スペインメディアのEl Paisは6日「スペイン政府はF-35導入に関する予備交渉を無期限に停止した」「政府はF-35購入計画を完全に棚上げして欧州製の代替案を模索している」「海軍は通常型空母を導入するまで艦艇からの固定翼機運用能力を失うだろう」と報じた。
参考:El Gobierno aparca la compra de cazas F-35 estadounidenses y busca alternativas europeas
参考:Spain rules out F-35 order, prioritizes Eurofighter and FCAS
参考:España se quedará sin ala fija embarcada durante al menos 10 años tras el no del Gobierno al F-35B
スペインの防衛産業に対する投資の立場はフランスに、安全保障政策的にはトルコとの関係を比較的重視する英国に近い
スペインが運用しているEF-18の後継機にはF-35AとタイフーンT4が提案され、2022年6月と2024年11月にタイフーンT4を計45機発注したが、2023年度予算にはAV-8BとEF-18の後継機調達資金=62.5億ユーロが計上されており、JanesはAV-8Bの後継機にF-35B、EF-18の後継機がF-35AとタイフーンT4の混在になる可能性を指摘し「スペインがF-35BとF-35Aを計50機発注するかもしれない」と報じたものの、スペインメディアのEl Paisは6日「スペイン軍向けのF-35購入計画は完全に棚上げされた」「開始していた予備交渉も無期限に停止となった」と報じた。

出典:Ejército del Aire
“空軍はEF-18更新のためタイフーンT4を45機発注済みで、最後のEF-18が退役する2035年まで時間的余裕があるが、海軍は2030年にAV-8Bを退役させるため選択肢がなくなった。F-35Bの放棄はフアン・カルロス1世での固定翼機運用を断念することを意味するものの、海軍は艦艇から固定翼機を運用することを諦めた訳では無い。海軍は将来取得する強襲揚陸艦を通常型空母に変更する構想をもっており、この実現可能性に関する調査をNavantiaに委託している”
“通常型空母はアレスティングフックを備えた固定翼機を運用するのに十分な飛行甲板を備えたものになり、ラファールのような艦載機の導入が可能になるものの、通常型空母の導入がAV-8B退役に間に合うわけではないため、海軍は艦艇から固定翼機を運用する能力を何年間か失うだろう。但し、政権交代によってF-35購入の選択肢は復活する可能性も十分ある”

出典:Armada
要するにNATO加盟国が合意した安全保障分野への支出基準=総額5.0%を拒否するサンチェス政権が退陣し、トランプ大統領が要求する「国防予算の増額」と「米国製システムを追加購入」を受け入れる政権が成立すれば「F-35購入計画が復活するかもしれない」という意味だが、El Paisは以下のようにも述べている。
“トランプ大統領の要求はスペインの国益と真っ向から衝突する。サンチェス政権が総額5.0%を拒否する要因の1つは欧州の防衛産業が急激な需要増に対応できず域外依存、つまり米国依存が増大して自主開発能力を否定し、欧州の戦略的自主性の喪失に繋がるからだ。ロッキード・マーティンはスペイン向けのF-35について「イタリアで製造されるため欧州製だ」と主張しているが、それでも我々にとってF-35が魅力的でない理由が幾つかある”

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist Seaman Sam McNeely
“米国はF-35の重要な技術情報へのアクセスを制限しているため、これは同機の運用国にとってブラックボックスとなっている。さらに米国製システムは潜在的な戦争における使用が制限される可能性があり、メンテナンスに必要なインフラの高コスト、スイスなどの導入国でスキャンダルを引き起こした売却価格の釣り上げ問題も存在し、これらの技術に依存することは欠点も多い”
Breaking DefenseもEl Paisの報道を受けて「スペイン国防省は我々の取材に『タイフーンとFCASへの投資を優先する』と、ロッキード・マーティンも『武器輸出は政府間取引なので同問題は米国政府とスペイン政府の間で対処するのが最善だ』と述べた」「カナダやポルトガルといった潜在的な顧客もトランプ政権への不信感や地政学的な緊張を理由に米国主導のプログラム参加に疑問を呈している」と指摘したが、この問題はリスクと資金のバランスをどこで取るのかの違いに過ぎない。

