欧州関連

首都に迫るアゼル軍、ナゴルノ・カラバフ側がシュシャ陥落を認める

アルツァフ共和国(旧ナゴルノ・カラバフ自治州が独立国だとして名乗っている国家名)の報道官は9日、首都ステパナケルト近郊の都市シュシャの支配権を失ったことを認めた。

参考:Վահրամ Պողոսյան/Vahram Poghosyan
参考:It is my post, my Facebook page wasn’t hacked

アルツァフ共和国側が首都ステパナケルト近郊の都市シュシャを失ったと認めるも、アルメニア国防省は戦闘継続中

アゼルバイジャンのアリエフ大統領は8日、ナゴルノ・カラバフ地域の都市シュシャを解放したと発表したと発表したが、アルメニアもアルツァフ共和国もシュシャでの戦闘は続いているとしてアゼルバイジャン側の「シュシャ解放宣言」を否定していた。

シュシャは首都ステパナケルトを見下ろす位置にあり直線距離で5kmほどしか離れていないため、ここを失えば首都へ繋がる補給路と首都防衛のための砦を同時に失うことになる。

そのためシュシュをアゼルバイジャン側が抑えたのか、アルメニアとアルツァフ共和国側がアゼルバイジャン軍を撃退したのかに注目が集まっていたが、アルツァフ共和国のVahram Poghosyan報道官は自身のFacebook上でシュシャの支配権を失ったとを認め「敵はステパナケルト近郊に迫っており首都の安全が脅かされている」と訴えた。

Հանրապետության նախագահի այսօր արած գրառումը հանրային շրջանակներում անկումային որոշակի տրամադրություններ է առաջացրել: Դա…

Վահրամ Պողոսյան/Vahram Poghosyanさんの投稿 2020年11月9日月曜日

※アルツァフ共和国のVahram Poghosyan報道官のFacebook

アルメニア国防省は現時点でシュシャを失ったことを認めていないが、アルメニアメディア「NEWS.am」の取材に対してPoghosyan報道官は「私のFacebookはハッキングされておらず、シュシャを失ったことを認めた投稿は私自身が行った」と語っており、どれだけアルメニア国防省が否定してもシュシャを失い首都にアゼルバイジャン軍が迫っているのは確実だ。

果たしてアルメニアとアルツァフ共和国は首都を舞台にした戦いを継続するのか、それとも戦いを避けてアルメニア領に避難するのか、もうすぐ答えが出るだろう。

アゼルバイジャン国防省が公開したシュシャの様子

動画を見る限る完全にシュシャ市内をアゼルバイジャン軍が制圧しており、どんなにアルメニア国防省が否定してもシュシャを支配しているのはアゼルバイジャンだ。

 

※アイキャッチ画像の出典:アゼルバイジャン国防省が公開した動画のスクリーンショット

カナダのパイロット養成機関、韓国とFA-50導入に関するMOUを締結前のページ

調達中止をひっくり返した韓国、インドのK30調達事業は予定通り実行か次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    英海軍、就役した直後の新鋭艦がエンジントラブルでダウン

    英メディアは14日、就役したばかりの英海軍の艦艇がエンジントラブルでダ…

  2. 欧州関連

    米国のF-35制裁に抜け道?トルコのF-35部品製造は国外移転で継続可能か

    トルコの防衛産業界は、目前に迫った米国の制裁を回避するための手段として…

  3. 欧州関連

    フランス陸軍、米国や英国に続き徘徊型弾薬「Switchblade」を調達

    ユーロサトリ2022で取材に応じた仏陸軍のグジョン大佐は米国や英国に続…

  4. 欧州関連

    ウクライナ国境の封鎖63日目、保証を手に入れたポーランド人農民が封鎖を解除

    ポーランドのトゥスク政権はシェギーニ検問所を封鎖解除に成功したものの、…

  5. 欧州関連

    K2黒豹 VS レオパルト2A7、ノルウェー次期主力戦車を巡り韓国とドイツが激突確定

    ついに欧州で韓国のK2ブラックパンサーとドイツのレオパルト2A7がノル…

  6. 欧州関連

    英海軍は採用難を打開するため新兵募集要件を変更、泳げなくてもOK

    英海軍は新兵の採用数が激減したため「入隊前に泳げることを証明しなくても…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 11月 10日

