欧州関連

RheinmetallがFuchs-JAGMを発表、AGM-179を24発装填可能

RheinmetallとLockheed Martinは9日に開幕したDSEIで「Fuchs6×6とAGM-179/AGM-114Lを24発装填する垂直発射装置を組み合わせた世界初の戦闘車両」を発表、このFuchs-JAGMの主要な交戦相手は低空域を主戦場とするドローンだろう。

参考:DSEI 2025: Rheinmetall and Lockheed Martin present Fuchs JAGM – next-generation missile tank destroyer for ground and air targets 
参考:‘Missile tank destroyer’: Rheinmetall, Lockheed Martin team on new concept vehicle

参考:Skunk Works and FalconWorks Announce Strategic Collaboration

垂直発射装置を車輌に搭載するというコンセプト自体にはロマンを感じてしまう

RheinmetallとLockheed Martinは9日に開幕したDSEIで「Fuchs6×6とAGM-179 JAGM(もしくはAGM-114L Hellfire LongBow)を組み合わせた世界初の戦闘車両」を発表して注目を集めており、Fuchs-JAGMと名付けられた戦闘車輌は陸上及び空中の様々な脅威に対抗するため「Fuchs6×6の車輌後部」に「AGM-179/AGM-114Lを24発装填する垂直発射装置」を搭載したもので、車輌には最先端のセンサーパッケージも搭載されている。

つまりFuchs-JAGMは指揮統制、レーダー、ランチャー、発電機といった役割毎に分割された地上配備型防空システムとは異なる「自己完結型のシステム」で、センサーパッケージに含まれる電子光学センサーを使用すれば8km圏内の目標を検出して攻撃することが出来るものの、AGM-179の最大射程(推定16km)をフルに活かすには認識力を拡張する必要があり、RheinmetallはBreaking Defenseの取材に対して「無人機を含む外部システムを活用することでFuchs-JAGMの認識力を拡張できるかもしれない」と述べたらしい。

但し、DSEIで披露されたFuchs-JAGMは技術実証のためのデモンストレーターで、両社がFuchs-JAGMに込めた意図も「欧州が主権を確保した自主防衛を達成するため米国を排除するのは得策ではない」「いち早く防衛ニーズを満たすためには米国と欧州の能力を組み合わせることが重要」となり、特にLockheed Martinにとっては「TOW、Hellfire、Maverickの後継システムとして開発したJAGMの苦戦=3ヶ国に留まるNATO加盟国の採用状況を打開する施策になる」と期待しており、Fuchs-JAGMは2026年後半まで実地テストを開始する予定だ。

出典:U.S. Navy photo by Lt.j.g. Samuel Hardgrove

恐らくFuchs-JAGMの垂直発射装置は「沿海域戦闘艦の対ドローン能力を強化するため開発されたSurface-to-Surface Missile Module=SSMMの流用」で、限られたスペースに多くのミサイルを搭載できるため同時交戦能力が向上するものの、この方式は再装填に時間がかかるため「迅速な交戦能力の回復」という点でみると微妙かもしれないが、垂直発射装置を車輌に搭載するというコンセプト自体にはロマンを感じてしまう。

因みにLockheed MartinとBAE SystemsもDSEIで「電子戦に重点を置いた無人航空システムの開発に関する戦略的提携」を発表し、これは有人戦闘機に随伴する無人戦闘機を開発するという意味ではなく、モジュール性と適応性を考慮した費用対効果の高いプラットフォーム(サイズは約1トン)で陸上発射、艦艇発射、空中発射にも対応している。

出典:Lockheed Martin

今回の戦略的提携は「ひとまず交換可能なペイロードに電子戦に対応したシステムを搭載する」という意味で、恐らくLockheed MartinとBAE SystemsはBriteStormやGhost Mantisに類似したものを想定しているのかもしれない。

関連記事:タイフーンによるウイングマン制御、ドイツ空軍は目標照準ポッドを活用か
関連記事:英空軍がBriteStormを採用した新型無人機を発表、F-35の生存性が向上
関連記事:英国が自律型協調プラットフォーム戦略を発表、チーミング可能な無人機構想
関連記事:AUSA2024が開幕、ゴースト編隊を作り出せるBriteStormが登場

 

※アイキャッチ画像の出典:Rheinmetall

フィンランド防衛産業のベストセラー、英国とノルウェーもPatria6×6に合流前のページ

豪海軍とAndurilが無人潜水艦を実用化、Ghost Sharkの量産開始を発表次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    ベルギーがFCASプログラムへの正式参加を表明、参加時期は2025年6月

