10日

      この crossbow についても、この記事や DESI についてのニュース見た感じ GPS / INS に追加で、終端誘導装置と AI 使った画像照合飛行があるようです。(どちらも可視光・赤外線使ってるとしたらセンサーやプロセッサは共有かもしれないです)。どうしてこういうのがポンポン出てくるかと言えば半導体やソフトウェアの進歩で安価・小型になったからでしょうね。

      GLSDB もダメってことはないでしょうけど、ロシアみたいな電子戦能力が高い相手を想定してなかったらしょうがないです。改修も技術的には可能でしょうけど、アメリカの官僚プロセスの速度感だとどうでしょうねえ……、ベンチャー企業とはまるで反対でほんと極端に感じます。

      3
      • hoge
      • 2025年 9月 10日

      ロシアはリモコン操作のT-72ベースの陣地突破用の戦車を作っているようなので、被害前提の無人車両と有人の目視外戦闘、ドローンや無人車両の管制に特化した車両に二極化していくのでは。

      • Mr.R
      • 2025年 9月 10日

      海自「ウチの艦艇は誰が何と言おうと駆逐艦だから!」

    • Mr.R
    • 2025年 9月 10日

    安価で数を揃えられてそれなりの破壊力がある兵器。
    そrがそんなに要らなかった時代は平和、とまでは言わなくても今よりはマシだったんやなって···

    4
      • hoge
      • 2025年 9月 11日

      ドイツなんかかつてはロシアの天然ガスを安く買ってウハウハだったのに
      (しかもロシアはお付き合いでノルド・ストリーム2まで拡張した)
      自分で自分の足を切り落として案の定経済が沈没
      経済対策を兼ねてという安直な思考で防衛産業に社会資本を投下、対露関係はますます悪化し(IQ3のサボテン並か?)
      対米依存は深化、ますますアメリカから高く天然ガスを売りつけられる
      国を滅ぼす愚劣な統治者の典型例〜

      フランス、イギリスも国内で起こってることは大して変わらんな
      フランスなんか農家の不満を買ったらその政治家は終わりというめっちゃわかりやすい指標があるのに
      なぜロシアの肥料をパージできるのか……コレガワカラナイ

      国内の不満を抑制するためのロシア脅威論
      防衛産業への投資という怪しい経済対策
      既得権益と化してしまえば軌道修正は難しい
      デ スループに自ら嵌りに行ってどうする……

      こうして使われるべきでなかった分野に資金が投下され続け
      路上で連れ去られた市民の命がウクライナの地で散っていく
      ついでに南米の麻 薬カルテルへドローン技術も拡散し、麻 薬も世界中に散っていく
      割を食うのはいつだってノーバディ

      普遍的な真理は、戦争によって「何か儲かる・メリットがある」みたいな思考をするのは狂 人か
      「この戦争で確実に(俺だけは)儲かる!」という言葉を上手に他人へ伝えられるペテ ン師だけってこと
      何もかもNATO東方拡大を推進してきた狂 人とペテ ン師連合のおかげです

      本当に、本当にありがとうございました

      3
        • kitty
        • 2025年 9月 11日

        NGワードチェックをどれだけ掻い潜れるかチャレンジみたいなリリックですね。
        割を食うのはノーバディは本当に意味不明ですけど。

        4

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