ウクライナ戦況

ポパスナを手中に収めたロシア軍、イジュームで反撃に出たウクライナ軍

約2ヶ月の攻防の末にロシア軍はポパスナをほぼ手中に収めたと発表、公開された映像やオープンソースの画像を検証した専門家も「ウクライナ軍がポパスナに存在しないことを示している」と指摘している。

参考:Кадыров заявил о взятии под контроль большей части Попасной в ЛНР

比較的平坦な地形が続く地域で砲撃に最適な地形=高地にあるポパスナを失うのはウクライナ軍にとっても痛手らしい

ルハーンシク州知事のガイダイ氏は6日、出演した番組の中で「今後3日~4日の間にロシア軍はセベロドネツクかポパスナのどちらかで突破口を開き、ウクライナ軍を包囲することに全力を傾けるだろう」と警告していたが、約2ヶ月の攻防の末にロシア軍はポパスナをほぼ手中(80%)に収めたと発表した。

出典:GoogleMap 大まかなルハーンシク方面の状況/管理人加工

ロシア軍が公開した映像やオープンソースの画像を検証した専門家も「ウクライナ軍がポパスナに存在しないことを示している」と指摘しており、比較的平坦な地形が続く地域で砲撃に最適な地形=高地にあるポパスナを失うのはウクライナ軍にとっても痛手らしい。

因みにウクライナ軍のザルジュニー総司令官は5日「ハルキウ方面とイジューム方面で反撃を開始した」と発表、ハルキウ方面はロシア軍を北と東に大きく押し戻しているのが確認されていたが、イジューム方面でもウクライナ軍の反撃が確認された。

出典:GoogleMap 大まかなルイジューム方面の状況/管理人加工

衛星写真によってウクライナ軍がイジュームの西側と東側の地域に強烈な砲撃を加えているのが確認されており、この方面からイジュームに迫るのではないかと予想されているものの西側からのドツネ川渡河はロシア軍に察知され舟橋が破壊されている。

上の図はウクライナ軍の反攻方向を分かりやすく図にしただけで「実際の戦況を反映したものではない」が、ウクライナ軍はクピャンスクを奪還してイジュームの補給路を遮断を狙っているとも噂されており、この方面で何かが動き出していることだけは確実だ。

追記:ルハーンシク州知事のガイダイ氏はポパスナからウクライナ軍が撤退したことを認めた。

関連記事:ルハーンシク州知事、戦勝記念日までにロシア軍が大攻勢を仕掛けてくる

 

※アイキャッチ画像の出典:Операція об’єднаних сил

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コメント

    • や、やめろー
    • 2022年 5月 08日

    どちらも、一進一退みたいな感じだな。ウクライナに勝って欲しい。

    17
    • ナナシ
    • 2022年 5月 08日

    ウクライナ軍がハルキウ北東から反転攻勢し、東西からイジュームの露軍を挟撃されたことでドンバス地方の防衛隊の包囲を狙うロシア軍の計画は崩れてきていますね。それを受けてかロシア軍は5/9までにルハンシク州だけでも制圧しようと攻勢を強めましたがそれも叶いそうにありません。イジュームの司令部は壊滅。マリウポリも制圧しきれず。これといった戦果の1つも上げられないまま迎えてしまった戦勝記念日にプーチンは果たしてどんな宣言をするのでしょう?

    14
    • K(大文字)
    • 2022年 5月 08日

    おお、ウクライナ軍がイジュームを挟撃していますね。
    これ上手く行ったら突出部のロシア部隊を包囲殲滅できるのでは?少なくとも「東部に展開中のウクライナ軍部隊を包囲する」というロシア側の目論見はかなり望み薄になって来たように思える。
    こんな戦況で、プーチンは明日の対独戦勝記念日に何をもって戦果と言い張る気なのだろうか…?

    3
      • 無能
      • 2022年 5月 08日

      もしかして同胞が包囲されようとしているとして総動員体制へ舵を切るとか?

        • K(大文字)
        • 2022年 5月 08日

        ただちに「何か動いた感」を出すためには宣戦布告からの総動員というカードはあり得そうですよね。
        ただまぁ、総動員でもってさして士気も練度も高くない兵隊の頭数を増やしたところでどうなるのか…とも言われていますが。
        あるいは、アゾフスタリ製鉄所を何とか制圧してマリウポリ“解放”の宣言もあるかも知れませんね。その場合、化学兵器なども使われかねないように思います。

          • 戦略眼
          • 2022年 5月 08日

          こういう場合、地下施設に注水というのがセオリーだが。

    • だいぶ溜まってんじゃん
    • 2022年 5月 08日

    ルガンスク州はロシアが解放(大嘘)を宣言してる地域だし、キエフ撤退後戦力を集中しての第一優先目標だからロシア軍の激しい攻勢は当たり前だよなぁ?
    ウクライナ側もある程度は予測していた事態だとは思う

    ロシア側の問題はこの攻勢が持続できるかに懸かるでしょうね、ええ
    どこかで尻すぼみになってウクライナが一転攻勢して戦線が崩れでもしたらルガンスク解放どころじゃなくなるし、
    ルガンスク以外の戦域がウクライナに突破でもされれば戦線の後退も余儀なくされる

    ロシア側にとってもまだ安心できるような状態ではないでしょうね
    明日の戦勝記念日までに解放は間に合いそうですか…?(小声)

    1
    • zerotester
    • 2022年 5月 08日

    ポパスナ方面はロシア軍は比較的狭い前線に7個BTGを配置しており、密度で言えばイジュームと同程度なので重点を置いていると言えます。それに対してウクライナ側は2個旅団なので手薄です。補強してるかもしれませんが。
    しかしここを抜いてもスラビヤンスクまで突破するほどの戦力は無さそうなので、ウクライナ軍としてはイジューム側を抑え込むのが先決と考えているのかもしれません。

    イジュームからLymanにかけて前線を砲撃している衛星写真は私も見ました。ウクライナ軍を包囲殲滅しようとしたロシア部隊を逆に包囲殲滅できたらドラマチックですが。それができるくらい装備が揃ったということなのでしょうか。

    5
      • hiroさん
      • 2022年 5月 08日

      7個BTGということは5,000~7,000名位ですかね。
      兵科によって違うだろうけど、ウクライナの旅団は何名編成なんだろう?
      陸自の旅団だと2,000~4,000名位らしいが、同じ位だと仮定して2個旅団で4,000~8,000名。
      防御ラインに分散すると少ないのかな。

      • 匿名
      • 2022年 5月 08日

      ウクライナ軍はより防御に適した陣地に撤退したって話のようだ

      2か月かけて散々大被害を出した挙句に引き込まれて
      まとめて始末されるって流れじゃねーのこれ

      1
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