NATOの外交官らは「加盟国32ヶ国が総額5.0%を首脳会談の最終宣言文に盛り込むことで合意した」と明かしたが、スペインの反対を和らげるめため最終宣言文の文言を『我々が約束する』から『同盟国が約束する』に変更したため、多くの海外メディアは「スペインがNATOと5%免除で合意した」と報じている。
参考:NATO agrees Hague summit statement with 5% defence spending goal, diplomats say
参考:Spain strikes deal with NATO to be exempt from 5 percent defence spending target
参考:UK and NATO allies agree to boost spending on defence and related areas to 5% of GDP by 2035
参考:Trump seeks Japan, South Korea, Australia leaders meeting at NATO summit
もし文言変更が「5.0%免除」の免罪符になるなら他の国も追従するかもしれない
NATOは6月末の首脳会談に向けて加盟国の国防支出=2.0%基準の見直しを進めており、ルッテ事務総長は3.0%以上を提案したもののトランプ大統領は5.0%を要求、最終的にルッテ事務総長も「総額5.0%(国防支出3.5%+軍事インフラとしても活用できる分野への投資1.5%)という高い目標で合意できるだろう」と表明、ドイツ、オランダ、スウェーデン、イタリア、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリー、チェコ、スロバキア、ポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニアが総額5.0%について支持を表明している。

出典:Nicușor Dan
これまで総額5.0%に反対を表明した国はいなかったため「6月末の首脳会談で合意できる」と見れられていたが、スペインは16日「総額5.0%の達成にコミットする意向はない」と表明し、オランダのショーフ暫定首相は「ロシアがもたらす真の脅威に対抗するには5.0%という目標は不可欠だ」と、フェルトカンプ外相も「この重要性をスペインが認識していることを心から願っている」「スペインの外相に連帯感を訴えた」と述べ「もう総額5.0%に抵抗するのを止めよ」と促したが、最終的に凄い結果が生まれた。
NATOの外交官らは22日「総額5.0%を首脳会談の最終宣言文に盛り込むことで加盟国32ヶ国が合意した」「スペインの抵抗を克服するため新基準の文言を『我々が約束する』から『同盟国が約束する』に変更した」と明かし、スペインのサンチェス首相も「5%を達成したい国とそうでない国の権利を調和させることができる合意に達した」「NATO加盟国は目標を達成するかどうかを決定する権利を持っている」「我々は主権国家として目標を達成しないと明言してきた」「我々は5%未満の支出でより良いバランスを選択する」と述べ、多くの海外メディアは「スペインがNATOと5%免除で合意した」と報じている。

出典:NATO
Reutersは「サンチェス首相は文言の変更によって『5%合意の約束はスペインに適用されない』と主張することができた。他の加盟国が国防支出を増やしたいという願望を尊重するが、我々はそうするつもりはないと述べた」と報じたものの、France24の取材に応じた複数のNATO外交官らは「この合意は32ヶ国全ての承認を得て成立している」「そのためにスペインに対する例外措置は存在しない」と主張し、どうやら文言の変更に対して加盟国間でニュアンスの違いがあるようだ。
France24は「加盟国は慎重に練られた国防支出の妥協案=総額5.0%方式を土壇場で台無しにしたスペインに怒っている」「首脳会談で発表される最終宣言文の文言は『我々が約束する』から『同盟国が約束する』へと表現を若干和らげただけで、この合意の基本的な条件は維持されている」「サンチェス首相は首脳会談までに国防支出増額に反対する連立相手=スマルを説得できなかっただけ」と報じており、もし文言変更が「5.0%免除」の免罪符になるなら他の国も追従するかもしれない。

