ポーランドはAbramsやK2と一緒に運用する歩兵戦闘車を更新するため、2023年にスタロヴァ・ヴォラ製鉄所とボルスク歩兵戦闘車の開発・製造に関する枠組み(1,400輌調達)で合意していたが、今月27日に第一弾発注として111輌分の契約(15.5億ユーロ)を締結した。
参考:Finally! The Borsuk IFV Execution Contract Signed
参考:Chars, avions de combat, missiles… Comment la Pologne a pu financer un effort de réarmement aussi colossal
ポーランドがウクライナ侵攻を予見していたかどうかは不明だが、2021年に新国防法を可決して再軍備に動き出していたのが最大の勝因
ポーランドは米国と韓国から1,200輌以上の主力戦車を調達中で、これに合わせて旧ソ連製の歩兵戦闘車=BWP-1(約900輌)の更新も予定しており、2023年にボルスク歩兵戦闘車の開発・製造でスタロヴァ・ヴォラ製鉄所(HSW)と合意、この枠組みはボルスク歩兵戦闘車×1,000輌、ボルスクをベースにした多目的車輌(指揮車輌、偵察車輌、回収車輌、NBC車輌、工作車輌など)×400輌の調達が目的で、HSWのセバスチャン・チュワレク最高経営責任者は「当社にとってもPGZ(ポーランド国営軍需企業)にとっても今日は本当に特別な日で、1,400輌ものボルスク発注はポーランド防衛産業界にとって最大のプロジェクトだ」と述べていた。

出典:Polska Grupa Zbrojeniowa SA
但し、実際の発注交渉はボルスクの調達価格(約1,400万ユーロ/付加価値税込み)の調整が難航して長引いていたが、今月27日に第一弾発注として65億ズウォティ=15.5億ユーロの契約を締結、ポーランド軍は2029年までに111輌(2個機械化大隊分)のボルスク歩兵戦闘車を受ける予定だ。
因みにフランスのLe Figaroは「大規模な再軍備の資金をポーランドはどうやって調達しているのか」という記事の中で「ポーランドは多くの欧州諸国と異なり再軍備のための資金力がある」と報じているのが興味深い。

出典:ポーランド国防相 祖国の防衛に関する新法について説明する安全保障委員会のカジンスキー議長とブラスザック国防相
“ポーランドは欧州諸国の中で誰よりも防衛力強化の必要性を理解し、再軍備に向けた驚異的な取り組みが行われている。ポーランドはGDPの4.1%(350億ドル)に相当する資金を国防分野に投資しているが、この投資が国内経済に利益をもたらすようにも配慮している。政府は海外の主要サプライヤーと交渉して調達する装備の大部分を国内で組み立てる予定だ。ゴールドマン・サックスのエコノミストは「ポーランドは他の欧州諸国よりも2年早く再軍備を開始したため各サプライヤーの生産能力を確保することに成功した。後から再軍備に乗り出した国は生産能力の確保に苦労している」と述べた”
“さらにポーランドは他の欧州諸国と異なり再軍備のための資金力がある。ポーランドは30年間に渡る継続的な経済成長により、富の創出という点でも西側諸国の水準に近づいている。この奇跡は国際投資に対する開放性、高度に訓練された労働力、OECD諸国の3倍という生産性、債務残高がGPDの約半分(フランスは113%)という厳格な財政管理に基づいており、OECDはポーランドの経済成長率を2025年=3.4%、2026年=3.0%と、債務残高は2023年から2026年に49.7%から62.4%に増加すると予想している。これはベルシーのテナントが夢見るようなレベルだ”

出典:Ministerstwo Obrony Narodowej
“ポーランドは国防や社会福祉などへの追加支出で2025年までに大幅な財政赤字を記録(5.8%)しているが、政府は国防支出がピークを迎える2025年以降に財政赤字を毎年1ポイントづつ削減すると約束(2025年~2028年)している。そのためポーランドは安全保障分野に莫大な資金を投資する余裕があるものの、これはPiS政権時代に凍結されていた欧州基金の資金にも支えられている。さらに他の政策を犠牲にするトレードオフも必要となるだろう”
