ウクライナ戦況

ロシア軍総攻撃の可能性、ウクライナの運命は今夜の戦いで決まる

ウクライナのゼレンスキー大統領は26日(現地時間)、国民に「ウクライナの運命は今夜の戦いで決まる」と語りかけ軍の将兵や国民に奮起を促した。

参考:Зеленский: Этой ночью Россия пойдет на штурм, решается судьба Украины

敵は持てる全ての力を駆使して攻勢に出るだろう、その先に何が待っているのか私達全員が理解する必要がある

プーチン大統領はウクライナとの和平交渉に応じる構えだが戦闘行為を一時的に停止させる気はなく、和平交渉までに力でウクライナを屈服させることを狙っており、ウクライナのゼレンスキー大統領は国民に「ウクライナの運命は今夜(26日)の戦いで決まる」と語りかけ軍の将兵や国民に奮起を促した。

ゼレンスキー大統領は「率直に言って今夜の戦いは日中よりも大変になる。ハリコフ、チェルニヒウ、ドンバスや沿岸部の都市、そしてキエフは特別な注意が必要で首都は絶対に失ってはならない。敵は持てる全ての力を駆使して攻勢に出るだろう。その先に何が待っているのか私達全員が理解する必要があり、この夜を私達は耐えきらなければならない。ウクライナの運命は今夜の戦いで決まる」と主張している。

つまりウクライナ保安庁(防諜機関)「プーチン大統領がキエフ占領→政権主要メンバーの拘束→ロシアに有利な和平協定への署名強制→戦争の早期集結を望んでいる」と予想しており、さらにウクライナとの戦争に不満の声を上げるモスクワ市民(欧米の制裁でロシア国民のクレジット決済も停止)を力で抑え込んでいる事情も加味すると「26日夜の総攻撃(現段階では予想に過ぎにない)を凌いでロシア軍に大きな損失を与えれば、武力ではなく話し合いによる戦争終結に移行せざるを得ない」とウクライナ側は考えているのだ。

出典:kremlin.ru

果たしてロシアはキエフに対する総攻撃に出てくるだろうか、ウクライナ軍はロシア軍の猛攻から首都を守りきれるのだろうか、ウクライナの運命が懸かった一戦に世界中が注目している。

追記:ウクライナ軍のザルジュニー総司令官は空挺部隊が乗ったIl-76をヴァスィリキーウ(キエフ中心部から約30km)の飛行場で破壊したと発表、空軍のSu-27で攻撃したらしい。まじか、、、

関連記事:英国防相、ロシア軍の侵攻は主要目標が達成できおらず期待以下の結果
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関連記事:ウクライナ軍、600輌近いロシア軍車輌と2,800人以上の兵士を無力化

 

※アイキャッチ画像の出典:Офіс Президента України

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コメント

    • tarota
    • 2022年 2月 26日

    ロシアは予定通り事が進まずもう相当苦しそうだ
    国内の反発も大きくプーチンですら抑え込めてなさそう
    ウクライナはこのまま凌ぎきれるか

    22
      • 匿名
      • 2022年 2月 26日

      >国内の反発も大きくプーチンですら抑え込めてなさそう

      ロシア国内で反戦デモが起き、治安部隊が実力行使したのだっけ。
      ロシアでもその様な動きがあるのが、正直意外でした。
      米国による事前のネタばらしが効いたのかな?

      22
        • くらうん
        • 2022年 2月 26日

        プーチンの支持率は大本営発表で60%代だが、ネットでの投票では10%ちょいだそう。
        まあネットではプーチン嫌いな若者が大半だろうしそっちも大本営発表なんだろうけど、実際は20~30%くらいなんじゃないか。
        ブタ箱にぶち込まれるのをわかっていてデモやった人が、拘束された人数だけで1000人以上というのを見ると隠れ反対派は相当多いんだろう。

        12
      • ミリオタの猫
      • 2022年 2月 26日

      俺は見方が逆。
      ゼレンスキー大統領の演説内容が首都陥落目前と言う時期なのに威勢の良い事を言っているのが気になる。
      普通、客観的な情勢が厳しいのにトップが威勢の良い事を言っているのは「情報が寸断状態で正確な情報を把握していない」か「裏で敵と和平交渉又は降伏する準備を進めている」事が多いので、実は相当苦しいのはウクライナの方では無いかと疑っている(ロシア側が戦術面で苦しいのも事実だが、作戦・戦略面ではロシア側の絶対優位が覆っていないのも事実)。
      何れにしても今日か明日頃には「本当の戦況」が少しは見えて来るだろう。

      9
    • 匿名
    • 2022年 2月 26日

    今夜が決戦ということはベラルーシから最短でのキエフ攻略が本命なのか?
    緊急展開の空挺で増強されて3万ほどはマンパワー用意できたとは言え都市戦なら対戦車で可搬ロケットも活躍できるからマジで対等な殴り合いになるぞ
    非対称な部分は砲兵火力と航空攻撃になるけどキエフ廃墟にする気かよ露軍

