英国の労働党は14年ぶりに政権を奪還し、スターマー政権のヒーリー国防相はゼレンスキー大統領と会談して「ウクライナ支援を強化する」と述べ、前政権の支援に上積みされる形で「AS-90の追加提供を含む新たな支援パッケージ」が発表された。
参考:New Defence Secretary pledges to step up support for Ukraine on visit to Odesa
英国のスターマー政権はウクライナ支援を強化、フランスでも国民連合による政権獲得が失敗
英国のスナク首相は総選挙の結果を受けて辞任、14年ぶりに政権を奪還した労働党はスターマー政権を樹立し、ウクライナのオデーサでゼレンスキー大統領と会談したヒーリー国防相は「ウクライナ支援を強化する」「前政権が4月に約束した支援を100日以内に実行する」「これとは別に新たな支援パッケージを提供する」と明かし、ウクライナに対する英国のコミットメントはスターマー政権下で活性化されるだろうと付け加えた。

出典:PRESIDENT OF UKRAINE
ヒーリー国防相が言及した新たな支援パッケージについて国防省は「50口径の弾薬×25万発、Brimstone×90発、沿岸及び河川で使用する小型ボート×50隻、地雷除去車輌×40輌、AS-90×10輌、陣地構築用のブルドーザー×61輌、155mm砲弾6万発を発射するための交換用砲身×32本とスペアパーツが含まれている」と発表している。
前政権が4月に約束した支援とは「総額30億ポンド相当のウクライナ支援パッケージ」のことで、各種水上艇×60隻、攻撃用・防空用ミサイル×計1,600発以上、追加のStorm Shadow、歩兵機動車(Husky)×160輌、装甲車両(種類不明)×162輌、全地形対応車×78輌を含む400輌以上の車輌、小口径火器の弾薬×400万発が含まれており、これを11月までにウクライナへ引き渡すという意味だ。

出典:MBDA/Thierry Wurtz/2004
さらにフランスの国民連合は総選挙1回目の投票で勝利を収め、同党の党首を務めるバルデラ氏は「(2回目の投票で勝利を収めて)政権を獲得して首相に選出されてもウクライナを支援し続ける」と述べたが、前党首で党内に大きな影響力をもつル・ペン氏はCNNの取材に対して「フランスが越えてはならないラインが2つある。1つ目はウクライナ領にフランス軍を派遣すること、2つ目はロシア領を攻撃可能な長距離ミサイルをウクライナに提供することで、この2つはフランスと戦争当事国にする」と言及。
つまり国民連合が総選挙で勝利すると「長距離攻撃兵器のウクライナ供給が停止され、フランス製兵器によるロシア領内の攻撃が禁止されるかもしれない」という意味だが、2回目の投票で国民連合は第1党に届かなかったため政権の獲得に失敗し、英国とフランスの政権交代でウクライナ支援が削減されることはなさそうだ。
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※アイキャッチ画像の出典:British Army
>沿岸及び河川で使用する小型ボート×50隻
まだ海兵隊員に無理させる気かよ
ウクライナは各地に運河があるのでそれ用では?ボルチャンスク市内も川が通ってますし。ウクライナの地形図見てるあちこちに川があるし、そこを防衛ラインとしてる所もあります。そして橋はロシア軍が落としてるので渡河用のボートは支援装備として有用なのではないかと。そう言えば、最近全くクリンキーの話を聞きませんがまだ海兵隊に無謀な突撃やらせてるんですかね。
ボルチャンスクにかかる橋が滑空爆弾で全部破壊されてしまい、増援と補給が川をボートで渡すのがメインになってしまっているようです。
で、またもやそこをロシアのFPVドローンに狙われ,と。
ヘルソンほど川幅は無いのでそこまで甚大な被害が出ているわけではないようですが。
3日にクリンキ内を動いてるウクライナ兵が攻撃されてる映像が上がってましたから、まだ続いてるっぽいです
えーかげん
「長期にわたり敵戦力を極小地域に拘束するという任務は達成された」
「別地点での新たな状況の変化に対応させるため戦力を移転する」
とかなんとか作文書いて解放してあげればいいのに
情報ありがとうございます。
クリンキ、まだやってるんですか…
ガダルカナル化してるやん
ボート等がクリンキ向けかどうかは判りませんが、そうならば。
クリンキは引くに引けない状況でしょう。橋頭堡を失うとヘルソン州ドニエプル川左岸以南はロシアの完全制圧になってしまい、ヘルソン奪還強いてはクリミア半島奪還への一縷の希望としての象徴を失ってしまいますよね。
況してや反抗作戦時の数少ない戦功であり、これまでの多くの犠牲に成り立った政治的にも重要拠点になってしまっていると思います。
それを知ってかロシア軍も生かさず殺さずの草刈場にしているきらいがあり、当分は現状の状況が続くのでは。
海兵隊も大変でしょうが…。
