ポーランドのディフェンスメディア=Defence24は11日「米国は2026会計年度予算案の中でポーランドのことを最も緊密な同盟国と位置づけていない」「欧州向けの対外軍事融資基金の割り当てを削減したため、米国製システムの購入は優先事項ではなくなるかもしれない」と指摘した。
参考:Kto w Polsce popiera Trumpa, kto jest przeciw? Sondaż Opinia24 dla RMF FM
参考:Sondaż: Czy Ameryka Donalda Trumpa jest wiarygodnym sojusznikiem Polski?
参考:Jak Polacy oceniają relacje z USA? Zaskakujące wyniki sondażu
参考:Americans Cutting Support for Poland. Is This The End of US-backed Defense Procurement for Warsaw?
米国製システムを購入する上でFMFの割り当てが削られると購入意欲の低下を招く
ポーランドはEU諸国の中で最も熱烈な親米国の1つだったが、Opinia24が実施した3月の世論調査結果は「急激な対米感情の悪化」を示しており、ポーランドにとってトランプ大統領は「ポジティブな存在」と回答した割合は29%に過ぎず、逆に「ネガティブな存在」と回答した割合は49%に達し、特に高等教育を受けた人々や50歳以上の人々の多くがトランプ大統領に否定的、逆に18歳~29歳までの若者はトランプ大統領に好意的、政治的な立場から見ると市民連合支持者の88%がトランプ大統領に否定的、PiS支持者の64%がトランプ大統領に好意的な回答を行った。

出典:Donald J. Trump
さらにSW Researchが実施した世論調査でも「ポーランドにとってトランプ政権下の米国を信用できる同盟国と思うか」という問いに対し、信用できると回答した割合は32.7%、信用できないと回答した割合は46.3%、CBOSが実施した世論調査でも「ポーランドと米国の関係」という問いに対し、肯定的と回答した割合は31%(前回調査と比べて50ポイント減)、どちらとも言えないと回答した割合は52%(38ポイント増)、否定的と回答した割合は10%(9ポイント増)と報告している。
ここまで急激に対米感情が悪化した理由は不明だが、ポーランド人はドゥダ大統領とトランプ大統領の会見が10分で終わったことを屈辱と感じ、駐留米軍を撤退させないという約束を軽視して「削減を検討している」と言い出したため怒っている可能性があり、ポーランドのディフェンスメディア=Defence24も11日「米国は2026会計年度予算案の中で欧州への財政支援プログラムを縮小した。これは最終的なものではないものの、予算案の中で示された優先事項はトランプ政権の外交方針を明確に反映している。もはやポーランドのことを最も緊密な同盟国とも、欧州を優先地域とも位置づけていない」と指摘した。

出典:U.S. Army photo by Sgt. Oscar Toscano
Defence24が指摘した「欧州への財政支援プログラム」とは国務省が管理する対外軍事融資基金(FMF)の割り当てのことで、米国の主要な同盟国は米国製システムを購入する際、FMFから無償もしくは有償融資、FMFの保証を受けて第三者金融機関を通じた融資を受けられ、ポーランドは2023年のエイブラムス調達でFMFから2億ドルを受け取り、2025年もFMFからの直接融資と保証を通じて計160億ドルの資金を調達し、AH-64Eやパトリオットの取得に活用している。
トランプ政権は2026会計年度予算案の中でFMFの融資・保証上限を80億ドルに削減、さらにインド太平洋地域の国々に融資・保証枠を優先的に割り当てると示しており、台湾は融資と保証を合わせて計40億ドルを受け取り、さらに同額の資金がインド太平洋地域の国々に提供される予定で、Defence24は「ポーランドにとって武器購入のための資金調達メカニズムが欠如しているため、もはや米国製システムの購入は優先事項ではなくなるかもしれない」と指摘しているのが興味深い。

