ノルウェー軍は陸軍近代化の一貫としてK9×24輌と弾薬運搬車K10×6輌を導入したが、ノルウェー政府は4日「防衛力強化のため約170億クローネの投資を提案している」「政府はフィンマルク旅団の砲兵大隊を編成するためK9×24輌の購入(56億クローネ)を提案している」と発表した。
参考:Arbeiderpartiregjeringen foreslår milliardinvesteringer i Forsvaret
参考:Norway to nearly double its K9 howitzer fleet for around $534 million
現在の安全保障環境を考慮すれば議会が新たな国防投資を拒否する可能性は低く、ノルウェーのK9追加導入は限りなく成立に近い
ノルウェーは陸軍近代化の一貫としてM109A3更新を計画、これにPzH2000、Caesar、K9、M109のアップグレードが提案され、最終的にHanwha Defense(現在のHanwha Aerospace)が2.1億ドルの契約を獲得し、2020年までにK9×24輌+弾薬運搬車K10×6輌を導入したが、直ぐに契約に含まれる追加購入のオプション行使の可能性が浮上、2020年7月に駐韓ノルウェー大使が昌原市にあるK9製造工場を訪問して「ノルウェーはK9追加導入の準備が整った」とHanwha Defense側に伝えたと報じられていた。

出典:Forsvaret
但し、Hanwha Defenseの関係者は「オプション行使が正式に決まった訳ではない」「現在もノルウェー軍当局と協議中」と語り、韓国メディアは「もしノルウェー側がオプションを行使すれば24輌程度の追加発注になる」と予想していたが、ノルウェー政府は4日「防衛力強化のため約170億クローネ=約2,300億円の投資を提案している」「政府はフィンマルク旅団の砲兵大隊を編成するためK9×24輌の購入(56億クローネ)を提案している」「この追加取得はHanwha Aerospaceと締結した契約に含まれるオプションを行使することで実行可能だ」と発表。
Defense Newsも「ノルウェーは56億クローネ=5.3億ドルの費用を投じて自走砲戦力を倍増させる計画だ。ノルウェーはHanwha Aerospaceとの契約に含まれるオプションを行使するつもりだが、まだ政府の追加支出計画は議会の承認を受けていない」と報じたものの、現在の安全保障環境を考慮すれば議会が新たな国防投資を拒否する可能性は低く、ノルウェーのK9追加導入は限りなく成立に近い。

出典:Romanian Ministry of Defense
因みにHanwha Aerospaceは2024年にPzH2000やT-155を破ってルーマニアから契約を受注(K9×54輌+K10×36輌+砲弾/推定9.2億ドル)し、今月3日には「駐インド韓国大使館で二次輸出契約(K9×100輌)を締結した」「今回の契約はK9がインド軍の厳しい要求要件を満たして信頼性を立証した結果」「契約規模は約3700億ウォン=約367億円」と発表している。
関連記事:Hanwha AerospaceがインドからK9追加調達契約を獲得、調達規模は100輌
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※アイキャッチ画像の出典:Hanwha Defense
ウクライナ戦争で、砲火力の重要性が見直されましたよね。
車輛・弾薬だけでなく、砲身の備蓄もどのように対応していくのか気になっています。
ノルウェーは、ノルウェー海・バレンツ海が北極圏に繋がる要衝なわけですが、海軍戦力・空軍戦力も増強していくのでしょうね。
北海油田により、ノルウェー政府年金基金に大量の資金を流し込むくらい豊かな国ですから、どういった防衛戦力を強化していくのかも興味深く感じています。
>(3)兵力 陸軍3,417人、海軍1, 642人、空軍1,991人、ホームガード384人(2023年)
(ノルウェー基礎データ 外務省)
oryxblogを眺める限り、装軌式重量級自走砲の戦績、特に生存率はあまり明るくない
M109シリーズは81両、krab自走砲は39両を損失、特にkrab自走砲は完全破壊33両、損傷6両
ちなみに、krab自走砲は52口径の榴弾砲とK9の車体の組み合わせ
これに対して、 Caesar 6×6は完全破壊7損傷3
だからといって、廃止できる兵科ではないのが地獄ですわ。
牽引砲だったらもっと酷かったでしょうし。
牽引砲の評価も、仰る面もあり、難しいですよね。
牽引砲は損害が大きいと言う指摘もありましたが、コストパフォーマンスだけでなく、メンテナンス面でも管理人様の過去記事では評価する声も出ていまして。
長期の国家間戦争になると求められるものも変わってくるのでしょうが、想定する戦争の期間によって、最適な武器が変わっていくというのも当然ですが難しいなと感じています。
平時に想定していた戦争期間と、戦時政権の戦時外交方針(停戦拒否による長期化など)によっては、求められる装備も変わるでしょうし…
平時に全てを想定するのは厳しく、戦争中の適応力が、重要なのかもしれませんね。
(2024.11.17 M777生産再開に向けた動き、BAEが生産施設建設への投資を発表 航空万能論)
(2024.11.21 ウクライナ軍司令官、最も効果的で戦場に適している砲兵システムはM777 航空万能論)
むしろ牽引砲の方が生存力が高い
想定されていたように砲撃すればすぐに敵の対砲兵レーダーに探知されて即応弾が降ってくるからシュートアンドスクートを繰り返す、なんてことをすれば逆に移動目標は容易にドローンの観測にかかり撃破されやすいことがわかったのがウクライナ戦争の戦訓だよ
両軍ともに一番活躍してるのは適切なマスキロフカを施した牽引砲であり、ウクライナ軍からも最も評判のいいのはM777
また、牽引式が一番優れるとして次に装軌式は装輪式に勝るところが少ない
被整地を走行出来るのは装軌式のメリットだったが、轍はあまりにも上空から目立ちすぎる
ただ元コメントのoryxの推計は母数が考慮されてないから率を語るのは不適切かと
M109と比べてクラブの供与数は少ないし、カエサルはそのクラブよりももっと少ない
M777の評判がいいのはメンテナンスが容易だとかそういう理由で、損耗率の話で言えば自走式より大きいはず
ちなみに105mm級の牽引砲が意外と損耗率低いとかいう話もあって、短射程のため電波妨害のカバーがあるとか前線近くからの低伸弾道射撃で対砲兵レーダーに探知されにくいとかそもそも撃破の優先度が低いとか色んな説はあるけど
ご指摘の通り、率はよくわからないですね。
ウクライナ軍やロシアは正確な数字を持っているでしょうけども。
情報ありがとうございます。
前線寄りで活躍した結果、砲火力の重要性が見直されてるとも言えますが、何とも難しい結果ですよね…
ドローン偵察・ドローン攻撃・無人機攻撃が、極めて発展した戦場ですから、自走砲が目立つ活躍をしていたと言えるのでしょうかね?
