ウクライナ戦況

スロバキア、ウクライナに最新の自走砲Zuzana2を提供すると明かす

スロバキアは4月に「自走砲Zuzana(ズザナ)売却についてウクライナと交渉中だ」と発表していたが、ナド国防相は「Zuzana2の操作を習得するためウクライナ軍兵士がスロバキアで訓練を行っている」と明かし注目を集めている。

参考:Słowacja przekaże Ukrainie nowoczesną artylerię

交渉が行われていたZuzanaではなく最新のZuzana2を提供するスロバキア

スロバキア陸軍が16輌保有する「Zuzana」は152mm榴弾砲を採用したDANA(ダナ)の後継バージョンでNATO規格対応の155mm榴弾砲(45口径)を採用したが、DANAで可能だった砲塔の全周旋回は左右60度に制限されており、この問題を解決して新型の52口径榴弾砲を採用した「Zuzana2」への更新が進められている最中で、不要になったZuzanaにウクライナが関心を示し売却交渉が進められていた。

出典:270862 / CC BY-ND 2.0 Zuzana

しかしナド国防相は「Zuzana2の操作を習得するためウクライナ軍兵士がスロバキアで訓練を行っている」と明かしており、これをウクライナに8輌提供すると報じられている。

この件を真っ先に報じたポーランドのディフェンスメディアは「Zuzanaを置き換えるため調達中のZuzana2をウクライナに提供すれば自国の更新計画に大きな影響が出るだろう」と指摘しており、もしかするとスロバキアはZuzanaを当面保持して、更新用の取得していたZuzana2をウクライナに回す予定なのかもしれない。

出典:The Joint Multinational Training Command Public Affairs Office / CC BY 2.0 チェコがウクライナにDANAを提供

Zuzana2は52口径の榴弾砲(BB弾使用で41km以上)を採用しているためZuzana(39km)よりも射程距離が拡張されているので、少しでも遠くの敵を攻撃したいウクライナにとって有り難い決定だろう。

ただZuzanaに加えZuzana2を追加で提供している可能性も残っており、実際何がどこまで提供されていのかは謎だ。

関連記事:スロバキア国防相、ウクライナへの自走砲「ズザナ」売却について協議中

 

※アイキャッチ画像の出典:Public Domain

お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。

バイデン政権、弾薬の種類を制限する方向でMLRSをウクライナに提供か前のページ

ポーランド国防相、信頼性の高い韓国製兵器を調達するためなら何でもする次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    ウクライナ国防次官、バフムート市内の陣地を1つも失わず周辺で2km前進

    ウクライナのマリャル国防次官は12日「7日以降にバフムート市内の陣地を…

  2. ウクライナ戦況

    ドイツがウクライナへの武器供与を発表、対戦車兵器1,000発、スティンガー500発

    ウクライナへの武器供与を否定し続けてきたドイツのショルツ首相は26日、…

  3. ウクライナ戦況

    徘徊型弾薬対策、ウクライナ企業がランセット・キャッチャーの量産を開始

    ロシアは戦場で効果的な徘徊型弾薬「Lancet」の生産量を大幅に引き上…

  4. ウクライナ戦況

    ウクライナ検事総長、ブチャよりボロディアンカの方がもっと酷い

    ウクライナのベネディクトワ検事総長は4日、ロシア軍によるジェノサイド(…

  5. ウクライナ戦況

    オレホボ周辺の戦い、ウクライナ軍がレオパルト2を含む装甲車輌を投入

    ウクライナ軍がザポリージャ州オレホボ周辺で攻勢に出たと噂されているが、…

  6. ウクライナ戦況

    ゼレンスキー大統領、状況が悪化すればバフムートからの撤退もあり得る

    ポーランドを訪問したゼレンスキー大統領は5日「バフムートに留まる兵士が…

コメント

    • や、やめろー
    • 2022年 5月 31日

    MLRSより自走砲の方が射程が長いのか。意外だ。日本の19式に比べ車内はより良い設計になってると思うか

    1
      • 名無しパン
      • 2022年 5月 31日

      MLRSの射程は70㎞で自走砲より長いよ。砲弾よりも多くの火薬を後ろにをつぎ込めるんだから。
      装甲かしてるのは向こうの地域は寒いから車内を隔離しないと生きていけないんだろう。ロシアの機甲部隊重用主義もそこからきてるのだろうね。雪の中を歩きたくないだろうし雪が少ないからからかまくら作って逃げれる場所も作れない。水に濡れたらリアルで凍傷になって指が落ちる国で歩兵になる奴はいないだろうし。
      19式なんてどう見ても台湾か九州で使うためだから削るところは削ったんだろう。ロシアが攻めてくるなんて考えてないし揚陸艦も無いのに実際無理だろう。

      16
        • 四凶
        • 2022年 6月 02日

        >19式なんてどう見ても台湾か九州で使うためだから
         19式を語る上で重要なのってFH70の後継としてって話だと思う。後継なら北部方面隊を除く全方面隊の特科で使われる事になるから九州だけじゃ無い。土地勘も無く特科の土壌も無いような正規軍同士の戦いをする他国展開なんて空路だろうが海路だろうが流石にあり得ない話。

