欧州関連

ゼレンスキー大統領、世界中に派遣中のウクライナ軍を本国に呼び戻す

ウクライナのゼレンスキー大統領は7日、国連の平和維持軍に参加しているウクライナ軍を呼び戻すことを決定した。

参考:Зеленский отзывает украинских миротворцев со всего мира для защиты государства

世界中からウクライナ軍を本国に呼び戻すゼレンスキー大統領、平和維持軍に兵士や機材を提供している場合ではない

ウクライナはロシア軍による侵攻後も国連主導の平和維持軍(コソボ、コンゴ、コートジボワール、モルドバ)に参加していた兵士や機材を維持してきたが、ゼレンスキー大統領は国土防衛のため派遣している全てのウクライナ軍を本国に呼び戻す大統領令に7日署名した。

出典:Andrij Sybiha

ただし平和維持軍に参加中の戦力はさほど多くない(SNS上では兵士約330人、Mi-24×4機、Mi-8×4機などの装備と言及されている)ため戦況に大きな影響を及ぼすとは考えにくいが、外国人部隊(ウクライナ領土防衛国際部隊)に多くの国から参加者が集まってきている状況で「平和維持軍に兵士や機材を提供している場合ではない」といった所だろう。

因みにウクライナ最高議会のゴンチャレンコ議員が新たにバイラクタルTB2を使用した攻撃シーンをTelegramで公開、詳細な状況は不明だがロシア軍の車列を保護するため随伴していると思われる地対空ミサイル「Buk-M2」をTB2の精密誘導兵器で破壊しており、以前ポーランドのディフェンス・メディアが指摘したとおり「小型でレーダー反射断面積が小さいUAV/UCAVを既存のレーダーで大型の有人機と同じように検出するのは難しい」のかもしれない。

ポーランドのDefence24はシリアやリビアで収集されたデータを分析した上で「最も新しいロシア製のPantsirは有人機を20km以上の遠方で検出することが可能でも、TB2のような小型機になるとレーダー反射断面積の値が小さいため検出範囲は7km前後まで減少、トルコはパーンツィリを倒すため電子戦装置を搭載した無人機とセットでTB2を運用したためパーンツィリのレーダーは干渉を受けて検出範囲が4km前後まで狭くなり、TB2は堂々とパーンツィリに精密誘導兵器を叩き込むことに成功した」と指摘している。

さらに無人機を使用した戦術は日進月歩で進化しており、1基の防空システムを潰すのにシリア内戦でトルコは平均5機の無人機を失っていたが、リビア内戦では戦術が見直された結果2.8機まで損失を抑えることに成功、さらに戦術が洗練したナゴルノ・カラバフ紛争では1機の無人機を損失するまでに2.25基の防空システムを破壊できたとDefence24は説明しており、高度で高価な第5世代戦闘機でなくても機体の小型と複合材料の使用でレーダー反射断面積を削減したUAV/UCAVは既存のレーダーには検出しにくい存在なのだろう。

出典:Vitaly V. Kuzmin / CC BY-SA 4.0

勿論、F-35よりもUAV/UCAVの方がステルス性能が高いという意味ではなく、高度な設計や技術を駆使しなくても機体を小さくすればレーダーに対して「相応の効果」があるのではないかという推測に過ぎないが、実戦でロシア軍自身が罰を受けているため少なくとも「防空システムさえあればTB2を簡単にやっつけられる」ということではなさそうだ。

まぁ戦争終結後に出てくる詳細な分析結果が出てくるまで何も断定できないが、今以上にUAV/UCAV市場で「トルコブランド」がもてはやされることだけはほぼ確実と言える。

関連記事:現地メディアの警告、ナゴカラ紛争を理解していないポーランド軍はアゼル軍にすら敗北する

 

※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ

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コメント

    • や、やめろー
    • 2022年 3月 08日

    ロシア軍はS400でバイラクタルTB2が撃墜できるか、ウクライナ軍はどれだけバイラクタルTB2を損害少なく有効に使えるか、がこの戦いにおいて大事になってくると思う。あとは、南部をどれだけ抑えられるか、とかかな?

