マクロン大統領は2020年12月「次世代空母(PA-Ng)の設計開発を承認した」と発表していたが、4年間に渡る設計開発作業を経て21日「新たな空母を配備する」と発表し、フランスは正式にシャルル・ド・ゴールの後継空母建造を行うことになった。
参考:France formally green lights PA-Ng aircraft carrier production
賢いコストパフォーマンス論に基づいた従来の常識は通用しなくなるのかもしれない
マクロン大統領は2020年12月、原子炉製造現場を視察する名目で訪問したフラマトムで「シャルル・ド・ゴールは2038年に寿命を迎える」「だからこそ次世代空母にシャルル・ド・ゴールと同じ原子力推進を採用した」「この選択はフランスの戦略的自律性を維持するのに重要だ」と語り、パルリ国防相もマクロン大統領の演説後に次世代空母= Porte-avions de nouvelle générationに関する詳細をTwitter(現在のX)で公表した。
この発表は「シャルル・ド・ゴールの後継空母=PA-Ngを建造する」という政治的コミットメントに過ぎず、具体的な決定は「PA-Ng設計開発を正式に承認する」となり、PA-Ngは4年間に渡る設計開発作業の結果、全長310メートル、全幅約90メートル、排水量7万8,000トン、K22原子炉×2基、最大30ノット、EMALS、AAG、デッキサイド式エレベーター(40トン級)×2基という仕様に決まったが、航空機の搭載能力について30機という説と40機という説がある。
仏海軍は2025年5月「PA-Ngを実際に建造するかどうか年内に発表されるだろう」と言及していたが、マクロン大統領は21日「我々は弱肉強食のこの時代において恐れられるほどの強さを持たねばならない。とりわけ海上での強さが必要だ。だからこそ徹底かつ慎重な検討を重ねた結果、私はフランスに新たな空母を配備することを決定した。この空母は我が国の国力、すなわち産業と技術の力の証となるだろう。それは公海上の自由を、そして激動の時代の荒波を乗り越えるために捧げられる力である」と発表。
EN DIRECT | Discours du Président @EmmanuelMacron devant les troupes françaises engagées aux Emirats arabes unis. https://t.co/DleTYQzFBi
— Élysée (@Elysee) December 21, 2025
ボトラン国防相も「マクロン大統領の発表通り、我々はPA-Ngの建造を開始する。我が軍の未来の要石として公海からの戦力投射を担うPA-Ngは2038年の就役を見込んでいる」と述べ、フランスは正式にシャルル・ド・ゴールの後継空母建造を行うことになった。
現在の計画では2032年にシャンティエ・ド・ラトランティック造船所で建造を開始、2035年頃にトゥーロンに回航され艤装工事と核燃料充填を行い、2036年頃に海上試験を行う予定で、この投資によって仏企業800社に質の高い仕事と直接的な利益を配分できるようになる。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Danielle Baker/Released
因みに2022年当時のルコルニュ国防相は「軍事省が策定中の次期5ヶ年予算計画で海軍運用の空母を2隻体制に戻すことについて検討している」と言及し、PA-Ngの調達を2隻に増やすのか、2038年に退役予定のシャルル・ド・ゴールを延命するのかどうかについては明かしていないものの、マクロン大統領は今回「シャルル・ド・ゴールは2038年に寿命を迎える」と述べているため、現在も空母2隻体制案が生きているならPA-Ngの調達を2隻に増やす方向なのかもしれない。
イタリア海軍のクレデンディノ参謀長も6月「海軍は2040年までをカバーする予算計画を策定中で原子力空母の建造が含まれている」と明かし、10月に発表された予算文書の中でも「次世代空母建造に関する研究」を含む技術開発計画に資金が割り当てられ、スペインのサンチェス参謀総長も9月「信じられないかもしれないが通常型空母の建造はフリゲート艦を建造するよりも簡単だ」「Navantiaが通常型空母を国内技術で国内建造できると確信している」「現在進めている実現可能性の調査はNavantiaが海軍の要件を満たせるかどうか確認するためのものだ」と述べたことがあり、トルコも国産空母を建造中だ。

出典:Marina Militare
今後は社会福祉削減と増税に支えられた国防予算増額を背景に「コストよりも抑止力を優先する考え方」が主流になる可能性があり、もう「空母は大国しか保有できない」「3隻保有しないと意味がない」「莫大な運用維持費用がかかるのでナンセンスだ」という平和の配当時代の常識、賢いコストパフォーマンス論に基づいた従来の常識は通用しなくなるのかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:Sébastien Lecornu





















リニアカタパルトはアメリカから導入予定だったけど、トランプ大統領が「止めちまえ」って決めてしまった、フランスが自力で開発する気なのかな?
建造開始の頃には風向きが変わると考えてるのか…
>現在の計画では2032年にシャンティエ・ド・ラトランティック造船所で建造を開始
ブレスト海軍工廠ではドックの大きさが足りないそうですが、その造船所ならドックの大きさが足りたという事なのですかね?
フランスはWW2より昔から「ドックの長さが足りないから他所で作った船体とくっつけて完成」を決行してるから、今回もそれでは?
支持率10%台ですから、実行できますかね?
