欧州関連

自国領へのミサイル着弾問題、ポーランドはNATO第4条を要請するか検討中

ポーランド政府は自国領にミサイルが着弾したことを受けて「NATO第4条に基づく協議要請を行うか検討中だ」と報じられており、この件が北大西洋理事会に持ち込まれるとNATO加盟国は正式に「本件への対処」を議論しなければならない。

参考:Poland considering NATO Article 4 activation, says spokesman
参考:Посла России вызвали в МИД Польши

恐らくポーランドは自国の安全を強化するため加盟国に追加部隊派遣=特に防空システムや戦闘機の派遣を要請したのだろう

まだポーランド領プシェボドゥフに着弾したミサイルの調査結果は発表されていないが、ポーランド外務省は15日「プシェボドゥフに『ロシア製ミサイル』が落下してポーランド国民2名が死亡した。この事件に関連してロシア大使を外務省に召喚、直ちに詳細な説明を行うよう要求した」と発表、着弾したミサイルの所有者を「ロシア製ミサイル」とぼかしているもののポーランド政府は「NATO第4条に基づく手続きを開始する根拠があるか確認することにした」と発表した。

出典:Kancelaria Premiera モラヴィエツキ首相

つまりプシェボドゥフに着弾したミサイルが「ポーランドの安全保障を脅かす可能性があり、これを根拠にNATO第4条に基づく協議要請を行い北大西洋理事会で本件への対処を議論できるかどうかを検討する」という意味だ。

恐らくポーランドは第5条の発動を求める気はなく、自国の安全を強化するため加盟国にポーランドへの追加部隊派遣=特に防空システムや戦闘機の派遣を要請したのだろう。

出典:public domain ポーランド空軍のF-16C

因みにポーランド外務省のロシア大使召喚について露国営メディアは「着弾したミサイルが誰のものか言及されていない」と報じており、今のところ「プシェボドゥフに着弾したミサイル事件にロシア軍は関与していない」という姿勢を崩しておらず、ポーランドは「幾つかの部隊の即応性レベルを引き上げた」と発表している。

追記:ポーランドのドゥダ大統領は「自国領に着弾したミサイルを誰が発射したのか正確な情報はなく、それがロシア製であったことしか確認していない」と語った。

関連記事:ポーランド領に着弾したミサイル、S-300で使用される迎撃弾の可能性が浮上
関連記事:ロシア、ポーランド領に着弾したミサイル疑惑は状況を深刻化させる意図的な挑発
関連記事:ポーランド領にミサイル2発が着弾、モラヴィエツキ首相が緊急閣僚会議を召集中

 

※アイキャッチ画像の出典:DoD photo by Lisa Ferdinando

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コメント

    • ido
    • 2022年 11月 16日

    NATOがどう対応するか見ものですね。戦闘機、地対空ミサイルが配備されればロシアへの牽制となるかもしれませんし。まあ、ポーランド政府の公式発表を待つしかないですね。

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    41
    • 幽霊
    • 2022年 11月 16日

    ロシアもウクライナもロシア製の兵器を使っているから直ぐには結論が出そうにありませんね。
    「ロシア製」と言うのはロシアで作られた物なのか、設計がロシアという事なのかどちらなんでしょうね?

    5
      • K(大文字)
      • 2022年 11月 16日

      ロシア大使を召喚している以上、ポーランドとしては内々ではロシアの仕業だとの心証を持ってるんじゃないですかね。
      まだポーランドの方からエスカレーションさせる状況ではないから「ロシア製のミサイル」と言っているだけで、一種の婉曲表現かと。
      これがこのままロシアが惚けたり他国に責任転嫁し続けるようなら、そのうち「ロシアの攻撃だ」と断定口調になる(そしてNATOがなにがしかの措置を講ずる)という展開になるでしょうね。