    20
      • G
      • 2022年 2月 26日

      これまでミサイルや空爆は軍関連施設など限定的でしたがロシア軍の侵攻速度が予想より遅いこと(ウクライナ軍の抵抗が予想以上)、キエフ市長が民間人にも戦闘参加を呼び掛けた(民間人に被害が出てもロシアはある程度言い訳ができるようになった)ことなどから軍関連施設以外へのミサイル・ロケット・空爆といった一方的な攻撃が激化する可能性は十分あるかと

      すでにロシア軍のクラスター弾頭ミサイルによる市中攻撃が行われ、病院に民間人死傷者を伴う被害が出たとの報告が写真付きで発信されていますし

      1
    • 無無
    • 2022年 2月 26日

    すでにウクライナの非武装化と中立化を前提に停戦交渉をベラルーシのミンスクで、という報道もあるんだが、
    どの程度の本気なのか
    勝ち目が無いならば敗け方を探るのも政治家の責任

    8
      • xj
      • 2022年 2月 26日

      和平条件に非武装化を入れているのがヤバい。
      ロシアは和平ではなく無条件降伏を求めている。
      受け入れたらウクライナ本土に堂々とロシア軍が進駐しそう。

      12
        • 無無
        • 2022年 2月 26日

        ロシアの目論みがまだ判んないんだが、一般論としては中立国に他国の軍駐留は認められない。
        第二次世界大戦末期のフィンランドも、抵抗の末に占領でなく、不利な条件なれど和睦の形を引き出してるからな

        • 匿名11号
        • 2022年 2月 26日

        ソビエト以来、武装解除後の投降兵への扱いには定評があるからなあ。
        カチンの森かシベリアか

        6
    • GR
    • 2022年 2月 26日

    閣僚全員が首都に留まってるのは存亡をかけた気概を感じる。
    モロトフカクテルを作り、抵抗しろと市民に呼びかけもしているし
    孤立無援ですさまじいと思う。

    24
    • すえすえ
    • 2022年 2月 26日

    ついに決戦ですか
    都市部で殴り合いは遮蔽物が多いから戦車あんまり向かないよね。

    なんか最近ウクライナの大統領が男前に見えてきたw

    8
      • ミリオタの猫
      • 2022年 2月 26日

      只、ロシア軍はシリア内戦でシリア政府軍がやっていた「槍機戦術」(小規模の機甲部隊で市街地の路地を短距離だけ前進するのを繰り返し、機動力と火力で市街地に立て籠もる敵兵を掃討する)を知っているので、今までの常識だった「戦車は市街戦には向かない」は通用しない可能性が有るから、今後のキエフ攻防戦の行方に注目している。

      5
    • gg
    • 2022年 2月 26日

    個人的にインドがどう動くか気になってたけどやっぱりロシア寄りだったね
    ロシア中国インドで組まれたら流石にアメリカとはいえ勝てないでしょ
    まぁ中国とインドが組む可能性は低いけど

    6
      • くらうん
      • 2022年 2月 26日

      モディが電話会談で暴力の停止を一応求めてはいたし、アメリカとは停戦と撤退についての共通認識を確認。
      ロシアよりとまでは言えないんじゃないか。
      いまのインドの外交バランス的にはちょうどこんなもんだろうという印象。

      8
    • K(大文字)
    • 2022年 2月 26日

    今のロシアが経済制裁の中、大義のない戦争をいつまでも続けられる筈がない。ウクライナは負けさえしなければ粘り勝ちの筋道がある。
    しかし、それには民間人や不正規兵まで入り乱れた血みどろの市街戦を戦うのを避けられない。
    宇露双方に莫大な犠牲が出るが、特にロシアにとっては犠牲もさることながら国際社会での評価が鍋底を割り更なる制裁を招くことは明らかで、負担に感じるなどと言うものではないだろう。
    だからプーチンもこのタイミングで交渉を云々と言い出したし、ウクライナ軍にクーデターを煽動さえしている。
    しかしウクライナ人がプーチンの誘いに乗ったようなニュースは聞かない。ならば、彼らの抵抗の意思は本物だろう。
    ロシアは高い代償を払うことになりそうだ。

    16
    • 名無しさん
    • 2022年 2月 26日

    歴史的に見て劣勢側が決戦思想にはまって一発逆転出来た試しは殆どありません。

    ただ、この大統領の奮起声明は、侵攻初期の段階で露軍が首都キエフに迫り、これを
    落としにかかる今日が第一の山場であり、ここでロシア軍の攻勢を挫いて持久戦に
    持ち込めるなら兵站線をウクライナ領内へ深く延ばした侵攻軍は、あの戦力では
    ウクライナ全土の掌握には数が少なすぎ、又、兵站線の維持も盤石では無い筈です。
    だから「まずは今日一日が緒戦の山場だから皆踏ん張れ、そうすれば講和の道も
    開ける」と士気を鼓舞したのは順当なんじゃないでしょうか。

