ドイツ連邦軍総監は「ロシアが主力戦車を年間1,500輌も生産している」「全てをウクライナに投入しておらず将来の戦いに備えている」と述べ、NATOのルッテ事務総長も「ロシアの脅威に備えるため防空システムは現在の5倍、戦車と装甲車輌は数千輌以上、砲弾は数百万発以上が必要だ」と訴えた。
参考:Russia may attack Nato in next four years, German defence chief warns
参考:NATO chief calls for five times more air defenses increase to deter Russia
ロシアにNATOを攻撃する能力が今直ぐあるとは思わないものの今後3年~5年で可能になるかもしれない
ドイツ連邦軍総監のブロイアー陸軍大将はBBCの取材に「NATOは非常に深刻なロシアからの脅威に直面している」「これは40年間の軍隊勤務で経験したことない脅威だ」「ロシアは大規模な軍事力強化を行っている」「ロシアは主力戦車を年間1,500輌も生産している」「ロシアは生産した戦車を全てウクライナに投入していない」「この戦車は備蓄や西側を意識した新しい部隊に配備されている」「砲弾の状況も同じで2024年に生産された152mm砲弾400万発も全てウクライナに投入されているわけではない」と述べ、将来の危機について以下のように述べた。

出典:Минобороны России
“もっと脆弱な地域はリトアニア、ポーランド、ロシア、ベラルーシの国境に接するスヴァウキ・ギャップ地域だ。現地に行けばバルト三国が本当にロシアの影響を受けていることを実感する。この脅威を山火事に例えるならエストニア人は火事の熱を感じ、炎を目撃し、煙の匂いを嗅ぐが、ドイツ人からすると地平線の向こうに小さな煙が見えるだけでそれ以上のものはない。これはロシアの脅威に対する欧州諸国の見解の違いを示している”
“ウクライナとの戦争に対するロシアの見方も欧州諸国とは異なり、ロシアはウクライナとの戦争をNATOとの大きな紛争に繋がる連続体と見なし、我々の防衛ラインに侵入する方法を模索し試している。バルト海の海底ケーブル攻撃、欧州の公共交通機関に対するサイバー攻撃、ドイツの発電所や他のインフラ施設上空で目撃された正体不明のドローンなどが良い例で、だからアナリストらは(ロシアの新たな攻撃が)2029年以降に発生すると指摘しているのだ”

出典:Минобороны России
“私もロシアの攻撃が2029年よりも早く起こらないとは保証できないため、今夜からでも戦闘準備を整える必要があるのだ。我々がすべきことは積極的に「もっと国防に力を入れる必要がある」「これは自分たち守るため、そして抑止力を強化するためにも必要不可欠だ」と発信することだ”
さらにNATOのルッテ事務総長もシンクタンク主催の講演で「我々の地上戦力は欧州全体で本当に不足している」「指揮統制に必要なセンサーや長距離攻撃兵器などにも量的な欠陥がある上、ロシアが急速に戦力を増強しているため本当に脅威だ」「ロシアにNATOを攻撃する能力が今直ぐあるとは思わないものの今後3年~5年で可能になるかもしれない」「ミサイルや防空システムについては現在の5倍、戦車と装甲車輌は数千輌以上、砲弾は数百万発以上、兵站を含む支援能力は2倍以上必要だ」と述べ、さらにドローン、長距離攻撃兵器、宇宙能力、サイバー能力への追加投資も必要だと付け加えた。

出典:Gerben van Es
特に興味深いのは「私は防衛産業の問題のせいで夜も眠れない」「特に防空システムのパトリオットは今直ぐ発注しても手に入るのは10年後の話だ」と指摘し、6月末のNATO首脳会談で「国防費増額を通じて防衛産業界に明確なシグナルを送る」「達成すべき目標の時期についても明確な見解をもっている」と、具体的な支出案や具体的なスケジュールについても「同盟国間で協議を進めているため今は詳細を明かせない」「最終的に同盟国はスケジュールについて合意するだろう」と述べているだ。
