NATO首脳会談で32ヶ国の首脳らは「2035年までに毎年GDPの5%を防衛分野と防衛・安全保障関連に投資することを約束する」と正式に発表、この結果に満足したトランプ大統領も「加盟国への攻撃は全加盟国への攻撃であるというNATOの重要な誓約を支持する」と述べた。
参考:NATO leaders agree to hike spending and ‘ironclad’ vow to defend each other if attacked
参考:Trump says he supports NATO mutual defense guarantees
参考:Canada joins new NATO Defence Investment Pledge
参考:Trump says Israel sent agents into Iran’s Fordo nuclear site, saw ‘total obliteration’
参考:Spain’s Sanchez insists current defence spending ‘sufficient’
首脳会談の内容は概ね予想通りの結果に落ち着いた格好、公式の集合写真から距離をとるスペインのサンチェス首相
オランダで開催されたNATO首脳会談で32ヶ国の首脳らは「2035年までに毎年GDPの5%を防衛分野と防衛・安全保障関連に投資することを約束する」と正式に発表、この5%は「直接的な軍事力に結びつく防衛分野への投資3.5%」と「重要インフラの保護、ネットワークの防衛、民間防衛や回復力の確保、イノベーションの促進、防衛産業基盤への投資1.5%」で構成され、後者の投資については「支出を決定する同盟国の柔軟性」を容認している。

出典:NATO 5%合意に加わっても「履行しない」と表明したスペインのサンチェス首相だけ他の首脳から距離を取っている
要するに「従来の国防支出」に相当するのが「防衛分野への投資3.5%」で、防衛・安全保障関連への投資1.5%は「トランプ大統領が要求する5%に数字を合わせるためのもの」に過ぎず、事実上「会計処理の変更=例えば重要な港湾施設への投資を防衛・安全保障関連への投資としてカウントできるという意味)」で対応可能なため「支出を決定する同盟国の柔軟性」と表現されているのだが、それでも旧基準2.0%から3.5%への変更は「大幅な国防支出の増額と呼ぶのに相応しい数字」と言えるだろう。
これまで公に総額5%支持を表明してこなかった英国も「2035年までにGDPの5%を防衛分野と防衛・安全保障関連に投資する」と、昨年のNATO首脳会談まで慢性的な国防支出不足を理由に「頭痛の種」と呼ばれていたカナダも「加盟国の合意に基づいた5%を期限内に達成する」と表明し、この結果に満足したトランプ大統領も「加盟国への攻撃は全加盟国への攻撃であるというNATOの重要な誓約を支持する」と述べ、首脳会談の内容は概ね予想通りの結果に落ち着いた格好だが、この裏で注目を集めたのは流出した国防総省作成の「イラン攻撃に関する初期評価」への発言だ。

出典:The White House
トランプ大統領は22日「フォルド、ナタンズ、エスファハーンを含むイランの核施設攻撃は大成功を収めた」「この作戦に使用された航空機はイラン領空外に脱出して無事に帰還中だ」と発表、国民に向けた演説の中でも「私は世界に今回の攻撃が目覚ましい軍事的成功であったことを報告できる」「イランの主要な核濃縮施設は完全に破壊された」と述べたが、国防総省の情報機関=国防情報局(DIA)が作成した初期評価がリークされ、CNNは「濃縮ウランも遠心分離機もほぼ無傷でイランの核開発計画を数ヶ月程度遅らせただけ」と報じた。
ホワイトハウスのリービット報道官はCNNの取材に「この評価は完全に誤ったもので、評価自体も最高機密に指定されていた」「それにも関わらず情報機関の匿名な人物によってCNNにリークされてしまった」「この評価のリークはトランプ大統領を貶め、イラン攻撃任務を完璧に遂行したパイロットたちの信頼を損なわせる試みだ」と述べ、トランプ大統領もNATO首脳会談の記者団に「攻撃後の現場に向かったイスラエルの工作員は『施設が完全に破壊された』と話していた」「この件に関する報告書をイスラエルが作成中だ」「私は核施設が完全に破壊されたと信じている」と言及。

