英国、オランダ、デンマーク、ポーランド、チェコ、スロバキア、エストニア、ラトビア、リトアニアの9ヶ国は19日、ロシアと戦うウクライナを支援するため集団的軍事援助を約束する「タリン宣言」を発表した。
参考:Joint Statement – The Tallinn Pledge
参考:“Таллиннская декларация”: 9 стран Европы пообещали беспрецедентную военную помощь Украине
9ヶ国はウクライナ軍が抵抗から反撃に移行するため、主力戦車、歩兵戦闘車、大砲、防空、弾薬を含む前例のない装備品や物資を集団的に支援
英国防省のプレスリリースによれば英国、オランダ、デンマーク、ポーランド、チェコ、スロバキア、エストニア、ラトビア、リトアニアの国防相や代表者が19日に会合を開き、違法で無謀なロシアの侵略と戦うウクライナを支援する意思を再確認、ウクライナ人を恐怖に陥れることを目的にしたインフラ攻撃を含む戦争犯罪を糾弾し、ロシアによるウクライナの主権、独立、領土保全への侵害やウクライナ領を併合したという主張を全て拒否。

出典:Генеральний штаб ЗСУ
さらに9ヶ国はウクライナ軍が抵抗から反撃に移行するため、主力戦車、歩兵戦闘車、大砲、防空、弾薬を含む前例のない装備品や物資を集団的に支援する。
この支援は互いの国が保有する資産を活用したものになり、事態の深刻さを理解してウクライナ支援を緊急に拡大・加速することを約束するもので「我々は『タリン宣言』後にラムシュタイン会議に向かい他の同盟国やパートナーにも同様の支援を要請する」と説明しており、この発表を受けてウクライナメディアは「欧州の9ヶ国が前例のない軍事支援をウクライナに提供することになった」と報じている。

出典:Ministry of Defence UK
因みにタリン宣言に参加する支援内容(既に発表されているものを含む)も公開されており、その詳細は以下の通りだ。
英国 |
チャレンジャー2、AS90、AFVやMRAPなど数百の装甲車輌、2,800万ポンド相当の地雷原突破や架橋能力を含む作戦支援、2,000万ポンド相当の砲兵戦支援向け無人機、10万発の砲弾、GMLRS弾、スターストリーク、中距離防空ミサイルなど数百の高性能ミサイル、ブリムストーン×600発、ウクライナ軍保有の戦車や歩兵戦闘車など約100輌分を改修する支援パーツ、英国主導のウクライナ軍兵士に対する軍事訓練プログラム(インターフレックス作戦)の継続 |
オランダ |
特に言及はないがパトリオットシステムを提供予定 |
デンマーク |
自走砲(Caesar)19輌の提供、英国主導のウクライナ軍兵士に対する軍事訓練プログラム(インターフレックス作戦)への協力、デンマーク軍による独自の訓練プログラムを提供、ウクライナのニーズに応じた武器支援の継続 |
ポーランド |
旧ソ連製の対空機関砲S-60、S-60の弾薬7万発、必要な限りウクライナへの軍事・人道援助を継続、155mm榴弾砲KRABの引き渡しを継続、レオパルト2を1個中隊分と1,000発の砲弾を提供する用意がある |
チェコ |
ウクライナのニーズに応じた軍事物資提供の継続、特に大口径弾薬、榴弾砲、APCの生産でより多くの支援を提供、チェコにとって引き渡し済み装備品のメンテナンスが最も重要な貢献要素 |
スロバキア |
追加の重装備提供に向けて集中的な協議を継続、主力戦車、歩兵戦闘車、防空システム、榴弾砲、地雷除去装置、弾薬の増産に関連する可能性に焦点を合わせている、ウクライナ軍兵士の訓練を継続、要求に応じて受け入れ規模を拡張 |
エストニア |
FH-70とD-30を数十門提供、155mm砲弾を数千発、榴弾砲を牽引する車輌、 カールグスタフを数百発、ウクライナ軍兵士に対する基礎訓練と専門訓練の両方を引き続き提供 |
ラトビア |
スティンガーを数十発、防空関連要素の追加、M-17を2機、機関銃を10丁と弾薬、無人機を数十機、M109のスペアパーツ、ウクライナ軍兵士(約2,000人)に対する基礎訓練と専門訓練の両方を引き続き提供 |
リトアニア |
ボフォース 70口径40mm機関砲を数十基と弾薬を数万発、Mi-8を2機、2023年のウクライナ向け軍事支援(無人機、対無人機、光学機器、暗視装置などの調達)に4,000万ユーロを投資予定、大砲、弾薬、装甲車輌などを調達するプロジェクトの資金として200万ユーロを英国主導の国際基金に拠出、今後予定されているリトアニアの武器支援パッケージの総額は1.25億ユーロ |
特筆すべき点は英国がブリムストーン×600発の提供を追加している点で、さらに英国がパートナーと共に集めたウクライナ国際基金の資金(約6億ポンド=約950億円)を使用した「最初の支援パッケージを間もなく発表する」と言及しており、リトアニアが言及している「英国主導の国際基金」とはコレのことだ。
果たして「タリン宣言」が今後のウクライナ支援にどのような変化を起こすのかは今のところ様子見だが、英国を中心にウクライナ支援を拡大・加速させようとする「政治的なグループの誕生」はある種のマイルストーンと呼べるものなのかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:Mil.gov.ua/CC BY 4.0
春・夏の攻勢で全てを決める構えですか
ロシアがミサイルとドローンを使って民間インフラの攻撃を激化させたことで、
西側諸国の結束を高めてしまった
欧州の盟主はドイツではなくこのイギリスだと宣言するかの如しですね。
イギリスの発言力拡大は歓迎するところです。
20年くらいのうちに核戦争起きそう。
すみません。リプライのつもりで投稿したつもりではありませんでした。無視してください。
ショボい
え、これのどこが?
