欧州関連

米国依存からの脱却、韓国がNATO欧州加盟国への武器輸出シェアで単独2位

スウェーデンのシンクタンク=SIPRIは「2025年の武器移転に関する国際的動向」を3月9日に発表し、今回の報告書で特に注目されているのは「NATO欧州加盟国が誰から武器を購入しているのか」で、米国がシェアを落とす中、韓国がNATO欧州加盟国に対する武器輸出シェアで単独2位に躍り出た。

参考:Trends in International Arms Transfers, 2025
参考:European NATO nations reduce reliance on US arms imports: SIPRI data
参考:Europe leads global arms imports market as demand surges: SIPRI report 

欧州の米国依存脱却の兆候が登場、その穴を埋めるのは韓国、イスラエル、フランス

スウェーデンのシンクタンク=SIPRIは2025年の武器移転に関する国際的動向(納入実績ベース)を3月9日に発表し、2021年~2025年の武器輸出シェアで1位の座を占めたのは米国(42%)、2位はフランス(9.8%)、3位はロシア(6.8%)、4位はドイツ(5.7%)、5位は中国(5.6%)、6位はイタリア(5.1%)、7位はイスラエル(4.4%)、8位は英国(3.4%)、9位は韓国(3.0%)、10位はスペイン(2.3%)となり、今回の報告書で特に注目されているのはNATO欧州加盟国が誰から武器を購入しているのかだ。

出典:SIPRI

米国の武器輸出を支える最大の市場は中東地域だったが、20年ぶりに欧州地域(全体の38%)がトップになったものの、米国から最も多く武器を輸入している国はサウジアラビア(12%)、ウクライナ(9.4%)、日本(8.9%)で、フランスは2021年~2025年の武器輸出額が2016年~2020年と比べて21%も増加したが、この武器輸出を支える市場順はアジア・オセアニア地域(31%)、中東地域(28%)、欧州地域(21%)で、フランスから最も多く武器を輸入している国はインド(24%)、エジプト(11%)、ギリシャ(10%)の順になる。

中国を抜いて4位に入ったドイツの武器輸出のうち1/4がウクライナへの軍事援助向けで、それを除いた主要はエジプト(14%)とイスラエル(10%)だ。イタリアの武器輸出も2021年~2025年の5年間で157%という劇的な増加の恩恵を受けて4つも順位をあげており、主要はカタール(26%)、クウェート(17%)、インドネシア(12%)で、3位のロシアはウクライナでの深刻な装備と人員の損失による買い手の躊躇と信頼感の低下を反映して武器輸出が64%も減少し、主要な武器輸出国の中でこのような落ち込みを経験した唯一の国となった。

出典:SIPRI

そしてNATO欧州加盟国が誰から武器を輸入しているのかだが、米国とカナダを除く欧州加盟国の武器輸入は2016年~2020年と比べて143%増加し、トランプ政権の影響を色濃く受ける前だったので米国が58%のシェアを確保して1位を確保したものの、昨年発表の2020年~2024年(64%)と比べると6%減だ。2位に食い込んだのはポーランドとの契約を確保して8.6%のシェアを確保した韓国で、ポーランドは欧州加盟国の武器輸入において最大のシェア(17%)を占めており、この武器輸入シェアを韓国(47%)と米国(44%)でほぼ独占している。

韓国に次ぐ地位を確保したのはイスラエル(7.7%)とフランス(7.4%)で、もう韓国は欧州のNATO加盟国に武器を供給する主要国といっても過言ではない。最近はルーマニアへのK9輸出やエストニアやノルウェーへの多連装ロケットシステム輸出に成功し、ルーマニアの主力戦車調達もM1A2/SEPv3、Leopard2A8、K2で争われ、スペインのM109後継調達もK9が有力視(ほぼ確定気味)されているため、トランプ政権の影響を色濃く受ける次の5年間でさらなる飛躍を遂げるかもしれない。

出典:SIPRI

因みにSIPRIは「中国との緊張関係が武器需要を高めているにも関わらず、東アジア、東南アジア、オセアニア諸国の武器輸入は2016年~2020年と比べて約20%減少した」「これは一部の国が武器の国産化や自国での生産能力を高めていることなど複数の要因が絡んでいる」「日本は2016年~2020年と比べて武器輸入が76%も増加し、世界全体の武器輸入国11位から6位に浮上した」「逆に韓国は武器の国産化や自国での生産能力を強化し、2016年~2020年と比べて武器輸入が54%減少した」「オーストラリアも武器輸入が39%減少、インドも4%減少したが、パキスタンは66%増加した」と指摘している。

台湾の武器輸入も2016年~2020年と比べて54%増加したものの、全体の武器輸入シェアからみると0.8%(34位)に過ぎない。

関連記事:欧州で歴史的な国防投資競争が開幕、EU融資で最大の受益国はポーランド
関連記事:莫大な資金投下が目前の欧防衛市場、日本もトルコや韓国に続きSAFE参加を申請か
関連記事:ポーランドと韓国がK2輸出の二次契約に署名、契約額は推定65億ドル
関連記事:WBとHanwhaがポーランドでのミサイル生産で合意、3年以内に出荷開始
関連記事:スペイン陸軍のM109後継システムはK9が有力、装輪式自走砲の車体は欧州製
関連記事:ルーマニア陸軍は戦車300輌を調達予定、エイブラムスとK2が競合か
関連記事:ルーマニア陸軍がK9導入を決定、競合したPZH2000やT-155を破る
関連記事:ノルウェー軍がChunmoo採用、韓国製が米HIMARSと独EuroPULSに勝利
関連記事:エストニア軍が韓国製ロケット砲調達契約を締結、HIMARS部隊を補完