英仏の選挙が終わりましたので、今後に注目ですね。
塹壕が重要な戦争ですから、ブルドーザーが支援にあるのは興味深いです。
前線近くであれば、お互いに狙いやすい重要目標とは思いますが…。
(後知恵になりますが)ウクライナ支援に重機を大量に要請していれば、兵器よりも理解を得やすく調達しやすいため、陣地構築により被害を減らす事に繋がったかもしれませんね。
>陣地構築用のブルドーザー×61輌
ジョン・ヒーリー、就任3日目にオデーサ訪問
早すぎるわ
仕事早いですよね。
イギリスもフランスも、せっかく政権交代したのに結局ウクライナにオールインですか……。
メローニ首相もそうですが、選挙期間中の公約を捻じ曲げて有権者を裏切る政治家がなぜ評価されるのか理解できません。
軍事侵攻直前のゼレンスキー大統領を想起させるような腹立たしい言動です。
英仏共に、選挙前からウクライナ支援継続を表明していた
何も裏切ってはいない
確認してみましたが、その通りのようですね。申し訳ありませんでした。
しかしスターマー新首相もまた、たった2年で3人も首相の首が飛んだ本当の理由に向き合っていない気がします。欧州の政治家達はいつまで現実逃避を続けるつもりなんでしょうか。
はっきりと自分の願望が裏切られて悔しいと仰った方が良いかと思いますが……
大丈夫ですよ。アメリカ大統領選挙の結果如何で日欧は変わるざる得ませんから。
もし、バイデンが当選し戦争継続なら悪性インフレが続くでしょうから給料以上に物価が上がっていくのに喜ぶ日本国民を尻目に、米国株でバブルを愉しむしかないですw。
これは仰る通りですね。
ジンバブ円・岸田コインなんて言われていますから、個人で対策をする重要性を感じます。
生活にゆとりのある人が、戦争支援に熱狂したり信念を貫くのは理解できるんですよね。
生活が苦しい人も、戦争支援に熱狂してたのは不思議に思って見ていました。
今度は生活が苦しい、インフレに怒っているのを見ると、日本人が流されやすいのは変わらないなと感じてしまいます。
誰も君のお気持ち表明なんぞ求めてないんだが
>2回目の投票で国民連合は第1党に届かなかったため政権の獲得に失敗し
そもそも国民連合の獲得予想議席数は明らかに過大だった
選挙区の大半でまだ当選者が決まってなかったのに国民連合以外でいわゆる共和国戦線やられて250議席なんて取れるわけないしまして単独過半数とか絶対無理だったのに
メディアが失速煽りをしたくてわざと言ってたんじゃないかと思うくらい不自然な予測
決選投票前に与党連合と左派連合、合わせて200人以上が立候補を取り下げている
それをフランスでは共和国戦線と言うんだよ
だからそういう政治用語があるくらい2位3位連合の結成は自明だったから獲得議席予想が過大だったって言ってる
自明ではない
7/3以降になって確実視されたこと
実際に党の要請をこたわった候補者が何人もいる
そしてこれ以降は、国民連合が勝つと言うマスコミの報道もなくなっていた
いや、共和国戦線の結成は自明だよ
共和国戦線は大統領選ではかなり前から毎回やってるし国民連合が得票率1位だった時点でやらないという選択肢は全くなかった
特に今回は中道右派の共和党が国民連合との選挙協力を唱えたシオティ党首を幹部会の全会一致で除名(直後に裁判所の判断で無効になったけど)して
大多数の反国民連合派と少数の連携派とが別れて純化してたから尚更内側から異論を唱える勢力がなくなってた
全て受け入れたとして、、、
6/30以前は自明ではなく、マスコミの過熱報道も6/30まで
実際に国民連合の得票率は67%で、1発で過半数を取る可能性があった
そしてマスコミは7/1以降、特に7/3以降は現状を予測している
予想を外したのは、左派連合がTOPに立ったこと位?
不勉強なので共和国戦線とやらの定義を示した資料を教えてくれるとありがたい
フランス語は出来ないので出来れば英語がいいな
海外通信社の記事でいいならブルームバーグが共和国戦線に言及した記事の邦訳記事を配信してる↓
仏下院選、左派連合が予想外の勝利-マクロン氏に二つの選択肢
ありがとう
勉強させてもらう
これはやはり
「新人民戦線」
ヌーベル・フロン・ポピュレール、NFPと呼ぶべきで、英語でいえばニュー・ピープルズ・フロントになります。
これは第二次世界大戦の前の戦間期、火十字団、クロワ・ド・フーのファシズム運動、クーデターの脅威に対抗するために結成された社会急進党とフランス共産党の連立政権、
「レオンブルム内閣」
の現代版ということでしょうし、スペインでも似たような人民戦線内閣ができて、これはスペイン内戦へと直結しました。
ごめん、連立の話じゃなくて、候補者調整の話
なお英文表記だと
republican front
と言われているようです。
Authentic様より教えていただきました
ありがとうございました
これよく纏まっていたので置いておく
あれ?URLが消えてる
ここって他サイトへの誘導って禁止だったっけ?