“それでも福祉削減の可能性が検討されているフランスや英国ほど暗い雰囲気はない。ポーランド財政の持続可能性は短期的に何も問題もなく、予算外での資金調達に関する多様性も強化されており、国立開発銀行が主導する特別基金の存在に加え、防衛に特化したソブリン債や金融商品の存在もある”

出典:Ministerstwo Obrony Narodowej ポーランドに到着したK2
要するにポーランドは他の欧州諸国に比べて国家債務が極端に少なく、3.0%台の経済成長率、生産性が驚くほど高い訓練された労働力、EUがPiS政権を理由に凍結していたポーランド向けのCOVID-19復興基金や欧州予算からの予算配分=計1,370億ユーロ(約22兆円)の支給開始などに支えられ潤沢な資金をもち、さらにウクライナ侵攻が勃発する前から再軍備に着手していたため、他の欧州諸国よりも防衛装備品の発注が早かった=主要防衛産業企業の生産力を抑えたため再軍備が上手くいっているという意味だ。
ポーランドがウクライナ侵攻を予見していたかどうかは不明だが、2021年に新国防法を可決して再軍備に動き出していたのが最大の勝因だろう。
関連記事:平和を望むなら戦争の準備をせよ、ポーランド軍の大増強法案を下院が可決
関連記事:欧州最強の陸軍を目指すポーランド、1,400輌のボルスク購入契約に署名
※アイキャッチ画像の出典:Władysław Kosiniak-Kamysz
アメリカ陸軍は無人車両と少数の指揮車両を中心とした地上戦を考えているようなので、今から従来IFVの延長線上にあるものを大量生産して、凶と出るか吉と出るか、興味深いですね。
今から検討していては、必要な時に間に合わないという理由も勿論あるでしょうが…
流石にBMP-1はもう更新しないと唯の鉄の棺桶だから。
ドローン全盛でMBTすら擱坐させられる現在ではいくらか装甲を強化しても
「多少上等な鉄の棺桶」
と言われるだけですな。
ポーランドからしたら今はは防衛力強化の絶好の機会というわけですな
経済は成長しているから負担は少ないし、
ロシア軍はウクライナが止めてくれてるし、
戦力を強化しても周辺国から警戒されないから
凄いぞポーランド
もうEUの二大巨頭は核のフランスと通常戦力のポーランドで決まり。
他国に説教ばかりする割に軍備を手抜きしまくったドイツとか要らんかったんや。
レオパルト中古車センターとして有能だったから…(震え声)
どうなのでしょうね。
ウクライナでの戦訓は、西側に周知されたのかな?。
ドローンによる低空域制空線に勝利した後なら、
既存の機甲部隊にも意味があると勝手に?思うのですが。
もし曖昧な戦況であるなら、小型装軌車両に、任務に分けて、
個別に色々な火力(対空火器/対歩兵火器/対戦車火器)
を載せて、チームで動かした方が良い?ように思ったり?。
具体的には、ドイツのウィーゼルや英国のCVR(T)のような車両をベースに。
戦車も、M24にM551の砲塔を載せる(ターレット径は同じらしい)くらいの大きさ?で。
などと勝手に考えます。
陸戦も無人兵器の登場で空軍と同じく「少数精鋭・豪華万能」から「機能分散・ネットワーク戦闘」になるのでは。特に兵員輸送車は従来型の「大型・大人数輸送」だとリスクが大き過ぎるので、単体の性能は少し下げても隠蔽性と少人数輸送でリスク分散を図ることになります。重火力は前線人員及び無人機とのデータリンクによる間接射撃が主流となるでしょう。
ボルスク歩兵戦闘車が搭載するZSSW-3無人砲塔システムは、プログラマブル弾を使用できる30mmMk44ブッシュマスターⅡと各種デジタル光学照準器を搭載し対空目標にも対応するらしいです。
対ドローンに特化して通常の火砲に対する防御力低下したらどうなるんですかね?少なくとも10t未満の小型軽量だと大抵全周7.62mmAP対抗ぐらいじゃないですか?機関銃のAPに耐えるぐらいを目指すなら重量増は覚悟しないといけない。
それに最近の着膨れしている兵士を小型車両に乗せるなら兵員を減らす必要とか出入り口が古いBTRかイスラエル魔改造の戦車ベースの兵員輸送車みたいに運用がしづらい物になると思うし、M24軽戦車並を目指すなら正面装甲すらブッシュマスター25mmのAPFSDSーTに抜かれる様な紙装甲になりそう。
