欧州関連

戦車大隊を再導入するオランダ、Leopard2A8購入契約に署名

オランダは2024年9月に発表した防衛白書の中で「戦車大隊の再導入」を発表、オロングレン国防相もLeopard2A8取得の意向を表明していたが、オランダ国防省は14日「Leopard2A8取得に関する契約に署名した」「オランダは少なくとも46輌のLeopard2A8を取得する」と明かした。

参考:Netherlands buys 46 Leopard tanks from KNDS for more than $1 billion
参考:The Netherlands equips its new tank battalion with LEOPARD 2 A8

オランダ陸軍が取得するLeopard2A8は最大で52輌、最初の車輌は2028年に到着予定

オランダはGDP比1.0%前半台の国防予算を2022年に129億ユーロ、2023年に154億ユーロ、2024年に214億ユーロ(GDP比1.95%)に引き上げたが、オンノ・アイヘルスハイム国防長官は「我が国が置かれた現状を考えると現在の予算では全くたりない」「国防支出が2.0%に達しても我々は選択を迫られる」「ロシアは侵攻初期の損失を迅速に回復しているのに我々は停滞している」と述べ、これまでに戦車大隊の再導入、PULS、JASSM-ER、トマホーク、バラクーダ級、対潜用フリゲート艦、フリゲート艦の追加弾薬庫として機能する支援艦、NOMADSの取得、F-35A、NH90、NASAMS、GM200の追加調達を発表。

現地メディアは戦車大隊の再導入について「約50輌で構成される戦車大隊の再導入(大隊用に44輌+訓練及予備8輌/最大3.5億ユーロの投資)が決定された」「Leopard2を手放してから13年後の決定により戦場の王者が復活を遂げようとしている」「まだ何を取得するかは議論されていないものの40年以上に渡るLeopard2の運用経験、オランダ陸軍と独陸軍との一体運用、ドイツがLeopard2A8プログラムにオランダを招待していることを考えるとLeopard2A8を選択する可能性が高い」と報じていたが、オロングレン国防相もLeopard2A8取得の意向を表明。

オランダ国防省は14日「Leopard2A8取得に関する契約に署名した」「オランダは少なくとも46輌のLeopard2A8を取得する」「最初の車輌は2028年に到着予定で2031年までに全車輌が引き渡される」と発表、KNDSも「オランダ陸軍は6輌の追加購入オプションを含むLeopard2A8購入契約に署名した」と明かしているため、オランダ陸軍が取得するLeopard2A8は最大52輌になる。

因みにドイツのワデフル外相は15日「トランプ大統領が要求する国防費増額(GDP比5.0%)を支持する」と述べて注目を集めているが、5.0%達成に関して「国防費は(ルッテ事務総長が提案する)3.5%で十分だ。残りの1.5%を軍事利用できるインフラ整備への支出してなら合意できる」と主張した。

関連記事:オランダが再導入する戦車大隊、Leopard2A8とUGVで編成される可能性
関連記事:オランダ海軍、フリゲート艦の追加弾薬庫として機能する支援艦を購入
関連記事:オランダが廃止した戦車大隊の復活を発表、Leopard2A8取得が有力
関連記事:オランダ海軍の潜水艦入札、競合を破ってフランスのバラクーダ級が勝利
関連記事:オランダ軍、もう必要ないと考えていた装備が調達リストの上位を占める
関連記事:オランダ国防省、フリゲート艦と潜水艦向けにトマホークを取得すると発表
関連記事:メルツ新首相、ドイツ軍を欧州最強にするため必要な資金を全て出す
関連記事:ドイツ新首相はトルコへのタイフーン売却を否定せず、ギリシャは落胆
関連記事:独首相候補のメルツ氏、安全保障面で米国からの独立を達成すると言及
関連記事:米国製多連装ロケットシステムから脱却する動き、米国がドイツの選択を警戒
関連記事:弾薬統合の自由、ドイツ軍の選択はGMARSではなくEuroPULS

 

※アイキャッチ画像の出典:Ministerie van Defensie

英国、射程2,000kmを超える長距離攻撃兵器の共同開発を発表前のページ

スペイン空軍向けの次期ジェット練習機、トルコとAirbusが共同開発次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    ウクライナへの戦車提供問題が最終局面、米国が出せばドイツも出す

    南ドイツ新聞は18日「ショルツ首相がレオパルト2のウクライナ提供に条件…

  2. 欧州関連

    戦車のウクライナ提供が遅れる理由、保有する戦車の状況を把握していなかった

    戦車のウクライナ提供が遅れている問題について英国のウォレス国防相は「多…

  3. 欧州関連

    Redbackのテストがポーランドで進行中、豪陸軍モデルとポーランド陸軍モデルを提案

    ポーランドが採用を検討しているRedbackは第18機械化師団によって…

  4. 欧州関連

    英国、AS90提供のギャップを埋めるため暫定的にArcherを取得か

    英国のスナク首相は「ウクライナに提供した装備・弾薬の埋戻しに19億ポン…

  5. 欧州関連

    レオパルト2は誰のもの? KMWとRheinmetallが法廷で争う問題に発展

    ドイツを代表する防衛産業企業のKMWとRheinmetallは「ロシア…

コメント

  • コメント (4)

  • トラックバックは利用できません。

    • SB
    • 2025年 5月 15日

    ついにオランダも戦車部隊復活か
    もっとも、10年くらい前からドイツ軍に派遣?して運用のカンを取り戻そうとしてたけど

    3
    • 他人事では無い
    • 2025年 5月 15日

    昔戦車教官をやっていた人を呼び戻して建て直さないとね。

    4
    • たむごん
    • 2025年 5月 16日

    レオパルド、本当によく売れてますね。

    年間生産台数で考えれば、生産ライン・改修ラインがどんどん立ち上がっていくということでしょうか?少し気になっています。

    3
    • hoge
    • 2025年 5月 16日

    他に選択肢がないとはいえ、完成時点で69tだと運用もこれ以上の機能の拡張も困難な気がするのですが、今後数十年運用できるのでしょうかね…

    1
  1. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  2. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  3. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  4. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  5. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
PAGE TOP