ボーイングが受注した1,312億3,000万ドルものF-15関連契約に「ポーランド向けの対外有償軍事援助」も含まれていたため「ポーランドがF-15EXを購入するのではないか」という噂が飛び交っているが、ポーランド国防省は「我々はF-15EXの取得を計画していない」と回答した。
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国務省はポーランドへのF-15EX売却を承認していないため、F-15イーグル・クレスト向けの契約にポーランドを含めること自体が間違っている
国防総省は8月24日「ボーイングがF-15プログラムを支援するF-15イーグル・クレスト(米空軍が発注したF-15全体の長期的な枠組み契約)向けに1,312億3,000万ドルの不定期納入・不定量契約を受注した。この契約は航空機の生産、システム統合、近代化、アップグレード、改修、維持・整備、独自のデポ整備能力確立を対象とし、空軍、空軍州兵、その他の国防総省顧客向けに重要なF-15システムの能力を提供・維持するものだ。本契約には日本、イスラエル、サウジアラビア、韓国、シンガポール、インドネシア、ポーランド向けの対外有償軍事援助が含まれる」と通知し、様々な波紋を起こしている。

出典:U.S. Department of War
ボーイングは今回の契約で1,312億3,000万ドル=約20兆円分の受注を獲得したのではなく、FY2026のRDT&E予算から34万3,740ドルの支払いを受けてF-15イーグル・クレスト向けの不定期納入・不定量契約(発注期限は2031年8月で発注作業の完了は2037年8月)を受注したに過ぎず、この通知に含まれる日本はF-15Jを、韓国はF-15KをEX並にアップグレードする予定で、サウジアラビア(F-15C/D、F-15S、F-15SA)とシンガポール(SG)には動きはない。
米空軍はF-15EXの調達数を129機から267機に増やすことを、上院軍事委員会は「空軍長官にF-15EX調達数を129機から329機まで増やす権限の付与」を計画しているが、どちらも2027会計年度の国防権限法案が成立してみないと何とも言えず、ボーイングはサウジアラビアに保有機体のアップグレード(EX並)を提案しているものの反応がなく、インドネシアへの売り込みについては2023年8月「F-15EX売却に関する覚書への署名」にこぎ着けたが、ボーイングは2026年2月「もうインドネシアへの販売を積極的に行っていない」と明かし、Aviation WeekもBreaking Defenseも「インドネシアのF-15EX購入は中止された」と報じた。

出典:Ministerstwo Obrony Narodowej
ポーランドは空軍近代化の最後のピース=第3の戦闘機取得についてF-35A追加調達、提案されたF-15EXやタイフーンへの関心、KF-21プログラム参加に関する言及などが浮上していたが、カミシュ副首相兼国防相は2026年6月「2025年~2039年までをカバーする軍事力開発計画(PRSZ)には空軍の作戦能力を強化する課題=さらに2個飛行隊分の第5世代戦闘機×32機の取得も含まれている」と述べ、ポーランド軍参謀総長のヴィエスワフ・ククワ大将も「F-35追加購入は2025年~2039年の軍事力開発計画の一部であり、それに伴うすべての条件も含まれている」と言及。
米国のトーマス・ディナンノ国務次官もポーランドのF-35A正式受領式で「ポーランドに対する対外軍事資金援助(FMF)の融資額を40億ドル増額する」と発表し、ポーランドのカロル・ナブロツキ大統領は「この資金をF-35A追加調達に充当するのは良い考えかと思うか」という質問に「これは専門家に任せるべきであり、技術的な観点から大統領が決定すべきことではない」と述べた上で「F-35への投資は良い投資だ」と付け加えている。

出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Gracelyn Hess
PRSZの詳細な内容は非公開なので「2個飛行隊分の第5世代戦闘機×32機の取得」に関する情報はなく、F-35追加調達に関する正式な決定や契約が締結されたわけではないが、ポーランドがF-35A×32機の調達にかかった費用は関連費用込みで46億ドルなので、FMF融資額の40億ドル増額が何を意味しているのか大凡見当がつき、そもそも国務省は対外有償軍事援助としてポーランドへのF-15EX売却を承認していないため、F-15イーグル・クレスト向けの不定期納入・不定量契約にポーランドを含めること自体が間違っているのだ。
ボーイングが受注した契約にポーランド向けの対外有償軍事援助が含まれていたため「ポーランドがF-15EXを購入するのではないか」という噂が飛び交っているが、Defence24の取材に応じたポーランド国防省は「我々はF-15EXの取得を計画していない」「米国が公表したF-15プログラムに関する枠組み契約にポーランドが含まれているものの、これはポーランドが何らかの決定を下したという訳ではなく、F-15EXの取得手続きを開始したこと意味するものではない」と回答。

