欧州関連

ポーランド軍、2039年までに現役と予備役を計50万人まで拡張すると発表

ポーランドのトゥスク首相は2025年3月「軍の規模を30万人から50万人に拡張する可能性」に言及していたが、ポーランド軍参謀本部は16日「新たな国防計画に基づき2039年までに現役兵士を30万人、新設された即応予備軍を含む予備役を20万人まで拡張する」と発表した。

参考:Jak rośnie armia. Wiemy, ilu żołnierzy ma Wojsko Polskie [ANALIZA]
参考:Liczebność polskiej armii. Tak ma wzrosnąć do 2039 roku

新しい国防計画は長期戦を想定して「適切な数の予備役育成と維持」にも力を入れており、訓練の質、訓練の強度、予備役の即応態勢を向上させる施策が含まれている

NATO加盟国の中で最もロシアに近い場所に位置するポーランドは2021年10月、共産主義時代の1967年に制定された時代遅れの国防法(防衛義務法)を廃止して新しい国防法(祖国の防衛に関する新法)を導入すると発表、当時の安全保障委員会のカジンスキー議長は「本当に戦争を回避したければ戦争の準備をする、もしくは平和を望むなら強い軍隊を作るといった古の原則に従って行動することが重要で、現在のポーランド軍は現在の状況にフィットしておらず、我々は『規模が小さくても十分に武装した軍隊』という流行りの概念を断固として拒否する」と述べ、ポーランド軍を短期間で何倍にも増強すると主張した。

出典:ポーランド国防相 祖国の防衛に関する新法について説明する安全保障委員会のカジンスキー議長とブラスザック国防相

2021年時点のポーランド軍は職業軍人約10万人+ボランティア兵士約4万人=約14万人で、ボランティア兵士とは陸軍、空軍、海軍、特殊部隊に次ぐ第5軍=領土防衛軍で配属された非常勤の兵士(平日は民間人として生活し、大規模な演習や週末の訓練のみに参加する志願兵)となり、カジンスキー議長は「職業軍人25万人+ボランティア兵士5万人=30万人が最低ラインだ」と主張し、2026年1月時点で契約に基づく職業軍人は16万6,500人、新たに導入された自発的な兵役制度に基づく志願兵兵士は1万6,700人、ボランティア兵士は3万8,000人以上、この全てを合わせると21万6,600人になる。

トゥスク首相は2025年3月の議会演説で「軍の規模を30万人から50万人に拡張する可能性」「軍に入隊しない国民に対する軍事訓練の提供」「オタワ条約=対人地雷禁止条約からの離脱も含む防衛力強化の検討」に言及していたが、ポーランド軍参謀本部は16日「新たな国防計画に基づき2039年までに現役兵士を30万人、新設された即応予備軍を含む予備役を20万人まで拡張する」と発表、これによりポーランド軍の兵士数は50万人まで拡張される格好で、この新しい国防計画は長期戦を想定して「適切な数の予備役育成と維持」にも力を入れており、訓練の質、訓練の強度、予備役の即応態勢を向上させる施策が含まれている。

出典:Kancelaria Prezesa Rady Ministrów

さらに偵察、攻撃、意思決定、兵站などあらゆる部門、領域、能力にドローンや無人車輛を導入すると定め、戦略、作戦、戦術のあらゆるレベルで無人・自律システムを活用。AIも分析、計画、管理、指揮プロセスのサポートを目的で導入し、敵の力と行動の要を無力化する効果的な精密攻撃システム=報復的抑止、ミサイル防衛、対空防衛、ドローン防衛を1つに統合したシステムの強化=拒否的抑止、情報空間における認知戦能力、電磁スペクトラム作戦環境の能力も並行開発される計画だ。

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※アイキャッチ画像の出典:Wojsko Polskie 

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コメント

  • コメント (11)

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    • 2026年 1月 23日

    強いポーランドの復活って戦間期の時以来かね。
    ポーランド・ソビエト戦争の際、ヴィスワ川の奇跡から戦争の大逆転をキメた精強無比なポーランド軍の復活にカリーニングラードは風前の灯火でロシアは震えているでしょうね。

    仮に噂されるNATOとロシアとの衝突があったとしても、ベラルーシとロシアは強力なポーランド軍の逆侵攻に怯えなければならず、西欧侵攻どころではない。
    ロシアに対して強力な抑止力であり、NATO内でのポーランドの立場も強くなる筈。

    12
      • kitty
      • 2026年 1月 23日

      「ヴィスワ川の奇跡」が1920年だから、まあしょうがないとは言え、騎兵による機動戦で大勝利したのが、のちに「戦車に騎兵突撃」というイメージが形作られたのでしょうかねえ。

      実際には独2000台vsポ500台くらいの戦車数の差があったくらいだったそうですけど。

      2
    • 足柄
    • 2026年 1月 23日

    独ポー中心に欧州大戦でも始めるのかな
    なんか海やアルプス、ピレネーで距離置ける国以外さ酷いことになりそう

    9
    • ブルーピーコック
    • 2026年 1月 23日

    欧州最強ポーランド・リトアニア共和国(リトアニア抜き)が復活するんです?
    外野からしたらドイツと主導権争いしてくれるなよとしか言えねえ。

    8
    • たむごん
    • 2026年 1月 23日

    ポーランドは、韓国製・アメリカ製など、兵器を多数購入してきた事ですし、東欧最強の陸軍国になりそうですね。

    EUのポリコレ原理主義に距離をとりつつ、アメリカともそれなりに上手くやっているように感じますから、今後どうなっていくのか見守りたいと思います。

    7
    • らっく
    • 2026年 1月 23日

    そんなことよりも、自由貿易、金融の自由の時代はもう終わったということでよろしいか?

    7
    • ため息
    • 2026年 1月 23日

    すごいなあ、ポーランドはこれが実現すれば装備の調達も合わせて軍事費対GDP比5%を大きく超えるだろう
    戦時下のロシアイスラエルでも7%だけどこれを平時に維持しようってんだからよく国民が納得するなあ

    12
      • バーナーキング
      • 2026年 1月 23日

      ポーランドにとってはもはや平時ではない、というだけでは。

      15
        • 名無し三等兵
        • 2026年 1月 23日

        お隣のドイツも再軍備で気合い入ってますが、こうなるとNATOで足引っ張るのは
        経済的な理由で国防投資に及び腰なイギリスですね
        ただ富国強兵ってのは「富んだ国が強い軍隊を作れる」が本筋であって、軍事が経済
        を圧迫する様では主客転倒なんですがポーランドは経済的に大丈夫なんでしょうかね

        11
          • ネコ歩き
          • 2026年 1月 23日

          >経済的に大丈夫
          恐らく大丈夫ですね。
          ポーランドのGDP成長率は、2020年度のパンデミック影響でマイナス成長(-2.04%)はありましたが、過去10年間(2016~2025)の平均成長率は約3.6%です。2004年のEU加盟後約3倍の経済成長を遂げています。

          7
    •  
    • 2026年 1月 23日

    本邦も他人事じゃないと思ってて、そう遠くない将来自衛官の志願制が頭打ちになってどうしても計画に対して規模が小さい事が問題になると思いますね。そうしたら予備自の一部が義務化されるのは時代の必然なので、自分も覚悟しなきゃならない日が来るかもなぁと…

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