16日に開幕したパリ航空ショーでは防衛装備品の主役になりつつある無人機関連の発表が相次ぎ、MBDAは独自の自爆型無人機、GA-ASIも新しい空中発射効果やMQ-9Bへの早期警戒管制機能追加、LeonardoとBaykarも無人機技術に特化した新会社=LBA Systemsの設立を発表した。
参考:MBDA unveils one-way drone, eyeing 1,000 unit a month production rate
参考:General Atomics teams with Saab on AEW, unveils new air-launched effect
参考:Leonardo and Baykar establish joint venture for unmanned technologies
パリ航空ショーが開幕、防衛装備品の主役になりつつある無人機関連の発表が相次ぐ
フランスでは16日にパリ航空ショーが開幕、MBDAはフランス軍のニーズを満たすため設計された「高強度戦争向けの低コストで長距離飛行が可能な自爆型無人機=One-Way Effector」を、GA-ASIも「新しい空中発射効果=Pele」と「Saabと共同でMQ-9Bに早期警戒管制機能を追加する」と、 LeonardoとBaykarは「無人航空機技術の開発に特化した合弁企業の設立」を発表した。

出典:MBDA
MBDAがパリ航空ショーで披露したのは40kgの弾頭とジェットエンジンを搭載し、最大500kmの到達範囲をもつ自爆型無人機で「昨年12月に自社資金で始まった開発は従来とは異なるスピードで進んでいる」「目標はフランス軍の新要件=戦力の質と量の拡張に対応すること」「正式な要求要件は装備総局の通達を待つことになる」「本機が新要件に適合していることを確認するため仏軍と協議を重ねている」「年内に初飛行、2027年までに最初の量産を開始したい」と述べた。
さらに「本機の生産は自動車企業と協力することを計画している」「生産目標の1,000機達成できれば低コスト化が実現でき、大量使用による敵防空網の飽和ができるようになる」「ウクライナや中東で起こっていることは比較的新しい現象で、このようなソリューションをフランスで提示したのは我々が初めてだろう」「この自爆型無人機を製造する企業は同種のシステムをウクライナに配備した経験をもつ」「自爆型無人機は特にウクライナでの経験に基づいたもので新しい消耗戦戦略だ」「これを発射すればするほど敵の迎撃弾在庫がすり減っていく」とも述べ、考え方的にはShahedに近いものと言えるだろう。

出典:GA-ASI
GA-ASIが発表したPele=Precision Exportable Launched EffectはMQ-9などの空中プラットフォームから発射可能な小型無人機のことで、この能力のことを米軍は「air-launched effect=空中発射効果」と定義しており、ミッションペイロードとセンサーを内蔵した半自律型のPeleは7時間の滞空能力(航続距離換算で最大800km)を備え、高価な空中プラットフォームに追加の認識力と射程を与えることで「リスクの高い空域への侵入」を不要にするシステムだ。
MQ-9Bに早期警戒管制機能を追加する取り組みは「GA-ASIとSaabが共同でAEWポッド(この技術自体はSaabのもの)を開発し、E-2DやGlobalEyeといった高価なAEW&Cを購入できない国にMQ-9B(STOLバージョンも含む)とAEWポッドの組み合わせを提案する」というもので、GA-ASIは「空中の脅威には高度なものとそうでないもがあり、どちらも世界の空軍にとって大きな課題になっている。このシステムは高度な巡航ミサイルと比較的シンプルなドローンの脅威の両方に対応できるため顧客の作戦環境を大きく変える」と説明している。