出典:USAF
イスラエル当局はトランプ大統領の発言を受けて「我々は攻撃後のフォルド核施設で如何なる活動も行っていない」と否定し、米国の攻撃結果については「現在も分析中」という立場を崩していない。
追記:スペインのサンチェス首相は首脳会談後の記者会見で「スペインは合意された能力要件を旧基準=2%の国防支出で達成する」「ブリュッセルで明日行われる欧州理事会ではGDPの割合についてではなく(欧州再軍備計画の)共同生産、共同購入、相互運用性について議論することを期待している」と述べ、改めて「総額5%達成したい国を妨害しないがスペインは達成しない」と表明したものの、スペイン以外の加盟国による追加支出で成り立つ欧州再軍備計画については「(メリットを取り込むため)積極的に関与する」と示唆し、この態度は他の加盟国にとって不愉快と映るかもしれない。
関連記事:スペインの5%拒否に批判殺到、米大統領もNATO首脳会談に対する妨害と発言
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関連記事:米国防総省が作成した初期評価が流出、イランの核施設攻撃はほぼ失敗
※アイキャッチ画像の出典:NATO
>公式の集合写真から距離をとるスペインのサンチェス首相
思わず声を出して笑ってしまった
これは面白い
まあでもサンチェス首相が賢明だと思うけどね
今のロシアにはワルシャワ条約機構もないのに社会保障費大幅削減して大軍拡なんて国民が受け入れるはずがない
ご指摘で気付きました、引率の先生みたいで面白いですね。
石破総理の不参加について批判的な意見を見たけど、行かないのは確かに勿体ない。
ミリオタなら楽しそうなイベントが開催されてそうなのに。
ロシア脅威論を、NATO各国が散々叫んできたわけですから、整合性がとれますね。
政治家・官僚が言ってきた通り、防衛費増額の流れになったわけですが、財政・貿易収支は各国いろいろです。
選挙結果おそらくボロボロに、本気で実行に移せばなる国もあるでしょうから、本当に実行できるのかどうか見守りたいと思います。
5%と言う高負担がまさか成立するとはな。
まぁロシア軍も、ウクライナとの全面戦争やりながら、戦力増強進めてるものな。
そりゃまぁ警戒もするか。
どーせトランプ退任でうやむやにするからね
欧州の口だけ仕草はウクライナ戦争で見たばかりなのに
米欧の大言壮語を真に受けて慌てるどこかの島国
まあそうなるでしょうね。
これまでも2.0%の目標はありつつ守られていなかったわけで、今だけうるさいトランプ大統領の手前で空手形を切っておいて任期が終われば反故にするのが目に見えています。
その頃にはウ露戦の趨勢も決してロシア軍備の実態が知れ渡り軍拡は過剰反応だったと取り下げるのは間違いない。
今の更新ペースでは、ロシアのGLONASSは、トランプ第二政権が終わる2028年末頃には、機能劣化が目に見えて出てきている頃ですから、NATOの5%の防衛費は過剰であるという論調が当然出てくるでしょう。欧米勢はGPS、Galileoでの精密誘導が可能、ロシアは更新が間に合わず老朽化が著しいGLONASSとなれば、その差は歴然ですから。
ただまぁ、それまでの繋ぎの期間としては、ロシアへの見せ札としてNATO全体が5%軍事費だぞ、というのは良く効いてくれるでしょう。
ロシアとは今後も相容れることなど無いということで、ウクライナには時間を作って貰い軍備増強に励んでいくいうことになりましたね。
日本の場合仮想敵国は中露北で仲間は台湾と韓国にアメリカといるけども、アメリカが本気で血を流す覚悟で戦わないととてもかなう様な面子ではないのでアメリカの言うことを丸呑みしにするのならば何が合っても日本はアメリカが手出しは許さ無いという言質が欲しいですね、中国は武力行使に出るのは本当に最終手段で残しておくとは思うけども武力の前に経済力や移民に土地企業要人の買収や中国寄りの世論誘導を行うとは思うのでそもそも日本は耐えれるのだろうか。
どうせトランプがいなくなった29年頃に下方修正されるんだろうな。ヨーロッパの得意な手だし。
ぶっちゃけトランプが
「ヨーロッパの国とかアジアの国に5%の国防費出せって言ってやったぜ!アイツら頷くしかなかったよ」
「USA!USA!」
って流れになることが重要なのであって本当に10年後に達成されているかどうかはあんまり気にしていないのでは。
どうせヨーロッパの国々はあの手この手でなし崩しにするでしょう。
一方我が国は真面目に5%にしかねないのが。
未来がどうなるかは解らんが、これから数年はわかりやすく新規装備の調達ラッシュや軍事工場が生えてくるんだろな
それを補うための経済政策で何をやってくるか、、、
また、色んな規格や規制が変わりそうで嫌になるわ
トランプ大統領もNATO首脳会談の記者団に「攻撃後の現場に向かったイスラエルの工作員は『施設が完全に破壊された』と話していた」 って記事中にあるけど
そんなクリティカルなミッションに従事する工作員からダイレクトに報告いくもんなのか?
映画の見過ぎではって
NATOのウクライナ向け砲弾工場の話はどうなった?
アメリカが工場作っただけ?
ドローンの小型爆弾に需要の大部分が置き換わったから工場はもういいのかな
トランプ : 後は日本だけだね。 |д゚)チラッ