ウクライナ戦況

ゼレンスキー大統領もウクライナ軍の前進を発表、南部で41の集落を解放

ゼレンスキー大統領は10日夜の演説の中で「南部から良い知らせがある。41の集落がドニエプル川右岸地域で解放された」と明かし、視覚的に確認されていたウクライナ軍の前進を追認した。

参考:Зеленский: Есть хорошие новости с юга, 41 населенный пункт освобожден
参考:Exclusive-Russian withdrawal from Kherson to take at least a week – Kyiv

政府高官の暗号じみた情報のリーク、チョルノバイエフカで何かが起きているのかもしれない

ゼレンスキー大統領は「ドニエプル川右岸地域(ヘルソン州とムィコラーイウ州)で実施中の作戦で41の集落が解放された」と発表、さらにレズニコフ国防相も「右岸地域に取り残されたロシア軍(推定4万人)を左岸へ撤退させるのに最低でも1週間はかかる」と述べている。

出典:Google Map ヘルソン州の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

ロシア軍はヘルソンやベリスラフに向けて急速に後退しており、左岸に撤退するために必要な時間を稼ぐことができるのか謎だが、恐らく左岸に展開する砲兵部隊の支援を受けてドニエプル川を渡河したいと考えているに違いない。

因みに「国際空港や空軍基地があるヘルソン市郊外のチョルノバイエフカ地区にウクライナ軍が入った」「チョルノバイエフカ地区を支配下に置いた」という噂が出回っているが、これはムィコラーイウ州知事の投稿が原因だ。

ウクライナ政府高官は戦況について直接言及しないものの「記号や絵文字で何が起こっているのか」を示唆することが多く、州知事が投稿したЧという文字はЧорнобаївка(チョルノバイエフカ)を指している可能性があるため「チョルノバイエフカ地区にウクライナ軍が入った」「チョルノバイエフカ地区を支配下に置いた」という噂が出回っているが、これを証明する視覚的な証拠は確認されていない。

ただ政府高官の暗号じみた情報のリークは結構当たるので無視できないものがあり、チョルノバイエフカで何かが起きているのかもしれない。

関連記事:ウクライナ軍による怒涛の解放、ヘルソン市郊外まであと10kmに迫る
関連記事:ウクライナ軍が次々と拠点を解放、ロシア軍はドニエプル川右岸から撤退を開始
関連記事:ウクライナ軍が要衝スニフリフカの解放に成功、ロシア軍の後退が鮮明に
関連記事:ロシア軍発表を信じないウクライナ、戦いもせず敵が土地を明け渡すことはない
関連記事:ウクライナ軍がヘルソン州のカリニフスキーを解放、スニフリフカ郊外にも国旗
関連記事:ロシアのショイグ国防相、ドニエプル川右岸地域から部隊の撤退を命令か

 

※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ

ウクライナ軍による怒涛の解放、ヘルソン市郊外まであと10kmに迫る前のページ

米国が韓国から155mm砲弾を購入か、ウクライナ提供分の補充目的次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    ロシアのセベロドネツク包囲が停滞、ウクライナは防衛ライン構築に成功か

    ドンバスを巡る戦いはセベロドネツクを除く地域でロシア軍の前進が停滞して…

  2. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍の反攻、戦術弾道ミサイルでロシア軍基地の弾薬庫を破壊

    ロシア軍の弾薬庫が爆発したのはウクライナ軍の戦術弾道ミサイル「トーチカ…

  3. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍がクピャンスクで前線を押し戻し、バフムートでも状況を改善か

    ウクライナ軍はクピャンスク方面でロシア軍をヴィルシャナ方向に大きく押し…

  4. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍、ロシア軍によるアウディーイウカ包囲は徒労に終わった

    ウクライナ軍の報道官は初めて「ロシア軍がアウディーイウカの包囲に注力し…

  5. ウクライナ戦況

    スペイン、防空システムを要求するウクライナに改良ホークを提供

    NATOのストルテンベルグ事務総長は13日「スペインが4つのHAWKシ…

  6. ウクライナ戦況

    ロシア軍機はさらに燃える、シルスキー総司令官が非対称な対応に言及

    シルスキー総司令官も侵攻2周年を迎えた24日「我々はロシアの占領者に対…

コメント

    • 佐々籐士郎
    • 2022年 11月 11日

    このまま冬を迎えるのか、
    他の戦線でもロシア軍の撤退戦になるのか。
    ウクライナ軍はドニプル川渡河作戦まで行けるのか。
    来年以降も続きそう。

    12
    • すえすえ
    • 2022年 11月 11日

    ロシア軍が装備を持ち帰れるのかが注目点ですかね?

