NATOは2023年11月「E-3の後継機としてE-7Aを取得する」と発表したが、オランダ国防省は13日「E-7調達計画は戦略的基盤と財政的基盤の両方が失われたため、米国を除く計画参加国は満場一致でE-7調達の中止を決定した」と発表し、仏独が調達予定のGlobalEyeに流れる可能性が高い。
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経緯はどうあれ「NATOE-3調達需要」はSaabの元に転がり込むはずで、仮に1本化された国防権限法がE-7調達を復活させても手遅れだろう
米空軍やNATOが複雑で大規模な航空戦術を駆使できるのは早期警戒管制機や空中給油機といった航空支援能力を保有しているため、特にE-3セントリーは交戦空域の監視・管制能力が秀でいるものの、プラットフォームのボーイング707は民間航空会社での運用が終了したためサプライチェーンが消滅し、政府説明責任局も「スペアパーツの供給と老朽化した機体のメンテナンスの問題でE-3は9年連続で空軍の設定した準備率を達成できていない」と指摘。

出典:U.S. Air Force photo by William R. Lewis
さらにロシアや中国は遠距離から早期警戒管制機(AWACS)を叩き落とすことが出来る長射程の空対空ミサイルや地対空ミサイルの開発を進めており、米空軍は「少数のAWACSに交戦空域の監視・管制能力を集中させるリスク」を危惧し、アドバンスバトル・マネージメントシステム(ABMS)に地上、海上、空中、宇宙ベースのISR資産を統合して戦場認識力を確保する方針だが、実用化に時間がかかるため韓国空軍、オーストラリア空軍、トルコ空軍で運用実績があり、英空軍も導入を決定しているE-7Aウェッジテイルの導入を決定した。
NATOも2019年に「E-3を2035年までに廃止して新しいプラットフォームに置き換える=Alliance Future Surveillance and Control(AFSC)」と正式発表、こちらも米空軍と同じように分散型ネットワークを想定しているのだが、まだAFSCは初期コンセプト段階で実用化には程遠いため2023年11月「E-3の後継機としてE-7Aを6機取得する」と発表したが、トランプ政権のヘグセス国防長官は6月「現代の戦場でE-7は生存不可能」「宇宙ベースのAMTI能力移行」「短期的な能力ギャップへの対応としてE-2Dの活用」に言及し、国防総省が議会に提出した2026会計年度予算案の中でもE-7調達中止が確認されている。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class August Clawson
米国では政府閉鎖を回避するため13日に繋ぎ予算が成立したが、これは2026会計年度全体をカバーする本予算ではなく「前年度レベルの支出を2026年1月30日まで認める」というもので、米国の国防予算に相当する国防権限法も上院案と下院案の1本化作業が終わっておらず、下院案にはE-7調達を継続するための資金供給条項が含まれており、成立した繋ぎ予算にも「前年度レベルに制限される支出に例外」として「E-7取得への約2億ドル拠出」が含まれているのの、E-7調達が維持されるのか中止されるのかは国防権限法が1本化されて本予算が成立されるまで未知数だ。
NATOもE-3の後継調達にE-7を選択したものの、トランプ政権の不確実性、欧州の安全保障に対する方針転換、欧州と関係悪化が重なり、フランスは独自に運用するE-3Fの後継機にGlobalEyeを選択、ドイツもNATO加盟国による共同運用とは別にAWACSの独自取得を検討中で、ピストリウス国防相も「ドイツはAWACSの取得を検討中でGlobalEyeは選択肢の1つだ」「控えめに言ってもGlobalEyeは最有力候補だ」と述べていたが、オランダ国防省も13日「我々はE-3の後継機としてE-7を取得する計画を中止する」と発表した。

出典:Air Force photo by Richard Gonzales
オランダ国防省はプレスリリースの中で「オランダは米国を含む7ヶ国と共にAWACS更新計画に参加していたが、米国は7月に計画から撤退(米空軍のE-7調達中止のこと)してしまったためE-3後継調達は大きな変更の真っ只中だ。E-7調達計画は戦略的基盤と財政的基盤の両方が失われたため、米国を除く計画参加国は満場一致でE-7調達の中止を決定し、代替機の選定や新たな協力の枠組みを模索している」と指摘し、ルッテ事務総長も「E-3の後継選定が進められている最中だ」と述べている。
オランダのトゥインマン国防長官も「米国の撤退は可能な限り欧州産業へ投資する重要性を示している」と述べているため、欧州のNATO加盟国は米空軍がE-7調達の代替機に見込んでいるE-2Dではなく、フランスやドイツが調達するGlobalEyeに投資する可能性が非常に高い。