出典:NATO
因みにReutersは「総額5.0%の達成時期について2032年で調整されてきたが、合意された最終宣言文に盛り込まれたのは達成時期は2035年だ」「さらに新基準=総額5.0%については2029年に見直しが予定されている」と報じており、トランプ大統領は「米国を含む加盟国32ヶ国が総額5.0%で合意しても、米国は5.0%の達成義務を負うべきではない。NATOとしての国防支出増額分は米国以外の加盟国で対応すべきだ」という立場を表明している。
追記:米国のSky Newsは「英国も2035年までの総額5.0%達成を支持した」と報じ、欧州のメディアは軒並み「スペインのみ総額5.0%達成を見送ることにした」「スペインの行動はトランプ大統領の怒りを買う恐れがある」と報じている。

出典:Photo by Scott Swofford
追記:国防総省のパーネル報道官は「アジアの同盟国にも欧州と同じ5.0%基準を設定している」「中国や北朝鮮の脅威を考慮すればアジアが欧州に追いつくのは当然だ」と述べていたが、日経新聞は23日「トランプ大統領がNATO首脳会談の際、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの首脳と会談することを希望している」「この会談でトランプ大統領は国防費の増額=総額5.0%を求めてくる可能性がある」と報じている。
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※アイキャッチ画像の出典:NATO
達成時期の期限が2035年ってほとんどの加盟国は達成するつもりがないのでは?嵐が通り過ぎまでやり過ごそうと考えているようにしか見えない。また、今回の合意を大義名分にドイツの再軍備が加速すればNATOの裏の意義(ドイツを軍事的に抑える)が失われる契機になるのではないかと不安になるな
ああ、まさにだねー。
2035年なんて、トランプは居ないだろうし、民主党もどれば流れ変わる可能性あるしね。
約束したやつらは軒並み引退してそうだしね
化石燃料自動車廃止並みに確実に実行しますよ。
泣こうが喚こうが、世界的な軍拡路線はもう止められないな
なら以下に防衛費を抑えるかより、輸出して補填するかを考えるしかない
軍事アレルギーなんて言ってる場合ではなく、もがみ型をTPP標準フリゲートにするくらいの意気込みで売りまくる位じゃないと、日本が生き残る道はない
なんせ欧州の外れにあるスペインと違って、日本は中露朝と直接相対しなきゃならんし、中露側に行っても米豪加との最前線になるからな
戦力の増加は外交の為にも必要不可欠で避けられない
???:「防衛費2倍なら中国に屈したほうがよい」
中国側についたら世界最強のアメリカを想定した軍備を整える羽目になって防衛費2倍じゃ足りないんだよなぁ…
でもその「最強」さんジリジリ弱体していく一方じゃないですかヤダー!!😫
しかし中国になったらB谷くんのような人間は自由に発言出来ないのである。
文谷氏の主張は、陸自に戦車と大砲は不要。基地警備と島嶼上陸用の歩兵・地対艦ミサイル・地対空ミサイル部隊さえあれば充分。それ以外の予算と人員の全てを海自・空自に充てるべき、要するに上陸さえ防げればOKという割り切った考えです。単純な比較はできないが陸軍がボロボロでも何とかなっているイギリスを見習えということです。
怒らないでくださいね?
参謀気取りのくせに最悪を想定していないとか、バカみたいじゃないですか。
ついでに言うならイランでのイスラエルの作戦や、中国の動員法や、日本の海岸線の長さを考えるに、上陸されないと考える方がどうかしてる。
日本は島国なので地上戦力を送り込むには船か飛行機が必要。なので「上陸された後」に戦車や大砲で戦うより、「上陸される前」に戦闘機や軍艦、地対艦ミサイルで狩ってしまった方が国土の被害は少ないという文谷氏の主張は理に適っている。撃ち漏らしたとしても3割以上破壊できれば補給が困難になり敵は戦闘不能になるとのこと。
