今月20日にNATO加盟国を含む42ヶ国がウクライナへの武器支援を協議するラムシュタイン会議が開催される予定で、欧米を中心に供給する武器に関する駆け引きが活発しているのが非常に興味深い。
果たして英国はラムシュタイン会議までにドイツを翻意させられるだろうか?
英国のSkyNewsが「スナク政権がチャレンジャー2のウクライナ提供(10輌)を検討している」と、米国のPOLITICO紙が「国防総省が新しいウクライナ支援パッケージにストライカーを含めることを検討している」と、スウェーデンのAftonbladet紙が「クリステション首相がアーチャーをウクライナに提供するため政府内部の調整を進めている」と、ウクライナのEuropean Pravda紙が「ギリシャはBMP-1提供の見返りに受けるマルダーの放棄をドイツに申し出た」と報じており、SNS上では「当該装備の提供が決まった」という不確実な情報も拡散している。
この手のニュースはラムシュタイン会議の開催が近づくたびに繰り返されている「見慣れた光景」で、特にチャレンジャー2の提供検討は「欧州で運用数と保有数が最も多いレオパルト2のウクライナ提供をドイツに迫る政治的駆け引き」と見られており、11日にゼレンスキー大統領と会談したポーランドのドゥダ大統領も「レオパルト2の提供(1個中隊分=恐らく12輌)を決定した」と明かし注目を集めている。
ドゥダ大統領が言及した「レオパルト2の提供」はドイツの承認を取り付けた訳では無いため、誤解のないように言い直せば「一連の手続き=最終使用者の変更に関するドイツの承認をクリアできればレオパルト2をウクライナに提供する」という意味だが、ドイツは現在も「ウクライナへのレオパルト2の提供を考えていない=同戦車を保有する国のウクライナ移転にも同意しない」と従来の立場を崩していない。
ドイツは政治的な負担を避けるための「西側製戦車の提供で単独提供もしくは先陣を切りたくない」と考えており、米国と共同で西側製戦車の提供に踏み切った(ブラッドレーやマルダーの提供と同じ方式)という形を整えるなら「レオパルト2の提供」に応じる可能性が高い。
しかし米国はウクライナが要請するエイブラムス提供について「ブラッドレー受け入れを開始したばかりのウクライナに提供すれば兵站が破綻する」と主張して検討対象から除外、その代わりを努めようとしているのが英国で、英独による共同提供の形で「政治的な負担が分散できる」と判断するか、それとも「英国では政治的な負担を分散するには力不足(チャレンジャー2とレオパルト2の提供数でバランスが取れない)」と判断するかが見どころだ。
果たして英国はラムシュタイン会議までにドイツを翻意させられるだろうか?
因みにドイツが提供に踏み切ったPzH2000はM777、MLRSはHIMARS、IRIS-TSLはNASAMS、マルダーはブラッドレーと同タイミングで発表されており、あれだけ拒否していたパトリオットも米国が提供に踏み切ると直ぐに追従しているので、米国とドイツがウクライナへの武器支援を主導していると言っても過言ではない。
追記:FT紙は11日「スナク首相はウォレス国防相に戦車(チャレンジャー2のこと)の提供を含むウクライナ支援を加速させるよう指示した」と報じているが「国際的なパートナーと協力して=英国単独では意味がないので支援国全体で西側製戦車提供に踏み切りたいという意味だと思われる」と付け加えているため、ラムシュタイン会議までにドイツの説得に失敗すれば戦車提供を引っ込める可能性がある。
関連記事:ドイツ、マルダー歩兵戦闘車とパトリオットのウクライナ提供を発表
※アイキャッチ画像の出典:Mateusz Włodarczyk/CC BY-SA 4.0
超高額になる上に運用上制限有りまくりな米FMS装備と並び政治的及び技術的な縛りのキツイ独兵器は敬遠される事もこれから増えるだろうね
昔と違い西側寄りの国には技術提供も現地生産も前向きでアメリカがキレさえしなければ運用の自由度が高い上に安く性能も必要十分な韓国産と言う選択肢が増えてしまったからね…
ここで問題になるのは最終使用者の承認であって
これに関しては韓国製でも同じですよ
現にアメリカに輸出する砲弾の最終使用者をウクライナにすることは拒否しています
韓国はポーランドに輸出権利まで出してるし、韓国の承認が必要なものなら導入しないのでは?
韓国がロシア・中国の圧力ですぐに国の方針変えまくってるのは過去の現実ですし
ポーランドが輸出出来るのはポーランド国内でライセンス生産した物なので韓国製と言うのとはちょっと違うのでは?
韓国の許可よりも、部品単位での許可の方が難しいのでは?