出典:Saab
因みにSaabはNATOのE-7調達決定について過去「この入札はほぼ結果が決まっていた政治的案件だった」「我々の提案は殆ど顧みられなかった」と批判していたが、経緯はどうあれ「NATOE-3調達需要」はSaabの元に転がり込むはずで、そうなればGlobalEyeはフランス、ドイツ、NATOの調達によって商業的な大成功を収めるだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by 2nd Lt. Mark Goss





















空自も E-767の後継機問題があるのだから、ここはひとつ、P-1の機体に E-2Dのシステムを載せてみるとか。何年もかかるだろうから GlobalEyeの対抗機には間に合わないけど、魅力的だと思う。
性能や信頼性、実績…問題は山程ありますけど、国内にお金が落ちる方向で出来るだけ航空産業に活力注いで欲しいですね。
システムも含めて一から作れないのかな。
なんで空自の使ってないP-1を母機にするんだろう。
以前構想に上がった際もP-1ベースだったし、そもそもオペレーターが乗り込むように出来てるのでC-2ベースより改造しやすそうではありますね。
空自が使って無いって点で言うなら737系もグローバルアイの母体になるビジネスジェットも使ってないから同じだし、C-2との共通点の多いP-1はむしろ有利でしょ。
追加の電子機器や発電機は弾倉やソノブイ区画に積んじゃえばいいから後はレーダー乗せる背中の構造強化くらいで済むのもお得な点かと。
空自が使っていないからと言って、使ってはいけないことは無いでしょう。日本国内で製造しているボーイング737に匹敵する大きさの機体なのですから、使わない手はない。
別に「なんで〜だろう」と仰ってるだけで「使ってはいけない」とは言っていないかと。
個人的には大きさやオペレーターや機材乗せるため程度だけが理由なら(R)C-2ベースの方が適してそうに思いますが。
正直737系は、新規で調達するなら母機が中古しか選択肢がないのもネックよね。
英国の導入機も中古改装だし。
737MAXをベースにすれば良いのでは?
新規開発ですね。
開発費お出しください。
になるぞ。
間に合わせで新規に調達するなら開発済んでるE-767でしょう。
GlobalEyeは、そんなに能力が高いのか?
他に有力な選択肢が無いというのが現状では
外販しているところが
日本のE-2D導入時にE-2Dのお皿とシステム周りを国産機(C-2かP-1、空自で運用するならC-2になると思われる)とスウェーデンとイスラエルしかないからね。>AEW&Cの外販
イスラエルが最近のあれこれとか考えると利用しづらいと考えると消去法でスウェーデンになると(あとヨーロッパ圏内なので予算がつけやすい)
能力的には劣るかもしれないけど、E-2との並行運用してた本邦は何とか時間を稼げる形なのかな?
E-3の1番のネックである母体がうちは現役の767なので当面の心配はないかと。
ただ本国が運用やめればアップデートが止まるので遠からず陳腐化して仰る様に能力的に不足が出てくるでしょうね。
通信速度の高速化も併せて無人機のレーダーで代替えして、管制センターでやるようになるんじゃあないですかね>将来
767は軽く10年は持つでしょうし。
経緯は違っても米国(のヘグセス)とNATO双方がE-7調達中止を宣言した形ですが、それで米国は大丈夫なんですかね?
宇宙ベースのISR云々なんてすぐに実用化できるものでもないし、本当に調達を中止すると今後数年の間に有事となれば稼働機が残っているかどうか分からないE-3と僅かな機数のE-2Dで戦う羽目になりそうですが。
空自と伊のKC-767を買い戻しかつ46Aを優先的に納入で8機確保
あとは日米航空会社から767-200の機齢が若く状態のいい物を買取かつ787を好条件で販売
そんでE-3から部品を移植が設計、テスト、認証の手間と時間を金で買える上に性能の下限が保証されてるから遅延も無いしベストだと思うな
いま200ER使っているのは、基本貨物だから767-300の方がいいと思うぞ。
787は貨物型がないし