         目的がC-2で運搬出来てなるべくお安くのガラパゴス仕様を目指したから削ったと言うよりは目的の物は作れたんじゃ無いかな。
         操作に必要な人数も減らせて、自分で展開出来て、展開撤収の時間はFH70より早くて、射撃情報取得含めてFH70より改善して、牽引時の全幅や全長は小さくなり取り回しも楽、安定した地形なら撃つ場所をそんなに選ばない。

         他国の装輪自走砲じゃ考えられない位置から撃てるから敵としては捜索の手間は増えるし、FH70の後継として考えるなら及第点ぐらいは楽にあげられる装備だとは思う。

        4
    • あばばばば
    • 2022年 5月 31日

    りゅう弾砲のBB弾といえばベースブリード弾である事は間違いないのだが、どうしてもあの白い6mmの弾が頭を過ってしまう。

    35
    • 成層圏
    • 2022年 5月 31日

    新型を出すってことは、スロバキアにとってウクライナ戦争は自国の防衛という認識なのだろう。
    ドイツと違って、。

    30
      • 無無
      • 2022年 5月 31日

      同じスラブ民族ですからね、スロバキア人の意向なんか無視してロシアへ統合すべきとか言い出すのがプーチン体制
      何で他国から人気が無いのか自覚のないのがロシアの痛いとこ

      31
    • STIH
    • 2022年 5月 31日

    最悪中欧諸国は、ウクライナ単独じゃどうにもならなくなった(ドニエプル川の東から叩き出される、キエフが再度包囲される)場合、それ以上の侵攻を止めるため参戦する覚悟はあるんじゃないでしょうか。
    ウクライナ全土が占領されたらロシア本国と直接国境を接するわけで、ウクライナには悪いですが緩衝地帯になってもらうしかないと。

    7
      • L
      • 2022年 5月 31日

      ウクライナにNATO加盟国が軍隊を送りつけるのは地域紛争の域を超えて畢竟核戦争になるでしょうし、参戦しないと思うなぁ
      というのもかつて、アメリカは米州相互援助条約を結んでいたにもかかわらずフォークランド紛争を単なる地域紛争としてフォークランド側に味方しなかった
      もし中欧がウクライナ戦争に参戦し、これと同じ事態がウクライナに於いて起こったらNATOの終わりだよ

      8
        • STIH
        • 2022年 5月 31日

        NATO加盟国の参戦は核戦争になりかねない、というのはおっしゃるとおりだとは思います。しかし何処かでNATO として絶対許容できないラインを引かないと際限なく侵攻するでしょうし、何よりポーランドを筆頭とする中欧•北欧諸国が嫌がるんじゃないかとも思うんですよね。
        しかしつくづく核を大量に持っているというのは得ですね。ソ連が崩壊してから30年くらい経つというのに、未だにその遺産で食えるんだから恐ろしい。

        11
      • 台湾大好き
      • 2022年 5月 31日

      参戦已む無しのような事態にならないように、金で済む援助を惜しまないという風に見ることもできますよ。武器援助と参戦の間にはまだ多様な選択肢がありますし、すぐ参戦覚悟完了!という訳ではないでしょ。
      連隊まるごと顧問団として派遣したり、現役陸軍を軍団単位でボランティアに出したりなんてことも実際にありましたしね

      1
    • 幽霊
    • 2022年 5月 31日

    新型を提供するのは実戦を経験させたいからかな?
    輸出を考えるなら実戦を経験した兵器の方がいいでしょうし。

    5
    • tarota
    • 2022年 5月 31日

    一方の俺、ウクライナ美女に最新の自走砲Banana2を提供すると明かす

    3
      • 無無
      • 2022年 5月 31日

      その色は消費期限切れてるだろ

      12
      • ムム
      • 2022年 5月 31日

      ちょっと好き

      4
      • k.ziro
      • 2022年 5月 31日

      侵攻直後のウェイボーとかそんな書き込みが多かったそうだよ

      5
      • jk
      • 2022年 5月 31日

      ウクライナ美女「発射体制に移行しない粗悪品だったので破棄したわよw」

      5
      • hiroさん
      • 2022年 5月 31日

      本気で言うけど、他所でやってください。
      ヤフコメや5chみたいなブログになって欲しくない。

      6
      • T100
      • 2022年 8月 11日

      その12.7mm機銃しまえよ

      1
    • makumaku
    • 2022年 5月 31日

    キーウを訪問中のフランス外相が、ウクライナ政府に数週間以内のカエサル自走榴弾砲追加供与を確約したそうです。ウクライナに次々と自走砲が集まってきますね。米欧はウクライナに武器援助はしますが、ただアクセルとブレーキを両方踏み込んでいるようにもみえます。援助が無いよりはマシなのですが。
    リンク

    8
    • a
    • 2022年 5月 31日

    ここでも日本の19式はお呼びでないと
    日本は滅亡だな

    2
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  2. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  3. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  4. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  5. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
PAGE TOP