ノルウェー国防省は19日「フリチョフ・ナンセン級フリゲートの後継艦取得に向けた協議にフランス、ドイツ、英国、米国を招待する」と発表、2025年中にFDI、F126、26型、コンステレーション級の中から調達艦を選択する予定だが、2029年に1番艦を引き渡すという条件がネックだ。
参考:Norway to invite France, Germany, UK and US to discussions on strategic partnership for new frigates for the Royal Norwegian Navy
参考:France, Germany, UK, US make Norway’s billion-dollar frigate shortlist
果たしてノルウェーは何を選択するのだろうか?個人的には26型フリゲートを選ぶような気がする
ノルウェーのストーレ首相は4月「今後12年間の国防費増額(6,000億クローネ)を議会に提案した」「この計画が承認されれば国防予算は現在の約2倍となり、2024年~2036年までの国防支出額は1兆6,400億クローネ(約23兆円)に達するだろう」と表明、この長期計画において最大の投資先はノルウェー海軍の強化で、ウーラ級潜水艦の後継艦(212CD)を5隻、フリチョフ・ナンセン級フリゲートの後継艦(対潜ヘリ搭載のフリゲート艦)を5隻取得する予定だ。
さらに注目すべきは新型フリゲート艦の納入時期が2029年に設定されている点で、この短納期を実現するためノルウェー海軍は「既存のフリゲート艦を調達する」「独自の要求要件に合わせたカスタマイズを行わない」と決定、Naval Newsは「英国の26型、オランダのASWF、ドイツのF126、フランスのFDI、米伊のコンステレーション級、スペインのF-110が候補になる」と予想していたが、ノルウェー国防省は19日「フリチョフ・ナンセン級フリゲートの後継艦取得に向けた協議にフランス、ドイツ、英国、米国を招待する」と発表した。
グラム国防相は新型フリゲート艦調達について「ノルウェーと戦略的利益が一致する同盟国との長期的かつ相互利益のある戦略的パートナーシップを通じて調達される」「この戦略的パートナーシップには新型フリゲート艦の共同取得、運用、保守、継続的な開発、耐久年数を通じたアップグレードが含まれる。ノルウェーはフリチョフ・ナンセン級フリゲートに対するアップグレードを抑制するため、新型フリゲート艦の生産に参加して取得を加速させることも検討している」と言及。
今回の発表によってオランダのASWFとスペインのF-110が候補から外れ、2025年中にフランスのFDI、ドイツのF126、英国の26型、米伊のコンステレーション級から調達艦を決定する予定だが、どの候補も2030年前半までの建造枠が埋まっているため、ノルウェーが要求する納期に間に合わせるためには「建造枠の融通もしくは調整」が必要になってくる。
フランスは自国向けに建造中の2番艦アミラル・ルゾーか3番艦アミラル・カステクスを、ドイツは自国向けに建造中の1番艦ニーダーザクセンか2番艦ザールラントを、英国は自国向けに建造中の3番艦ベルファストか4番艦バーミンガムを、米国は自国向けに建造中の1番艦コンステレーションをノルウェーに譲れば「2029年に1番艦を引き渡す」という条件をクリアできるものの、F126とコンステレーション級は現物も運用実績もないため、システム全体の成熟度や完成度の面から言えばFDIと26型の方が有利だ。
とは言え、政治的に「戦略的利益が一致する同盟国との長期的かつ相互利益のある戦略的パートナーシップ」を優先する可能性もあるし、2029年に1番艦を引き渡すという条件の変更が可能ならF126やコンステレーション級も十分選択肢に入ってくるだろう。
果たしてノルウェーは何を選択するのだろうか?個人的には26型フリゲートを選ぶような気がする。
追記:グラム国防相は「フリチョフ・ナンセン級フリゲートの後継艦計画のため2023年、フリゲートの建造及び調達を計画をもつ11ヶ国と接触した」と明かし、Defense Newsはノルウェーが接触した11ヶ国について「フランス、ドイツ、英国、米国、オーストラリア、カナダ、デンマーク、イタリア、オランダ、スペイン、韓国だ」と報じた。
つまりノルウェーはFDI、F126、26型、コンステレーション級の他に「オーストラリアのハンター級、カナダのリバー級駆逐艦、デンマークのイーヴァル・ヒュイトフェルト級フリゲート、イタリアのカルロ・ベルガミーニ級フリゲート、オランダのASWFと、スペインのF-110、韓国の大邱級BatchIIもしくはBatchIIIにも関心を示していた」という意味だろう。
関連記事:ノルウェーの新型フリゲート艦調達、現地企業はコンステレーション級押し
関連記事:ノルウェー海軍のフリゲート艦調達、ネックは2029年までの1番艦引き渡し
関連記事:ノルウェーが長期防衛計画に基づく国防費増額を表明、12年間で約23兆円
関連記事:コンステレーション級が計画外の重量増に直面、耐用年数が短くなる可能性
関連記事:何もかも遅れる米海軍の計画、コンステレーション級は最大3年遅れる可能性
※アイキャッチ画像の出典:Ian Dick/CC BY 2.0
フリチョフナンセンの後継と言うことはイージスシステムを採用するのかな?イージスに拘るならイージスの本家の米伊コンステレーションか、ナンセンにも関係があるスペインか、豪州でイージス搭載艦を作る予定の英26型が有力だろうか?でも何れも予定未定ばかりだから29年に間に合うのか…
フリチョフ・ナンセン1番艦の就役が2006年だから、23年で退役って随分早い気がする。
調べてみたらVSLが8セルかつESSMのみなので、将来発生しうる対露戦争には能力不足と考えたのでしょうか?