    13
    • kitty
    • 2022年 3月 08日

    この戦争でほとんどの国の人が、なんらかの経済的・政治的被害や心理的なダメージを受けている中、トルコだけが勝者な感じ。
    トルコ批判なんか吹っ飛んだでしょうね。

    11
      • 無無
      • 2022年 3月 08日

      戦後にプーチンがトルコとどうつき合うのか、予測がつかないだけに楽しみ
      これでプーチンが失脚してもロシアは過去の因縁を忘れまい

      1
        • STIH
        • 2022年 3月 08日

        むしろトルコのほうが一言言いたいんじゃない。歴史的にはロシアとトルコは相当仲が悪くて、近年の接近もアメリカがうるさいのが原因なだけで、ドライな関係に見えるけどね。
        まあドライだったらS-400売らねえだろ、と言われたら言い返せないけど。

        12
    • すえすえ
    • 2022年 3月 08日

    まだ国連に提供していた人員戻してなかったんかいw
    まぁ戦力的にはあんまり関係ないけどね

    ここ最近の戦場は無人機つえーですな
    うちにももっと導入しようよ
    TB2二十機ぐらいどうだろうか

    18
    • 2022年 3月 08日

    その気になれば4㎞までなら検知されなくなるってことは高度5000mを飛ぶTB2は真上まで行ったとしても検知されないってことなのか…
    これすごくない…?

    28
      • バーナーキング
      • 2022年 3月 08日

      流石にそれは雑過ぎるだろう。
      前方からと下方からじゃ投影面積も反射率も全然違うんだから。

      5
        • くらうん
        • 2022年 3月 09日

        F-117のユーゴでの撃墜も、迂闊にSAMの真上に飛んだのが原因だったけね

        3
    • 名無し
    • 2022年 3月 08日

    バイラクタルTB2バカ売れでウハウハになりそうだなトルコ。実戦で性能が証明されるってのは何より売り込み的に強い。

    24
      • 2022年 3月 08日

      しかも相手はロシア。
      これは金のない中小国は涎ダラダラですわ。

      2
    • けい
    • 2022年 3月 08日

    ロシア軍の装備の状態+運用方法が、いままでの軍事的常識の最低ラインを下回りすぎて判断が難しいな
    燃料節約の為なのか、移動中とか渋滞待機中は戦闘システムを稼働させてない気配すらあるし
    それだと防空システムを随伴させてる意味すらなくなる気がするけど、
    それぐらい一方的なんだよ、ほんとに分からんロシア軍

    20
      • ダヴー
      • 2022年 3月 08日

      今時点で解ってるのは、ロシアでも無人機に対する完全なエアカバーは出来ない、ということくらいかなと。
      TB2の損失数の実態とか今は全然解らないし、ロシア側がどれだけ対応出来たかとかは戦争が終わってからでないと評価は難しいと思う。

      10
    • 匿名
    • 2022年 3月 08日

    戦争終結後に出てくる詳細か・・・マジでロシア諦めてくんねぇかな
    6月が経済的なデッドラインらしいけど

    7
      • ヤゾフ
      • 2022年 3月 08日

      1日1-2兆円の戦費掛かってるようなのでそこが耐えられる限界と見てるのかも?
      経済制裁でもっと早くなりそうですが。

      1
      • asdfg
      • 2022年 3月 08日

      リンク
      モーガンスタンレーの試算ではもう少し事が早くて、4月15日にもベネズエラ並の破綻を起こす可能性指摘してます

      10
    • ナナシ
    • 2022年 3月 08日

    ロシア兵捕虜などの証言からも言われているように、今回の侵攻作戦は直前まで将校クラスにすら秘密にされており、いざ侵攻が始まっても末端の部隊はおろか後援隊ですら具体的な作戦立案が行われておらず、場当たり的な戦い方を迫られているからだと思います。FSB職員からのリーク(真意不明)でも「これが徹底した秘密主義の欠点である。」言われているように極秘にすればするほど現場の意思疎通が遅れて戦線が崩壊したのだと思います。