    彼はコメディアン大統領とも揶揄されますが、この様な事態で早々に国を捨てて逃げ
    出した国政指導者が多い中で、なかなかに頑張っていると言えるでしょう。

    ただ他でも書きましたがアメリカ、NATOが早期に派兵の軍事オプションを捨てたのは
    残念です、ウクライナ国民がどれだけ奮戦しても孤立無援ですね。

    25
    • 炎のコサックダンサー
    • 2022年 2月 26日

    エストニアからジャベリンや補給物資の追加供与、イギリスからのNLAW、オランダからのライフル供与など、各国による支援の輪が拡がっていて、ウクライナ軍の組織的抵抗を下支えしている。
    NATOが動かない=何もしない、訳ではない。各国が個別に、非公式にでもやればよいこと。
    ジョージアとかトルコあたりからもすでに何がしかの援助物資が行ってるでしょう。

    Twitter、FBでもジャベリンやNLAWが良い仕事してるんでしょうね。撃破された装甲車や、カリカリの黒焦げになったロシア兵の遺体の散乱が確認できます。

    ウクライナはけっして孤立無援じゃないのです。むしろ、孤立してるのはロシア(とその愉快な仲間たち)ですね。

    2
      • xj
      • 2022年 2月 26日

      >孤立してるのはロシア(とその愉快な仲間たち)ですね。

      仲間たちと言ってもベラルーシだけなんですけどね。

      1
        • 炎のコサックダンサー
        • 2022年 2月 26日

        遠いとこのニカラグアとかベネズエラくらいですかねえ。助力は期待できない。

        NATOの東方拡大は脅威だってロシアの言い分も一理はあるんですけど、それはバルト諸国や東欧の国がみずから望んだ結果そうなったまでで…。
        つまり、それほどまでにロシアが周囲の国から軒並み信用されていないという事実を示すものでもあります。

        10
      • すえすえ
      • 2022年 2月 26日

      旧東側の国家ほどロシアを嫌っているのお察しだな
      ロシアは必要とされていねーんだよ。まさにチンピラ国家

      11
      • 名無し
      • 2022年 2月 26日

      ただ、その支援物資をどうやってウクライナで戦っている同国軍や部隊レベルに
      まで届けるのでしょうか?
      既にウクライナは戦地であって民間航空で入って行ける地域ではありません
      陸路でも民間では無理でしょう。
      軍の輸送隊か、又は、空軍の輸送機で空中投下するか輸送ヘリでウクライナ軍の
      補給デポにでも直接届けるしか方法はありません。
      それにはウクライナ領内へ入れねばなりませんし、届ける手段が無ければ隣接する
      ポーランド辺りで滞貨になるだけです。
      後は国境間際まで軍需品を届けウクライナ側に越境させて受け渡しをするかですが
      (実際、そうやってコソコソやっている可能性はありますが)
      大っぴらには出来ませんし、それを露軍が黙って見ているとは思えません。

      ゼレンスキー大統領
      「われわれは孤立無援で防戦している。共に戦ってくれる者はいないようだ」
      リンク
      彼等側の見方はこうです。

      少なくともブダペスト覚書で核放棄させて安全保障したイギリスとアメリカぐらいは
      ウクライナへ地上戦力を送れとは言わないまでも、自前の航空戦力での援護下で補給物資の
      投下作戦ぐらいはして欲しいと思います。
      ロシア側にも「我々はウクライナを好きにはさせない」とする明確なメッセージにもなるでしょう。
      英米もウクライナ支援を早々に表明し積極的に武器援助をしても肝心な局面で積極性に欠けています。

        • 炎のコサックダンサー
        • 2022年 2月 26日

        一応、ポーランドの国防省発表によれば、ポーランド軍の輸送隊車列が陸路で堂々と国境を越えてウクライナに弾薬補給をしていることは公式に認めています。

        フランスも戦時下に関わらず、どう入ったものか憲兵隊のGIGNをキエフに送り込んでいますし、何かしらコソコソとでもCIAがアフガンのムジャヒディーン相手にやったサイクロン作戦みたいなことはやってたとして不思議はないでしょうね。

        外交ってのはみんな嘘つきですから。口で幾らやらない、できないと言っても裏ではやるでしょう。ロシアに限らず、イギリスやフランスにとっては元祖・お家芸みたいなものですし。

        4
    • 無題
    • 2022年 2月 26日

    しかし一般兵どころかスペツナズまで地獄送りにするとはウクライナ軍相当頑張ってるな

    10
    • HSST8
    • 2022年 2月 26日

    >追記
    事実だとしたら、キエフの亡霊の戦果がまた一つ積み上がりますね。マジか……

    2
      • 名無しさん
      • 2022年 2月 27日

      あれはまさしく亡霊、プロバカンダっぽいですけどね

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