    尖閣は第2のカラバフになるよ

    2
    • 匿名
    • 2020年 11月 10日

    アゼルの公開映像をみると、シュシィの街にはソ連型の建物とイスラム様式の建築物が多々見られる

    2
    • 匿名
    • 2020年 11月 10日

    ナゴルノカラバフは地形的に見るとアルメニアがあるアルメニア高原の東部で居住してるのもアルメニア人が元から多くアルメニア領でいいんじゃないのって思う。アゼルバイジャンはむしろアゼリ人がいっぱいいるイランと対立しそうなもんだけど。

    1
      • 匿名
      • 2020年 11月 10日

      民族自決主義の観点に立つと伝統的にドイツ人が大勢住むズデーテンの割譲要求もロシア人が多く住むクリミアの併合にも正当性が発生してしまうのがなぁ

      9
    • 匿名
    • 2020年 11月 10日

    なおパシニャン首相はこの報道と同じタイミングでツイートでシュシャ戦闘継続を宣言している模様
    これもうわかんねえな

    3
    • 匿名
    • 2020年 11月 10日

    シュシが陥落する状況でステパナケルトを防衛できるとはとても思えない
    選択肢は4つくらいだと思うけどどれを選ぶのだろう

    1.シュシの即時奪還作戦を遂行する
    2.シュシの即時奪還を諦めつつそれでもステパナケルト防衛戦を行う
    3.シュシとステパの防衛を諦め戦力を保ったままアルメニアに撤退する
    4.シュシとステパの防衛を諦めアルメニアを聖域としつつゲリラ戦に移行する

    どれを選択してもアルメニアの敗勢は覆せないとは思うが・・・

    2
    • 匿名
    • 2020年 11月 10日

    アゼル「シュシ(中心部)を制圧」
    報道官「シュシ(中心部)陥落!ステパナケルトやばい!」
    アルメ「シュシ(周辺部)での戦闘継続中」

    全員間違ったことは言ってない

    5
      • 匿名
      • 2020年 11月 10日

      アゼルバイジャンとしては、シュシュが戦闘状態であるだけで補給路遮断っていう戦略目標は達成してるから、アルメニアの宣言はあんま意味ないよな。
      奪還したとか防衛成功とかの宣言ならともかく。

    • 匿名
    • 2020年 11月 10日

    これはいけませんね…住民は撤退したのかしら?
    長年住んだ土地を追われるのは忸怩たるものがあるだろうな…

    3
    • 匿名
    • 2020年 11月 10日

    アルメニア系住民はナゴルノ・カラバフから避難しているのか?民族浄化の恐れがありそうだけど。

    3
    • 匿名
    • 2020年 11月 10日

    9条教徒を現地に派遣しよう…と思ったが、アゼルバイジャンにも既に「平和憲法」はあるようだ…

    7
    • 匿名
    • 2020年 11月 10日

    戦争終結しました
    パシニャン・アリエフ・プーチンの三者合意で条約調印
    ほぼアルメニアの降伏レベルの内容になるようです
    パシニャンのフェイスブックで発表されています

    1
    • 匿名
    • 2020年 11月 10日

    マスコミが一斉に終戦を報道 アルメニアが降伏しました

    1
      • 匿名
      • 2020年 11月 10日

      結局アゼルバイジャンの圧勝だったか

    • 匿名
    • 2020年 11月 10日

    ロシアの平和維持軍をナゴルノカラバフに配備だとよ

      • 匿名
      • 2020年 11月 10日

      そういやアゼルバイジャン軍がアルメニア駐留ロシア軍のMi24ヘリを撃墜(誤射)だってな。

    • 匿名
    • 2020年 11月 10日

    ロシア「アゼルバイジャンの自国領土奪還は容認するけど、南カフカスからのイスラム過激派浸透は引き続き認めないよ。てな訳でシリア人傭兵供給地であるイドリブ攻撃再開するよ。」

    ロシア・トルコ間で取り引きでもあったか?そういや、トルコリラの更なる暴落でトルコの財務省(エルドアンの娘婿)が解任だってな。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  2. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  3. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  4. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  5. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
PAGE TOP