出典:16 Dywizja Zmechanizowana
因みに武器輸出=潜在的な顧客の入札に参加するためには「調達にかかる費用の資金調達方法」も求められ、よく見かけるのは「入札に参加する企業が自国政府に働きかけて融資もしくは融資保証を提供する」という方法で、米国製システムを購入する上でFMFの割り当てが削られると購入意欲の低下を招き「融資もしくは融資保証を提供してくれる国の企業から購入する方がマシ」という意味だ。
因みにバイデン政権時代の予算=2025年予算におけるFMFの優先割り当て先はウクライナだったが、この方針はトランプ政権によって取り消されている可能性が高く、ゼレンスキー大統領が4月「米国からパトリオットシステムを10セット購入したい」「これに必要な資金=150億ドルを必ず確保して全額支払う」と提案しても相手にされなかったのは、トランプ政権が「ウクライナに武器を売りたくなった」というよりも「交渉の大前提である150億ドルの調達資金は誰が保証しているのか」という側面が大きく、これ抜きでは武器輸出の交渉は一歩も前に前進しない。
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※アイキャッチ画像の出典:Photo by Sgt. Timothy Massey
アメリカのインド太平洋シフトが鮮明、欧州よりも対中国が厳しいということなのでしょうかね。
ポーランドは、ポーランド首相=議会与党に対して、(2025年6月1日)大統領が野党候補になりまして、大統領は議会への拒否権があります。
ポーランドねじれ政権が続いていくわけですが、なんだかんだそれなりに進んでいくのか、ねじれ政権が足を引っ張っていくのかも難しいところかなと。
ポーランドは歴史的にも周辺国家のことを信用出来ないので欧州でもなかなかの軍備をすでに整えてますしさらに急ピッチで軍備大増強中であり、世論も最悪戦争となっても経済人的損失をかなり許容出来る下地がありそうですが西側的な価値観がそれなりに強いであろう若い世代が国家の為にと身を捧げるかと言えば別にそれは問題だと思いますが、なんとか兵員の頭数を揃えて練度上げれればロシアといえど手を出そうと思わないでしょう、とはいえロシアがNATOの5条を敢えて試すならばバルト三国だとは思いますけども。
ポーランドは、早い段階から仰る通り、しっかりと対応していますよね。
ポーランド=ウクライナは、歴史的に仲が悪かったわけですが、対ロシアの対応と割り切って腰を据えた印象も受けています。
過去の日本を振り返れば、国内政治が与野党ねじれている中で、ポーランドがここまで出来るのを見ると底力のある国だな感じています。
兵員を仰るように充実させたり、要塞を構築したり、ポーランドは着々と準備を整えそうですね。
ポーランドの最大の脅威である対ロシア防衛案は、現在進行形で着々と進めているのでしょう本土防衛案、カリーニングラード攻略案やバルト三国への派兵防衛案、対ベラルーシや一応対ウクライナ対ドイツ案も当然策定されているでしょうけど現状国土の西側は脅威は低いと見て東側を重視するとしてロシアと戦争になった場合にカリーニングラード攻略が仮に可能だとしてもカリーニングラードはクルスクの隅でのイザコザとはロシアとしても重要度が違うと思うので、核戦争のリスクを考えて国境沿いを封鎖する程度で攻略には踏み切れない様な気はしています。すでにウクライナに傭兵や義勇兵としてそれなりの規模で人員いそうですが、正規軍同士だとまた話が変わってくるのでどうなりますかね。
AH-64とかいきなり廃止されてサポートも短くなりそうだもんなあ
そんなんじゃ安心して買えない
ゆーて君等的にはアメリカよりも欧州もといドイツの方がよっぽど信用ならん相手なのでは…?
ロシアとドイツが2トップな希ガス
政治面での信用はないかもしれないけど、NATOとして米軍離れはキツくないかな?
ポーランドは比較的軍事力が豊富な方だけど、だからこそ米軍との連携が重要だと思うんだが
何故か「ボーイング、米国製システムの購入は優先事項ではなくなるかもしれない」に見えたわ。疲れてるんやろか。ボーイングは自虐なんてしないと理解してるはずなのに。