ポーランドのM1導入は将来的にウクライナにM1運用させる下準備だったんでしょうね。どの種にせよ西側3G戦車はどの道ポーランドで重整備になる。ポ軍はM1もレオ2も装備しこれを整備する体制を国内に持つ。それと同時に戦車運用能力を完全に獲得するわけですから、ウ軍が必要な訓練をポ領内で提供可能になる。海超えて訓練しに行く必要がなくなる。
そして将来的にはポーランド国内で完全に内製化された国産K2を1000両以上で大量運用するでしょう。これに協同するレッドバックIFVも同じく内製化された上に同数以上の配備になるはずです。
要するにポ軍の将来戦車の本命は内製化されたK2であって既存のレオ2でも完全輸入のM1でもない。それらは全部をウクライナに供与しても大丈夫な体制に向かってるわけです。欧州最強陸軍は間違いなくポーランド陸軍になるでしょう。
流石にK2だけが本命とは言い過ぎ、それなら10年以内に運用を終えるような流れになるM1なんて導入する必要が無い。購入した時点で戦力化が始まるわけで無しインフラ整備とかして訓練してそれなりの戦力になったら数年で手放す事も視野に入れるとかどれ位の金持ちなのよ?
それとポーランドが訓練用のM1を受け取ったのは去年で装備化して1年も経たない輸入物の整備体制を持っているというのはあまりにも乱暴じゃないか時期的に重整備しているかどうかも怪しい。
将来的な話に今の事言われてもですが、そもそもポーランドのM1導入は納期最速なのと米軍との相互運用性が理由でしょうから、米陸軍の欧州前方配備重部隊の肩代わりみたいなもんです。米軍の欧州持ち込みが増えないなら買ってしまえという事です。陸軍現役定員の倍増で戦車は必要ですからそうもなる。
要は戦争準備だから現行のレオ2と急遽増備のM1と将来主力のK2と消えゆくその他旧ソ系という状態にあるだけで、これが周辺事態も安定化してけば西側3車種でリスク分散から徐々にK2偏重に切り替わるのは間違いない。
ですので10年後に輸入M1が皆無でも特に驚きは無い。その頃には大西洋の向こうのM1に頼るより内製化されたK2のほうが信頼が上という状況でしょう。無論、その頃には次世代車の併用も予想される。普及用の国産車と高性能な輸入車というのはレオ2採用時もそうだし10年後もありえる。
しかし内製化K2を作って売る側になってる可能性が高いので、韓国トルコと共同で次世代車開発をしてハイエンド車の内製化も達成してる可能性がある。そんな国が戦前急遽輸入のM1にどれほどの意味を持つのかという事でしょう。
ここまで周辺国の状況が「西側製戦車の提供」で一致しつつあるのにドイツが拒否の姿勢を崩さないのなら「事実上のロシア支援国」と見做してしまった方が良いと思う
国際協調を無視してサハリン2の権益維持を決めた日本は「事実上のロシア支援国」と見做してしまった方が良いって言われたら怒るだろ?
子供じゃないんだから政治的な立場や国内事情を考慮しようよ。
日本は実際否定出来ないかも。
ドイツがロシア支援国かどうかは置いておいてとんでもない嘘つきか無能なのは間違いない
ディーゼルゲート、難民危機、無茶苦茶な軍縮、エネルギー危機とそれが原因で高止まりするインフレ
2015年以降のヨーロッパの危機の大半がドイツが原因で起こってる
これだけやらかしてるのに未だにドイツを見習えって声が消えないのが不思議なレベル
今その話関係なくね?
何故ドイツの動きが鈍重なのかを雑に言ってしまえば、コストの安いエネルギーの不足と自国内の軍事力のなさだ
長期にわたる国家戦略の誤りのせいでこうなってるのに関係ないは無理だぜ
よくよく考えてみるとドイツに限らずヨーロッパ自体なんで持ち上げられてるのかよく分からん地域ではある
まず技術力は極東、北米に劣るし、経済だってもうアジア、アメリカ大陸より小さい
一人当たりの豊かさは高いのかもしれんがギリシャ危機やルクセンブルクのカラクリを見ると鵜呑みにしていいかは疑問符がつく
そして軍事力だが、これはロシア含めてガタガタなのはここでも散々指摘されてるよな
世界のヨーロッパに対する評価が過大なのはわりとあるかもしれない
だからEUとしいうでかい共同体を作ったわけだ、その結果今でも虫でかいなレベルの影響力を保持してる。
しかもクリーンエネルギー利権で今や世界の最先端を行ってて、自動車産業ではEV化をデメリット無視で推し進めた結果、目論見通り日本勢を蹴落とし始めてるし
※なお、EV市場は中国韓国勢の攻勢を受けてやっぱりズコーな模様
もう環境政策でヨーロッパが覇権取るのは無理でしょ
ご自慢の再生可能エネルギーで自給自足するどころか石炭、原発回帰し始めてるし、それに必要な部品だって中露に依存してる
それにここまでインフレで醜態晒して、安価なエネルギー源を失い産業の衰退確実のヨーロッパモデルを世界が真似するとかありえんて
2度の世界大戦を経てヨーロッパは弱体化したが、今回もまた大きく弱るだろうな
日本がサハリン2の権益を維持した件については、放棄してしまうと中国に取られると言う懸念から来た自衛措置と取れますから、ドイツと同一視する訳には行かないですね