      6
    • zerotester
    • 2022年 11月 16日

    ポーランドとしてはこれを口実にNATO軍をもっと派遣して欲しいということでしょうか。それはまぁいいことでしょう。

    これを契機にロシアのインフラ攻撃への非難はもっと高まるべきだと思えます。まぎれもないテロなので。

    23
      • nachteule
      • 2022年 11月 16日

       それいったらNATOだってどんな理由があろうとも過去にインフラ攻撃してんだよなぁ。自分達のやった事を棚に上げてどこまで批判出来るだろうか。

        • zerotester
        • 2022年 11月 16日

        例えばどのような例でしょうか。民間人の生活を困窮させるために、全土の電力施設を壊滅させる企図で大規模ミサイル攻撃をしたような例があるでしょうか。

        12
    • まつ
    • 2022年 11月 16日

    ロシア製だとするとポーランドランドの領空侵犯して攻撃 前モルドバ侵犯というものあったが。

    • 無題
    • 2022年 11月 16日

    元々ロシアはポーランドのスレスレに着弾させるチキンレースやってたんだからこういう事案になるのも時間の問題だったな

    26
    • STIH
    • 2022年 11月 16日

    起きたら大変なことになっていた。とうとうポーランド領内に着弾ですか。迎撃弾なのでウクライナ発の可能性が高そうですけど、当のロシアもウクライナ西部にミサイル撃ち込んでいるから、今回はともかくいつかは発生しそうな事件じゃないでしょうか。
    一方で流石にトンキン湾みたいなことを、アメリカがする意図も余裕もないとはおもいます。
    そういう意味では今回のNATOの会合は、一発だけなら誤射かもしれないになるか、より一歩踏み込んだ干渉を行うかという点で見ものですね。

    6
    • KNOB CREEK
    • 2022年 11月 16日

    この件を契機に少なくともウクライナ西部への攻撃は減りそうな気がしますね。

    13
    • 58式素人
    • 2022年 11月 16日

    落ちたミサイルの調査も無論だけれども。
    西側の防空レーダーによる、当該ミサイルの軌跡のデータは出ないでしょうか。
    S-300ならば、ウクライナ/ロシアどちらのものかはすぐには判らないのでは。
    製造記録から始めて、所有者移転記録、改修記録その他いろいろあるでしょう。
    故意ならば、予めその辺りの整合を取るでしょう。
    S-300以外なら、下手人はロシア一択になるのでは。

    3
    • めるける
    • 2022年 11月 16日

    ドイツ「ついに本気出すときが来たか」
    ドイツ「いけ!ポーランド!」

    5
    • 2022年 11月 16日

    ベラルーシーから重厚ミサイル発射して、ベレルー視からポーランド領に落ちるタイミングで迎撃ミサイルで打ち落としたんだろう。

    ウクライナが迎撃したら迎撃したの隠す必要せウが無い

    1
    • 航空太郎
    • 2022年 11月 16日

    ポーランド上空も含めて、多数のAWACSやUAVが常時、飛行して空中警戒しているのだから、ウクライナ側の発表(報告)だけでなく、NATO内での情報確認も多面的に行われていることでしょう。多分、1発はロシアがぶっ放して予定外の地域に飛んでいったミサイル、1発はそれを迎撃しようと追いかけて行ったウクライナの対空ミサイルってとこかと。

    どこまで詳しく情報公開が行われるのか、或いは手の内を晒すのを忌避して公開しないのか。

    ポーランドも今、この時期に深入りしたくはないでしょうけど、死者も出てる以上、非難決議&制裁追加くらいには持っていきたいでしょうし、NATOとしての方針決めまで結構手間取りそうな気がします。

    3
    • 迷子の無人機
    • 2022年 11月 16日

    OSINT勢の考察ではロシアが使用したS-300を、ウクライナも迎撃の為にS-300を発射。その後当たらずに流れ弾でポーランドに着弾してしまった説が有力みたいだし(明らかにロシア支配地域から発射したとしても届く可能性が低い。発射地点がベラルーシ付近とかの可能性も)ひとまずここは警戒で検討、みたいな感じなのかね。
    とは言ってもロシア側は無闇矢鱈に撃ちまくってるし、何しでかすか分からん以上は軍隊貼り付けておくのが最善か。

    2
    • 折口
    • 2022年 11月 16日

    ロシアはポーランド領空を経由する形で巡航ミサイルを打つ事が以前からあったという話を聞きました。つまりベラルーシから打って国境上空を南下して西からウクライナを攻撃する経路のことかなと思います。ミサイルの飛来方向が固定されない、特に真反対から来る可能性がある場合はレーダーの指向から陣地構築まで対応能力が分散されることになるので、攻撃側にとっては都合いいでしょう。

    検証の結果としては飛翔した弾体と死者を出した爆発はウクライナのS-300のものらしいですが、そもそもロシアがこういう経路での卑劣な攻撃を行っていなければ発生しなかったコラテラルダメージです。事後の対応はまだ固まっていませんが、二人の犠牲者の死因に真に向き合うのであれば背景になる出来事まで明らかにするべきでしょう。

    3
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