因みにトランプ大統領はNATO加盟国に「欧州防衛に対する米軍のプレゼンス縮小=米欧州軍撤退」をチラつかせる一方で、国防予算増額や米国製武器システムを積極的に購入する国=特にロシアと国境を接するポーランドなどには「駐留する米軍を撤退させない」と約束していたが、NBC Newsは4月「国防総省が東欧から最大1万人の兵力削減を検討している」「検討されている兵力削減はウクライナ侵攻を受けてバイデン政権が増派した2万人の一部」「削減の規模については議論が続いている」と報じた。

出典:U.S. Army photo by Sgt. James Lefty Larimer
米国のウィテカーNATO大使は欧州軍削減の噂について5月「まだ何も決まっていないが何れNATOと協議することになる」「6月のNATO首脳会談後か、今年後半には必ず協議が始まるだろう」「同盟国は欧州軍削減に向けた準備が出来ている」と述べ、さらに「欧州軍削減は我々が30年以上も望んできたことだ」「トランプ大統領も『もう十分だ、今直ぐ削減を実行しよう。秩序ある形で行おう』と言ったばかりだ」「この状況で削減を先延ばしすることには耐えられない」「我々は現実的な結果に対処する必要があるだけ」「米国は完全には撤退しない」「我々は同盟に留まり続けて偉大なパートナー、偉大な同盟国であり続ける」と言及。
この問題についてもルッテ事務総長は「欧州駐留の米軍撤退についてNATO首脳会談後に協議することになる」「我々は米軍の撤退が段階的なアプローチで行われることを確信している」「そのため欧州に能力の空白は生じない」と述べ、欧州駐留の米軍撤退を受けれいる姿勢を示した。
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※アイキャッチ画像の出典:NATO
>>ロシアの脅威に備えるため防空システムは現在の5倍、戦車と装甲車輌は数千輌以上、砲弾は数百万発以上が必要だ
冷戦時代はアメリカ抜きの欧州単体でもこの程度の軍備余裕で持ってたんだがなぁ
今や旧東欧諸国が軒並み味方についてスウェーデンやフィンランドすらNATOに入ってくれたのに軍備は当時よりお寒い限りで、落ち目のロシアにすら慌てふためくって悲しいなぁ
韓国や日本を見ならえ。こっちは全盛期ソ連より怖い天下の中国と対峙しとるんやぞ。
実際のところ、韓国や日本の装備や備蓄が想定される中国の脅威に対して十分かというと…
欧州はそれに気づいているから騒いでいるわけですが、日本はそれに気ついていないか、気づいてても無視しているのでより深刻だと思いますよ。
見習えとか言えるレベルではないと思います。
日本の政治家官僚に、どこまで意思があるのかすら、よく分からないんですよね。
パンダを未だに言い続けたり、中国大使館行事に、首相夫人・元首相夫人・与野党ともに嬉々として参加してたり…
日本人から見てもよく分からないわけですから、諸外国から見たら、尚更よく分からないかもしれないなと考えた事があります。
全ての数字を額面通りに受け取らない方がいいですよ
実際にはその半分ほど(それでも脅威だが)でも十分かもしれません
予算が増えるということは、それだけ権力も利権もポストも(うまみも)増えるということ
この際に摂れるだけ摂ろうという下心が見え見えです
その行きつく先は勢力均衡か、はたまた覇権主義か・・・
NATO事務総長=「我々はロシアの脅威と防衛産業の問題のせいで夜も眠れない」
日本=「我々は平和憲法と平和ボケした国民性と衰退する経済でアメリカ頼みの脆弱な戦力を立て直す事が出来ず夜も眠れない・・・ていうか一時も休めない。」
「軍備増強はどこから仕入れるの? それを考えてると一晩中寝られないの。」
もうおっさんはおろか老人にしか通用しない覚悟。
>アナリストらは(ロシアの新たな攻撃が)2029年以降に発生すると指摘している
台湾有事とバッティングしそうで草
欧州・アジア大戦か
ホント歴史って繰り返されるんですねぇ
お米の問題、これと同じ需給の話しもあるんですよね。
防衛産業の経営目線で見れば、(過去の軍縮もあり)過剰投資は避けたいわけで。
受注残が積み上がってるということは、価格交渉もガンガン強気にいけて、利鞘が増えて効率いいわけです。
ロシアの戦車生産台数、改造もあると思いますが、年間1500輌が本当ならば凄いですね。