    12
      • えっくす
      • 2022年 3月 08日

      こうなることを想定してたのかわかりませんが、かなり早い段階からアメリカがロシア軍の動向をガンガン流してたので、疑心暗鬼に拍車を掛けて軍へは限られた情報しか伝えてなかったんでしょうね。
      まさか情報の流出元がお膝元とはつゆ知らず…。

      12
    • トクメイキボウ=サン
    • 2022年 3月 08日

    戦後はレーダーの改良、検出アルゴリズムの書き換えに各国は必死こくんだろうなぁ

    3
      • 無無
      • 2022年 3月 08日

      トルコが着々とノウハウを蓄積してるのがよく判る、
      戦争の無い国が、輸出先も無いままだと改善改良する機会すら後手後手でお話しにもならないという悲しい現実を知らされますわ

      21
      • G
      • 2022年 3月 08日

      日本も87式自走高射機関砲に置き換わるドローン対応の対空兵器が必要ですね

      6
    • zerotester
    • 2022年 3月 08日

    B-1Bはステルス機ではないですが、ブレンデッドウイングボディの形状などによりB-52の1/100のレーダー反射面積です。
    TB2もブレンデッドウイングボディ的な形状で、ステルス性も考慮してのものではないでしょうか。さらに機体も小さいのでレーダー反射面積は小さいでしょう。こちらのサイトの記事でも0.1平方メートルくらいで防空レーダーの探知範囲外とありましたね。

    リンク

    2
      • 匿名
      • 2022年 3月 08日

      >ブレンデッドウイングボディ的な形状

      その元祖的な位置付けのF-16って、同級同世代機の中ではRCSが大きい部類なので面白いです。
      B-1AのRCS10㎡に対して、F-16AはRCS5㎡とか。
      F-16CでRCS軽減対策後のだとRCS1.2㎡らしいけど、スパホのRCS1㎡よりも大きいと。

      1
    • ナナシ
    • 2022年 3月 08日

    疑問に思ったのですが、今回の停戦交渉の際にウクライナ側メンバーが東側のヘリではなく真っ黒なUH-60に乗って移動していたのですが、やはり一部情報にあったデルタとCIA、SASの混成部隊が大統領近辺を警護しているというのと関連性があるのでしょうか?
    もしそうならばゼレンスキー暗殺作戦が3度も失敗した理由に納得がいきますが。。

    6
      • 無無
      • 2022年 3月 08日

      アメリカが公表されてない武器支援までやってる話はすでに出てますね、
      当然にその技術者や支援要員まで送られてると見るべき、そして正体不明のプロフェッショナルまで
      今回はロシアの悪辣ぶりに対して、正義の役割なアメリカもまたやることはやってますよ、
      子どものスポーツ試合じゃないんだから

      11
        • ナナシ
        • 2022年 3月 08日

        まあ確かにデルタフォースとSASは現地戦のプロなので所属がバレるような動きは絶対にしていないでしょうね、なんなら民兵に紛れて作戦を行なっている可能性も、、

        5
      • M
      • 2022年 3月 08日

      件のヘリはポーランド製のS-70iだともいわれてますね

      5
    • 黒丸
    • 2022年 3月 08日

    トルコがアメリカとの友好関係を下げてF35取り上げられてまでして、S400欲しかったのなぜだ
    S400は、TB2のようなUAVで簡単にやられる可能性が無いシステムなのか?
    トルコの対空装備やシステムが今後どの様に変化していくのか 気になります。

    1
      • coke
      • 2022年 3月 08日

      S400

      • coke
      • 2022年 3月 08日

      S400を手に入れて、それを使ってuavの機体形状を最適化する計画とか?