出典:NATO
ポーランドのようにロシアと近い国々は「準備時間が限られている」「長期的な欧州の自立を犠牲にしてでも軍事力の即時増強が必要だ」と考えているが、フランスはロシアとは距離があるため「ド・ゴール主義的な防衛産業への投資」を行う余裕があり、ドイツだけは「軍事力の即時増強」と「長期的な欧州の自立」を両立させる資金力があるため、トランプ大統領が要求する「国防予算の増額」と「米国製システムを追加購入」に応じながら「戦略的自主性」を確保する自主開発能力にも継続的な投資を行うことができる。
スペインの防衛産業に対する投資の立場はフランスに、安全保障政策的にはトルコとの関係を比較的重視する英国に近く、独特なバランスを追求するスペインの立ち位置は非常に興味深い。

出典:Ministère des Armées
追記:スペインのディフェンスメディア=Infodefensaも6日「政府はF-35Bの導入を拒否したため、海軍は少なくとも10年間は艦艇からの固定翼機運用能力を失うだろう」「海軍も通常型空母の建造計画をこれ以上待つつもりはない」「実現可能性の調査は既に開始されており、政府が計画を承認すれば2040年までにスペイン初の通常型空母が手に入るだろう」「この空母の要件は確定していないもののFCASの艦載機バージョンも運用可能なものになるはずだ」と報じた。
関連記事:スペインが砲兵戦力の近代化に大規模投資、新型自走砲を214輌調達
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関連記事:トランプ大統領がスペインに警告、5%を拒絶するなら関税を引き上げる
関連記事:相次ぐ発注と新規導入、タイフーンの総生産は800機を越える可能性
関連記事:スペイン空軍のF-18A後継機問題、F-35Aではなくタイフーンを選択
※アイキャッチ画像の出典:Marine Corps photo by Lance Cpl. Joseph E. DeMarcus





















早ければ来年の中間選挙後には機能不全に陥るトランプちゃんだけを見て判断するのもどうかと思うがなぁ
まあ他にも色々あるのかもしれんけど
トランプ政権は機能不全に落ちったら、ますます何をするか分からんですよ。
しかし、この機会に乗じて、日本はうまくF-35Bを買い叩く訳にはいかないでしょうかね。
トランプ相手では、金額を値切るのは無理でも、ブラックボックスを無くしていく方向になんとか。
別にオープンソースじゃなくていいからオープンアーキテクチャにして欲しいんだよな
F-35がポンコツ地雷なのはLMのぶったくり路線のせい
兵器を一つ統合しようとするだけで七転八倒の大騒ぎ
いや何をどうやるのよ
トランプが暴走して機能不全って言ってるんじゃないよ?
世界各国でチャイナならぬアメリカリスクが危惧されだし、しかもF-35Bの運用率の低さが露呈したばかり。
替え部品も来ない、システム更新もされない、中身も何だか分からないではさすがの自衛隊整備班も処置無しなのでは。
それやるなら、今はミサイルの射程が有るのでアーセナルシップ(イージスシステム搭載艦の艦対艦ミサイル版)に進んだ方がよさげ、艦載機は揚陸艦ベースの無人機空母と人工衛星で情報共有して共同交戦です。艦載機よりも自爆攻撃ドローンの搭載がオススメかな?
どんだけ射程があろうと、寧ろ射程が長いほど命中率は下がるんだから、航空機で近場から撃てるんならそっちの方がいい
艦、地上発射型はデカくなるし
どうでしょうね。個人的な予想ですが。
ウクライナ戦争でロシア黒海艦隊がズタボロにやられるのを見て。
大型艦船はダメな感じがしています。
偵察衛星ですぐに見つかってしまって、制空権外から遠距離ミサイルで集中攻撃を食らってやられる。
大量の無人艇にボコられる。
かといって後方に下がってたら、足が遅くて役に立たない。
あと港湾設備もミサイルの的になりますので、あまり前方には置けないし、破壊されたら復旧に時間がかかりすぎる。
日本の軽空母の場合、活動可能なのは太平洋側での離島防衛に限定されそうな予感。
F-35の欠点はあげだすとキリないから仕方ないな
そもそもいつ手に入るか分からんし
思い切った決断だなぁ
FCASと通常空母を待てる時間の余裕が羨ましい
ただ空母はスペインのやる気次第で完成は可能でしょうけど、FCASは完成するまでフランスとドイツがケンカ別れするリスクがずっと付きまとうのが何とも…
つなぎにラファールでもいれるのでは?