出典:U.S. Air Force photo by Tech Sgt. Jacob Stephens
Defence24も「ポーランドの歴代政権は空軍のため追加の戦闘機を取得する意向を公言してきた。ボーイングもポーランドからの発注を獲得するためF-15EXの売り込みを実施しているが、カミシュ副首相兼国防相は6月にF-35Aを追加調達する意向だと表明した。現時点でポーランド国防省はF-15EXの取得に関心を示していない。米国防総省の潜在的な顧客リストにポーランドが含まれていたとしても、我々がF-15EXを正式発注したわけではないことを強調しておく必要がある」と指摘した。
仮に米空軍が329機まで調達数を増やし、インドネシアとポーランドがF-15EXを導入し、サウジアラビアやシンガポールが保有機をEX仕様にアップグレードしても受注額が1,312億3,000万ドルに到達するかは非常に怪しく、そもそも2031年8月までの4年間、オプションを行使して発注期限を2036年8月まで延長した10年間に1,312億3,000万ドル分もの受注を獲得できるとは到底思えない。

出典:The White House
ちなみに藁にも縋る思いで可能性を手繰り寄せるなら、イスラエルメディア=Jerusalem Postがトランプ大統領の中東歴訪前の2025年5月「サウジアラビアは米国から防衛用と攻撃用のミサイル、C-130、戦闘ヘリ、輸送ヘリの調達を予定しているものの、この取引の目玉はF-15EXの調達だ」「サウジはF-15EXを54機調達すると昨年発表していた」「さらに保有するF-15SAとF-15SRを更新するため最大8個飛行隊分の調達オプションも存在する」「もし契約が成立すればサウジは最終的に200機近くのF-15EXを取得するかもしれない」と報じたことがあり、サウジが200機のF-15EXを取得すれば500億ドル規模の発注を獲得できるだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Tech Sgt. Thomas Barley





















新たな売り込み先の開拓費用なのかね?
日本のF-15Jが恙なくアップグレードしてくれるんなら何でもいいや
サウジアラビアってSAにアップデートしているから準EX級でなかったけ?
むしろF-15C/DをJSI級にアップデートするか新型のF-15EXに乗り換えの方がそれぽい気がする>サウジアラビア
まだイスラエルとサウジの無印F-15の下取りしてF-15EXにしたほうがそれぽいきがするな
サウジのF-15SはFBW化など全機SA仕様にアップグレード済みですね。
SAのレーダーやコックピットはQAやEXより1世代前ですが、数年前に納入完了したところなのでEPAWSS以外はすぐアップグレードが必要な状況ではないと思います。
ちょうどEXとの間にあるE最終調達型でレーダーとか以外はEXと同じFBW搭載型なんですよね
米国の武器供与話には、時々、”アレ” と思うような話がありますね。
見込み(≒希望/願望?)が先行するような話が主ですが。
素人が憶えているものに、こうした物がありました。
日本の”いずも/かが” の改造計画が持ち上がったころ。
米国の議員が、除籍された”ペリリュー(LHA-5)”を安価に日本に
譲渡する、みたいな議案を出していました。日本に相談無しで、です。
ペリリュー(LHA-5)はSTOVL空母としての実績があり、艦暦による劣化
と主機(蒸気タービン)を気にしなければ、勉強用の可能性はあったかな?。
実際の”ペリリュー(LHA5)” は実艦標的として海没しましたが。
ちょうど、今の、イタリアによる”ジュゼッペ・ガリバルディ” のインドネシア
に対する譲渡話に似ているので憶えています。
>サウジが200機のF-15EXを取得すれば
今更F-15そんなに買うのかね?米軍もだけど。
F-15EX、イーグルユーザーならその価値が疑いようもないですけど、新規で欲しい国ってそんなにあるんですかね?ある意味、戦闘爆撃機買うようなものなので、中堅国ならF-35やF-16の方が良いってなりそうですよね。
そこはボーイングの営業力とソリューション構築力次第なのでは。
今だってF-22とF-35の登場でもうF-15は終わりみたいな雰囲気だったのがしぶとく生き残っていますし。