ウクライナ戦争に、戦車投入の仕方をかえたとの説もありましたから、温存してる可能性は充分あり得ますね。
防衛産業は平時は需要は無いし供給能力を維持しようとすれば負担で、もし需要があったとしてそれがいつまであるかも分からないならそりゃあ民間企業は減らしますよね。
それが嫌なら国が保護か保障すべきですけど嫌がった結果が今なんでしょうし。
米に関しても減反政策で生産能力減らしていって、需要が増えたけど供給能力が無いから値段がってとこでしょうか。
減反政策表向きはやめたとか言いながら続けてて、飼料用に転換したら補助金出る感じでしたか。
まさに仰る通りです。
ロシアが、平時の負担覚悟で、軍需産業を維持し続けたのは合理性があったと思っています。
”だからアナリストらは(ロシアの新たな攻撃が)2029年以降に発生すると指摘しているのだ”
具体的な目標数字が出てきたのですね。極東はどうなのだろう?。
一部の記事では、2027年ではなく、2025年(今年)ではなかったのか?、としているようです。
そうなっていないのは、中共内部の経済的混乱のため、ともしていましたが。
実際はどうなのでしょう?。素人などには全く判りません。ある日の朝?に知るのかな・・・。
中国の経済力とソフトパワーをもってすればもはや武力に頼ることなく台湾を屈服or懐柔できるのでもはや戦争すら必要ない説まである
ロシアの国防予算は血を吐きながら回してる戦時経済下ですら1450億ドル、中国でも2500億ドルです
NATO全体の軍事予算は、GDP2%水準で1兆800億ドル、3.5%とすれば1兆8900億ドルにまで膨れ上がりますが
軍需生産の効率が悪すぎて数倍の投資をしなきゃ釣り合わないんでしょうかね
それとも事が起これば足並み揃わず一体での対応なんてできないと諦めている?
GDP5%は1980年代の冷戦期を上回る水準(3.5%でも十分高い)。
ソ連・東欧よりも、人口が大幅に劣るロシア。一方、東欧を取り込んだNATO。過剰感があるな。
中国の軍事はGDPの2%以下で、比率として減少中。
NATOは世界征服でもするのか?
兵器の値段が高騰してるんで内容はお寒い
西側とソ連は、イデオロギー対立であったがために戦争したら世界を道連れにする第三次世界大戦しかなかったから抑制しあってた冷戦期
今の欧州とロシアはもっと原始的で低俗な、ソ連時代の勢力圏を取り戻したい・ないがしろにされない畏怖される国に戻りたいといった幼稚な理由で対立してるから抑止が働かないのが大きな違い
侵略者に備えることの何が悪なのか
朝眠っている夜型なのでは🤔
冷戦時代の全盛期ソ連軍じゃあるまいし、バルト三国ぐらいならもしかするとあるかもしれないがロシアが本気でポーランドやドイツに侵攻することを考えてるとは思えないんだよな
なんでゴリゴリ戦争中のロシアがこんなに元気でまだ戦ってすらないNATOが青息吐息なんだろう…
> ゴリゴリ戦争中のロシアがこんなに元気で
どこがだよ。3年以上も泥沼続けて国力削られまくりだし、FSIによるとロシアは北朝鮮イラントルコと同レベルの崩壊国家予備軍なんですが。ロシアより指数悪いNATO加盟国ってトルコだけだし
それならばルッテ事務総長が夜も眠れないほど心配しているのは杞憂ですね
COVID-19で世界経済が数年おかしくなって回復期にウクライナ戦争勃発だったりして
クリントンの頃は、ロシアは自分もNATOに入れてくれと言っていて、クリントンも乗り気だったのだけどね。
今はウクライナもロシアもソ連ではないので、ドンバス紛争とかはあってもウクライナ戦争は不必要な戦争だったと思う。
大げさだよ
戦車が年1500両生産って保管していたものを整備して戦場に送る話じゃないかと思うんですよね
純粋な生産なら保有する戦車が生産ラインのある新しい戦車(T-90の新しい型式等?)に偏って行かないとおかしいんですが
実際は古い戦車を含めた多様性がむしろ前線で観測されるものも後方で推測される分も
増えていっているので
どちらかというと侵略したいのはEUでしょうね。
人口五億足らずの勢力と人口一億五千万足らずの勢力。