ウクライナ欧州派遣軍だけでも、兆円単位のコストになりそうですが、両立できるのかなあと。
フランス空母の役割ってなんなんだろう。
将来の対露戦を考えても空母が絶対に必要な状況って無いだろうし、かと言って対中戦に投入されるかと言ったら絶対されないだろう。
結局フランスの威厳を示し、中小国や海外県や旧植民地諸国への威圧用なのかな、新型空母を例え2隻建造しても。
核搭載艦載機運用
ASMPを10発ほど保持し続けているらしいのですが、SSBNもあるのに必要なんですかねえ。
米国と違って、代わりにICBMを持っていないか。
米国だって、核巡航ミサイルを持ってますし、F-35Aで投下する核爆弾もあります。
SSBNは最後の切り札でしょう。
撃ったら後がない。というか後がないような状況で撃つ。
それ以前のエスカレーションとして、戦術核を撃ち込む手段は必要でしょう。
フランスはインド太平洋に海外領土を持っていますから、インド太平洋へのプレゼンス強化とフランスの二大核戦力の一つであるASMP航空機搭載型巡航ミサイルの運用の二つの観点から空母打撃群を必要としています。
課題は次世代艦載機と空母のカタパルトシステムがシャルル・ド・ゴール(蒸気式)もPANg(EMALS)もアメリカからの技術供与に基づいており、フォード級空母の状況に影響される可能性がある点ですね。
必要になってから建造を始めても手遅れですし、今から作っておこうというのが大きいのでは?
対露戦で使えずとも、フランスなら使う仕事に事欠きませんし。
旧宗主国という立ち位置からか、紛争地帯への治安維持活動へ割と空母を投入してますから
まあ何より空母なら、他所の国の航空基地に間借りしなくてもいいわけですし…
特にドイツの基地を借りるとかどうにも(心情的に)無理そうですし…
実用面は他の人が色々言ってるから良いとして、
イギリス海軍と戦い続けてきたフランス海軍の歴史を鑑みた時に、イギリスがQEを維持しているのに、フランスが空母廃止なんて選択肢は、かの国の大国意識を考えた時に有り得ない話かと。フランスは大国であるし、大国でなければならないし、そのためには核武装や空母の維持は当然の必要コストかと。
本当に必要?どういう運用を想定?って感じですが、決まったからにはやるのでしょう
支持率低下対策と産業停滞対策のための大規模バラマキにも思えますけど
で、結局、シャルル・ド・ゴールがどういう作戦に使用されたかと復習してみたのですが、別に海外領土の防衛とかに使われたことは無く、無かったら無かったでよさそうなお付き合いの類のものしかなく、莫大な費用をかけてまで本当にフランスに必要な戦力なのかなあと思います。
戦略原潜は最後のプライドとしても、これと原潜で、フランスの軍事予算の多くを貪っているわけで。
兵器を使う = 戦争をするってこと。
平和を求める時代においては人を殺した数で評価するのはナンセンス。
また、サッチャー首相が軍事予算を減らしたせいでアルゼンチンになめられてフォークランド紛争が勃発した。
軍事予算を増やせば未然に防げる戦争が増える。しかし、その算定は不可能であり費用対効果の算定も難しく、どこまで減らせるかも分からない。
結局、国家の意志を示す道具というのが主目的。
加えて、人員の育成に十数年かかる以上は必要なときに直ぐに用意できるものでも無いので、不要でも金をかけている。
その意味では「必要な時に動かせる」ってのが割とクリティカルなんで、最低限のローテを組める2隻体制は大事と言えば大事なんでしょうね。
対露ではオーバーキル気味な気もするけど、まあ必要ではあるだろ
ロシア如きが相手だと過剰かもしれんけど過剰なくらいでちょうどいいのでは?
変な言い方ですけど、フランスはフランスなりに常任理事国として紛争時に治安維持活動とかしてますから…
途上国同士のあれこれだと、フランスの戦闘機が上空を威圧的に飛ぶだけでも、小競り合いなどへの結構な抑止力になったりするので
政治的すぎる動きだと言われればそうなのですが、ある程度は一人で立つ気概があるのも確かなわけで
ほんとに行けるの?
その支持率で?
ルペンが大統領になったら即刻白紙撤回されそう
これまで通り1隻体制なら、その1隻がドック入りしている間は米空母を間借りして離着艦訓練を行う事になるでしょうね。
飾りではなく実用的な運用をとなると2隻体制が妥当ですが、フランスが財政的に耐えられるかどうかですね。
ラファールも自動着艦システムあるから地上模擬発着艦訓練とシミュレータで必要練度は維持できる、って考えですかね。
ほんのり寂しくはあるけど米海軍の練習機に発着艦能力要求されないご時世ですし…
スペインの「信じられないかもしれないが通常型空母の建造はフリゲート艦を建造するよりも簡単だ」以下略発言には驚かされますね。
トルコと建造に関する情報共有でも出来ているのかと想像。
以前トルコとスペイン間の軍事関連協力の記事を思い出しましたので。
近年だと短艦での高度な対空レーダーとかいらなくなっているからそーいう面では安く出来そうではありますしねー>通常動力空母
画像の甲板に見たことない双発機が載ってるけど、新空母が就役する前後に完成どころか初飛行させられるのかね。
これに搭載する艦載機の事も最近なにかと話題のFCASに絡んでくるでしょうからね。
フランスがFCASにおいて主導権握りたいのは艦載型も一緒に作りたいって思惑が少なからずあるからでしょうし
ドイツが空母保有を考えてるかわかりませんがイタリア、スペインが正規空母を作るつもりなら当然選択肢に入ってくると思います。