    装備を失えば人員の撤退をできてもしばらく戦力外に追い込めるのだが

    20
    • ido
    • 2022年 11月 11日

    今までに見ないほどの速度で前線崩壊が進んでるな。ウクライナ軍はこのままヘルソンも落とす気だと思うけど、対岸からの砲撃は大丈夫なんだろうか。左岸にはロシア軍4万人がいるし、かなりの量の兵力を捕虜、殺害できると思う。このまま頑張ってほしい。

    16
    • ななし
    • 2022年 11月 11日

    ドニプロ川西岸を奪還したら、次はザポリージャ方面が主軸になるのかな。
    メリトポリかベルジャンシクまで打通してロシア軍を東西に分断できればベストなんだが、ここまでウクライナ側も相応に消耗しているはずなのでそれだけの戦力が残っているかどうか。
    ロシア軍が機甲戦力や重火器を西岸からどれだけ持ち帰れるかも変数になりそうだ。

    9
    • ブルーピーコック
    • 2022年 11月 11日

    撤退を仄めかしつつ罠張って籠城戦じゃなくて、結局は撤退戦か。橋を落とした甲斐はあったが、ヘルソンを奪還したら橋はどうするんだろうか。戦後まで放置か復旧にかかるのか。

    3
    • 通りすがりのななし犬
    • 2022年 11月 11日

    > さらにレズニコフ国防相も「右岸地域に取り残されたロシア軍(推定4万人)を左岸へ撤退させるのに最低でも1週間はかかる」と述べている。

    渡河地点は、管理人さんの地図によれば3個所ほどあるけれど、ここがボトルネックになるのはバカでも分かる。ウクライナ軍もお人好しじゃないだろうから、ここに集中砲撃加えてくるのは火を見るより明らかだよね。

    > ロシア軍はヘルソンやベリスラフに向けて急速に後退しており、左岸に撤退するために必要な時間を稼ぐことができるのか謎だが

    撤退戦では、しんがり(殿)を引き受ける部隊が大切と聞いてますが‥‥? 結構犠牲が出そう。誰が犠牲になるのだろう? それでも、ろくに補給もないところで厳冬期を頑張るよりはマシということか。

    4
      • 2022年 11月 11日

      暗黙の撤退交渉が成立しているのかも知れない。

      インフラが攻撃されて不満が溜まってる国民に対して急ぎ成果が欲しいウクライナと優秀な部隊と銃火器を渡河させたいロシア。
      双方の思惑は一致してますからね。

      ウクライナがドニエブル側右岸を武力制圧は可能でも市街戦になるので被害も相当出る。今までのウクライナの戦い方は迂回包囲して撤退させる事が多く力押しでの制圧は局所的にしか実施していないですし。

      完全に見逃すとウクライナも問題あるので、動員兵部隊や2級部隊を殿にする位はしそうですね。
      万単位で移動させた部隊はそれ用と思うとあり得なくもない。

      今更撤退は謎ですが、ドニエブル側左岸の要塞化する時間稼ぎだったのかも知れません。

      いずれにせよこれで戦局が変化しますね。良い事です

      2
      • 匿名
      • 2022年 11月 11日

      実際、橋でボコボコに攻撃受けてるようですね

      それどころか本当に国防省のアナウンスまでヘルソン撤退が知らされていなくて、
      友軍撤退のため市街に残って捨て石になる(と、ウクライナ側からは思われていた)部隊まで
      撤退してようとしてるとかいう、目を覆うような話が出てきている