(ドイツの存在感が)ショボい、では?
ポーランドは、T-72系列を根こそぎ送ったのかな。
NATO自身のせんりょ
あまり関係ないですけど
9カ国の大半が過去にソ連・ロシアに歴史的に恨みを持っている国ですね…
やっぱり普段の行いが悪すぎるからこうなるんですね
特に東欧諸国が自国の防衛に穴開けかねない勢いで支援前のめりなの
戦争の行く末がいよいよ見えてきたって事何だろなぁ
ポーランド何かドイツの許可無くてもレオパルト送るぞとまで言ってるし(出来るの?)
一部の親露界隈が言う程、ロシアの優勢が揺るがないなら
戦後に報復されるリスク恐れて、ここまでやらないと思うし
これはもう妥協せずこの戦争でロシアの脅威を徹底排除するぞの決意表明ですわ…
契約上はできないはずですが、もし提供した場合スペアパーツ等が止められる可能性もあります。まあ、ポーランドはエイブラムスもK2も持ってるのでしばらくはなんとかなると思いますが。
「ポーランドは(ドイツの承認が得られたら)レオパルト2を提供する用意がある」
と言うことだと思うが
やっぱりと言うべきか、地理的に離れているからと言うべきか、
英米は先が見えているような気がします。
目先への対応に手一杯の国々では出来ない事をしてきますね。
露/仏/独の先行きも見えているのでしょうか。怖いですね。
日本はどうすれば良いのでしょうか。
今回の件では、米/英/仏/加/豪とは役務協定があり、
防衛協力の素地があると思います。
余剰品ではない資材を提供した国には、穴埋めが必要でしょう。
次国会での法律の成立(施行は即時としてもらって)を待って、
装備品の提供に踏み切っても良いのでは。
日本は対中国に集中するべきだと思う。
欧州の危機に対して主体的な行動を起こすことが自由主義諸国の結束を高め
中国の行動を抑止する事に繋がるんじゃないかと
対中国であまり役に立たない装備品もあるでしょうし
ウクライナ関係なく老朽化による退役が進んでる74式戦車のような装備なら供与しても戦力は減少しないけどね
ウクライナに74式戦車を提供した穴埋めって名目で10式戦車を新造すればむしろ戦力増強になる
74式戦車なら古すぎて流出して困るような技術の機密性もないだろう
対中国に集中するってのがロシアとは仲良くしたいんだって意味ならそれについては知らんがな
経済制裁に加わってる時点でもう手遅れだとおもうよ
自衛隊兵器って送ったとして整備とかどうするんですかね
チェコやポーランドで修理するのも難しそうですしNATO規格のもの以外は使い捨てになりそうな…
FH70沢山あるじゃん
用廃で捨てちゃうなら対中で~とかいう論理も成り立たない。
FH70は39口径長ですから、
普通ですと現在主流となりつつある
52口径長の砲に、同じ装薬で、射程で負けます。
今しか渡せないでしょうか。
そうでなければ、エクスカリバー砲弾みたいに、
飛行する砲弾が必要でしょうね。
日本も開発をすべきでしょうか。
ドイツではレオパルト2の供与賛成と反対がほぼ拮抗か、反対が多少優勢らしいですね。
ちなみに先日のNHKの番組で報じていましたが、旧東ドイツエリアを中心にロシアのプロパガンダを拡散する人々や、それに感化された人々が多いとのこと。
・・・ドイツも明らかに、ロシアが得意とするロシア系・もしくは旧ソ連の影響を受けた住民を使った浸透戦術のターゲットにされていますよね。
プーチン及びロシアの政治体制を、
SDGsやポリコレやマスコミや敵国に甘い売国政治に屈しない理想の政治家として崇拝する情報源がネットに偏りすぎてる右派
ネット用語でいうところのレッドチームとして、ソ連から引き続きロシアを崇拝し続ける左派
中道右派と中道左派が国際法のような法を理由にロシアのほうを悪と認識してウクライナ支援
ものすごい雑に分類するとこの三つ巴みたいになってる国が多いけど
世界全体でみるとトランプやボルソナロが好きでプーチンも正義なんだって右派の親ロシアが目立つのに対し
敗戦国のドイツや日本はレッドチーム崇拝の左派の親ロシア派まで多いからやたら目立つ
中国や韓国への厳しい対応で左翼が極右呼ばわりされてる人物と、その中国韓国大好き左翼が
ロシアウクライナ問題では完全に一致したような親ロシア反ウクライナ発言をしてるのをよく見る
ドイツは外堀を埋められてきていますね。
移転すら拒否するようだと戦時に役に立つのか?となり、ドイツ製兵器のセールスに影響しそうです。
それもあって、ラインメタル社は政府とは違う提案をいろいろやっているのかもしれません。
イギリス主導による独仏抜きのグループはウクライナ支援以外でも広がりそうですね。EUが色んな意味で行き詰まってる現状だと
グループ分けが三国干渉から日英同盟のころに回帰しつつある
色々あったけど日米英と独仏中露でグループ分けするほうが地政学的に自然なのかもしれない
なんで仏/独は落ち目のロシアにこんなに媚びるのだろう?
中国なら分からんでもないが。
フランスに関してはそんなこと無いと思いますが