それより、ノルドストリームの件で一番狼狽したのがドイツじゃなかったっけ?(一応乗り切ったけど)
1/11時点で、ドイツ連立与党のグリューネ(緑の党)と野党CDUがレオ2のウクライナ提供に賛成し、与党SPDは反対している。
SPD所属の連邦議員が、”レオ2は戦場の動向を左右しかねない”とメディアに親露的なコメントを行い、物議を醸している。
記事に出ている米・英・独の戦車のうちで。
現地(ウクライナ東部戦域)で行われている歩兵戦の支援をするならば、
素人は、滑腔砲よりも施条砲の方が良いと思っています。
同じ120mmでも、滑腔砲はサボの分だけ弾の直径が少ない(≒105mm)し、
榴弾の弾種もHEATと多目的しかない。いずれも爆発威力は榴弾を下回ります。
チャレンジャー2の施条砲はHEとHESHがあるので、より歩兵支援向きと思います。
射撃している姿を見ても安定感があります。
防御に自信があるので、腰を据えた撃ち合いでも勝てると思います。
歩兵にとって、それこそが欲しいものでは。
付け足せば、問題の再移転について英国は柔軟な立場をとるので、
より、問題は少ないような。
英軍戦車は次期アプデで定数縮減とライフル砲廃止と言うのでウクライナ供与で既存のライフル砲インフラを全消耗しても問題無いはずです。しかもこれ完全に型落ち戦車です。お古のレオ2より供与ハードルが低い。中身も一部では20年昔のままで特殊装甲を取っ替えれば送り出せる物がある。
そして砲がドローン観測と連接戦闘するには最適です。滑腔砲で高価なHEAT弾を威力も精度も劣る状態で間接射撃するのは賢くない。現状の運用はとにかく自走火砲が必要なので欲しがってる感がある。別に機甲打撃で装甲撃破で戦車が必要という訳ではない。
AMX10RCもそれでしょう。あれでT72相手は無謀です。しかし対装甲以外で特に間接射撃なら防護性能は問題にならない。となると次はストライカーMGSの供与になるはずです。本来ならレオパルド1が最初に供与されるはずだったがドイツがアレでこうなったという感が嫌でも伝わる。そういう土壌作りもあるでしょうね。欧州戦車のドイツ依存は失敗だったと言わんばかりの流れはほんと痛々しい。
ドイツ、事実上の欧州筆頭の地位にありながら「他の誰かが始めたら俺もやろっかな~」と吹いてるように映ってしまってここでも世界の防衛当局者からの印象を悪くしているように見えますが、逆にここまで頑なにNOを貫くからには背後に何らかの密約があるんでしょうね。まさかロシアと…?と以前は思っていましたが、戦車供与に後ろ向きかつ明確に理由を提示している米国がNATOの枠組みないし西欧主要国に対して(米国が決定するまで)戦車供与をしないように早い段階で約束させていたのではという気もします。
その密約で列挙されてたのってたぶん戦車だけじゃなくて、緒戦の中で既に解禁されてきた兵器も多いんでしょう。十中八九密約に参加させられているポーランドや英国が戦車供与への積極工作を仕掛けているのも、押せば通ると分かっているからなのかもしれませんね。もちろんこれは勝手な想像で、ドイツが国内政治の都合で待ったをかけ続けているだけかもしれませんが。
>欧州筆頭の地位
なんか戦国時代の響き。
伊達政宗が言いそう>欧州筆頭
欧州4.3兆石(米ドル)扶持の大大名、従五位下中欧守独逸殿にはその名に恥じぬ働きをして頂きたく
提供しないと言っていた種類の武器にちょっとずつ近づいて行ってるのでウクライナが後退するにつれて最終的には提供することになりそう
安全保障を他国頼みの場合、NATOが決断するまで犠牲を積み上げて悲惨な戦況を見せて議論を後押ししないと助けてもらえないんでしょうね
日本はアリとキリギリスのキリギリスにならないようにして欲しい
イギリス政府が、わずか10両でもチャレンジャー2を提供すると発表したのは、ドイツが決断するハードルを下げるためだったのですね。
それはさておき、ポーランド政府のウクライナ支援はすごい。ポーランドだけでなく、かつてソ連とその傀儡に支配された人たちの「二度とごめんだ」の気持ちはものすごく強そうなのに、旧東ドイツのメルケルとその仲間たちの危機感が薄いのはなぜ?
旧東ドイツ領に住んでいる住民は統一後、西ドイツ側の市民から二級市民のような扱いを受けてきたこともあり、その反発で親ロシア的な感情を持つ人々も少なくないそうです。
さすがに再びロシアに組み込まれることは望まないが、万が一のことがあってもすぐにロシアから侵攻される位置に無いというのもあるのでしょう。
ポーランドは、PT-91等旧ソ連系の戦車を根こそぎ出し終えたのか?
PzH2000でもメンテナンスに苦労しているウクライナへ、追加で西側戦車を送っても戦闘効率が下がるだけ。
スペインやポーランドのLeopard2は、ドイツが買い戻してA7に改修してドイツ軍の立て直しに使った方が良い。
韓国のT-80とBMP-3も、早く送れ。
首都防衛軍団に配備されている主力機材を出せるわけ無い