逆に、ドローン・無人機が発達していなければ、(観測は劣るものの)砲火力が更なる猛威をふるっていたとも言えそうですし…
ORYXで分かる事は画像での損害だけで個別の状態が分からないので、そこから生存率云々はどうかと思う。そもそも装軌式しか使えない地形なら装軌の損害しか無い、西側の支援低下やロシアの勢いがあった時期の損害率は?激戦地に投入されているのか?はあるし横並びの条件で比較しない事には駄目じゃないだろうか。
オープンソースの情報で追加取得や損害での増減は有り得るし時期等の条件を揃える事は出来ないからざっくりとした損害率を出すと
M109(33~39口径):取得90 損害81両 90%損害
AHS Krab:取得108 損害39 約39%の損害
Caesar 6×6:取得39 損害9 約23%の損害
数値だけを見た場合M109は致命的な損害率だが考慮すべき要素として基本性能で割を食っている感じを受ける。数値上Caesar 6×6の損害が1番少なく砲性能が似通っているAHS Krabとの16%の差は大きいと思うが公平な条件を考慮に入れたら逆転とか同じレベルになる可能性は秘めていると思う。
M109の近代化では、物足りないのだろうなあ。
日本はどうするんだろうな
北海道で使い捨てかつ少数ならK9+K10でもいいような気がする
安くしてくれるなら韓国産でも構わない
国産するなら10式車体ベースストレッチかな
転輪+1の装甲戦闘車、砲塔は24式の装甲増し+ATM2連を左右に4発
転輪+2の自走榴弾砲、砲塔は99式リフレッシュ
感情論抜きにしても領土を侵略されてる国から兵器を調達する国なんて日本に限らず無いんじゃないかな
24式機動120mm迫撃砲が昨年から調達されてますね。
ライセンス料払ってまでそんなもん使わなきゃならない理由が日本にはないです
>北海道で使い捨てかつ少数ならK9+K10でもいいような気がする
99式自走砲がまだ新しいですし、人手不足でMLRSをリストラしている陸自に新自走砲をわざわざ輸入する必然性は無いと思います。
日本の現状を踏まえ国内で使うにしてもどこで使用するのか、コスト上昇は避けられない、人口減を踏まえた運用人数、拡張性、移送手段、戦術の変化、使える砲弾や技術によって必要とする物は変ってくる。
どうせ輸送するトレーラーなんて不足するし99式の採用時と違って装輪も増えたので、RCH 155みたいな8~10輪の無人砲塔で完全無人化を目指すとかで良いのでは?人間は装甲カプセル内で防御は最低限にするかAPSやRWS等の防御手段でドローン等の攻撃を防ぐ、反動制御による走行射撃やLong Range Maneuvering Projectileみたいな射程延伸弾と高性能信管を使用して致死性を上げ少ない取得数をカバーする。北海道の平原だって戦車ですら頭空っぽにして通れる所なんて限られてくるので装軌だから悪路は平気って話にもならない。
研究中のレールガン技術の応用で上陸兵力からの完全なアウトレンジによる集中運用での効率増と分散配置しない事での集中防御とかまともな方に独自色を出しても良い感じはする。
インドやルーマニアの場合に比べてだいぶ高めだね
欧州向けK9のスペアパーツとかのデポというのか集積所は欧州のどこぞに存在しているものなのでしょうか?
基本的に韓国からの直輸入なのでしょうか?
結構韓国との距離があるので非常事態になった時に
欧州に生産ラインがなければその辺はどうしているんでしょと気になってしまいます。
ポーランドでライセンス生産されるみたいですよ?
自重は47t出そうだから、重さはセーフなのかな。
先のK2戦車採用の時のはここが問題になっていた、と思うのだけれど。
その時は、韓国側が、対策込み?で受注したとのことだったけれど。
対策とは何だろう。ルーマニアの道路は50tまでの設計だそうですし。
日本の90式のように分解して運ぶのかな?
トレーラーを込みで納入するのかな?。多分。それが一番安価だろうし。