欧州関連

Redbackのテストがポーランドで進行中、豪陸軍モデルとポーランド陸軍モデルを提案

ポーランドが採用を検討しているRedbackは第18機械化師団によってテストが行われている最中で、ハンファディフェンスは有人砲塔を統合した「豪陸軍モデル」と無人砲塔を統合した「ポーランド陸軍モデル」を提案しているらしい。

参考:Redback tested in Poland. Hanwha Defense: We are offering Redback for Poland in two configurations with different turret systems

ハンファディフェンスはスタロヴァ・ヴォラ製鉄所とZSSW-30統合に向けた実務作業に入っている

ポーランドのブラスザック国防相は20日「最も優先順位が高いのは国産のBorsukで間もなくテストが開始される。これを補完するため韓国製のAS-21(Redbackのこと)もテストを開始したところだ」と述べて注目を集めているが、Redback配備が有力視されている第18機械化師団(M1A2配備が確定)で本格的なテストが進行中だ。

これまでの情報を総合するとポーランド陸軍は主力戦車と歩兵戦闘車の組み合わせとして「M1A2とRedback」「K2PLとBorsuk」を検討しており、ハンファディフェンスは有人砲塔「MT-30」を搭載した豪陸軍モデルのRedbackと、Borsukに搭載されている無人砲塔「ZSSW-30」と統合したポーランド陸軍モデルのRedbackを提案しているらしい。

RedbackはNATO規格のSTANAG4754(車輌向けアーキテクチャ)と完全な互換性を備えているためポーランド製のZSSW-30統合が容易で、既にハンファディフェンスはスタロヴァ・ヴォラ製鉄所(HSW)とZSSW-30統合に向けた実務作業に入っている。

出典:HSW Borsukが搭載するZSSW-30

両社はK9の車体にAS90の砲塔を統合した自走砲「KRAB」の開発で協力した経験があり、RedbackもK9の車体を流用したものなのでZSSW-30の統合作業で困難を経験する可能性は低く、MT-30とZSSW-30のどちらを採用してもK9ベースの自走砲(KRAB×170輌+K9PL×648輌=計818輌)と兵站を共有でき、ZSSW-30搭載モデルを採用すればBorsukとも兵站を共有できるのでポーランドにとっては都合のいい話だ。

因みにMTU8V199(720馬力)を採用するBorsukは最大40トンまで戦闘重量を拡張可能だが、MTU MT881(970馬力)を採用するRedbackは最大47トンまで戦闘重量を拡張可能で、IronFistやIronVisionも統合済みなため「発展性」「保護能力」「認識力」の点でRedbackはBorsukを上回るが、調達コストが幾らなのか分かっていない。

関連記事:ポーランド、国産の歩兵戦闘車と並行して韓国製Redbackのテストも開始

 

※アイキャッチ画像の出典:Hanwha Defense

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コメント

    • トクメイキボウ=サン
    • 2022年 10月 28日

    レッドバックの性能が良いのはわかったが韓国はこのモデルを採用しないのか?
    こっちの方がオリジナルより良いんだろ?

    5
      • nachteule
      • 2022年 10月 28日

       10数年前にk21採用したばかりなのにもう交換させるの?今の予定数量分からないけど導入予定数に届いていると思うが、そこからさらに追加するのか。

      4
      • 通りすがり
      • 2022年 10月 28日

      レッドバックの元が韓国軍の「K-21」で、こちらは韓国軍の要望に合わせて渡河能力&国内だけで生産/設備が完結することが重視されてる。

      あと韓国軍の防衛装備導入の諸悪の根源制度である「最低価格入札」原則のせいで、競合する場合、絶対に安い方を導入しないといけないので、企業側の「わしが思う最強装備」を自由に作れない。

      このレッドバックは純粋に企業努力の産物で、ゴム履帯はカナダ、各種装備はドイツやイスラエルだったり、
      お披露目国の国産主砲や装備をその都度付け替えたりと、企業が自由に開発したもので、韓国軍がオーストラリアでの高評価を後追い聞きつけて、今「ええやん、うちでも試してみるか」となってる感じ。

      22
    • 無印
    • 2022年 10月 28日

    >ZSSW-30
    この砲塔、たしかポーランドのAMVの新型にも採用されてたはず
    この話が上手く行ったら、ポーランドの装輪装甲車と歩兵戦闘車は殆ど同じ砲塔を装備する事になるのか
    上手いなぁ

    しかしどっちの歩兵戦闘車も、エンジンも重量も戦車並み…

    10
    • NAFO
    • 2022年 10月 29日

    ポーランドは国産で全部賄ったほうがいいと思うなぁ。性質の似通った異なる車種を運用するのはちょっと…

    2
      • 戦略眼
      • 2022年 10月 29日

      急な拡張に生産が追い付かないのでしょう。

      1
        • 成層圏
        • 2022年 10月 29日

        ここは難しい問題ですね。
        今の需要を満たすのが優先か、長期間の運用性を重視するか。運用性を無視すると防衛費が溶けるが、国が無くなっては意味がないし。

        1
    • 名無しさん
    • 2022年 10月 29日

    韓国軍の装備だと「攻撃性能」はカタログスペック満たすかもしれませんが、「防御性能」は不安もあります
    なにせ、見栄えの良いところ以外は・・・というお国柄ですから
    そこまでちゃんとテストしてるなら良いのですが、兵隊さんが命を託す装備ですから

    3
      • shkk
      • 2022年 10月 30日

      実戦でどうなるかは知らんけどNATOの防護基準に沿った設計(STANAG4569)とうたってるぐらいだから防御力は相応にあるんじゃないの?
      素人目線でも車体の防弾性能は戦闘重量42トン、最大47トンで防御力に対して十分以上と言えるし、
      軽くて空輸可能!スゲー兵器だぞ!って鳴り物入りで登場した兵器とか、わが社なら狭い道路幅に対応できます!!って開発失敗した兵器とかと比べると車両重量や規模的にも無理があるように思えないな

      重量制限ある開発だと韓国製に限らず「ほんとに大丈夫?」って俺も思うけど、上のコメント見る限り国内向けの制限なく開発した感じだしね

      1
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