欧州関連

ポーランド軍が対ドローンシステムを大量導入、投資規模も約6,500億円

ポーランド軍が構築中の地上配備型防空システムは対ドローン用のセンサーとシューターが圧倒的に不足しており、ポーランド軍は先月30日「対無人航空機システム=SAN調達契約を150億ズウォティ=約6,500億円で締結した」と発表し、システムの導入規模は約700輌だ。

参考:System SAN zwiększy zdolności Wojska Polskiego do zwalczania systemów bezzałogowych
参考:PGZ liderem konsorcjum tarczy antydronowej
参考:Antydronowy SAN i 700 pojazdów. Wielka umowa podpisana

SANは1つの車輌に全ての能力を搭載した単一兵器ではなく、パッケージ化されたシステム全体のこと

ポーランド軍が構築を進めている多層式の地上配備型防空システムは「弾道ミサイルを終末迎撃にも対応した長距離防空のパトリオットシステム×2セット(納入待ち6セット)」「CAMMベースで開発された短距離防空のNAREW×6セット(納入待ち23セット)」「ZU-23-2とGROM/Piorunで武装する短距離防空のPilica/Pilica+×7セット(納入待ち21セット)」の3層構造で、米陸軍以外では初めてパトリオットシステム向けの次世代レーダー=LTAMDS導入契約も2023年9月に締結済みだ。

出典:Mariusz Błaszczak

さらに米陸軍に先んじる形でIBCS(ノースロップ・グラマンが開発した次世代統合防空向けの指揮統制システム)も取得し、ここにAN/MPQ-65、LTAMDS、ZDPSR-Soła、AN/APG-81などの全センサーと、パトリオット、NAREW、Pilica/Pilica+、F-35Aなど全シューターが統合され、特定のセンサーと特定のシューターの組み合わせではなく「異なるシステム間の垣根を越えたシームレスな運用=センサーとシューターの分離運用」が可能になり、IBCSに接続されたパトリオットシステムの初期運用能力は2023年8月に獲得している。

この地上配備型防空システムの欠点は対ドローン用のセンサーとシューターが圧倒的に不足している部分で、ポーランド軍は先月30日「PGZとコングスベルグが主導するコンソーシアムと対無人航空機システム=SAN調達に関する契約を締結した」と発表、SANはドローン検出用レーダーのFIELDctrl UltraやFollow、電子光学センサー、電子戦装置、30mm/35mm機関砲、12.7mm重機関銃、APKWSロケット弾、ドローン迎撃機などで構成され、18個中隊、18個指揮小隊、52個射撃小隊を編成するに必要な装備(703輌分)を150億ズウォティ=約6,500億円で調達するらしい。

トゥスク首相も契約締結の式典に出席し「これは歴史的な瞬間だ。私はこの表現を滅多に使用しないが、ポーランド、欧州、そしてNATOの東部国境を効果的かつ効率的に防衛するという点において、今日、私たちは真に決定的な転換点を迎えた」「ポーランドは自国、欧州、NATO東部国境の安全を確保するための責任、費用、組織運営の全てに背負っている。しかし、私たちはこの問題に単独で取り組むことは出来ないし、決して一人にされることはない」と言及。

カミシュ副首相兼国防相も「我々は防空システム全体に新たなレイヤーを構築している。既にWISŁA(パトリオットシステムのこと)、NAREW、Pilicaがあり、ここにSANが加わる。防空システムへの投資総額は約2,500億ズウォティ=約10.8兆円に上り、これはポーランド軍における最大の支出だ。これほど多額の投資を行っている防衛分野は他にない。この点においてポーランドは他国に先駆けている。我々は国防費をGDP比5.0%水準へ迅速に引き上げており、他国も我々の例に倣っている。ドローンシステムにおいても我々はリーダーシップを発揮することになるだろう」と述べた。

つまりポーランド軍が構築を進めている多層式の地上配備型防空システムはWISŁA、NAREW、Pilica、SANの4層構造になるという意味で、3個射撃小隊分のSANが年内納入、納入のピークは2027年、契約分の最終納入は2028年1月、つまり24ヶ月以内にSAN量産と納入が完了するというのだから驚きだ。

さらにトゥスク首相は「このシステムを輸出してNATO加盟国にも普及させる」と、カミシュ副首相兼国防相も「ポーランドが推進するSANにはNATO加盟国からの関心も高い」と述べ、SANは1つの車輌に全ての能力を搭載した単一兵器ではなく「パッケージ化されたシステム全体のこと」を指している。

関連記事:ポーランド、LTAMDSが統合されたパトリオットシステムの契約に署名
関連記事:ウクライナ侵攻で統合防空の重要性が高まる、IBCSに欧州8ヶ国が関心
関連記事:ポーランドがCAMMを発注、前例のない技術移転で英国が19億ポンドの契約を獲得
関連記事:ポーランド、米陸軍が開発した次世代防空レーダー「LTAMDS」を調達

 

※アイキャッチ画像の出典:Ministerstwo Obrony Narodowej – Portal Gov.pl

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コメント

  • コメント (6)

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    • たむごん
    • 2026年 2月 02日

    ポーランドは、ドローン・無人機の脅威という最新の戦訓を、真剣に取り入れているのを感じます。

    対ロシアの脅威を真剣に見ているとすれば、(ロシア隣国で)相対的に防衛力の低い国はリスクが高まることにも繋がります。

    ポーランドは、ロシア帝国・ドイツ=ソ連に占領されて国を失った歴史もありますから、国防への意識の高さを迅速な対応からも感じますね。

    9
    • MK
    • 2026年 2月 02日

    韓国などをみても思いますが兵器も車や家電のように最初から他国にも売りさばく前提で設計製造しないとやっていけないのですね。「死の商人」と言う言葉を広めた人が害悪、他国のスパイなのかもしれません。その時点で現在の戦いにかなり負けてしまっている気がします。対ドローン防衛システム的な物は比較的新しいので自国だけでなく販売出来るような物を開発出来ないものでしょうか。防御主体のシステムなのだし。

    9
      • 無印
      • 2026年 2月 03日

      >「死の商人」と言う言葉を広めた人
      石ノ森章太郎かな?

      5
    • 正義のフェミニスト
    • 2026年 2月 03日

    日本はロシアと対談で対策しましょう!
    兵器で対策しても犠牲者が増えるだけです
    それより平和的な解決策を模索してほしいです

      • Mr.R
      • 2026年 2月 03日

      かつて対話の暇すらなくナチスドイツおよびソ連(今のロシア)に武力侵攻され地図から消されたのがこの記事で話題になっているポーランドなんだが···ギャグはハンドルネームだけにされては?
      ぜひポーランドの方へ同じことを仰ってみてください

      10
    • Mr.R
    • 2026年 2月 03日

    やはり「安い早い旨い」は正義なんやなぁって。(この場合の旨いはコスパ等を差します)

    2

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