出典:Leonardo
LeonardoとBaykarは3月「無人機に対する欧州市場のニーズはを取り込むため合弁会社を設立する」と発表、Leonardoは第1四半期の業績報告でも「Baykarと協力して輸出可能な製品を出来るだけ早く欧州市場に投入したい」「パリ航空ショーで幾つかのプロトタイプを公開する」と述べていたが、両社はパリ航空ショーの初日に「無人航空機技術の開発に特化した合弁企業=LBA Systemsを設立する」と発表、Leonardoは「今回の提携によって当社は無人機技術分野における主要プレイヤーの地位を確立した」と、Baykarも「今回の提携はグローバルイノベーターとしての役割を拡大させるという当社の長期戦略を反映したものだ」と述べた。
両社は提携の意義についても「Leonardoがもつ認証取得や統合型マルチドメイン技術のノウハウ」と「Baykarがもつ無人機セグメントを網羅するポートフォリオ」を統合させることで「世界規模のビジネスチャンスを掴むて大きな力になる」と説明し、LBA SystemsブランドのAkinciとTB3を披露したが、具体的にLeonardoの技術が統合されて何が変わったのかは不明だ。
関連記事:イタリアとトルコは欧州市場への無人機投入を急ぐ、第一弾はAkinciか
関連記事:BaykarとLeonardoが提携、KızılelmaがGCAPのウイングマン候補に
※アイキャッチ画像の出典:GA-ASI
西側もドローンの体勢が整いだしてるなぁ
自動車会社と協力ってどこだろ?
日本も日産を通してノウハウを盗めない物か
自動車企業との協力は、非常に興味深いですね。
自動車企業は、製造機械・在庫管理・下請け・労働者・材料素材のデータ分析など、製品を作る様々なノウハウを持っているわけですから、製品化までのどの部分で協力するのか興味深いですね。
WW2のアメリカ自社メーカーが、M4シャーマン生産などに協力したのは有名な話しですが、現代だとどうなるんでしょうね。
上場企業であれば、軍需産業に関わる事が株価マイナスに働いたりするわけですが、どういった会社なのか非常に興味があります。
現代アメリカのラストベルトの惨状を見ると、どれだけ生産力になるかは疑問ではありますが…🙄
カナダを巻き込んで何とかするつもりなんですかね?
ほんとどうしますかね?
新日鉄が、USスチールに投資・技術支援していくようですから、少し気になっています。
MBDAに協力するならルノーだし、何なら経営が厳しいVWだって軍需に食い込みたいと言っている。マイナスイメージで困るのは無難に経営出来ている企業だけであって収益をそれなりに上げて生き残るか低空飛行続けるか倒産するかは自由。
”MQ-9Bに早期警戒管制機能を追加する取り組み”
やっぱりこうしたものが出てきました、と思います。
トップのイラスト画がそのイメージなのでしょうか?。
素人はエリアイレーダーを背負うと思っていましたが、
背負うには少し大きかったのでしょうか?。
実用化されると良いですね。STOVL軽空母には必要と思えます。
大量の観測データのやり取りはどうするのかも知りたいものです。
無人機に早期警戒管制機能持たせるのは製造コスト上がる要素にも見えて撃墜された時が数で埋め合わせ出来るのかと思う所があります
(人乗せて管制させるよりはコストは安いと思いますが…)
無人機が重要なのは分かりますけど
見ても面白くないんですよね
シンプルなドローンの場合、自動車よりもバイク用空冷エンジンで飛行するほうが
ドローンとしての用途にマッチするような気がしますが
欧米で空冷エンジン作ってる会社はあまりなかったような
自動車メーカーに部品流用した空冷エンジン作成を依頼するのでしょうか
あんまり話題にならないけど日本はまさにそういうドローン作って発表してるんですよね
川崎の「K-RACER」ですかね
ニンジャのエンジン使ってるそうです
パルスジェットエンジンとか
電気モーターとか
選択肢いろいろありそうですが
ガソリンエンジンから選ぶなら
空冷2stから考えそうですね
素人は、ロータリーエンジン(笑)希望です。
燃費はアレだけれど・・・。
ちょっとコストはかかるけれど、二重反転ギヤ(笑)も。
小さくて軽くて大出力が期待できそうな・・・。
飛行機なら冷却もさほどに苦労はしないだろうし。
要素技術は元々、持っていたにせよ、半年で製品をでっち上げたというのは、今の時代、逆に売りになりますね。
同じくらいのスピードで、新たな戦場環境に対応できると言うことでしょうから。
さて、我が国の問題は、そういう兵器調達に対応できるかどうかです。
仮に開発能力に問題なくても単年度契約でやってるようではお話になりません。