某少佐「ドローンの脅威に対抗するには、兵員輸送車の機動力を上げる必要がある。外せる装甲は外せ!」
呆れた整備兵「じゃあ、前面も装甲全部外しちゃいますか?」
某少佐 「私も今それを考えていた!」
バギーでいいなw
ロシア軍もやってるように現場の知恵は馬鹿にしてはいけない(戒め
J・ロック部隊…。
ダグラムって、リアルミリタリー路線を突っ走っていったら、人型兵器1台で戦局が変わるはずねえよなって当たり前の結論になって、尻すぼみになって、火付けて廃棄って、実に「リアル」なアニメでした。
昔の例で言うと。
サービスライフル(WW2のフルサイズ小銃)のAP弾は、
25mmのRHA垂直装甲で、至近距離で防げるとのこと。
ロシアの14.5mmAP弾は40mmのRHA垂直装甲+5mmの
軟鋼製シュルツェン(4号戦車側面の値)で防げるとのこと。
傾斜装甲なら、耐弾力は上がるとのこと。
ですから、25mm程度のRHAで傾斜装甲で車体を造り、
それに複合装甲/ERAの追加装甲で良いように思えます。
M24の装甲圧は、前面/側面が1インチ、背面が0.75インチ、
上下面は0.5インチ、防楯は1.5インチ(1インチ=25.4mm)です。
これで18.4tです。そんなに重くはないですね。
潜水艦の耐圧構造を取り入れつつ、外側モジュール装甲付けておけば、意外と頑丈な装甲車が造れるかも?重さは30t位が普通な気がします。装甲削るなら無人で超小型で被弾面積減らさないと‥
防衛産業は、公共事業と同じように仕組みを整えれば、国内にお金が落ちやすい内需産業でもあるんですよね。
ベラルーシ国境の要塞線建設も、兵器の準備と合わせて行っていますから、時間を有効利用しているように感じます。
EU内部で見れば、陸軍戦力はポーランドがトップクラスになっていくでしょうから、域内の力関係に変化が出るのかも注目したいと思います。
公共事業と比べて、軍備は経済を刺激する効率は良くないです。
例えば道路を作れば、交通の利便性が増したりして、経済的な波及効果があります。
しかし、軍備にはそのような波及効果は無いので。
とはいえ、軍備が不十分で戦争が起こってしまったら、経済どころではないので、バランスは難しいですね。
今は世界中で兵器の需要が増えてますので、輸出して稼ぐという方法はありますけど。
公共事業と、完全に比較すれば、仰る通り効率は良くありません。
万が一の保険という効果は、仰る通り大きいですね。
日本で例えれば、東京・大阪の中心部で何かあれば、簡単に何百兆円単位の富が吹っ飛ぶでしょうし…
追記です。
ポーランド、アメリカとも上手くバランスをとっているように見えますね。
対ロシア=ベラルーシの最前線になりますから、アメリカとの関係を上手に継続して、現実的な決定をしているのでしょうね。
(2025年3月31日 ポーランド、米と約20億ドル相当の防空協定を締結へ ロイター)
ポーランド大使館HP「日本の中のポーランド」からですが
同国は本年1/1~6/30の期間、欧州連合理事会議長国を務めますが、それに関し次のように述べています。
(要約)
「安全保障だ、欧州よ!」をモットーに、対外、対内、情報、経済、エネルギー、食糧、健康の7つの重要分野におけるEUの安全保障の強化を呼びかけている。
1. 防衛・安全保障
EU及びその加盟国は一丸となり、一貫してウクライナおよびウクライナ国民を支援し、断固としてロシアによる軍事侵攻を非難する。
議長国の就任期間中に軍事費の拡大、防衛産業の開発、革新技術プロジェクト及びバルト防衛線等の防衛インフラへの応用支援を通じEUの防衛能力強化を図る。
優先課題としてNATOとの防衛及び安全保障分野における協力を緊密化、米英韓等EU域外の価値観を同じくするパートナー国との連携を強化する。(以下略)
反露最前線国家として米欧協力無しに当面の安全保障は成り立たないと考えていそうですね。
情報ありがとうございます。
(最前線ですから)米欧対立に流されることなく、現実を見据えているのは非常に大事ですね。