    フランスのマクロン大統領は6月「ベルギーがFCASプログラムにオブザー…

  2. 欧州関連

    ポーランドが装備調達に15兆円を投資、ロシアの野蛮な侵略に対する正しい反応

    ブラスザック国防相はポーランドの安全を保証するため「2035年までに5…

  3. 欧州関連

    エストニアとフィンランドが対艦ミサイルの運用を統合、フィンランド湾からロシア海軍を締め出す

    エストニアのペヴクル国防相はフィンランドのカイッコネン国防相と会談後、…

  4. 欧州関連

    要求する要件を満たしていない、チェコは次期歩兵戦闘車に提案された全提案を拒否

    チェコ国防省は進めている陸軍の次期歩兵戦闘車(IFV)の入札について「…

  5. 欧州関連

    魔法のスコープ、英陸軍即応部隊がドローンキラーのSMASH X4を導入

    Smart Shooterの照準機能付きスコープ「SMASH」は低コス…

コメント

  • コメント (16)

  • トラックバックは利用できません。

    • 無印
    • 2025年 9月 11日

    フクスはパトリア6×6に置き換わってしまいそうなんですが、フクスと組んで良かったのかな?

    6
      • 特盛
      • 2025年 9月 11日

      その辺りの互換性は確保されていると思いたい

      5
    • kitty
    • 2025年 9月 11日

    MALEとか劣化巡航ミサイルタイプには良いのだろうけど、豆粒みたいにしか見えず、発見が遅そうなFPSドロ-ン相手に、VLSでリアクションタイムってどんなもんなんだろう。
    C-RAMだって発射機はあえてああいう形なんだろうし。

    2
      • 伊怜
      • 2025年 9月 11日

      性能的には恐らくトールM2と9M338Kの組み合わせ近い物と思われるけれども、そちらは他防空兵器(パーンツィリ等)と比べてもドローン迎撃では特に役に立っているようなので問題無いのでは

      1
        • kitty
        • 2025年 9月 11日

        まあ、FPVドローンは、ミサイルよりはるかに遅いですからそれでいいのかもしれませんね。

        なんだよFPSドローンってw。まあ理由はわかるが。

        1
      • T.T
      • 2025年 9月 11日

      VLSタイプは、真上に打ち上げて方向転換する手間を挟むので、最小交戦距離が長くなる欠点がありますね。トールで確か1kmだったと思います。
      その点通常のランチャーですと、最悪目と鼻の先でも向いてさえいれば撃てますので。
      そんな状況になる可能性は高くないとは思いますが、探知が遅れた、或いは数で押し切られて接近された時に危ういですね。

      3
        • HEAT信奉者
        • 2025年 9月 11日

        トールシステムは全行程無線指令誘導なので例え旋回ランチャーだったとしても最低射程は他のミサイルより広くなります
        レーダーがミサイルを捉えていないと操縦出来ないので

        1
      • p-tra
      • 2025年 9月 11日

      むしろVLSによって即応性が高まる、とトールに関しては主張されて
      いたりしますね。
      砲塔のレーダーを向けないと射撃出来ないんだから絶対ウソだろ、
      と思ってますが(デカいミサイルを車体に収める為だろうと思います)
      FPVはもうミサイルで迎撃する対象じゃない、と考えるしか無いと思います。
      発射された砲弾とか銃弾に近い何かであって対空戦闘を試みる相手じゃないでしょう。

    • Whiskey Dick
    • 2025年 9月 11日

    >垂直発射装置を車輌に搭載するというコンセプト

    ロシア陸軍の短SAMのことでしょうか。

    2
    • 半分の軍事費の国から
    • 2025年 9月 11日

    アパッチの後継が地上車両とは‥海上コンテナ型も造れそうですね。C-RAMみたいに、置いとけば拠点防衛も出来そう。

    4
    • SB
    • 2025年 9月 11日

    これは本当に交戦相手はドローンなのか?
    確かにJAGMもヘルファイアも対空目標を攻撃出来るとは言え分類からして戦車駆逐車だし、基本はドローン車両のミサイル版で、ドローンも攻撃出来ますよって程度じゃないのか

    2
      • 半分の軍事費の国から
      • 2025年 9月 11日

      対ドローンも出来ますよ位で、真の目的は、情報共有システムを使った無人アサルトタンク狩りで、ついでに、重装甲戦車オワコン車両なのでは?戦車の装甲で、全周対戦車ミサイル防御能力を要求すると、戦車重量200トンとかになって、マウス越え確実の自分で動ける防御壁状態に‥遅そう。

      1
        • SB
        • 2025年 9月 12日

        このレベルで重装甲車両がオワコンになるなら中距離多目的誘導弾の時点でとっくにオワコンになってたんじゃ無いでしょうか

        1
    • GR
    • 2025年 9月 11日

    JAGMって一発5000万くらいですよね
    ドローン1機に、、、

    3
    • hoge
    • 2025年 9月 11日

    LMはさぁ、まずF-35にもっと投資してよ
    自機が地上にいるのか空中にいるのかもまともに判定できず墜落したばっかじゃん

      • nachteule
      • 2025年 9月 15日

       アレは整備のミスが原因なのにLMにまともな物を作れって流石に言い過ぎでしょう。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  2. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  3. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  4. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  5. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
PAGE TOP