 

※アイキャッチ画像の出典:16 Dywizja Zmechanizowana

米国と中東諸国がウクライナに支援を要請、迎撃ミサイルなしでShahed-136と戦う方法前のページ

中国が055型駆逐艦の9番艦と10番艦を公開、2027年末までにあと4隻就役か次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    UAVがもたらす戦場認識力の拡張、ウクライナのオペレーター養成は2万人台に

    ウクライナのフェドロフ副首相兼デジタル化担当相は15日「新たに1万人の…

  2. 欧州関連

    生まれ変わるギリシャ空軍、F-16V導入に続いてF-35プログラムへの参加を希望

    ギリシャはF-16やミラージュ2000のアップグレードが完了すれば、F…

  3. 欧州関連

    英国が米国のアフガニスタン対応に激怒、我々は重要な同盟国としての扱いを受けていない

    アフガニスタンからの撤退作戦における米国と英国の対立はもはや決定的で、…

  4. 欧州関連

    英メディアのジョーク、F-35Bは不公平なので英国防省はハリアーGR.9を再導入

    英国メディアは1日、F-35Bの能力がオーバスペック過ぎることを理由に…

  5. 欧州関連

    エストニアがロシアを嘲笑する西側メディアに警告、動員は戦線を安定させた

    エストニアの国防次官は「プロセスの欠点がどうであれ動員は効果を発揮して…

  6. 欧州関連

    ゼレンスキー大統領に今必要なもの、戦争に負けていると認める勇気

    Economistは26日「ウクライナと支援国が勝利するためには『現時…

コメント

  • コメント (10)

  • トラックバックは利用できません。

    • たむごん
    • 2026年 3月 10日

    韓国、とんでもなく食い込んでますね。

    日本は、攻撃用の兵器(戦車・MLRSなど)は置いとくとして、防衛用兵器が韓国のように食い込めてたらなあと考えてしまいますね…

    もがみ型改の豪州輸出が決まったうえに、5類型撤廃についても進んでいきそうですから(4月ですかね?)、チャレンジを繰り返して少しずつでも前に進んでいくことを期待しています。

    18
      • 幽霊
      • 2026年 3月 10日

      まあ輸出を推進するなら現地生産や技術移転などのオフセット取引を日本がちゃんと出来るかどうかですね
      特に技術移転となるとネットの一部界隈は強く反発しますし。

      29
        • たむごん
        • 2026年 3月 10日

        仰る通りです。

        日本が何もかも最先端ではなく、作れなくなったら元も子もないので、そこまで気にしなくてもいいと思うんですよね。

        現実的な話しですが、他国の実戦経験で信頼性上がって・データ取れたら、自国が血を流さずに防衛力向上するわけですし。

        18
        • リンゴ
        • 2026年 3月 10日

        ネット界隈なんて物事の決定には全く寄与しないんだから、無視しても良いレベルだと思うし、担当者達も全く考慮はしていないと思う
        兵器供給なんてかなり高度な防衛問題なんだから、猶更だ

        26
          • たむごん
          • 2026年 3月 10日

          たしかに仰る通りです。

          先般の衆議院選挙結果で、圧倒的な選挙結果でたわけですから、粛々と武器輸出拡大にむけて進めて行けばいいかなと。

          原発再稼働も、ヤフコメ(ネット界隈?)は反対コメ見かけるわけですが、与党野党ともに(国民民主~中道・公明まで)再稼働賛成が圧倒的多数だったので淡々と進めて欲しいですね。

          12
    • 田中
    • 2026年 3月 10日

    日本は武器輸入ランキング6位とは・・・
    長年アホな規制で軍事開発やら武器輸出を制限されていたとはいえ全く情け無いな。

    9
      • SB
      • 2026年 3月 10日

      うーん、95%がアメリカからの輸入(FMSを含む)で殆どがF-35とか迎撃ミサイル類だからしょうが無い

      21
      • 寒い
      • 2026年 3月 10日

      装備の国産化比率なら日本は優等生だと思いますよ。F-35、トマホーク、イージスシステム等々、他の国でも米国に依存せざるを得ない高価装備を大量購入した為なので仕方ない事かと。後、武器輸入額が多い事自体は、輸出国や企業に対して強い発言力がある事ですから、必ずしも悪い訳ではないです。問題は日本がその力を充分に発揮出来ていない事ですね。

      22
    • Anon
    • 2026年 3月 11日

    日本人が韓国について何か嘲笑すれば、韓国はその分野で世界最高となるパターンが続いている。 W

    3
      • 特盛
      • 2026年 3月 11日

      世界最高は言い過ぎ

      3

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  2. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  3. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  4. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  5. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
PAGE TOP