但しおっしゃる通り、自衛隊基地や原発など重要インフラを狙う特殊工作員の潜入には注意すべきです。この場合も特殊工作員が重装甲車両を持ち込むとは考えにくいので対応は普通科や防空部隊が中心になる思われます。自衛隊は慢性的な人員不足なので、戦車と大砲は音楽隊と同じ扱いでパレード用に少数保有すれば良いでしょう。
まさかあのブン谷を擁護する奴がこのサイトで現れるとは信じられんわ。
あれこそ机上の空論の最たるものだろうに。
様々なケースを想定してない、ブン谷の脳内シナリオにしか対応できない装備体系など愚の骨頂。
スペインの姿勢は日本も見習うべきですね
GDP5%の要否は置いといて、日本の場合はそれをやった瞬間に政権が支持率を維持出来なくなりますよね。
個人的には、中国が台湾侵攻したとしても厳しい数字に感じます…。
都議会選の結果見ると、自公敗北で都ファ勝利、国民参政躍進、立憲共産支持伸びず、れいわ再生維新壊滅という結果を踏まえて来月の参議院選挙だけど、これは自公相当厳しい戦いになりそうですね。
またスペインの様なことを日本が言えるはずも無く、財源どうするんでしょうこれ以上の増税は辞めて貰いたいし5%ルールを強制されて飲まざるを得ないんでしょうけど飲んだら政権完全に終わるというジレンマですので現政権はさらに貧乏くじ引く感じになりますよね。
どうしようもない
変われるチャンスはいくらでもあったのに、まともに議論せず、国民の無関心をいいことに惰眠を貪ったツケでしかない
そしてそんな政治家を選び続けるどころか、投票せずに政治家を選ぶ義務を投げ出していた日本人自身のツケでもある
相手がいることな以上、止めることは出来ないんだから、どれだけ混乱や反発があっても、変わっていくしかないだろう
今の財政状況だと国内の防衛産業が限定的な中で支出表明をしたら、国債格付けが暴落して経済的な混乱が波及、米国からしても日本との関係がかなり難しくなりそうです。
中露も日本が防衛力強化するとアメリカ側の前線基地の強化みたいなものなので、なおのこと控えめな動きをして
「日本国民さん、脅威ないのに増税許すんですか?」という投げかけからの世論形成に動きそうです。
昨日の選挙番組で、某野党が、「トランプの相手したくないから、内閣不信任案を出さない」とか平気で言ってて草。
これマ!?
そのまま言った訳では無いですが、意訳するとマジそんな感じです。
「困難な時代なので、政権を狙うのではなく野党としてやれることをやっていく」
こんな感じの事を言ってましたが、どう考えても責任を負いたくない逃げ腰ムーブです。本当に(ry
追記∶
2年前には小沢一郎が
「代表や幹事長は政権取る気ない。有権者を欺いている」
と言い放っていたので、ある意味で党として一貫性はありまぁす。いったいどこの某野党なんだろうかなぁ。
ご丁寧にありがとうございます。
気持ちは分かるけど!分かるけど!って感じですね。
だいぶビックな失言に思えるんですが…
日本語って難しい(錯乱)
すでにGDP5%(純軍事費50%、非常事態時に使用するので関連費用と言えなくもない交通インフラ等の整備補修費50%)でなんとかお茶を逃がすという話も出ているようですね
ロシアと地理的な距離が近い国と遠い国とで、温度差が出てきているような
東EUと西EUで分かれた瞬間だと記録されなきゃいいな。
WW2のときのスペインといい今回のスペインといい、わりと筋金入りの日和見主義っぽい
15世紀ぐらいまでイスラムに支配されてたから、ときの一大勢力に肩入れしたらあとあと面倒みたいな国風でもあるのかな?
NATO加盟国は内心スペインに感謝してると思うよみんな言いたいけどアメリカが怖くて言えないことを言ってくれた
欧州のガソリン車廃止が、分かりやすいかもしれませんね。
EUが2035年新車販売全面禁止の目標を掲げていましたが、なんだかんだ容認に変わった国があります。
上記は自動車の事例ですが、かなり先に大きな目標を掲げておいて近い時がきたら取り下げる、これは多国間でもよくある政治的なやり方根ですね。
2035年までにというような空手形でいいなら日本にも光明見えますね
5%目指して上げていく大方針には同意するが時期は長い目で見てくれと
同じく防衛費増を迫られている豪州や韓国とも協調して目標達成年度の足並み揃えてトランプ政権と交渉できたら尚いいです
というか各国はまずは軍事にも使えるインフラ整備予算にリソース注いだ方がいい気もする。
特にエネルギー関連