あとAV-8程度の任務なら通常空母があれば退役させたホーネットでも代替えできるとか
ただこれでFCASは艦載機の要否での「艦載機絶対に譲る気のない何なら単独でも開発する気の仏エアバス」と「艦載機要らんけど自分達だけじゃ出来ない独西エアバス」の覚悟vs数の拮抗という1番深い根掛かりからは抜け出せるかもですね。
編集ミスです。もちろん「仏ダッソー」orz
スペイン海軍ってイージス艦もあるし何気に海軍力高いのが良い。もし空母ができたら世界一周して日本にも見せびらかしにきてほしい…
大航海時代の覇権国家のプライドがまだ残っていそう。
通常型空母と言ってもカタパルトどうすんの?
アメリカから結局買うの?
そっちで躓きそう
インド海軍みたくスキージャンプ空母とラファール艦載型の組み合わせなら成立するのでは?
インド海軍はラファールMをスキージャンプ空母で運用しているからカタパルトが必須ではないはず。
ごめんなさい。投稿がダブりました。こちらを削除していただくようお願いします。
着艦時の制動索はどうするんですか?
どうしても米国製が嫌なら…ロシア及びウクライナから購入するんですか?
インド海軍は艦載機型のラファールMをスキージャンプ空母で運用しているからカタパルトが必須ではないと思いますよ。
肝心のスペイン海軍がシャルルドゴールのようなCATOBAR方式の空母を計画しているのでアメリカの技術協力が必須なはずです。
関係ない話やが世界最小のスキージャンプ空母であるチャクリ・ナルエベトもヘリ空母やUAV母艦じゃなく、また固定翼機の空母として日の目を見る時は⋯来ないか
インドやブラジルで話が持ち上がったもののそれぞれの事情で無しになったシーグリペンも艦載機としてはかなり小さいけどそれでもハリアーより一回りデカいし
特にタイ空軍が導入予定のグリペンEは全長はF-35Bと同じくらいだしチャクリ・ナルエベトのエレベーターには乗らんのだろうなぁ(F-35Bも乗らないらしいし)
一応離陸距離に関してはF/A-18がスキージャンプで117mで離陸できたらしいから離陸するだけならあの全長182mの最小空母でも飛びそうではあるんだけどな
関係ない話やが世界最小のスキージャンプ空母であるチャクリ・ナルエベトもヘリ空母やUAV母艦じゃなく、また固定翼機の空母として日の目を見る時は⋯来ないか
インドやブラジルで話が持ち上がったもののそれぞれの事情で無しになったシーグリペンも艦載機としてはかなり小さいけどそれでもハリアーより一回りデカいし
特にタイ空軍が導入予定のグリペンEは全長はF-35Bと同じくらいだしチャクリ・ナルエベトのエレベーターには乗らんのだろうなぁ(F-35Bも乗らないらしいし)
一応離陸距離に関してはF/A-18がスキージャンプで117mで離陸できたらしいから離陸するだけならあの全長182mの最小空母でも飛びそうではあるんだけどな
一応蒸気カタパルトの設計図ならイギリスにもあるぞ。
倉庫から取り出してくるのに一苦労かもしれんが
あとスキージャンプでのホーネット運用はインドのF-Xがらみでやってたはず
蒸気カタパルトならシャルルドゴールが装備しているのでそっちから持ってきた方が確実でしょう。ただ原子力を使わずに今さらボイラを積むのかかという話になるでしょうから通常動力ならリニアカタパルト一択じゃないかな。それこそイギリスがクイーンエリザベスにF35Cを載せるべく途中まで開発していたのがあったと思いますが。
シャルルドゴールのカタパルトは米技術なので勝手に移転はできないんじゃないですかね?