      なんでこうなった

      10
        • xyz
        • 2022年 11月 11日

        母国防衛でもないのに捨て石にされると分かってて素直に抗戦するほうがおかしいけどね。
        むしろ当然じゃないかな。

        9
        • 匿名
        • 2022年 11月 11日

        撤退するにも事前計画と内部統制が必要ですからね。
        ヘルソン方面指揮官の撤退陳情を悉く蹴り飛ばし、死守命令を下しておきながら、米国中間選挙が終わるや否や、突如撤退命令に切り替え、反対した副知事を事故死させる支離滅裂さを見ていると、恐慌状態に陥って壊走するのも至極当然だと思います。

        15
          • 匿名
          • 2022年 11月 11日

          追記ですが、元々ヘルソンに駐留していた戦闘部隊は、10月末時点でザポリージャ方面へ「ローテーション」され、代わりに動員兵を投入しているとの英字記事を見かけました。

          別の方が触れている防空システムを優先的に搬出させたのも、恐慌状態で壊走しているのも個人的に合点がいきました。

          軍事的価値の高い主力部隊の撤退は事実上完了しており、中間選挙の影響を考慮して表向きは「ローテーション」として扱い、軍事的価値の低い動員兵を文字通りデコイと肉の盾として消費し、その間により優先度の高い防空システムや正規兵を搬出・後退させる事が、ヘルソン撤退の計画なのかもしれません。

          8
        • 通りすがりのななし犬
        • 2022年 11月 11日

        > 友軍撤退のため市街に残って捨て石になる(と、ウクライナ側からは思われていた)部隊まで撤退してようとしてるとかいう、目を覆うような話が出てきている

        ほんとうですか? もしそうなら酷いもんだ。すでに潰走が始まっているんじゃないの? イジュームやリマンより大きな被害がロシア側に出そうだ。「俺たち捨て石にされるかもしれない」という疑心暗鬼がヘルソン市に残っているロシア軍全体に広がりつつあるのか。

        4
      • samo
      • 2022年 11月 11日

      4万人といっても、撤退させたい兵力はその全員じゃないだろうから、盾にするか見捨てるかする兵員もかなり多いんじゃないかな?
      特にヘルソンにはいった動員兵のその殆どは盾として入れてるだろうから
      ロシア的には撤退させる意図をここに持ってない可能性も高い
      殿では動員兵に対して「スターリンごっこ」してるんでは?

      8
    • samo
    • 2022年 11月 11日

    ウクライナ、ロシア双方でこの地域での撤退で合意している可能性もあるんで、
    撤退戦そのものにならない可能性もある。
    ウクライナ軍側が撤退するロシア軍部隊への攻撃を行わないことが撤退の条件にしてたって不思議じゃない
    以前にそれっぽい報道が出回ってたし

      • K(大文字)
      • 2022年 11月 11日

      撤退中のロシア軍部隊がウクライナ空軍機にボコボコ爆撃されてるって話が出てきたようです。
      なんでも、ロシア側が防空システムを優先して引き揚げたため、戦域の宇航空戦力はフリーハンドだとかなんとか。
      なんとも信じがたい話ですが、いやはや。
      戦線崩壊を起こした前轍を踏まずに、今度こそ多少は整然と撤退するのかと思いきや…

      21
        • no war in UA
        • 2022年 11月 11日

        数日中に崩壊しそうだからその前に撤退と発表した可能性が微レ存
        壊走じゃないもん撤退だもん…って

        5
        • samo
        • 2022年 11月 11日

        ロシア軍的には正しいと思いますよ。
        貴重な電子機器の塊である防空装置を守らないといけないので
        そのための動員兵でしょう

        4
          • 2022年 11月 11日

          人間のことを、動く肉のかたまりぐらいにしか思ってねえってこった・・・
          吐き気がするな・・・・

          15
            • 戦略眼
            • 2022年 11月 11日

            年寄とか再召集なんざ、そんな扱いですよ。
            明日は我が身かな。

            4
    • AAA
    • 2022年 11月 11日

    ヘルソン市庁にウクライナ国旗が掲げられたそうです
    スラーヴァ ウクライーニ!

    8
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  2. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  3. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  4. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  5. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
PAGE TOP