仰るとおり、そもそもフランスの選挙制度が極化を防ぎやすい段階選挙であり、そのため左派や与党は連合を組む中で一党を固辞したRNが過半数を取らないのは予想できた流れです。
RNが連合を無理に組まなかったのはレームダックの中で議会多数を占めてもマイナスの実績がつくからで、大統領選挙を見据えてる中の戦略でしょう。
しかしご指摘の通りフランスの選挙制度に強くないにしても、国際誌でもRNが多数派を取るとやけに騒がれていた印象ですね。
ごめん、連立の話じゃなくて、候補者調整の話
ウクライナ支援の先行き?ですが。
ディフェンスエクスプレスの記事で。
イスカンデル対策で、SM-6が必要、と言う記事が出てましたね。
理由は、PAC-3よりも覆域が大きいから、です。
いずれ出てくる話、とは思っていましたが、PAC-3の数が揃わなければ
欧州の対露BMDを先取りする形で実現したりするのかな。
ロシアが、イスカンデルを超えるものを持ち出してきたら、尚更でしょうか。
ジョンソンとネオコン連中のやらかしゲロって一抜けするほうがと思うが、EUからは抜けてもNATOからは抜けられないから仕方ない判断なのかもしれないけど、ババ引いてるんじゃないかなあ
再来年辺りまで続いてたらそのへん無駄遣いとか言って保守党に攻められたりして
ネオコン連中は節操のなさで文字通り世界とってるし
労働党は予定調和の勝利。ジョンソン以来のゴタゴタが保守政権の致命傷となった。ウ支援はほぼ論点にならず。
ファラージの新党が議席を獲得したことの方が影響が大きいのではないか。
一方フランスは予想外のRNの伸び悩みとなったが、左翼・マクロン・極右のいずれも過半数には遠く、宙ぶらりんの議会で政治闘争の激化と不安定化が予想される。いずれにせよ迅速なウ支援は更に遠のきクレムリンはほくそ笑む結果。
左翼連合の中心である「不服従のフランス」のメランションは極端な社会主義者で知られNATO・EU懐疑論者でマクロンにとってはルペンに並ぶ仇敵。解散に打って出て党の大敗を招いたマクロンが求心力を維持できるかが今後の焦点。
いまさら自走砲を渡したところで
そもそも155mm砲弾も
動かすクルーも足りてないのでは?
ボグダン氏のYouTubeによると、
リアルな停戦案がウクライナ内でも
漏れ聞こえ始めてるらしいけど。
ほとんどWW1のヴェルサイユ条約方式だから
AS90も戦後賠償でロシアに持って行かれて
イランあたりに転売されるでしょうね
ウ政権もNATOもまだまだやる気満々だからなあ。
停戦もクーデターも芽の段階で阻止される。この点に関しちゃCIAも協力してるのは疑いようがない。
ボグダン氏の言うことが事実でもそれがウクライナの方針転換に繋がる事は無いと思う。ゼレンスキー政権は鉄壁だ。
ウクライナで話されている停戦案はヴェルサイユ条約方式なのですか?
私は朝鮮半島方式の停戦の方が可能性が高いと思っているのですが。
>ほとんどWW1のヴェルサイユ条約方式だから
AS90も戦後賠償でロシアに持って行かれて
イランあたりに転売されるでしょうね
それはない
ロシアがそこまで要求できるほど圧倒的優勢だと?
完全支援停止しちゃうとウクライナ敗戦でその時の与党の失点になっちゃうから
香典程度の支援はもらえるかも・・・例えトランプ政権だとしても・・・
ただ前向きに支援しまくってたときでされアレなので、消極的支援になったら・・・
政党が変わる事は、現政権が失敗だと認めてる事
支援問題は不具合があれば前政権の約束事で
こういう支援って戦後ウクライナが支払っていくんでしょうか?
だとしたら現実的に返せませんよね
ウェルサイユの賠償金だって日露戦争の借金だって返済出来たわけでしてね……なんならアメリカすら第二次世界大戦では戦費で国家予算の数倍の借金抱えていたような?
一括返済する必要はないし、無利子にしてもらっってもいいし、インフレで相対的に借金が目減りする事もある
はっきりいって今の段階で返済可能かを議論するのはかなりナンセンスでは?