NATO加盟国は6月末の首脳会談で「国防支出の新基準=総額5%(国防支出3.5%と軍事インフラとしても活用できる分野への投資1.5%を組み合わせたもの)」を承認予定で、オランダ、スウェーデン、イタリアも中東欧9ヶ国に続き「総額5%の受け入れ」を表明した。
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問題は総額5%を達成する時期で、多くの加盟国は2035年=10年後の達成を希望するだろう
ルッテ事務総長はNATO加盟国に国防支出の新基準として3.0%を提案していたものの、トランプ大統領は5%を要求、最終的にNATO加盟国の国防相らは「総額5%(国防支出3.5%と軍事インフラとしても活用できる分野への投資1.5%を組み合わせたもの)受け入れを6月末のNATO首脳会談で表明する」と合意し、ドイツとオランダは5月末までに総額5%方式の新基準を支持、中東欧9ヶ国=ルーマニア、ブルガリア、ハンガリー、チェコ、スロバキア、ポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニアも今月3日「総額5.0%を支持する」と表明した。

出典:Nicușor Dan
オランダではスホーフ首相が辞任したことで連立政権が崩壊し、これに伴い総選挙が10月頃に実施される見通しだが、スホーフ暫定政権は「国防支出を3.5%に引き上げること」「軍の即応体制を支えるインフラ投資に1.5%を割り当てること」を承認し、6月末のNATO首脳会談前までに「総額5%方式を受け入れる」という政治的合意を達成したものの、まだ総額5%をいつまでに達成するか決まっておらず、これに必要な追加資金=年160億ユーロ~190億ユーロの財源も「数年以内に答えを見つける」と述べ、国営放送=NOSは「財源確保には議論が必要なものの国防支出の引き上げ自体は驚くべきことではない」と報じている。
スウェーデンのクリスターソン首相も12日「我々は国防支出の新基準として(総額)5%を達成することを確認した」「最低でも3.5%の資金を主要な防衛ニーズに割り当てる」「スウェーデンの地理的条件が特殊でロシアの脅威に備える必要があることも十分理解している」「この決定の背景にはウクライナに対する侵略戦争の影響もあるが、我々もロシアのことを良く知っているという事実もある」と述べ、イタリアのタヤーニ外相も「2035年までに(総額)5%を達成する」と表明した。

出典:NATO
これで総額5%達成を公に支持(約束)した加盟国、新たに「軍事インフラとしても活用できる分野への投資」を設定すれば「実質に総額5%を達成している」と言っても過言ではないポーランドを加えれば、32ヶ国中14ヶ国が新基準に対する国内合意を取り付けた格好だが、残りの加盟国もNATO首脳会談で総額5%を承認するのは確実だ。
問題は総額5%を達成する時期で、支持を表明した中東欧9ヶ国も2028年、2032年、2035年の間で意見が割れており、ルーマニアのダン大統領は「2032年までに基準を達成する」と発言したものの、多くの加盟国は2035年=10年後の達成を希望するだろう。

出典:Photo by Scott Swofford
因みに欧州の事情は日本にとっても他人事ではない。トランプ政権は「インド太平洋地域の同盟国やパートナーも欧州を見習え」と言い出し、オーストラリアには「できるだけ早く国防支出を現状水準の2.0%から3.5%に引き上げろ」と要求しているため、総額5%方式ではないしても「純粋な国防支出」については3.5%を要求される可能性が高く、その達成時期も欧州の決定に準じる形になるかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:NATO
日本が3.5%でいくとしたら$1500億くらいか
ロシアも抜く軍事費があれば金に物言わせて軍港や空港の要塞化に、ミサイル工場の増築や独自の衛星ネット構築とやりたい放題やれるだろうな
撤退したコマツも飛び戻ってくるだろう
その為に沸き起こる反発を米国がどうにかしてくれるんなら、日本だって今すぐやるだろうな
>撤退したコマツも飛び戻ってくる
NBC偵察車や装輪装甲車(改)みたいな物を出してくるなら、戻ってこない方が良いかも
たかが数兆円規模の話ですら揉めに揉めて決まらない国で、追加の数十兆円の話が通るとはとても思えない。
軍事費の増額は出来ないからそれ以外で穴埋めとなって、自動車産業やまだ世界と戦えてる産業を軒並み差し出す未来となりそう。
世論なんて論理的なものではないので、変わるのは一瞬ですから。
まだ日本人全般的に、どこか他人事感が抜けてないですが。
金出せなくて尖閣諸島を取られたら簡単にひっくり返りそうです。
日本の建設業界は人員不足により、工事遅延や先送りが相次いでおり、資材価格も高騰しています。
防衛部門で、防衛施設などの建設に関わるものについては、なるべく早く取り組んだ方がメリットが大きいかなと。
馬毛島の自衛隊基地も、なんだかんだ大きく遅延しており、遅延しているという事は工事費は大幅に上昇することに繋がります。
(2025/05/04 鹿児島県・馬毛島の自衛隊基地建設が大幅遅れ、介護から人材流出し漁獲も減…「日当5万円」建設業界は厚遇 読売新聞)
日本はシェルターと航空機バンカーと地下潜水艦基地が足らんからな。むしろインフラを2.5%にして「需要喚起じゃー!」したらいいんじゃなかろうか。
建設する人が足らない?無人化を進めるというお題目があるじゃろ?ダム建設なんかは無人化が進んでいるし、鹿島建設が宅地や滑走路を無人で造る技術を導入してるらしいしイケるイケる(無責任)
防災シェルター(対核)で通しちゃえばいいと思いますよ。日本に災害が多い事は分かっているのに対策が少ない
日本は国民全員を収容できる核シェルターを整備した方が良いかもしれませんね…。
政府が設置を義務化しないとこの手の整備は進まないのですが、政府首脳や自衛隊関係だけは完備しているので、あとは人口1億いれば、ほっといても何%かくらい生き残るやろとか思っていますね。
あとなぜか核シェルター整備法案を提出するとなぜか共産党あたりが猛反対するのが目に見えてますねえ。
「核戦争が起きたら世界は終わり」と思っているのは実は日本人だけで、他国は生き残る気満々なんですよね…。
実際、人口の100%をカバーする核シェルターがあるかどうかで、核攻撃をちらつかされた時の圧力の跳ね返し方も多少は変わってくると思うのですが。
古くなって再建しなければならない橋や道路を60t級MBT運用対応にするという名目で以前自民党が立案した国土強靭化計画の名前を変えて防衛費にカウントしましょう。財源はガソリン税を全額ぶっ込んで充てます
立案というか閣議決定も通って実行段階なのでは?
防衛予算名目に付け替えは賛成。
日本ももはややるしかない状況だと思いますが、具体的にどういうタイムスケジュールでやるかが難しいところですね。
さしあたって、既存予算に加えて、総額20兆円程度の特別予算ぐらいは組んで欲しいです。
基地の分散と地下化、兵站の整備、必要人員の訓練、電子戦部隊、サイバー戦部隊、弾薬の備蓄、国民避難施設の建設
戦闘機や艦船や潜水艦やらを揃えつつ、いろいろできそうですし、むしろやらないと日本が危ないでしょう。