      3
      • あ、
      • 2022年 3月 09日

      ちょっと前のクーデターでパイロットが不足して急遽防空に必要になったというのをどこかで見た気がします。ギリシャとバチバチなので。
      ソースがある方は教えてください

    • ぬるぽ
    • 2022年 3月 08日

    仮に検知してもミサイルより安価なダミードローンを飛ばせば事実上無力化出来るだろう
    ドローン無双はまだまだ続きそう

    2
    • 人間
    • 2022年 3月 08日

    自衛隊はドローンを使った戦術はめっちゃくちゃ送れてるんだろうな~
    やる気無いんだろうか…
    未だに砲迫の誘導も目視、音声(アナログも大事)だし。

    6
      • 匿名
      • 2022年 3月 08日

      そんな貴方に、令和3年度富士総合火力演習↓の1:58:30辺りからをお勧め。

      リンク
      ・NEWSにより敵の指揮通信機関を評定
      ・UAVにより細部位置を解明
      ・精密誘導火力により敵中枢を撃破
      といった流れな演出です。

      1
        • 人間
        • 2022年 3月 09日

        ごめん

        1
          • くらうん
          • 2022年 3月 09日

          素直w
          BGM流したくなる。
          FCCSのUI作った人は少なからずアニメ好きだよね。

      • minerva
      • 2022年 3月 08日

      自衛隊は災害用のジャミングに弱い小型ドローンは大量配備されて大体は使えるようになった
      戦場で使うような高価な偵察UAVは試験中で少数が配備されている
      砲兵観測用で中型のFFRSは20機程度が配備されている

    • 58式素人
    • 2022年 3月 08日

    この戦争で、ウクライナ側は、クリミアとロシア領に対する攻撃を、極力、控えているように、素人には思える。
    おそらく、米英との打合せと、自国の利益の計算からそうしているのだろう。
    だが、今現在、首都を2方向からタコ殴りにされている状況では、多少の仕返しは良いのでは無いだろうか。
    手持ちのSRBMから、実弾頭を外して、グロナス測地システムを利用して、モスクワの赤の広場に面した、
    有名な時計塔にぶち当てて、へし折るくらいは許されないだろうか。
    もう一つ、ケルチ海峡にロシアが架けた橋を、落橋させても良いのでは無いだろうか。

    3
      • くらうん
      • 2022年 3月 09日

      ロシア領を攻撃したら効果にたいしてデメリット多すぎでしょ。
      一方的な侵略を受けているから世界的にロシアを孤立化させてるのに。
      ロシア国内の反戦派の勢いも削ぐことになる。
      ケルチ橋に関しては悪くないかもしれないけど、そもそも落とす兵器が無い。

      あと読点をちょっとつけすぎじゃないかな。

      5
        • 58式素人
        • 2022年 3月 09日

        爆撃で考えると、北ベトナムのタンホア鉄橋の場合、250lbのブルパップASMで傷がつく程度、
        750lbのM117で効果あり(落橋に至らず)ですから、TB-2では無理でしょう。
        SRBMで終末誘導を工夫する(直ぐにはできない)ことでしょうか。
        あとは、地上から接近して橋脚を爆薬で切断することでしょうか。
        これは挺身攻撃になりますから、危険すぎます。
        当面、直ぐには難しいですね。

    • tarota
    • 2022年 3月 08日

    ガンダムの世界のように航空機の小型化が進みそうだな
    爆薬はRPG7程度で充分なんだし

    • zerotester
    • 2022年 3月 08日

    そうなんですね。エアインテークからエンジンまで真っ直ぐなのがよくないのかな。単にブレンデッドウイングボディにしてもステルス性が良いとは限らないわけですね

      • 匿名
      • 2022年 3月 08日

      F-16の事だと思いますが、
      ダクト越しにエンジンが見えたり見えなかったりするのは、実はYF-23も同じです。
      ﹙YF-23の写真集で、エンジンが見えているのが在りました﹚
      Su-57も、ダクトを少し捻っていますが、エンジンは概ね見えています。

      YF-23やSu-57との相違が、レーダーブロッカーの有無だと話しは単純なのですが、
      対策版F-16でのレーダーブロッカーの使用・未使用が判らないので、判断を保留しています。

      ちなみに、ご存知かも知れませんが、レーダーブロッカーは↓な感じのパーツです。
      リンク

      あとレーダーブロッカーはスパホでも使用しており、
      ﹙余り評判は良くない様ですが﹚『万能艦上戦闘機F/A-18 マニアックス』に
      「ダクト越しのレーダーブロッカー﹙エンジンは取り外した状態﹚」の写真がありました。

      2
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