イギリス・フランス・ロシア・中国、さあ、好きなところから選ぶが良い
a型中止ならまああるあるというか分からんでもないが、替えの効かないb型中止とはまた思い切った決断を
B型は渋々買うけどa型はお断り、みたいにすれば良かったのに
そのとおりで、ロシアからも中国からも離れているから、慢心しているのだろう。
トルコがアナドルでF-35Bを運用したら、慌てるかもね。
タイフーンの艦載機型はT4っていうのかと思って調べたら、影も形もなく、ハッと気がつきましたが、Tranche 4をT4って略してんですかね。
しかし、トルコにしろ、「責任もって飼えるの?」って野良犬を拾ってきた母親のような心配をしてしまいます。
とにかく金食い虫ですからね。
やはりハリアーⅡは名機
持っててもしょうがないだろと思ってしまうけど。
結局軍事力なんて国力の一部な訳で、アメリカが超大国なのは
別に空母があるからじゃないだろう。
スペインが空母持ってても別に誰も怖がらない。
そもそもお隣の英仏独は対露を真面目に取り組もうとしてるのに
自分だけ高価なおもちゃが欲しいってどうなの。
それで同盟から孤立しかけてるんだから実質金掛けて安全保障環境を
悪化させてるだけやんな。
そも英独仏の空母含めた海軍力拡張に意味ありますかね?
ロシアはアドミラル・クズネツォフ空母の修理を諦めたと
元々ポンコツだったロシア海軍は海洋への進出を諦めた、
つまりは核牽制の為の原潜以外はできません、やりませんと
言うことです。従ってロシアは我が国の脅威なりえない
大海を挟む我が国にとって、ポンコツ海軍しかないロシアは
脅威ではなく、上手く付き合っていけばWINWINの関係。
海軍で備えるべきは海洋進出の野望を隠さない中国であり
EUは陸続きなのでロシアに備えるのであれば、陸空軍の強化
こそ喫緊で、海軍なぞ本来どうでもいいのです。
海軍拡張は膨張・覇権主義の拡張・維持を目指すアメリカと
中国以外は、本来無用の長物でしょう
英仏はいわずもがな、
スペインもイベリアから遠く、アフリカ沖の大西洋、カナリア諸島にも領土があることをお忘れなく
身の丈に合わない前世紀の植民地など放棄すればよい
周囲に仮想敵国があるならまだしも空母を持つ意味は?
ただの大国としての威信(見栄)だけですね
本国からの「金」でもっている構造は、北部アフリカ諸国
がドミノ倒しでフランスに反旗を翻して崩壊したわけです
そうはいっても、フランスとかは割と頻繁に空母で治安維持や威圧作戦してるからなぁ
こういったら何だけどアフリカの治安なんて、(国家成立の経緯が非常に人工的すぎて民族が国をまたいででバラバラとかいろんな原因で)圧倒的な力なくして成立しないんで…
であればロシアも前世紀の植民地を放棄するべきなのでは?
> 大海を挟む我が国にとって、ポンコツ海軍しかないロシアは
> 脅威ではなく、上手く付き合っていけばWINWINの関係。
これはある
しかもロシアは勝手に欧州が敵対視してくれてるから、日本とは手が結びやすい状況
問題は日本の独自外交を伝統的に認めないアメリカの姿勢
田中角栄も結局この問題で倒された(中東に対する独自の資源外交)
領土問題とロシアの反日プロパガンダを考えると仲良くできる相手じゃないのでは?
無人機やドローン載せて、テストとかやらないですかね?
スペイン国民は、そもそも仮想敵国どこなのって感覚ありそうかなと。
NATO入ってるとは言っても、ロシアまでは遥か遠くの位置なわけですし、不法入国者の方が喫緊なのかなあと(今月グラナダの海岸に上陸して捕まえてたのが話題になってました)。
近年緊密な関係となったトルコと共同開発へ向かったりして。
記事にある10年位の時間があればKAANをスキージャンプで運用できるように開発する時間も取れそうですし、
空母関連の技術もフランスやインド辺りから買えれば建造も何とかなるのかもしれませんね。
>米国製システムは潜在的な戦争における使用が制限される可能性
結局これよね。自由に使えない兵器なんて持ってないのと一緒。
これまで一度も空母とハリアー2を用いた派遣、戦闘をしたこともなく、高級アクセサリーと化してたところに、軽自動車で十分なご家庭に、高級外車を入れるような話ですからF35Bを凍結したのは正解でしょう。財政負担がハリアー2の比じゃありませんからね。色々とお先が暗いスペインにはいくらなんでも過剰な装備でしょう。スペイン海外領土と言っても西地中海の荒事のない近場か、ちょい離れてもカナリア諸島だけ。使い道がありません。
仰る内容には同意するのですが、出てきてる結論が「CATOBAR空母に切り替える」なんですよね。
F-35B+STOVL空母より更にハードルが高い様な…。