にしても艦齢が若いなあ。中古で買い手が見つかりそう。
本当に早い。1隻がタンカーに沈められているとは言え、何か問題点があったのか。
スペイン艦はオーストラリアでも揉めていたようだし。
フリゲートと言いながら、一万トンクラスと倍近い艦になりそうだが、ロシアへの危機感の現れか?
うーん元から何か相当な問題を抱えてたとしか思えないですね
防空性能に不安があるならRAM足すとか、VLS8セルでも足してSM6入れるとか出きるでしょうし
期限が短いことからも、船体や機関に致命的な問題抱えてたんじゃないかなと
致命的な問題・・・とりあえず頻繁に浸水でもしてるとかに一票
レーダーがSPY-1Fだから、探知範囲が狭いのでは?
AEW機があれば連携でなんとかなるでしょうが。
後継艦の調達はするけど丸っと変わらず、フリチョフ・ナンセン級と同時運用するのでは?
いわゆる増備ということかも
年数がある程度言っている艦を改造するよりは新造した方が諸々考えたら1番正しい選択という気はする。VLS8セル分追加出来るとは言えそれでも少ないと言われる非イージスのもがみ型と同じレベル。SPY-1の性能は問題だろうがそれはSPY-6搭載で改善出来る話でもある。
船体規模に関わらずイージスの保守に関わる部分はアメリカに丸投げで維持費用が高額ってのが1番のネックじゃないだろうか。
ミサイル搭載数とか武装強化を狙いたいなら26型、非イージスの安価なフリチョフ・ナンセン級が欲しいならフランスのFDIとか。そんな選択肢じゃないだろうか。
国防費を増額して予算はできても、肝心のモノを作るには時間調整がが必要という典型みたいな話ですな
完成したところで、ロシア軍のモスクワの二の舞になる危険性が高いのが何とも。
拡張や改修の余裕がある船じゃないと厳しいね。
搭載するイージスシステムにもよるのだろうけれど。
大きいほうが良いのでは?。使用目的にも依るだろうけれど。
フリチョフ・ナンセン級は、色々と、我慢したみたいだし。
フルサイズ?のイージスに比べ、最大探知距離は約半分とか。
それでも、レーダー部分が船体に比べ、トップヘビーに思えます。
ノルウェー海軍が大型艦を扱えるインフラ(ドックや港湾設備)を持ってないからでは?
かといってインフラ整備をしている時間もないみたいだし
なるほど、です。
海軍の施設ですか。運用の問題なのですね。
建造は民間に大きな会社はある様ですが。
敢えて無理筋のコンステレーション級に拘るあたり、衝突であっさり沈んだナンセン級トラウマになってるんじゃ無いでしょうか。
コンステレーション級も、当初はベースのカルロ・ベルガニーニ級の流用で開発期間の短縮を狙ったものの、米海軍の基準に合わせたら90%あまり再設計になったとか。恐らく、大洋上での対称戦が前提の米軍の抗堪性の基準に叶わなかったのでしょう。(イタリアはなんだかんだ言いつつ、主戦場が内海の地中海だし、緻密な水密構造の適用には金もかかるし)
一般的な基準からすると、かなり早いと思われるナンセン級の退役も、小手先の改装程度では、対称戦下の実戦では使い物にならないぐらい安普請だとという判断によるものでは無いでしょうか。多分、実戦も海賊対処程度を想定していたのだと思います。この辺、ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク級のコンセプトからも、21世紀初頭のヨーロッパの安全保障状況の認識が感じられます。
日本は売り込んでないよな?
ノルウェーとは防衛装備品・技術移転協定にサインしてないから
サインは後からでも出来るんだよなぁ!
接触した11か国に日本が含まれてないのはマズイでしょ
カスタマイズ無し、現地生産無しなんだから逃す手は無かったのでは?