>生産性が驚くほど高い訓練された労働力
教育というかしっかりと実業の訓練を受けた労働者が、豊富に存在するって事は大きいな
とにかく昨今は熟練技能者不足に悩まされやすいし
中国がアフリカの建設現場で中国人を使って現地の人を雇用しないって言われるけど
現地に熟練技能者がいないから雇用したくてもできないんだよね
溶接ができますぐらいしかいないのだそうな
それ言い訳ですよ。
では日本のODAは、なぜ大量の日本人を連れて行かないのでしょうね?(まぁ、今は連れて行けるほどいませんけど)
日本のこの種の開発支援は、現地への技術移管と人材育成も目的の一つに入っていて、指導員が現地の人を教育しながら建設を進めます。多少時間はかかりますが、品質上の問題が生じたことはありません。
中国は、単にインフラを作りに行っているだけで、建設に伴うノウハウなどはほとんど蓄積され無いため維持整備も困難ですし、勿論将来的な発展にも繋がりません。
どちらが、本当の意味で対象国の将来的な発展に寄与しているかは、言うまでもありません。
対象国が発展した結果その国の物価があがり給料があがり日本に輸出する製品も値上がりし、結果的に日本人が物価高に苦しんでちゃ世話ないわ中国が正しい。
単に、最初から雇う気がないだけだよ
今まで工事をしてきた国々に、きちんとした技術者が0なんてありえないでしょ
じゃあ現地はどうやってそれなりの建物建ててるの?って話になる
あと、そこまで自分の技術に自信がある割には、工事の出来が今一つなのはどういう事なんだろう…って話になってしまう
まるで中国に技術力がないって事になってしまう(技術力が無いという事は流石にない)
欧州もアメリカの兵器産業にまだ期待もしている訳でしょうけど、アメリカの兵器産業にも大きな課題が横たわっています。
そもそも、納期いつになるんですか?っていう事なんですよね…彼らは今後2-5年でロシアが更なる何かをしでかす懸念を心配している訳ですから、アメリカ企業の利益率最優先な増産に対するやる気の微妙さと納期の先行きの見えなさにはやきもきさせられているというか…
なので、調達の多角化は避けがたい印象ですね。政権としても目標設定年度に兵器が揃ってないってのは国民への説明面で死活問題ですよ。
BMP1の代わりのIFVは分かるのですが、、、
本気で千両近いMBTを調達するんですかね、、
ソ連系が全廃されたとてレオパルトもある訳ですし
どうにもライセンス生産分はかなり減らされる気がします
後国産のクラブ自走砲もあるのにK2自走砲を660門も絶対要らんでしょ…
逆でしょう、レオパルド2は開発元のドイツが頼りない
トランプ大統領誕生でM1A2にもリスクが出てきてしまった今、
ポーランドで生産改良できるK2PLへの期待は大きくなっているのでは
韓国と共同生産になるK9PLはK9A2のポーランド仕様で、完全自動装填装置を搭載し乗員が5→3名になります。技術移転や設備投資が約束されており、ポーランドにとって韓国とパートナーになることはメリット大なんです。
逆にクラブ自走砲の生産も継続するという理由の説明が欲しいところです。
装備化は先の話でしょうが、両国は発展型のK9PLA3を後継自走砲として共同開発することも計画しており、K9シリーズは将来に渡りポーランドの主力自走砲になる可能性が高いです。
なんか高くね?って思ったけど本当に1,400万ユーロなのかよ。22億4000万円だぞ。
重さ28トンだから1g80円ですよ。やっぱ高すぎやしませんかね・・・?
RPG-7の弾頭がだいたい3kgで3000円くらいらしいので1gあたり1円
これでハマスあたりのタンデム弾頭にやられたら本当にやってられん
使い道があるとしたら核戦争の時くらいだろう
10式も今や1両20億の時代だからまぁそんなもんかなって感じ
戦前の物価でモノを考えちゃダメそう
1両7億、日本スゲーとかホルホルしていた時代もありましたねえ。
むしろ10式MBTの安さが光りますな
ポーランドも、リヴィウあたりを奪し・・いや保護したいだろうから地上戦力だいじだよネ!
本筋ではないけど、最新車両てなかなか模型にならなくてグヌヌヌ…てなります。
お値段は置いておいてブラッドレーは複数選択肢があるんですけどね