ましてEUは(ロシアさえ潰せば……)だから比較の上では簡単です。そのはずです。
ソ連の共産主義にしても普及を後押ししたのは当時のドイツ政府やらユダヤ富豪やらとバレていても知らない振りをする。
レーニンはユダヤ人でスターリンはジョージア人で秘密警察のトップはポーランド人でした。
ソ連ってそんなものでしたが、気が付くとロシア系中心に入れ替えられていただけの話です。
そしてゼレンスキーも当然のようにユダヤ人です。
根底にこんな事実がありますから欧州については見る目がどうしても冷たくなります。
荒らし嫌がらせ混乱の元の人々もたまには自分達自身が苦労すればいいんですよ。
いやいや大袈裟すぎでしょ。
今のロシアの戦時生産は血反吐を吐いてる戦時体制でやってるからで、戦時体制なんて長くても5年程度しか持続出来ないから、あと数年で終わる。
有識者によると来年には今度こそロシア軍が限界を迎えるらしいから、このままウクライナに持久させればいい。
そしてこんな無茶な戦時体制をやってるろロシアは戦争終われば大不況確実なんだから何を恐れてるのか。
今まで軍需産業と軍が不遇を囲ってたからと言って、脅威を誇大に宣伝して自らの権力強化と予算獲得も程度程度にしないと過剰に国民に負担をかけるのではないだろうか。
今度こそ今度こそで予測を外し続けてる人間の言う事なぞ一体何がアテになるのかね
ドローンは正規戦における電子戦の前には役に立たない論といい海に囲まれてる日本には関係ない論といいわーくにの一部の声のデカいミリオタの言う事は悉く真逆の結果になってる
もはやわざと逆神やってるの?レベルで全くアテにならん
軍人は予算の獲得が必要なんだろうけど、ここまでロシアの危険性を煽るのってなんか不自然だな。
もちろんロシアがやったことに端を発しているのは間違いないし、そこはロシアにも落ち度はあるけど、実際問題、ロシアとNATOがやり合うことってあり得るの?
まだワルシャワ条約機構を維持していた時のソビエトだったら仮想敵国としてターゲットになるのは分かるけど、今のロシアにそんな力ある?
まあ、仮想敵が必要なのは分かるし(で、現われてくれた!)、そのおかげで今まで揃えてきた装備が使い物にならないかもしれないことが分かってきたから、早く体裁を整えたいのは分かるけど「夜も眠れない」っておねだりする声がいささか大きすぎて、むしろ滑稽に見えてしまう。
冷戦の後に今の軍や供給体制を作ったのは社会からの要請だったんでしょ?で、今はその社会を動かしたいから「やべー!やべー!やべー!」と全力で声を出している状態か。
個人的な意見ですが、世代を超えた幻想の共有がもはや難しくなったこの社会において「ロシア怖し」のモチベーションをあと5年も維持出来たら立派だと思う。そのうち風向きが変わって「そんなことより俺たちの生活(社会保障、金、生活コスト)をなんとかせえ、」の声が大きくなって上手くいかなくなる方に一票。
軍人は予算の獲得が必要なんだろうけど、ここまでロシアの危険性を煽るのってなんか不自然だな。
もちろんロシアがやったことに端を発しているのは間違いないし、そこはロシアにも落ち度はあるけど、実際問題、ロシアとNATOがやり合うことってあり得るの?それに、ワルシャワ条約機構を維持していた時のソビエトだったら仮想敵国としてターゲットになるのは分かるけど、今のロシアにそんな力ある?
まあ、仮想敵が必要なのは分かるし、ロシアのおかげで今まで揃えてきた装備が使い物にならないかもしれないことが分かってきたから、早く体裁を整えたいのは分かるけど「夜も眠れない」っておねだりする声がいささか大きすぎて、むしろ滑稽に見えてしまう。
冷戦の後に今の軍や供給体制を作ったのは社会からの要請だったんでしょ?で、今はその社会を動かしたいから「やべー!」と全力で声を出している状態か。
個人的な意見ですが、世代を超えた幻想の共有がもはや難しくなったこの社会において「ロシア怖し」のモチベーションをあと5年も維持出来たら立派だと思う。そのうち風向きが変わって「そんなことより俺たちの生活(社会保障、金、生活コスト)をなんとかせえ、」の声が大きくなって上手くいかなくなる方に一票。
すみません、連投になってしまいました。管理人様申し訳ありません。